まさかガンダム転生でジーンになると思わなんだ   作:ワッタ~軍曹

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第23話 一時の休息

大気圏に突入し、ガルマ大佐との通信も終えてガウ攻撃空母にやってまいりました。どうも皆さん、ジーン(転生)です。何とか地球に来れました。いやぁ、ジーン自体は地球に行った事がないのですが、前世の記憶で埃っぽい空気や地球の重力に、なんとなく懐かしさを感じます。

 

あ、すっかり言い忘れていたけどガンダムはホワイトベースを盾にして大気圏突入を成功させました。畜生!あいつ、オリジンルートを自力で切り開きやがった!!……こりゃ不味いな。シアトルで決着をつけなきゃ、このままの勢いだとジオン滅亡待った無しだな。

現状説明をするとホワイトベースは原作通りキャルフォルニアの予定進路よりずれてグレートキャニオンに突っ込んだ。ジオンはガウ一個中隊を率いてホワイトベース撃破に向かってる。そして俺と少佐はガルマ大佐の元へ歩いています。さて、シャアはともかく俺も行けるのか?

……と思ってたら普通に通され、杞憂に過ぎた。

 

「いよぅシャア、君らしくもないな。連邦軍の艦一隻に手こずって」クルクル

「言うなよガルマ。いや、地球方面軍司令官ガルマ・ザビ大佐とお呼びすべきかな?」

「士官学校時代と同じガルマでいい」

 

……美男子どうしの会話というものは優雅な物だな。俺の友達との会話は「土曜日俺ん家でパワプ〇しよーぜ」みたいな品のかけらも無い物だったからな。なんか雰囲気に飲まれそうだ。

 

「シャア、横にいるのは君の部下かい?」クルクル

「あぁ、巡洋艦二隻と新型MS三機を撃破した大エースさ」

「ジーン伍長であります」

「伍長……?あぁ、君だったのか。活躍は聞いてるよ、これからもジオンの為に頑張ってくれたまえ」クルクル

「ありがとうございます」

「君の武勇伝でも聴きたい所だが、まずは目の前の敵を倒す事が先決だな」クルクル

「そ、そうした方がいいですね」

 

武勇伝っていってもなぁ……

 

「それと君達は連戦続きだろう?ここは私に任せて、君達はゆっくり羽根を休めたらいい」クルクル

「それじゃあ、ガルマのお言葉に甘えよう。ジーンもゆっくりしてろ」

「はっ」

 

 

にしても髪の毛弄りすぎだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、俺が必死で盗ってきたV作戦の極秘資料のおかげで内部データは分かっているはずだ。にも関わらず、戦力は原作同様のガウ一個中隊で来やがった。余程の自信があるようだ。多分、地上にも部隊を配備しているはず。しかし、あえて言うとすれば「ガル…

 

「ガルマは相手を見くびってる。とでも言いたげだなジーン」

 

赤いヤツが割り込んできやがった。

 

「まぁ、言いたい事は解る。皆まで言う必要はない。我々はここでお手並み拝見といこうじゃないか」

「そ、そうですね」

 

 

ガウも徐々に降下してきて地上での戦いになってきた。今頃リード中尉は「引け!後退だ!いや、転進しろ!」って感じで慌てふためいているんだろうなぁ。

 

 

しばらくの沈黙の後、ドレンが口を出す。

「中々苦戦していますな」

「ガルマが苦戦して当然さ。我々が二度ならず機密取りに失敗した理由を彼が証明してくれている。しかも我々以上の戦力でな。これで私の力不足ではないと他の将校達も納得してくれるだろう」

「なるほど……」

 

ぶっちゃけ機密取りには成功してはいる。しかし、この少佐は次の目標をガンダム奪取(ついでにホワイトベースも)にして地上に降りてきた。だが、赤い彗星の異名を持つシャアが手こずっているとなると、やはり悪評が出始めてくる。風の噂によると、一部の将校は「ルウムで一発当てた天狗」と下馬評を下している。あながち間違いではない

 

「ドレン、そういえばガルマはMSで出たのか?」

「いいえ」

「そうか……」

(彼がガンダムと戦って死ぬもよし、危うい所を私が救ってもよしと思ってたが……)

 

 

 

 

 

 

「そういえば少佐、聞きたい事があるのですが」

「なんだ?」

「これですよ」

 

件の真っ赤なカードを差し出す。

 

「どういうつもりなんですか?」

「ほぉ……」

 

顎に手を置くな。

 

「どういうつもりと言われても……私はデニムにあげたからな。デニムに聞いてくれ」

「いやいやいやいや!!!こんなもん貰ったって困りますよ!!お返ししますよ!」

「返すならデニムに返してくれ、私に返されても困る」

「いやしかし!」

「クドいぞジーン。先輩から貰った恩を易々と捨てるのは、私は好かんぞ」

 

くっ……このままじゃ千日手だな。もっと言いたい事があるがここは止めておこう。にしてもコイツ、確信犯か?全く人をおちょくるのもいい加減にしてほしい。

 

 

 

 

 

ガンタンクやホワイトベースが受けている。あ、ガンタンクが後退した。そして戦況は……原作通りだな、こりゃ。ホワイトベースにあまりダメージを与えられてない。地上のザクとマゼラアタックはそれぞれ一個中隊で来ている。

 

……え?もしかしてドップと合わせると一個大隊でホワイトベースを攻撃してやられてたの??それ指揮官として不味くない???本当に戦力分析したのかよ!?

 

「どうだジーン、ガルマは勝てそうか?」

 

シャアは後ろで手を組ながら質問してきた。

 

「うーん、戦力的にはこっちが圧倒しているんですけどね。何故か知らないですけど負けそうな気がします」

「具体的には?」

「大気圏で戦った時に私のビームライフルが当たったはずなのですが、そのダメージをてんで受けてない気がします。なのでドップやマゼラアタック程度の攻撃じゃ落とせないと思うんですよ」

「なるほど、確かにそんな気もしてきたな」

 

お互いに窓の外を見る。ガンダムがやけっぱちになってビームサーベルを振り回してるのが見えた。あぁ、こりゃ負け確だな。と、ここでドレンが近づく。

 

「少佐、ガルマ大佐が退くようです」

「ジーンの言った通りだな」

 

戦力の半分程を失っての撤退か……

やはりちゃんと戦力分析してないようだ。外交は出来るとはいえ所詮、坊っちゃんは坊っちゃんって訳だな。

 

 

 

「ジーン、大佐を出迎えに行くぞ」

「はい少佐」




スローペースになりましたが、なにがなんでも完結まではもっていく所存です。ただ、年末は忙しくなるので「更新が来たらラッキー☆」程度に考えて下さい……

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