まさかガンダム転生でジーンになると思わなんだ   作:ワッタ~軍曹

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着々と前に進んでいます。
戦争も、運命も、物語も……


第20話 大気圏突入[出撃編]

やってきちゃいましたよ大気圏突入。アニメだとまだ第5話なのよね。V作戦偵察からまだ数日しか経っていないけど遠い過去のように思えてくる。しかし、まだまだ先は長い。

にしても無茶苦茶だよなぁこの作戦。戦術的には単純な奇襲戦法なのだが、場所がとてつもなく悪条件なのである。高度を間違えたら待っているのは死。タイムリミットを越えても死。無論、ガンダムの攻撃を食らっても死。ホワイトベースの対空砲にも気を付けなければならない。あまりにもシビア過ぎるな……

 

まぁ、後方からビームライフルを撃つだけの簡単なお仕事だし?適度に動いてれば文句は言われない……はず。あ、コムサイには行かなきゃな。

 

 

 

……そろそろ来るはずだが。おっ、来た来た。

 

「諸君、集まっているようだな」

 

シャア少佐がブリッジへと向かって来る。その場に居た全員が敬礼をして、シャアも敬礼で返す。そして、すぐさまと作戦説明に入る。

 

「新たに二機のザクが間に合ったのは幸いである。二十分後には大気圏に突入する。このタイミングで戦闘を仕掛けたという事実は古今、例が無い。地球の引力に引かれ大気圏に突入すれば、ザクとて一瞬の内に燃え尽きてしまうからだ。しかし、敵が大気圏突入の為に全神経を集中している今だからこそ、ザクで攻撃するチャンスだ。第一目標、木馬。第二目標、敵のMS。戦闘時間は二分と無いはずだが、諸君らであればこの作戦を成し遂げられるだろう。期待する!」

 

再度敬礼をして解散をする。

さて、少佐の適当な作戦説明を、俺がより詳しく説明するとしよう。

今回の作戦は皆さん知っての通り「大気圏突入」の戦闘でホワイトベースを奇襲する。しかし、原作通りなのはここまでで、ガンダムはプロトタイプで我々のザクは少佐含めて六機もいる。少佐と俺が地球に向かうので、その穴埋めとして二機のザクが補給された。今回の作戦は、そのザクも使ってホワイトベースを攻撃する。一見するとこちらが有利に思えてくるが、ホワイトベースはえげつないぐらい堅い。ザクが二機増えた所で墜ちるような代物ではない。それに俺もビームライフルを使ってでもぶっ壊す気はない。何度も言うが、原作通りじゃないと少佐の行動が読めないからガルマ暗殺を阻止出来ないからである。本当に世話のかかる奴だ!もう!

 

ところで少佐と俺以外のメンバーは誰だと思う?

コムとジェイキューとクラウン、あとはスレンダーだぜ?最初に顔を合わせた時はビックリしたよ……

まさかデニム曹長が予備に回るとは。そもそも例の三人が予備パイロットとして最初からファルメルに居るとは思わなかった。一度も顔を合わせた事ないし。まぁでも、MSの補給は出来てもパイロットだと直ぐには出来ないもんなぁ。言われてみれば当たり前なのだが……

 

「ブリッジから各員へ。出撃十五分前、パイロットはMSに待機し、整備班は各MSとコムサイの最終メンテナンスを行う事。繰り返す……」

 

さて、そろそろスタンバっておくか……

 

 

 

ハンガーに着くとデニム曹長が待っていた。

 

「ジーン、待っていたぞ」

「曹長、わざわざありがとうございます」

「これから暫く会えなくなるんだからな」

「次合う時は本国でですかね?」

「そうだといいな」

 

他愛もない会話だが、これで暫くのお別れとなると少し寂しく感じるな……MSに乗り込もうとすると曹長が何かを手にする。

 

「おぅジーン、これもってけ」

 

ピンっと飛ばされたカードををキャッチする。これは……購買部で使える特別配給カードか。基本的に購買部で売ってる品物は無料で貰える。だが、流石に買える商品の限度というものがある。これを使うと特別な嗜好品を貰えるので自分で使えたりするが、だいたいの人は自分の部下のお祝いにあげたりする事が多い。要するにギフトカタログみたいなもんだな。ちなみにどんなにものが貰えるのかというと……

 

高級な酒のボトル1ダース

オーダーメイドの服

国内産高級腕時計

ラジコンやプラモ

通常の検閲では引っ掛かるエッチな本

 

等が貰えたりする。まぁこれはほんの一部だが。

さてさて、額面を見てみよう。えーと、一、十、百、千、万、十万……

 

 

 

ひゃ、百万!!?!??!

 

 

いや、絶対におかしい。百万なんて普通あり得ない。上記にある嗜好品は大体一万クラスで、曹長クラスなら精々その一万が関の山だ。えぇ、何して貰ったのぉ???

 

「驚いたか?実はこれは少佐から貰ったもんだ」

「しょ、少佐からですか!?」

 

余りにも思い切りが良すぎないか?普通人から貰った物を他の人にあげるのはマナーとしてあまりよろしくは無い。でもそれをプレゼントするって事は、それほどまで俺の事を信頼してくれてるって事なのかな……

 

「ほ、本当にいいんでしょうか?」

「男に二言はない。好きに使え」

「あ、ありがとうございます!」

 

……百万あったら最高級スポーツカーやサイド3に別荘が建てられるぐらいの事なら出来る代物だ。多分二等兵とかがこれを見たら卒倒すると思う。

 

「ジーン伍長、そろそろMSに乗って下さい」

整備兵が声を掛ける。

 

「それじゃ頑張ってくれよ、未来のエース」

「曹長も死なないで下さいね」

 

ハッチが閉まりシートベルトを締める。MSの起動を手際よく確認する。ある程度操作を終えた所で先程貰ったカードを見てみる。いや~初めて見たな。百万のカードって赤いんだな。しかも文字と縁が金色だ。裏面はどうなって……

 

 

 

ルウム戦役での功績を称え

このカードを寄贈する

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

……これ、使ったらマズイやつやん。




ジーンは【厄介払い】の称号を得た!
ジーン(転生)「いや、全然嬉しくないんだけど」

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