まさかガンダム転生でジーンになると思わなんだ   作:ワッタ~軍曹

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意外と人気なようで嬉しい限りです


第2話 ジーン(転生)の腕前と赤い奴

 私は今、MSシミュレーションルームへ向かっています。それにしても通路の横にある棒って移動にめっちゃ便利よね。こう、スイーッって移動するのが快感で実に楽。確かこの角を曲がったらすぐそこのハズ。ほら、見えてきた。結構しっかりした部屋だな。流石ファルメル、特別仕様のムサイなだけある。中は四基のMSシミュレータがある。簡単に言えば戦場の絆の豪華版である。

 

 うぉぉぉお、やはり凄い迫力だ。オラワックワクすっぞ!と、はしゃぐのもいい加減にしてシミュレータの手続きを済ませる。一基も使用されてなかったのでササッと終えてシミュレータに乗り込む。

 そういえばシミュレータの起動ってどうやるんだ?流石にそこまでは知らんぞ?と思ってたらスーッと手順が浮かんできた。やはりジーン、MS操縦者だけはある。

AMBACシステムを順次稼働させる。聞きなれたMSの起動音がきこえる。立てよ!早く立てよ!今回のシミュレーション内容は最初の三十分は基本動作でその後三十分は仮想敵とのドッグファイトである。これで技量を測る。

 

 前進後退、旋回にスラスター、ザクマシンガンやバズーカ、ヒートホークの動作を確認して一連の動きを作る。武器の確認だが、戦場の絆と違って弾数制限がある。(当たり前だけど)

ザクマシンガンは1パレット100発が入ってる。腰にパレットをスタック出来る所があるので2パレットは予備を置いておける。つまり、300発のマシンガンを撃てる事になるのだが、連発し過ぎると銃身が焼けて撃てなくなるので、クールタイムが必要になってくる。ちなみに宇宙では放熱が出来ないので、一気に300発も撃ったら使いもんにならないらしい。今は一回の射撃で6発撃つ設定で撃ってるのでそこまで気にする事はないのだが、頭の片隅には覚えておきたい。後はパレット交換も時間が掛かるので気を付けたい。

次はザクバズーカだが、これはORIGINの見た目に近い。バナナ型の弾倉で5発撃てる。これも腰に予備弾倉を付けれる。こっちも連発すると熱くなるが、そもそも連発する武器ではないし、連発した所で全く当たらない。元々対艦用だし、仕方ないよね。

最後にヒートホーク。実はこの武器、使い捨てである。意外かもしれないが4、5回使うと刃がボロボロになって使い物にならないのである。これも一応対艦用ではある。もし、ガンダムと戦うならこれが一番のダメージソースだと思う。そうであって欲しい。いやそうであれ。お願いだから。

 

 ある程度、動きを把握した所でドッグファイトに移る。最初は一対一で戦い、最終的に三対一で戦う。一対一は意外にも好成績を残す。ザクマシンガンで牽制をして、ジグザグな動きで相手を惑わし、ヒートホークでぶったぎる。いやぁ~爽快感バツグン!これなら三対一でも楽勝でしょ!

 

と思ってたら時期が私にもありました。逃げることで精一杯。たまに牽制しては逃げる。牽制して逃げる。逃げる。逃げる。逃げる……

気づいた時には後ろからバズーカ撃たれてました。あぼーん。ヤバいよ、自分は操縦センスがそこまで無い。転生チートはどこいったんだよ!!何かしらあるだろ!!!何とか言ってくれよバー(ry

 

 若干の焦りを感じつつ、シミュレーションルームを後にすると一人の男が声をかけてきた。

 

「珍しいですね、あなたがこんな所に来るとは」

 

誰だコイツ?って言いかけたが、何とか押さえる事に成功した。頭の中にホワーンと浮かんできた名前がスレンダーだった。あぁ、スレンダーか!少し感動した所で会話を繋げる。

 

「昨日、シャア少佐がサイド7に入港してくる戦艦を発見したので、出撃も近いでしょう?ウォーミングアップは、早めにしておいて損はありませんからね」

「へぇ……」

 

信じられてない。これがジーンの人徳ですね。本当にありがとうございました。()

 

「1800時にはブリッジでミーティングがあるのでそれまでには間に合うようにしてくださいね」

「分かってますって」

 

そうしてスレンダーは何処かへ消えていった。

同年代とはいえ、一応スレンダーは軍曹で階級が上なんだよな……やはり日頃の素行は大事だと思った自分でした。といった所で時刻は11時を少し過ぎていて、どうするか悩んだが、少し早めに昼食を取り、休憩をした後にまた1730時まで訓練に慎むことにした。

 

 食堂に入ると、そこそこの人数が居るのが分かる。ツナギ姿の整備士やブリッジクルー、医者の姿も居た。それぞれグループになって雑談しながら食事をしている。そして早速献立を見てみる。無機質なディストピア飯ではないのを確認できて安心した。どれも洋食ばかりだが、今日はハンバーグらしい。宇宙でハンバーグってどうやって食べるんだ?と思っていたら料理が出てきた。丸パンにチューブに入った水、チューブに入ったハンバーグ、チューブに入ったミックスベジタブル、チューブに入ったトマトスープ………

結構無機質じゃないか!と叫びたくなったが、ここで二度目の防衛に成功。口は災いの元である。

とりあえず適当に席を選び、丸パンをかじりながらチューブに入った……えーと、ハンバーグを食べた。食べた?飲んだ?飲み込んだ??まぁ、とにかく食べたが、意外と美味しい。温かくて肉汁もちゃんとある。宇宙世紀の技術の勝利を堪能したら結構お腹が膨れたので自室に戻って休む。

 自室に戻ると何故かスレンダーが居た。そうか、ルームメートなのか。軽く挨拶をするとお互いに話す事はなく、そのまま沈黙が続いた。スレンダーが部屋を出ていき、特に何もなく時間だけが過ぎてゆく。

13時を過ぎた所でそろそろ、シミュレーションルームに行く。反復練習は大事だ。スーッとそこまで行き、部屋に入ると何やらギャラリーが出来ていた。その中には先ほど部屋を出たスレンダーもいた。

 

「スレンダー、なんなんだこのギャラリーは?」

「あぁ、少佐がシミュレータで俺たちと相手しているんだよ」

「えぇ!あの少佐が!?」

「何でも実戦前のレクリエーションだって。私も先ほどやってコテンパンにされましたよ」

 

この部隊で少佐と言えばアイツしかいない。

皆さんご存じのマザコン シスコン ロリコン 赤い彗星と言われるシャア・アズナブル少佐だ。ドズル中将から特別編成の部隊を率いてV作戦の偵察任務を任されている。

 そしてシミュレーションが終わったらしく、二人が出てきた。一人は無論シャア少佐。もう一人は小太りのおじさんで多分、デニム曹長だと思う。

 

「あんなスピード、ついてこられる訳ないじゃないですか!」

「はっはっは、まぁ、そう言うな。デニム曹長は古参らしく筋はいいが、まだ教科書の範疇から抜けきれていない。特攻する勇気は褒めてもいいが、もう少し頭を使った方がいい。戦いとはいつも二手、三手先に読んで行うものだからな。」

「はぁ……確かに。」

 

まさかあの台詞がここで、しかも生で聴けるとは思わなんだ。少し感動していてたら、少佐が気づき、話しかけてきた。

 

「やぁ、ジーン伍長か。このシミュレータを使おうとしたら、君の名前が書いてあって少し驚いたよ。この前の喧嘩での叱責が効いたのかな?」

 

喧嘩での叱責……?

あっ、もしかしてORIGINのあの喧嘩か?確か俺が折り畳みナイフを持って暴れたアレか?うーん何故だろう、本人の記憶があやふやである。ってかもう忘れてんのか!?そんなんだから素人同然のアムロにやられるんだよ!!

 

「どうだい?貴様も私と一戦交えてみるかね?」

 

明らかに上から目線だが、上官のお誘いだ。それに、一回シャアと戦ってみたいと思ってた所だ。

 

「わかりました、一戦指導して頂けるとは光栄です。私も少佐に引き抜かれた人材です、期待に沿えるように善戦します」

「ほぉ……善戦とは言わず、私を撃破してもいいのだが?まぁ、期待しているよ」

 

野次馬共が笑ってやがる。こんなんだからジーン暴走しちゃったんじゃないの?とジーンに若干の同情を思いつつ、シミュレータに乗り込んだ。

そしてあのセリフを言ってみる。

 

「見せて貰おうか、赤い彗星の実力とやらを」


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