まさかガンダム転生でジーンになると思わなんだ 作:ワッタ~軍曹
補給だと?それはまずいな。確か原作だと、かろうじてザク2機を受け取ったが、その他補給物資は運搬直後にホワイトベースの支援攻撃やらガンタンクの射撃でやられて受け取れてないはず。そうなると永遠にディストピア飯を食う羽目になる。あのコックの親父さんに睨まれ続けなければならなくなるな……
違う、そうじゃない。
そもそも下手すれば俺達が出撃して殺られる可能性だってある。明日まで身動きが取れないが、今の所出撃するかしないかは五分五分だ。うーん、ガデムさん死んじゃうのかなぁ?今のジオンは兵が居ないからなるべく生き残って欲しいよな……
………
考え事してたら眠くなってきた……
……いい時間だし、そろそろ寝るか。
zzz……
「ジーン伍長おはようございます」
軍医のモーニングコールで目が覚める。 時刻は丁度8時を指していた。
「お、おはようございます」
「早速ですが血圧を計りますね。腕、失礼します」
腕を捲って一分ほどジッと待つ。122の75でほぼ正常だ。
「元気そうで何よりです。点滴を外したら自室に戻って大丈夫ですよ」
「あぁ、ありがとうございます」
点滴が外されて絆創膏を貼ってもらう。固定ベルトを外して軍服に着替える。何気に初めて軍服を着たが、まぁ、何と言うか、意外と普通な感じだ。いや、めっちゃ嬉しいのよ?憧れのジオン軍服を、モノホンのジオン軍服を着れるのはジオニストとして感無量なのだが、もうね、過労とはいえ病み上がりで着るのはテンションが……ね?
とりあえずビシッと軍服を着て上司に報告をしに行く。どの世界でも報連相は大事よ?
「よぉ病み上がり、調子はどうだい?」
「おかげさまで」
「よっ、英雄の復活だね」
「ははは、ありがとう」
廊下でのすれ違いの挨拶をする。
「よぉフェニックス」
「あ、あぁどうも」
「おっ、死神が帰ってきたぞ」
「はあっ!?し、しに……」
「おーい死に損ない、何か奢れよ」
「……」
こいつら……
仲間に色々と言われながら艦橋に着く。シャア少佐はモニターの前に居た。
「少佐、只今戻りました」
「そうか、元気そうで何よりだ」
「ありがとうございます……ん?」
何で外にパプアが居るんだ?え?嘘でしょ!?
「しょ、少佐?あれは……?」
「あぁ、あのオンボロ戦艦が補給に来たんだ。ジオンも台所事情が悪いようだな」
会話の直後にモニターに立派な髭を生やした老人(?)が写し出された。こいつはガデムに違いない。
「まさかあの赤い彗星が補給を欲しがるとはな」
「ガデム、敵の戦艦が目の前だ!一刻を争う!」
「解っているよ、わしがそんなにノロマかね?歳の割には素早いはずだ」
「ハッチ開け!コンベアパイプ、ドッキング急がせ!」
おぉ、有名なガデムスルーだ。……違うよ!急がなきゃ!あぁ!何でまたこうなるのっ!!!
俺は急いで補給搬入口に行く
「お、おい!ジーン何処へ行く!」
「え!?あ、アレですよ、私のMSも補給されるんでしょ?だ、だからいち早く受けとりたいんですよ!キズ一つでも付けられたら堪ったもんじゃないですからね!!」
「あいつはお前の部下か?失礼にも程があるぞ」
「申し訳ない、後で叱っておきます」
時は少し戻って午前7時40分
ホワイトベース 艦内
コンコン
弱気なノックが聞こえてきた。
「ん……入っていいぞ」
入って来たのはアムロ・レイだった。
「と、父さん!」
「おぉ、アムロか、思ったより元気そうで何よりだ」
「と、父さん。それよりも……」
「あぁ、そうだったな」
アムロは近くの椅子に座り二人は話を始める。
「アムロ、話とはな単刀直入に言うとガンダムのパイロットになって欲しい」
「え?が、ガンダム……?」
アムロは"ガンダム"という言葉に苦い顔をする。
「気持ちは解るさ、でもな、お前には乗らなきゃいけない理由があるんだ。せめて聞いてくれないか?」
「わ、わかった……」
「ありがとう、では……」
こんな事を息子に言うのは躊躇いがあるが、仕方ない。あのブライトという臨時艦長にはまだ荷が重いからな。
「アムロ、お前は私の部屋に入ってガンダムのデータを見ていただろ?」
「え!?あ、いや、その……」
「今更それを責める気はない。お前はもう年頃だからな、そういう事をしても仕方ない。だが、ガンダムに乗ったのは不味かった」
「……」
「もしかしたら解ってるかもしれないが、あれは連邦軍の最重要機密だ。関係者以外がガンダムを見ただけでも下手したら軍法会議で銃殺刑が下される可能性だってある」
「えっ……じゅ、銃殺!?」
しまった、銃殺という言葉を使うべきではなかった。しかし……それが本当の事だからな……
「落ち着けアムロ、話はこれからだ。このままだとお前の身が危ない。このまま息子が銃殺刑にでもなったら母さんに何て言ったらいいか解らない。それに、私もアムロを見捨てたくない」
「何で……ガンダムに……?」
「アムロ、このホワイトベースはジオンの攻撃によって正規クルーの半分以上が失われてしまった。パオロ艦長は重症を負って、本来ガンダムに乗るはずだったMSパイロットも死んでしまった。その他、整備や看護なども今は避難民に手伝って貰ってホワイトベースはルナツーに向かってる」
「でも……だったら僕は、整備を手伝うよ」
「そうしたいのも山々なんだがなアムロ、ガンダムを上手く操縦出来るのはアムロ、お前しか居ないんだ」
「えっ……?」
ホワイトベースにはまだ、正規パイロットが居る。リュウ・ホセイ曹長とジョブ・ジョン曹長だ。どちらも予備パイロットではあるが、一応MSは動かせる。だが……
「予備ではあるが正規パイロットはまだ居る。それに他の避難民達も一応シミュレーションをやらせてみたんだが、アムロを越えるスコアが出なかったんだ」
「えっ……?」
「あぁ、スコアっていうのはアムロが実際に戦ったデータをスコアにしてそれを評価にしたのだが、そのスコアを皆越えられないんだ」
実際、アムロはザクの右腕を切り落とした後に本体を真っ二つにしたのだが、その右腕を切り落とした時のカウンターを繰り出せないのである。正規パイロットの二人でさえも。あのカウンターのスコアが一番高く、リュウはザクを撃破したのだが、そのカウンターが無かった故にアムロのスコアを越えられなかった。
「で、でもそれだけでパイロットになれって言われても……」
「アムロ。今はお前と私は家族で接しているが、一度戦闘が始まれば軍人と戦闘員の関係になる。お前はまだ正規軍人ではないが、状況がそれを許さない。」
「……」
「頼むアムロ、この通りだ。頼む!」
頭を深々と下げる親父に軽いショックを受ける。何故そこまでしてガンダムに乗せたいのかがアムロには解らない。
「……こんな父親を笑ってもいい。怒ってもいい。何なら殴っても構わない。私はアムロみたいな子供を戦場に送り出さないようにこのガンダムを作りあげた。だが、そのガンダムによもや自分の息子を乗せる羽目になるとは、とんだ皮肉だろう?」
「……」
「……でも、それしか方法が無いんだ」
「…………」
しばらく沈黙が部屋を包んだ。
「コンベアパイプ接続終了!弾薬搬入開始!」
「ちょょっと待っったぁぁぁぁぁ!!!!!」
「?!」
廊下をおもいっきり蹴っ飛ばしてコンベアパイプからパプアに行く。やった!ギリギリセーフ!よっしゃ、後はパプアのカタパルトがぶっ壊れる前にザクを射出して敵を追っ払うだけだ!
「お、おい!お前どこへ……」
「それよりも搬入が先だ!急げ!」
「は、はい!」
パプアのカタパルトへ行くと、補給班がノロノロと作業をしていた。この状況を判ってないな……
「おい早くしろ!敵は目の前だぞ!」
「なんだ貴様!?」
「ジーン伍長だ。ザクを受け取りに来た」
「ザクの搬入はあと5分掛かる」
ええい!このノロマどもめ!
「それじゃ遅すぎる!」
「こっちにだって順序があるんだよ!たかがMS乗りが調子にのってるんじゃねぇーぞ!!」
「敵が直ぐ近くまで来ているんだ!起動はこっちでやるから早く射出してくれ!」
「ふざけた事を言うんじゃ━━」
ドカーン!
始まっちまった。これはもしかしたらガンダムのハイパーバズーカの攻撃だ。
「それみたことか!射出が出来なくなる前に出してくれ!急げよ!」
「わかったよ!やりゃあいいんだろ!?」
ザクに飛び乗り電源を入れる。大丈夫だ、ちゃんと動く。そしてファルメルに連絡を入れる。
「少佐、少佐!一体どうなっているんですか?」
「ジーンか、奴らが攻撃を仕掛けてきた。私はザクで出る。伍長はどうする?」
「私はパプアのザクに乗ってます。出撃なら可能です」
「なら話は早い、一緒に出てくれ。パプアの護衛を頼む」
「了解!」
「デニム、スレンダー出れるか?」
「今から支度します」
「MSの立ち上げにちと時間が掛かるぞ」
「構わん、貴様達はムサイの護衛を頼む」
「「了解」」
とりあえず外に出たが、ヒドイなこりゃ。コンベアパイプがフルボッコだぜ……
さて、問題はガンダムの中身だが……
アイツじゃない事を期待したい
待って頂いたのに前後編ですみません……
追記:タイトルの付け忘れに対応しました