とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「誰も救えない。救われない――――そんな物語」

byノエル


閑話 悲劇の結末と災厄の誕生

(僕サイド)

 

初めましてみなさん。転生者の『僕』です。

神様のミスで、転生した僕ほリリカルなのはの世界で非転生者の幼馴染みと暮らしていた。

 

原作には関わらない日常だったけど、幸せな毎日だった。

 

 

 

――――――――だけどその幸せはすぐに崩された。オリ主の『彼』と八神はやてと関わったばかりに。

 

 

 

ある日、いつものように幼馴染みの家に遊びにいくと、彼女は血を流しながら弱っていた。誰がやったのかはすぐにわかった。

 

あの仮面をつけた男性の仕業だ。

男性には僕には魔導士であることを気づいていたのだ。

 

皮肉なことに僕は優秀な魔導士であるが、治療魔法が得意ではなかった。

 

彼女を助けるという交渉の元で僕は闇の書の事件に関わった。彼に命じられたのは連絡したときにターゲットの魔力を蒐集することだ。

 

僕はその命令に従わざる得なくて、なのはとフェイトの二人の魔力を蒐集した。

 

親友である『彼』に理由を聞かれたが、仮面の男性のことを言われれば幼馴染みの命はなかった。だから僕は逃げ出した。

 

 

――――――――そして、約束の時は来た。僕は闇の書である八神はやてを……………………この手で封印した。

 

なのはやフェイトに非難され、『彼』に目の仇にされ、僕は命からがら仮面の男性のところへ転移した。

 

 

――――僕は約束を果たした…………。だから幼馴染みを返してくれ。

 

 

たぶん、幼馴染みは僕を許してくれないだろう。怒るだろう。

それでも僕は幼馴染みに生きて貰いたかった。

 

男性は転移で彼女を連れてきた――――…………血まみれの磔の姿で。

 

 

「なん、で…………彼女は……………………」

「返した、が何か不満でも」

「あるに決まってるだろう! これじゃあ死んで――――…………が!?」

 

ザシュッと腹に激痛がはしる。腹部からブレードが生えている辺りに貫かれたのだろう。

 

「約、束が…………ちが、う…………」

「黙れ、犯罪者。お前の約束など最初から知らん」

 

 

犯罪者?と聞くと、ウィンドには闇の書の違法封印した犯罪者として僕はピックアップされていた。

 

「貴様はここで自殺し、この事件は終結するのさ」

 

僕を刺したもう一方の彼は「これでお父様が救われる」と言っていたが僕の頭は真っ白になっていた。

 

 

――――最初から嵌められていた。この二人に

――――それじゃあ、僕がしてきたことは…………親友達を裏切ってまで幼馴染みを救おうとしていた僕は…………

 

 

絶望――――世界に対するものなのか、それとも自分に対するモノなのか…………それはもうわからない。

 

だけど、僕は何もかも絶望したまま――――目の前が真っ暗に…………なり…………そして倒れて意識が――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――オワッテモ、イイノカ?

 

 

誰か知らない声がした。不気味で恐ろしい声。

 

普段の僕ならそう思っている。なのに、なのに…………ああ、なんでだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――心地よい…………なぁ。

 

 

――――フクシュウシタクハ、ナイノカ? セカイヲ、コワシタクナイカ?

 

 

…………壊したいよ。ああ、壊したい!!

僕から何もかも奪ったこの世界と全ての人間を壊したい!!

望むならこの世の全ての希望を絶望に染めたい!!

 

 

僕は憎悪に染まっていた。何もかも憎い。この世で幸せな毎日送る人間が。

 

 

――――ナラ、ノゾメ! オレサマヲ!

――――望もう、君になることを…………

 

――――ニクメ! スベテヲ!!

――――憎もう全てを…………そして――――

 

 

 

――――全て一つに、ナロウ、では、ないカ。

 

 

そして『僕』は死に…………――――

 

 

 

 

 

 

――――『俺様』が生まれた。

 

どういう存在かはわからない。どこから生まれ、どこから来たのかはわからない。

けれど、わかっていたことは一つだ。

 

 

――――――――この世が憎い。全てを破壊した。

 

 

起き上がった俺様は最初にしたことはブレードを刺した男の首を落としたことだ。

仮面の男性が死んだ男に対して名前を呼んでいた気がしたが、どうでもいい。すぐに衝撃波で顔を吹き飛ばした。

 

首から先が無くなった二人は人形のように仲良く倒れた。

 

俺様の手には魔力で生み出される剣――――紅く光るその(セイバー)の名前はまだないが、名乗るならば『憎悪の証』と言っておこう。

 

そして衝撃波。これはどうやら魔力で起きる技らしいな。しかも衝撃波だけでなく、念動力(サイコキネシス)などの瞬間移動以外の超能力まで使える。

 

これは良い能力を持った。向かい来る敵の攻撃を念動力で返し、防御に回る敵には電撃などの超能力で殺せばいい。これならば――――

 

 

「全てを壊せそうだ…………ククク、あはははははははははは!!」

 

 

狂う、くるう、クルウ。

 

狂気が俺様を支配する。

狂喜が俺様を心地よくさせる。

 

目の前にある磔の死体はなんだったのか忘れたが全てを壊す手始めに念動力の衝撃波で吹き飛ばした。

 

 

 

 

――――さア、全てヲ滅ぼそウか…………――――――――

 

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

真っ白な世界にて、円卓に腰かけた女性と男性がいた。

今まさにありとあらゆる世界の危機が誕生したことで行われた緊急会議である。

 

「神がたった今邪神に殺されたわ」

 

女神はそう言って目をつぶる。それは彼女の知り合いを殺されたことを意味していた。

 

「まさか一介の人間が…………転生者が、邪神にまでに進化して管理者である神を殺すとは…………」

「そうね。私も見たことないわ。あのような禍々しい存在は…………」

 

美国織莉子と男性は沈痛そうな表情をしていた。彼が邪神になった原因がひどいとしか言いようがない。

邪神になった彼に同情してない、とは嘘とは言えなかった。

 

「織莉子、感情で神に匹敵するようなことは確かにあるわよ。暁美ほむらが鹿目まどかを円環の理から普通の少女に戻したように、ね…………」

 

愛で悪魔となった少女のことを女神は知っている。

彼女は感情論という考えはないが、その感情で脅威になることは弁えている。

 

「で、結局。どうしようかしらん。この化け物のような存在を私達ではどうにかできないわよ」

「見た目が化け物のお前が言うな」

「だっるぇが醜い海坊主ですってェェェェェん!? しどい、しどすぎるわん!! こんな純情な漢女を化け物扱いするなんてぇ!!」

「漢女の時点でアウトでしょ」

 

呆れながらため息を吐く女神と頭が坊主で筋骨隆々なのに、女性の下着一丁の漢女『貂蝉』がハンカチを噛んで『キィィィ』という言わんばかりに悔しがっていた。

 

そんな漫才をしている中で、美国織莉子は口を開く。

 

「卑弥呼さん、あなたの意見が聞きたいわ」

「そうじゃな。オノコを集めてヤツを討伐するということをしようかとワシは考えておる。…………それにたくさんの傷ついたオノコをワシが癒せるしのぅ」

「そういえばコイツも漢女だった…………。ハァ、それじゃあ欲望まるだし…………――――あ」

 

その時、美国織莉子は何かを思いつき、愉快に笑みを浮かべる。それはとても楽しみな番組がテレビ欄にあったかのように。

 

「女神、貂蝉、卑弥呼。面白いことを思い付いたわ」

「なにその笑顔。…………でも楽しそうじゃない」

「この子、またろくなこと思い付いてないかしらん」

「うむ、そうじゃな貂蝉よ。…………いたずら心が全開のような…………」

 

三者の反応は一つは愉快そうにもう一つは呆れた表情だった。美国織莉子はそれに気にせず続ける。

 

「他の神を呼んでちょうだい。そうね…………最近、管理者となった龍と精霊達が蔓延る世界の管理者を呼んでちょうだい」

「まさか…………お主」

 

卑弥呼は何かに気づいたように織莉子を見る。

彼女は楽しそうに三人に向かって答えた。

 

「そう、集めるのよ――――――――『主人公』達をここへ」

 

彼女が指した水晶に写し出した世界があった。

 

…………それは今、ソラ達が住むミッドの世界だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――さあ、終幕の物語を始めよう。最後はオールスターですぜ、お客さん。




やりたかったことその一。

自作のキャラ達のよるクロスオーバーです。いろんなキャラを登場させる予定です。

次回はそのキャラ達の視点から始まります。


――――ホントやりたい放題だな

by五河四季

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