とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「俺の妹がァァァァァ!?」

byキリト


第七十一話

(キリトサイド)

 

 

俺は妹分であるリーファと戦っている。

片手剣と片手剣との剣同士のぶつかり合い。

剣の腕は互角だが差があるとしたら、神器の性能だ。

 

俺の神器は主に徐々に速さをあげていくがリーファは風を操るという自然現象に干渉する力だ。

魔法で空中で同じフィールドにいる俺だが空中戦では明らかに不利である。

 

シリカの援護射撃のおかげでなんとか保たれているが時間の問題だろう。

 

ズタボロな俺にリーファは口を開いた。

 

「もうやめようよ…………。お兄ちゃんじゃ、あたしに勝てないよ」

 

リーファが辛そうな表情で俺に言う。彼女もホントはこんなことしたくないはずだ。

けれど、彼女は第二王女として責務と部隊長としての責務によって俺を拘束せざえるおえない。

俺だってリーファと戦いたくない。けれど――――――――

 

「諦められない。交わした約束を果たさないといけないんだ…………!!」

 

鼓舞せよ、奮い起たせよ!

 

神器の性能で差が出るなら、俺は自慢の剣術をもう一段階あげるだけだ!

俺の左手に魔法陣が浮かび上がる。光と共に現れたのは黒色の片手剣。

 

そうこれは俺の先生から受け継いだ神器――――『エリッシュデータ』

 

黒と空色の片手剣。それが俺の本来のスタイルだ。

 

「二刀流…………後天的に得たんだねその神器」

「まあな。俺がリーファに勝つには剣術しかないってな」

 

二つの神器を召喚しているから時間制限(タイムリミット)は限られている。それまてまに決着をつける!!

 

「いくぞ!!」

 

俺は構えるリーファに向かっていこうとして――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、キリト。ちょっと待て」

 

――――ソラが待ったの声を聞いた瞬間、リーファにピンク色の巨大な魔力矢が直撃して爆発した。

 

「リーファぁぁぁぁぁ!?」

「あー、どうしよソラくん。せっかく良いところなのに撃ち落としちゃった…………」

「気にすんな。そのときは『大☆勝☆利!!』と決め台詞を吐けば全て丸く収まる」

「大☆勝☆利!!」

「よろしい」

 

よろしい…………じゃェェェェェ!!

アンタら人の妹に何してんだよ!? 撃ち落として丸く収まる問題じゃねぇだろ!?

 

「知るかボケ。ボーしてたそいつが悪い」

「いや、不意打ちは卑怯だろ!」

「キリトくん、世の中にはこういう格言があるんだよ?」

 

それはなんだとまどかに聞いてみるとソラと一緒に答えた。

 

「「卑怯汚いは敗者の戯言(たわごと)」」

「最低だよ、アンタら!!」

 

それからリーファを放っておいて俺はソラに襟首を掴まれて、引きずられながらその場を去った。

リーファ…………生きていろよ…………。

 

「てか、なんでリーファの同僚まで連れて来てるんだ?」

「拉致に決まってるでしょ。これ以上襲撃されないように、ね」

 

ほむらの言ったことに戦慄を覚えるのだった。

え? この青髪の人もソラの仲間だって?

 

拉致というより取り戻したってみたい感じだな…………。

 

 

 

 

(ソラサイド)

 

 

 

 

さやかを拉致して街から脱出したオレ達は平原にいた。遠くから見れば山あり、岩ありというゴツゴツしたものが見られる。

 

「飛んでいけないよな、さすがに」

「この人数ですとピナでは山はさすがに…………」

「きゅるる…………」

 

落ち込むピナにキリトは「仕方ないさ」と撫でて励ましていた。

早くここから遠くへ行かないとさっきの妖精達が追ってくるだろうし……………………あ。

 

『ドコでもドア』で行けるじゃね? あれって一度見た場所ならば、ここへ来たみたいにアバウトなところに行くことなく特定できた場所へ行けるし。

 

「あ、それならちょうど良くアバロン王の城の写真が」

「グッジョッブさやか。これなら直接行ける」

 

えっへんとさやかが胸を張る。すると、キリトとシリカがポカーンと口を開いていた。

え? なんでそんなに驚いてるの?

 

「いや俺達ソラの神器の名前知らないし、そんなに便利なものだとは…………」

「というかわざわざピナが運ぶ必要とかなかったのでは…………?」

 

シリカの言いたいことはわかるけど、それはちょっとリスクが高いんだよな。

『ドコでもドア』は一度見た場所で初めて位置とか特定できる。逆に言えば位置が特定できなければその場所のランダムのところへ行くことになる。

 

開けたところが行きなり、敵陣の拠点だったりすることもある。

 

「さすがに敵陣に殴り込みになる形は怖いですね…………」

「ちなみにオレとほむらの場合、そんなところへ行ったら真っ先に潰す」

「潰せるのですか!? 無謀ですよね、それ!?」

 

いや関係ないから。オレとほむらがいれば真っ先に爆撃と魔法の応酬を開始するとシリカに伝えた。

それを聞いたキリトとシリカに苦笑されてしまった。

 

なんでだろ?

 

「いやアンタらの非常識さに苦笑するのは当たり前だろ」

「あたしも杏子に同意よ。ちょっとは自重しなさいよ」

 

二人に説教的な形で言われてしまった。解せぬ。

 

まあなんにせよ…………。

 

 

「マミさん連れ出すか」

 

オレがドコでもドアを展開するとみんなは頷いて「応!」と返事した。

決戦は近い…………。そんなに気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、リーファが追い付いてきた」

「なんですと、さやかさん どうしましょうかい」

「拘束しちゃっていいわよ。あたしが許す」

「よしきた」

「なんかさやかも染まってきたなぁ…………」

 

杏子がそう呟く通りだと思った。

リーファがどうなったって?

 

まどかがカスペみたいに背後から鈍器で殴って、煤巻きにしてキリトがお姫様抱っこする形で連れていくことになったけど?

最近の女の子は物騒です……。助けてマミさん。

 

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

「はっ! 誰かお姉ちゃんを呼ぶ声が!?」

「いや、マミさん。それよりアスナ様を静めて。誰かが間違ってお酒を渡したから」

 

なにやらマミさんにSOS信号を受信したようです。しかし、彼女がいるところも戦場だった。

アスナが魔法でオベイロンをぶっ飛ばそうとしていたからである。

 

誰か、止めてよ。

 

 




ちなみにこの後ソラはさやかにおいしくいただかれました(笑)

原因はまたお酒です。イッタイダレノシワザナンダー?

次回、再会

――――忘れないでよ、オレのこと(涙)

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