「それが私達!!」
「とりあえず、三角座りしているソラを慰めろよ」
by元魔法少女達
決闘から翌日。オレは朝陽によって目が覚める。
あれ? なんだここ?
知らない天井に一種の疑問感じて次に感じたのは肌寒さとなんか変なニオイだった。
「えっ? なんで裸なの? てか、いつの間に脱いだ?」
オレが疑問に思っていると、オレの布団をモゾモゾ動く物体がいた。とりあえず、気になったので布団を引き払う。
そこにあったのは瑞々しい肌に、情熱的な赤い髪。
普段はポニーテールなのに下ろされた髪が彼女を大人に近づく少女だと思わせる。
単刀直入で言おう。杏子である――――――――………全裸の。
「あっれー? オレの目がおかしいのかなー? なんで裸の杏子がいるのかなー?」
あー…………これは夢だ。そうに違いない。
だから杏子が右になら、その左でモゾモゾしている二つはたぶん気のせいだきっと。
そうに違いない。
「よし寝よう。おやすみなさい…………」
「二度寝は健康によくないわよ」
左から声がしたのでギギギとブリキ人形のごとく振り返る。
そこには黒髪美少女ことほむらが生まれたままの身体をタオルケットで隠していたではありませんか。
ほむらのとなりにはニヨニヨしているまどかが寝ている。彼女も杏子とほむらと同じでなぜか生まれたままの姿である。
「えっ? どゆこと? なんで三人は裸なのかなー?」
「私の口から言わせるつもり?」
「いやいやいやいや! なんで嘘だ! 絶対嘘だ! だってオレはシリカからもらった飲み物を飲んでいこう寝たという記憶が――――…………あれ?」
そういえばシリカからもらったあの飲み物なんかのお酒らしいって言ってたような。それからオレは杏子に絡んで――――…………それ以降の記憶がねぇ!?
「ま、まさか……………………」
「ソラ、あなたがどんなに甲斐性なしだろうがどんなに優柔不断であろうが言いたいことは一つよ」
「…………教えてくださいほむらさん。その一言とは?」
彼女は乙女のようにモジモジしながら恥ずかしがりながら爆弾発言を落とした。
「スゴく…………逞しくて、激しかったわ…………」
「ノォォォォォォォォォォ!!!!」
なんというかヤってしまったそうな。ちなみにまどかと杏子も同じ感想だったそうな。
マミさん、さやか、千香。ごめなさい…………。
神威ソラは昨日をもって童貞を卒業しました。
師匠…………オレ、どうすればいいのかな…………?
閑話休題
朝食を食べた後にオレは木の影で三角座りしていた。
いやだって考えてみろよ。三人の美少女に手を出したんだぜ?
端から見れば最低最悪な外道じゃねぇか……………………あ。でも外道はもう言われてたか。
主に初対面の猫耳族のみなさんに。
「性的な外道にはなりたくなかった性的な外道にはなりたくなかった性的な外道にはなりたくなかった性的な外道にはなりたくなかった…………ブツブツ」
ブツブツと言っているとキリトが杏子とまどか、ほむらに話しかける。
「オイ、ソラがぶっ壊れてるぞ? 何があったんだよお前ら三人に。昨日一緒に寝ただろ?」
三人娘の返答は以下の通り。
「う、うっせぇ…………なんでもねぇよ…………」
「えっと…………その…………」
「…………ノーコメントだわ」
このような返答にキリトは「わけがわからないよ」とどっかのナマモノと同じセリフを呟くのだった。
マジでどうしよ…………。オレ達まだ中二の年齢なのに…………。
「そ、それよりもシリカ。悪いけど、アタシ達もう行くわ。アタシの仲間――――――――いや、家族が待っているからさ」
少し寂しそうに杏子が言うとシリカはしばらく考えてから「わかりました」と悲しそうに呟くのだった。
それから猫耳族の新しい族長が杏子が決めて送迎会を行い、午後になってからオレ達は村の入り口まで出た。
ちなみに新しい族長は杏子の次に強い人である。清楚なイメージを感じさせるのになかなかの力持ちらしい。
「ホントに世話になったなぁ…………ここには」
「杏子さんにとって思い出の場所になってるんですね」
「まあな。うん、色んな意味で思い出の場所だ。…………色んな意味で、な」
顔を紅くしながらオレを見る杏子に目を逸らす。
…………直視できねぇーよ。あんなことあったら。
「ホント何があったんだソラ」
「…………聞かないでくれ」
「わけがわからないよ」
普通の男ならば「うらやまけしからん」と血涙を流すような出来事だが、残念美少女と関係を持ったものだからうれしくないと思うのはオレは贅沢者だろうか?
日頃から受けるセクハラとドS行為の心労が常に側に起きるということを考えるとため息が出る。
「まあなんにせよ責任はとるつもりさ。大切なヤツらだし」
「さすがソラくんだね。三人の女の子と関係持った鬼畜少年とは思えないくらいに」
「……………………」
「オイ、今のでソラがハートブレイクされて木陰で三角座りし始めたぞ…………」
「大丈夫。ワザだよ」
「ワザなの!?」
「これでソラくんは私達には逆らえないことになったよ。つまり常に私達が優位なんだよ。やったね私!」
「この人めちゃくちゃ腹黒い!!」
キリトの言う通りオレのメンタルがまどかの言葉でブレイク。もうこいつらには何を言っても逆らえなさそうだ。
てか、杏子。肩を叩いて「気にするな」とか言わないで。
その優しさが今ではものすごく辛いとです…………。すると今度はほむらは口を開く。
「安心しなさいソラ。私とまどか、杏子は別にあなたを貶めるようなことやイタズラに苦しめるようなことはしないわ。純粋にあなたと結ばれることを望んでいたのよ」
「そうなのか…………? なんか少し安心した」
「シリカがソラにお酒を渡すように施したのは私だけど」
「真犯人はお前か!!」
「当然よ。結ばれること望んでいたからこそのまどかと考えた策略よ」
ウインクするほむらにちょっとドキッとしたが、まさかの策略にオレは愕然とする。
嵌められたァァァァァ…………。
「まさか杏子が先にソラと一緒にいたのは意外だったわ。おかげで最初にいただかれたのは杏子だったし」
「あぅ…………し、仕方ねぇだろ…………。一応、あの村では夫婦なんだし…………」
指をツンツンしながら恥ずかしがる杏子の姿に少し癒されながらオレは次の目的地をキリトに聞いた。
この森を抜ければ街があるらしい。
やれやれ、森から抜けるとしたらどれほどの距離を歩かないといけないだろうか。
「いやー何週間かかるのやら」
「待ってください!」
入り口付近でこれからのことを考えているとシリカがピナを肩に乗せて出てきた。
「あの…………私も連れて行ってくれませんか? もしかしたら役に立てることがあるかもしれません」
オレはなぜついていくのか理由を聞いてみた。
彼女はこの村を出たことがなく、世界がどういうものかまだ知らないらしい。なので自分を鍛える名目を掲げて杏子――――というかオレ達についていくことを決めたらしい。
「辛い旅になるかもしれないぞ? 主にキリトが」
「まさかの俺かよ!?」
「望むところです!」
「いやシリカも頷くなよ!」
鋭いツッコミを放つキリト光景を見てから密かにガッツポーズをとる杏子。たぶん、杏子の心情としてはツッコミ役が増えて万々歳なところだろう。
よし、まどかとほむらの暴走をこの二人に任せて新婚旅行に行くぞ杏子。
「よっしゃあ! ハワイ行こうぜ!!」
「いや何他人任せてるんだよ。アレはアンタらでなんとかしろよ」
キリトにそう言われた。解せぬ。
☆☆☆
シリカのペット兼友達である小さなドラゴン――――ピナはどうやらこれが普段の姿ではないらしい。
シリカの神器『偽りの仮面』で変化したサイズらしい。
その元の姿に戻したらあら不思議。全長十メートルの巨龍になったではありませんか。
そんな巨龍に乗ってオレ達は一直線に街へ向かう。
「スッゲーデカイな、この非常食」
「だから非常食じゃありませんから!」
「えっ? そうなのかシリカ?」
「杏子さぁん!?」
まさかの杏子もオレと同じ思考に驚きである。そういえばこいつって大食漢だったよな。
マミさんが食費でたまに怖いってぼやいていたなぁ。
「これならすぐに着きそうだな。ありがとなシリカ」
「い、いえお役に立ててうれしいです…………」
キリトの笑顔でシリカは頬を染める。こやつにニコポがあるのか?
しかしヤツは鈍感という名の難攻不落の要塞である。超ど真ん中で攻めない気づいてくれないだろうなぁ、シリカの恋は。
「ってソラくんソラくん」
「なんだい、まどかさんや」
「前方からなんか来ているのだけど」
まだまだ距離があるが、確かに空中に飛んでいる何かがいる。
人型で羽のある人種…………妖精しかいないな。
しかも騎士甲冑を来ているからたぶんどっかの部隊だろう。
「予測されていたのか? マズイな…………。シリカ、頼むけど」
「その必要ないぞキリト」
オレがそう言うとほむらが神器からバズーカ砲を取り出して、妖精達に向けて発射。
ドガァァァァァンッッッ!!
爆発音と爆煙と共に妖精達が次々に落ちていった。
「よし、道が開いたな。ナイス、ほむら」
「容赦ねぇなアンタら!! てか、大丈夫なのあの人達!?」
「知るか。あ、しまった。財布くらいスッとけばよかった。シリカ、リターン。無事な財布ちゃんを我が手にしたい」
「追い剥ぎここでもやるのかよ!? ホント徹底的だなソラって…………」
呆れるキリトとシリカ。結局リターンせずにそのまま街へ向かった。
下では失神せずに生き残ったヤツがいたので、オレはまどかに頼んで追い打ちにデストロイアーチャーで森の一部ごと吹き飛ばした。
残っていたのはピクピクと動く黒ずんだ人型と荒野となった森の一部であった。
問答無用? 今更だろ。それがオレ達だ。
(さやかサイド)
「先陣の部隊がロスト。銀髪少年がピンクの少女に何かを指示を出した後、全滅模様です…………」
あたしは部下の一人の伝令を聞いて嘆息を吐いた。どうやらソラ達はここに来て私達の仲間の部隊を襲ってやりたい放題しているようだ。
…………これでは再会が牢獄になってしまいそうだ。
「まさかお兄ちゃんが…………そんな…………」
「あー、大丈夫だってリーファ。たぶんあたしの知り合いが全てやったことだから」
「どんな知り合いなのよ!? 部隊の衣服や財布を剥いでパンツ一丁になる隊員や黒ずんで瀕死になった隊員はさっきのを合わせて三十人よ!? 中にはピンクにトラウマを植え付けられた隊員がいるわよ!」
「もうそうなるのかー…………あははは」
もはや苦笑しか出まい。しかし幸運なことにこちらに向かって来てるようだ。
接点して丸め込めばソラ達とは敵対することはない――――――――はず…………。
「大丈夫かなあたし達…………ソラって敵にはとことん容赦ないから…………」
「あんたの知り合いがキチガイということがよーーーくわかったわ…………」
だけど負けるつもりはないわとリーファは神器『風魔の刃』を召喚した。
確か、風を操作する能力だっけ? たぶん空中戦ではソラ達は勝てないと思う。
それくらいリーファは強い。
…………だけどあのソラだ。相手が有利な土俵をどうにかして自分の有利な土俵を作り出す可能性はなきにしもあらずだ。
「あたしもよ…………絶対負けないんだから…………」
だからこそ、あたしはリーファをサポートすることを改めて決意するのだった。
「た、隊員から報告! ピンクの閃光がこちらに向かっている模様!」
「「え?」」
ドガァァァァァンッッッ!!
――――直後、まどかの魔力矢の爆撃が舎屋を襲ったのだった。
…………とりあえず再会したら一発殴ろうと思う。
次回、さやかの追憶
――――ま、あたしとソラの出会いを話そうか。