とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

80 / 158
R指定発動!! エロスがエロスが迫っt……ぐわァァァァァ!!
はい、悪ふざけですが、R指定はマジです。R18じゃありませんが微エロになります。

ではどうぞ。

「ホント…………なにがあったんだ…………」

by神威ソラ


第六十八話

猫耳族の掟――――

 

それは猫耳族が守るべきルールである。破れば罰則を与えられ、恐ろしい罰が待ち構えている。

 

以下がその掟である。

 

1女は男より強く有り、男は女を支えるものであれ

 

2族長は必ず女であり、敗北した者は勝者に族長の座を譲ること

 

3婿入りのみ集落に残り、嫁入りは外に出なければならない。理由? 嫁入りってなんか屈折したっぽいよね

 

4サンマは塩で焼き、醤油かポン酢で食せ!!

 

5結婚する前に決闘して勝った方に嫁入り婿入りすること。あ、引き分けはノーカンで

 

以上がシリカが持ってきた掟を記した書物である。

 

……………………とりあえず言おう。

 

「なんだこの現代っ子っぽい掟!? ホントに昔の人が書いたモノなのかこれ!?」

「そうですけど…………」

「しかも3はなんかフレンドリーっぽいし、4は完全に好みの問題だろ!」

「サンマはポン酢ですよね! あの若干の酸っぱさがたまりません!」

「知るか! オレは醤油だけどね!!」

 

なんという重みもなんにも無さそうな掟である。

 

軽い…………軽すぎるぞ猫耳族…………。

 

「というか罰ってなんだよ。生爪を剥ぐとかそういうものか?」

「そんな物騒なことはしません! ノーパンの刑がスタンダードです!」

「どんなスタンダード!? いやお前らがノーパンしたら駄目だろ!! 水着っぽい服装でノーパンしたら完全に下半身剥き出し状態だからな!?」

「ちなみに一番重い刑は猫じゃらしで弄ばれることです。この間、杏子さんが実行していて一人の若い少女が満たされた顔で倒れました…………!」

「倒れるほど遊んでいたの!? てか、一番重い刑が猫じゃらしで遊ぶことなのか!?」

 

どんだけ緩いの!? つーか、ノーパンの刑がこの中で一番辛い刑じゃねぇか!

 

「猫じゃらしを甘くみてはいけません! あのブラブラ動いてモフモフ感のある拷問兵器は猫耳達の天敵です!」

「いや天敵じゃねぇだろ。どちらかと言えば遊び道具だろ」

 

もはや呆れるしかない。

というか今の状態を説明すると5の結婚するためにオレと杏子は戦うことになった。

 

オレが勝てば全て解決するわけだが…………どうも杏子としては納得してなさそうな気がするなぁ。

 

「待たせたな」

 

杏子が魔法少女の衣装で槍を肩に担いでやってきた。オレは神器を召喚する。

 

「んで、八百長する予定は?」

「あるわけねーだろ。アタシはアンタと戦いたくてウズウズしてんだよ」

「お前シグナムの戦闘狂が移ったのか?」

「いんや、アンタはノーマルさ。手合わせしたい相手がいたらウズウズするだろ?」

 

ニカッと笑う杏子にオレは「それもそうだな」と目を瞑って微笑んだ。

 

そういえばこうやって杏子と戦う機会はなかったな。

 

「さてと…………覚悟はいいか?」

「もちろん。アンタもできてるだろ?」

「当たり前だ」

「それなら、始めよう」

 

ああ、そうだな…………。

 

オレ達の口角が上がり、一斉に言葉を出す。

 

「「…………久々の潰し合いをな!!」」

 

オレと杏子の得物がぶつかり合った。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

まず先制してきたのは杏子である。

右手だけで槍の突貫でオレに突いてきたが、それを身体を捻りながら神器で受け流し、そのまま蹴り上げようとした。

 

しかし、杏子は残りの片手で受け止め、その勢いを利用して空中で飛び上がりそのまま宙返りしながら足をついて着地。

そこへオレが右へ左へと袈裟斬りをしたが、ヒラリヒラリされて距離をとられた。

 

「ヒュー、やるねぇー。ヒヤヒヤしたよソラ」

「嘘つけ元魔法少女。たった一人で化け物を狩ってたベテランのお前があの程度の斬撃でヒヤヒヤするもんかよ」

 

「バレたか」と杏子はいたずらっ子な笑みを浮かべる。

小手調べで反撃してみたがそう簡単にはいかないか。

 

「んじゃ、そろそろ…………いくよ!」

 

杏子の神器が光り出し、複数の杏子が現れた。

 

前世で見たことある魔法――――――――『ロッソ・ファンタズム』

 

幻想という名の分身がオレの目の前に現れたのだ。

 

「「「「さあ。どうする!」」」」

 

分身達が一斉に得物を振り回す。

分身達と戦うにはオレはまず意識しなければならないことがある。

 

まず、集団行動でのコンビネーション攻撃。

 

コンビネーション攻撃は他人と合わせて初めて成り立つが自分自身である分身は容易く合わせることができるため、相手を牽制しながら隙を簡単に作り出せる。

 

そのためオレは杏子達を集団にさせず、バラバラにさせなければならない。

 

もう一つある。それは視界が広がることだ。

 

なんでも『ロッソ・ファンタズム』の分身は本体の視界と繋がっているため、杏子には複数の視界があると考えられているらしい。

そのため、奇襲は行えないし、分身に奇策で倒してしまうと瞬時に見破られてしまうリスクがあるのだ。

 

「だぁ、くそ! 面倒な技を!」

「隙あり!!」

 

横凪ぎの一撃を神器で受け止めるがそのまま横へ平行に飛ばされる。しかも飛ばされたところで待っていたのは槍を振りかぶる分身の姿。

 

背中からの衝撃を受け、上に飛ばされた。

 

「い、っつ…………」

「とどめだァァァァァ!!」

 

最後に待っていたのいつの間にか上空にいた本体。

オレは彼女の渾身の突きで地面へ叩きつけられた。

 

幸いなのはこれが模擬戦形式の決闘であり、命のやり取りを行わないことなので杏子の突きは先端の刃ではなく、柄の部分の突きであったため死にはしない。

 

けれどかなり痛い。激痛に苦悶する。

 

皮肉なことに模擬戦形式のためオレの得意な開け閉めや魔法はほぼ相手を殺すためなので使えないし、第一杏子の機動力の前ではまず当てることが難しい。ただでさえ、杏子が五人になったのだから。

 

それもまだまだ分身作っているし、三十人の杏子と戦うという最悪のビジョンが浮き上がってきた。

さすがにベテランで自分のことをよく知ってる相手が三十人となると倒せなくなる。

 

「だとしたらオレがこれ(全てを開く者)を使うのは限界があるなぁ…………」

 

オレは神器を戻して素手の状態で深呼吸し始める。

杏子は「諦めたのか?」と不敵に笑うがオレはそれを否定した。

 

「お前とじゃあオレの神器は相性最悪だ。だから師匠の神器を使う」

 

オレは師匠の神器(閃光のマント)を召喚し、身体に電気を纏う。

 

この神器の特性はトップスピードを高め、そして一つ一つの攻撃に電気属性を付与させる。

 

お分かりいただけただろうか?

今度はオレがスピードで杏子を翻弄するときだ。

 

「っ…………!? 速い!」

「ひとーつ!!」

 

まず槍を構えていた杏子の一人の腹部を殴る。すると煙のように消えていった。

 

今度は分身の杏子二人がオレに向かってきたが、ムーンサルトで回避し、それから拾った石ころを身体に当てる。

この石ころには電気属性が付与されているため、当たればスタンガンと同じように失神してしまう。

 

案の定、杏子二人の分身は消えて残りは八人くらいになった。オレは怯んでいる隙に杏子達の一人にエルボーする。

 

「なっ!?」

 

そのエルボーは避けられることはなく受けるはずだった――――――――が、幽霊のようにすり抜けて行き、そのまま足を滑走しながら通り抜けた。

 

「言ったはずだけどアタシの神器は『幻想は現実に』だ。文字通りに幻想は現実になり、そしてその現実になった幻想を『元に戻せる』」

 

要するに幻想という幻に一時的に戻して分身を維持させたということか。オレの一撃一撃が必殺だからこその得策か。

 

…………やられた。これは仮にオレが神器(全てを開く者)で防ごうにもすり抜けて当てられるし、槍を掴もうにも掴めないという可能性が出てきた。

 

武器を奪って戦うことは最初からできないということか。

 

「まだいけるだろソラ?」

「まあな…………。んじゃ、全力でいくわ」

 

オレは最大出力の電気を纏い、杏子に向かっていく。

これは師匠もしていた最強の肉体強化である。短時間でしかも使用後は身体が上手く動かせることができなくなるが、最初よりも段違い速いし、力も違う。

 

まさしく一撃必殺となる強化である。

 

オレは次々に作られていく分身を倒しながら、遂に杏子と一騎討ちとなった。

もはやお互い体力と魔力が限界だが、オレ達が目指すものはただ一つ。

 

「「勝つのはオレ(アタシ)だァァァァァ!!」」

 

杏子の槍とオレの拳はぶつかり合い、砂煙が舞う。

 

そして膝についていたのは――――オレ。

立っていたのは杏子だった。

 

「村長の勝ちですか?」

「…………いえ。違うわ」

 

ほむらがそう言うと同時に杏子はそのまま背中から倒れ込む。それをオレはなんとか受け止めてあげた。

ふぅ…………ぶつかった後のお互いの一発でオレは腹部をやられてつい膝をついたが、杏子は鳩尾を当てたから失神してしまった。

 

軽い電気だから大丈夫だと思うけど。

 

「ホント…………めちゃくちゃ辛かったな今回は」

 

オレは思わずため息を吐きながら綺麗な青空を見上げるのだった。

 

…………とても晴れやかな結末だったと思う。

 

 

 

(杏子サイド)

 

 

 

決闘の後にアタシ達は村長を辞任したことを集落のみんなに伝えた。村のみんなはガッカリしていたが、結婚することを発表するとなぜか喜ばれた。

まさか近所のオバサンやオジサンが涙を流すくらい喜ばれるとは思わなかった。

 

「あの杏子ちゃんに貰い手がいてよかった」という発言は気に入らなかったが。

 

まあなんにせよ。結婚式はすぐに行われて、それから宴会が行われた。

どんちゃん騒ぎでソラはオジサン達に絡まれたりしたが嫌な顔をせずに、楽しんでいた。

 

アタシもアタシでオバサン達に夫婦円満のコツとか教えてもらった。

なんでも最初の夜が肝心で、円満の要なのかがよくわからなかった。

 

どういう意味かわからないし、聞いてみても子作りの行為らしいが違うだろ、絶対。

子どもって親父やお袋曰く、コウノトリさんが運んでくるもんだろ。

 

ま、どうでもいいけど。

 

それからアタシとソラは二人っきりで寝ることになった。

オバサン達にがんばってと言われたが何をがんばるのかわからないし、別にもう戦う必要はないだろに。

 

「にしても遅いなアイツ…………。一緒に寝るとか言ってたのにどこで油を売ってやがる?」

 

他の女の子と仲良くしてるのではないか、と思うとなぜかモヤモヤとした気持ちになった。

やっと帰ってきて文句の一言を言ってやろうとした瞬間、ソラが抱きしめてきた。

 

「しょーこ、ちゅーしよ。ちゅー」

「は? えっ?」

 

いきなりのキス宣言にアタシの頭が沸騰した。ちょっと待て!

なんでこんなこと言ってんだコイツ!?

 

「てか、目が虚ろだぞソラ! 顔も赤いし、なんか酒クセェ!!」

「えへへへ…………さっきシリカにお水をもらったらぁ、なんかフワフワした感じになってぇー」

「アイツ、何してんのホント!?」

 

とんでもないことをしてくれたと内心毒づいているとソラに押し倒された。

 

「ちょっ、まだアタシには心の準備が!」

「準備もくそもあーりましぇん。ぶっつけ本番が現実なのが世の中なのでぇす」

 

もはや死刑宣告等しいことを言われ、顔が迫ってきた。

 

 

どうする!? このままでいいのかアタシ!?

 

『あー、いんじゃね?』

『かもしてやれ』

『大丈夫だ。問題ない』

 

アンタら真面目にしやがれ! てか最後のなんかのフラグ!!

 

などと脳内会議を繰り広げていると誰かが入ってきた。

顔をその方向に向けるとまどかとほむらだった。

 

「ちょっとアンタ達! ソラの目をさま――――」

「なんてこったい…………ソラくんがまさか杏子ちゃんで性欲を晴らそうするなんて」

「仕方ないわ。杏子だけだと重荷になりそうだから手伝ってあげるわ」

 

まさかの止める気ゼロ!?

なんかやる気満々だし、ソラが言ってた猛獣が獲物を見る目になってないかこの二人!?

 

「さあ、ソラくん脱ぎ脱ぎしましょうねー」

「ぬぎぬぎ?」

「寝るときは服を脱ぐのが当たり前なんだよ♪」

 

 

そう言ってから衣服を脱ぎ始める三人。ってソラ騙されてるって!!

つーか、なんでアタシも!?

 

えっ、ちょっ、まっ……………………――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから先はあんまり覚えていない。だけど苦痛と達成感、そしてなぜか満たされたということは覚えている。




次回、杏子の追憶です。

――――いつだったかな、アイツをよく見るようになったのは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。