とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「さあさあ、私の出番だよ!!」
「何があってこうなったのかなぁ…………」

by『朱美まどかと鹿目まどかの会話』より


第六十四話

さて魔女結界は消えて、織莉子さんとキリカを縛り上げて一件落着――――――――と思われた。

 

「なんで魔女結界が解除されないのかしら?」

「一応、キリカが人間的な魔女だからじゃない?」

「よし、殺るわよ」

「やめんかい」

 

とりあえず、バズーカ砲を取り出すほむらを止める。

悔しそうにオレ達を見るが無駄だ。

 

そのバインドは圧倒的なものでない限り、力技でやっても解けないようにしているし、何よりもうこいつらは魔法少女じゃないから無理だろう。

 

「さてとさっさと仕事するか」

 

後ろ頭を掻きながらオレは神器を――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――鹿目まどかに向けた。

 

「えっ?」

「な、何をしているのよ!」

 

最初に反応したのは暁美だった。それもそうだ守ろうとした少女に矛を向けているからな。

 

「…………ずっと疑問に思ってたんだ。ときどき鹿目の言動がオレ達の知るまどかに似ていることが」

「ちょっ、ちょっと待って。私がソラくんの知る私に似ていたって? そんなわけないよ。私はいつも通りだよ!」

「…………ごめなさいまどか。それはフォローできないわ」

「ほむらちゃん!?」

 

ガーンとショックを受けるまどか。

いや、それ仕方ないだろ。

 

あんな淫乱と愉悦を求める者はオレ達の知るまどかしかいねぇから。

前世のまどからしくないから。

 

「それにまだあるぞ?」

「な、何かな? 私、別に変なこと――――」

「わからないか? お前はなんで今、オレを『神威くん』から『ソラくん』って言い変えた…………朱美まどか!」

 

オレはそう言って神器で斬りかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――するとどうだろうか。

魔法少女でもない普通の少女がその場を後退して回避したではないか。

 

その動きは歴戦の戦士に等しいものだった。

 

「ティヒヒヒ、バレちゃったみたいだねー。さっすが私の嫁だね!」

「ま、まどか?」

「ノンノン。私は鹿目まどかじゃありませーん♪ 私の名前は朱美まどか。朱美ほむらの双子の妹でーす♪」

 

困惑する暁美にまどかはチッチッと指を振り否定した。

 

「それにしてもよく気づいたねー。私が鹿目まどかの中にいることを」

「なんで鹿目まどかの中にいるって気づいたのは簡単だ。ここが平行世界――――そうだろ?」

「そだね。まさしくルール通りってことだね。まあほむらちゃんが憑依しなかったのはイレギュラーだったみたいだけど」

 

カラカラと笑うまどかにオレは呆れた顔をしていたと思う。

 

「でも久しぶりにパパとママの娘になれたし、たっくんと会えた。…………充分な幸せだったよ」

「恋しいか?」

「ううん、恋しい気持ちあるけどもう未練がないよ。円環の理になってから私は寂しいことに慣れてたから」

 

その言葉は聞いた者には悲しそうに聞こえるが、オレとほむらには「大丈夫だから」という気持ちが伝わった。

 

 

――――なぜなら彼女はもう一人じゃないから

――――オレ達が隣にいるから

 

だから大丈夫。そう断言できる。

 

「そしてたっくんの萌え萌えなコスプレ写真撮れたし!!」

「ちょっとこっち来ようか」

 

オレは彼女が取り出したカメラを奪って問答無用に握り潰した。

たっくんの黒歴史は守られたのだ。

 

まどかがさめざめ泣いていたけど。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

それからほむらはまどかを鹿目から切り離し、概念ではなく実体化させた。

鹿目はもう一人のキャラ崩壊にフラフラしていたな。

 

さて朱美まどかを見つけたことだし、あとは大団円を迎えるだけだ。

 

「出てこいよキュゥべぇ」

「やれやれ、こちらとしてはどちらもやられていたらよかったのだけど」

 

白いナマモノが姿を現した。

 

「オレをそこらの魔女や魔法少女と一緒にすんな。ただでさえ、化け物共とドンパチばっかりな毎日をしてたからな」

「そんな日常で生き残れた君にはわけがわからないよ。本当に何者なんだい?」

 

ガラス玉のような目をしたこいつにオレはいつものように答えた。

 

「『無血の死神』神威ソラだ。ここにはない次元で英雄って呼ばれてるからな」

 

それを聞いたこの世界の魔法少女達は驚愕していた。キュゥべぇのみ興味深そうにオレを見ていたが。

 

「なかなか興味が沸くね。その別次元から来たというところが。ぜひとも紹介してほしいものだよ」

「あいにく紹介するつもりはないし、それに――――――――手遅れだよお前は」

 

オレはそう言ってドコでもドアを展開した。

行き先? そんなもん決まってる。

 

「んじゃ、インキュベーターの母星に向けて~。…………まどか、頼む」

「オッケー!!」

 

オレがニタリと笑いながらまどかにそう言うと、まどかは女神モードになり弓を構える。

 

ドコでもドアが開くとそこには見たことのない星があった。

ドアからはスンゴイ吸引力が起きてるけど。

 

「一矢一殺。…………ぶっとんじゃえ♪」

 

弓が引かれて流星群のごとく、その星に降り注ぎ――――――――そして遂には崩壊した。

 

それを確認したオレはドアを消すと、まどかとほむらは「イエーイ♪」とハイタッチする。

これで魔法少女システムとインキュベータの量産ができない。

 

「ななな、なんてことをしてくれたんだ!」

「およ? 端末のお前まだ生きてるんだ」

 

青い顔をするキュゥべぇにオレはキョトンとした顔でヤツを見る。

 

ま、どーでもいいか。

 

「こんなことすれば宇宙の寿命が!」

「んなもん、終わらせていいだろ」

「なっ!?」

 

驚いた顔をするキュゥべぇを無視して、オレは言葉を続ける。

 

「だって宇宙に寿命があるなんて実感ないし、それは今じゃないんだろ? なら、問題ないだろ。命はいずれ終わるモノなのだから」

 

終わりは誰だってある。

だからそれまで必死に生きて、泣いて、笑って、怒って、喜んで、最期には「生きていてよかった」と言えるように過ごしていくものだから。

 

「ぶっちゃけ、お前がしてることはただの生存本能と自己満足だ。大義名分掲げているけど、お前らは単にしていることは死にかけて今にも苦しそうになってる命を無理矢理生かそうしているものだ」

 

オレはそう言って、キュゥべぇが文句を言い出す前に神器へ挿し込む。

 

「僕はこんなんじゃ」

「死なないだろ? だけどなぁ――――――――お前の意識(・・・・・)を閉じれるだろう?」

 

この神器で統合意識体であるインキュベータの意識を閉じればどうなるのかなぁー?

オレの言葉を聞いてキュゥべぇは顔を真っ青にして言葉を出す。

 

「や、やめ…………」

「おっ、最期の最後で命乞いかい? だけど残念。――――…………お前は絶対殺すって宣言したのだから」

 

ニコリと笑ってオレはそいつの意識を『閉じた』。

意識を失ったキュゥべぇは人形のように動かなくなった。

 

「知ってたかキュゥべぇ。命乞いって恐怖という感情から来るもんだぜ?」

 

もう動かなくなった人形にそう言って背中を向けた。

 

――――よかったなキュゥべぇ。感情を持てて…………。

 

 

そんな皮肉を吐きながらオレはキュゥべぇを魔法で消滅するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、この物語はエピローグを迎える。




まどかちゃん復☆活!!

こうして円環の理によって魔法少女達は淫乱イロモノキャラになるのだった(嘘)

さて今回の話で魔法少女システムが消滅し、全ての魔女は円環の理(朱美まどか)によって消滅しています。
よってワルプルギスも消滅しているので災厄はもうありません。

次回、結末

――――終末は迎えた。あとは大団円だ。



ボツネタ
『驚愕! 魔法少女システムはあの人だった!』

まどか「ソラくん、これが魔法少女システムだよ!」

暁美「嘘よ…………これが、これがシステムなんて!」

まどか「事実だよ。そうこの――――

『変なオジサン』こそ魔法少女システムなんだよ!」

変なオジサン「そうです。わだすが変な――ブヘラァァァァァ!?」

キュゥべぇ「ああ、『SHIMURA』が神威ソラにぶっ飛ばされた!」

ソラ「ボツでホントによかった…………!」


ちなみにこの人はリアルの志○さんではございません。『SHIMURA』というオリジナルキャラです。

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