とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「楽しい授業お時間よ♪」
「これは授業か?」

by『とある神器使いの会話』より


第六十一話

天気はややくもり空。しかし青空がところどころ見えてるそんな天気だ。

 

昨日は佐倉のところで止めてもらい、そして今日オレとほむらは見滝原中学校に来ていた。

魔女の反応がその学校に出たらしく、オレとほむらは佐倉とゆまちゃんに付いていくことなったのだ。

 

その際にドコでもドアで来たのは言うまでもない。

 

「なんでマミのテリトリーに魔女結界が…………」

「さあね。だけど、ここに魔女がいて知らない一般人が巻き込まれてるのは事実だしな」

 

オレはそう言ってドコでもドアを展開する。ほむらは魔法で造り出した弓を持ち、頷く。

 

この弓矢はつい最近、重火器が使えなくなった彼女が初めてまともに覚えたクリエイト系の魔力の弓と矢だ。

 

モデルは間違いなくまどかの弓だろうな。

 

「んじゃ、オレ達はあいつらのいる教室に行くから」

「ちょっと待てよ。とか言いつつ実は魔女のところに行くんじゃねぇの?」

「あいにく、オレ達が求めるものはグリーフシードじゃない。だろ? ほむら」

「ええ」

 

疑う佐倉にそう答えてオレ達はドコでもドアで鹿目がいる教室の中へ向かった。

 

そこにいたのは白いマシュマロみたいな使い魔が現れていた魔女結界の中だった。

今、まさに早乙女先生を背中から襲おうとしていた。

 

「はいはいー全員席についてー」

「は?」

 

喰い殺そうとした早乙女先生を突き飛ばして、変わりに腕を噛みつかれた。

 

痛い。でも腕は喰いちぎられることも食い潰されることもなかった。

どんだけ丈夫なんだよオレの身体。

 

「みなさん、こんにちは。臨時講師の神威先生です。みなさんとは同期ですが気にしないでください。ちなみに教科は魔女討伐です」

「同じく朱美ほむらよ。字はこう書いて、暁美じゃなくて朱美よ。間違えないても、そこの絶壁少女と一緒にしないでよ」

 

オレは腕をガジガジ噛まれながら、ほむらは黒板に字を書きながらそう名乗る。

 

ぽかーんとクラス全員はオレ達を見ていた。

気のせいかもしれないが暁美が「なんでここにいるのよ!?」と言った顔で見ていたと思う。

 

あれ? なんかミスった?

 

「それよりソラ、腕から血が流れているわ。大変。今すぐ犬の唾液で消毒しないと」

「なんであえて犬の唾液をチョイス? 消毒どころか変な病気に感染するわ」

「あなたの場合、感染した病気をレジストしそうだわ」

「あれ、なんでわかったの? 昔、不治の病って呼ばれた病気をレジストしたのを」

「やっぱりあなたは人外よ…………」

 

呆れた顔でほむらにため息を吐かれた。

解せぬ。そして失礼な。うちの師匠はそんな病気をあえて感染して武器として戦っていたぞ。

 

「それよりいつまで噛まれてるつもりなのよ。さっさとそのサンプルを使って授業を始めなさい」

「それもそうだな。イテーだろコノヤロー!!」

 

オレは使い魔の頭を思いきりぶん殴り、引き離した。

それから使い魔を握り、教台に固定してナイフを取り出す。

 

「みなさん、魔女という生物を知っていますか? 知らない人はそこにいる美樹と鹿目と暁美に聞くように。質問は後で聞き付けるから黙って今は聞いておけ。話を続けますが、今回はその魔女の使い魔の生態を講義しようと思います」

 

そう言って暴れる使い魔を腹部をブッ刺して解剖し始める。

 

「あら、神威先生。他の使い魔があなたに付いてますわ。意外にも使い魔にはモテモテね」

「あんまうれしくないけど…………なるほど。道理で頭や首や足が痛いわけだ。とりあえず、他はいらないから消しといて」

「了解」

 

ほむらはそう答えて弓矢でオレに取り付いていた使い魔を一掃してくれた。

とりあえず授業を再開。使い魔は既に事切れており、解剖された腹部から黒い液体が垂れ流し状態であった。

 

「これが使い魔の体内です。ノートに取るのも良し、スマホで残すのも良し。自由に記録してください。あ、後この黒い液体は飲み物じゃありませんので飲まないように。ご飯と一緒に食べたらなんか鬱な食事になりますから」

「なんでそのことがわかるのよソラ」

「前世で若干シャルロッテの黒い血を飲んでわかった」

 

 

キンコーンカンコーン。

 

 

チャイムが鳴り、オレは解剖した使い魔を窓ガラスが割れるほど投げ捨てて、ハンカチで手を拭いて言い出す。

 

「今日の授業は終わりです。では次の授業はほむら先生が行う『鹿目まどかの生態』があるのでみなさんがんばってくださいね」

「ビシビシいくわよん♪」

 

ほむらはウインクして授業は終了。退室、退室っと。

 

「ちょっと待って! なんで私を研究対象にされてるの!?」

 

オレが教室に出ようとすると、鹿目がツッコんできた。チッ、バレたか。

ハッと我に帰った早乙女先生もオレに対して質問攻めを始めた。

 

「あなた達は何者ですか、なんで暁美さんが二人いるのですか、そもそも魔女と使い魔ってなんですか、先生ってなんですか、てかあなた達はどこの学校の人ですか!?」

「うるさいですよ。いつも三ヶ月で彼氏としょうもない理由でフラれる婚礼期を逃しそうで中沢くんに手を出しそうな勢いのある早乙女和子先生」

「なぜか辛辣な紹介!? てか、中沢くんを狙っていたのがなぜバレたのよ!」

 

「センセェ!?」とどこかの男子生徒がツッコんでいる声が無視してオレは会話を続けた。

 

「みんなから陰でヒス子って呼ばれてますよ。いつもヒステリックに彼氏の話をしていますから」

「そんなはずはありません! そうでしょ、みんな!?」

 

 

…………………………………………。

 

 

シーンと静まる教室と目を逸らすクラス全員。

早乙女先生は段々と涙を浮かべる。

 

「あ、あれ? そうなの? 私って陰ではそう言われてるの? やだ、目から汗が…………」

「現実見ろよヒス子」

「うるさいわね! 別に生徒に愚痴を言いたくて毎回授業の前に彼氏の話をしているんじゃないわよ! どうやったら長続きするのよ!」

「理想が高い」

「妥協しない」

「「だからフラれるんだ(の)よ」」

 

オレとほむらの言葉をとどめに早乙女先生はORZになってしまった。

 

事実だろ。

 

「それより生徒を避難させろよヒス子。お前教師だろ。さっさと生徒を体育館に案内しろ」

「そんなことわかってわよォォォォォ!!」

 

逆ギレしながら早乙女先生は生徒達を体育館へ連れていく。

体育館には既に魔法で造った認識阻害がある。人間以外には認識されない結界でな。

 

「さてオレ達も移動したいところだが…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとあなた。髪型を変えなさい。私と同じ格好だとまどかが間違えるでしょ」

「お断りだわ絶壁さん。鹿目まどかが私を暁美ほむらと間違えようがソラとまどかに好かれるこの美しい髪型を変えないわ。むしろ、美少女であるこの私と間違えられるだけ光栄に思いなさい」

「黙りなさい。何様よあなた」

「ほむら様と呼びなさい絶壁」

「よろしい戦争だ」

「上等。かかってこい」

 

 

とほむらが指をちょいちょいと挑発し、暁美は拳を構える。

 

…………なんだこの新旧タイトルマッチもどきは。

 

「オールドほむらちゃん対ニューほむらちゃんの対決に私の心は踊るよ!」

「ちょっとまどか! なんでこんな時にあんた目をキラキラさせてるの!?」

「さやかちゃん、古いヒーローと新しいヒーローの対決はいつだって心踊るものなんだよ!」

「いや確かに心踊るかもしれないけど、なんかアッチは重火器とか出してマジなんだけど!?」

「ティヒヒヒ…………いいよぉ、いいよぉほむらちゃん達。できればあの衣装が擦りきれてセクシーシーンを見せてくれるのかなぁ…………」

「戻ってきてまどか! なんかあんたらしくないわよ!?」

「まどかさん、写真は撮ってもよろしいですか!?」

「仁美、あんたもかァァァァァ!!」

 

唯一の常識的少女美樹は変態達にツッコむ。

 

…………確信したこともあるが

とりあえず、言わせてもらおう。

 

「なんだこのカオスは…………」

 

オレの呟きは銃撃戦の音でかき消されるのだった…………。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

それから暁美達と別れてオレ達は巴さんを捜すことにした。行く先々は使い魔に襲われる一般生徒達。

無視したいけど目覚め悪いから助けてあげていた。

 

…………ホントに目覚め悪いから助けてるんだぞ?

 

「ツンデレごちそうさま」

「やかましい。お前も助けているじゃねぇか」

「か、勘違いしないでよね! 別にあなたのためじゃないからッ」

「モノホン初めて見たけど、なんか違和感あるよな」

「そうね。これは私のキャラじゃないわ」

 

「誰かを指名すると言えば杏子ね」と答えてマシュマロっぽい使い魔を射殺す。

 

串刺しって…………なかなかエゲツないこと。

 

「そう言うソラだって握り潰したり、蹴り潰したりしてるじゃない。人で例えたらもはやグロ注意よ」

「いやなんか無駄にモチモチしてるから、こっちの方が手っ取り早いと思って」

「せめて神器で討伐して」

 

呆れた顔でそう言うほむらに「はいはい」と答えた。

すると白い塊がオレ達の前に現れた。

 

「やあ、神器使い達だっけ? はじめまして。僕は」

「失せろ」

「消えなさい」

「最後まで言わせてよ」

 

白い塊ことキュゥべぇを罵倒するオレ達。あんま時間かけたくないからイラだってるんだよ。

 

「ひどいじゃないか。君達は初対面に対して友好的にはならないのかい?」

「安心して。あなただけよ」

「感情を精神疾患扱いするバカ共にはお似合いの対応だ」

「わけがわからないよ」

 

問答無用。理解できないならそれまで。

オレ達はキュゥべぇを無視してそのまま先へ進もうとする。

 

「神威ソラ。君には魔法少女を元の普通の少女に戻れると言っていたね」

「まあな。魔女も戻せるぞ?」

「それはこちらとしてもいいことだ。だけど、魔法少女で無くならせる力は必要ない。だから排除させてもらうよ」

 

キュゥべぇが何を言いたいのかわからなかった。こいつには戦闘能力がないはずだ。

だから排除できないと思った。

 

「ソラ、そうでもなさそうよ」

 

ほむらが指さす方向には多数の魔法少女達が待ち構えていた。

 

…………そうだった。こいつは人を騙すことに関しては詐欺師レベルだったな。

 

「騙してないさ。単に君が魔法少女達にとって障害になると言っただけさ」

「思いっきり誤解招く言い方だなオイ。もういい。お前後でぶち殺す」

 

そう宣言してオレ達はそれぞれの得物を構える。

大方、この魔法少女達は『正義感の強い』ヤツらだろう。

 

「だけど、残念。ここは特撮現場でもなければ、ヒーローショーでもない――――ただの戦場だ」

 

そう言うと魔法少女達が一斉に向かってきた。

 

――――上等。返り討ちにしてやるよ!

 

オレはそう思いながら立ち向かうのだった。




とある食卓風景

佐倉「ゆま、喜べ。なんか知らない兄ちゃんからオムライスをもらったぞ!!」

ゆま「うーん、あの『お兄ちゃん』はどうやってこの外史を終わらせるのだろ……? この外史を終わらせてくれないとあそこに戻れないし……ブツブツ」

佐倉「ゆま?」

ゆま「なぁに、キョーコ?」

佐倉「い、いやなんでもない。それよりオムライス食うか?」

ゆま「わーい。ゆまのだいすきなものだ♪」

佐倉(気のせいか? 一瞬だけ子どもらしく見えなかったのは……?)

(FIN)



感想欄とあとがきで書きましたがこれは何かのフラグです。それは終盤で明かされます。

ちなみにほむらの現在の髪型はポニーです。見分けがつくようにそうしたそうです。
一部を見たらわかるけど。

次回、崩壊したシリアス

――――彼らに関わらなければ絶望していたかもしれない。

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