ファミレスで杏子と再会してからいろいろ聞いた。杏子とマミさん、さやかもここに転生してきたそうだ。
オレのサポートというほむら達と同じ理由である。
「もぐ……んで、今女神に用意された寝床に向かってたけど、はぐれて迷子になってんだよ…………もきゅもきゅ」
「しっかりしろよ。お前、成人した女性だろ。また少女に戻ったところでダラしなく――――ってどんだけ食うの!?」
「アタシが満足するまで」
「そもそもお前の腹どうなっているんだよ!? よく肥らないなお前…………」
「適度に運動しときゃあ、問題ねえさ」
ニシシシと笑うこのブラックホール。さらりと全世界の女性を敵にしたぞ今。
「携帯で連絡とれないのか?」
「……………………あ、あんなもんなくたって生きていけるだろ」
「壊したな…………」
「仕方ないだろ! 『すらいど』とか『ぼたん』ってなんだよ。黒電ありゃ充分だろ!!」
「逆ギレすんなよ! あとお前めちゃくちゃ古い通話スタイル!」
そういえばこいつ機械オンチだったな。出来ても炊飯器や洗濯機を動かせるくらいだったな。
「やれやれ。マミさんの電話番号わかるか?」
「えっと確か…………」
スラスラと数字を答えた。って…………。
「その暗記力で公衆電話で連絡する手段思い付かなかったのか?」
「……………………あ」
「はぁ…………」
「な、なんだよその目は!?」
「いやお前ってさやかの双子として産まれたんだなぁって…………」
「アホの子って言いてぇのか!? あとさやかと血は繋がってねぇよ!!」
「お前もそういうことさやかに対して思ってたんだな」
やれやれと嘆息を吐いてふとガラス越しの窓を見る。そこにはジョギングする大人。
買い物する親子。
小学生くらいのカップルがジュエルシードで告白する幸せで平凡な――――――――ってジュエルシード?
「って、オイィィィィィなんでそんな平凡にあるのあれが!?」
「うぉっ、いきなり叫ぶなよ!」
「ばっ、そんなこと言ってる場合」
次の瞬間、木がこちらに迫ってくる光景が目に映り、気を失った。
☆☆☆
暴走したジュエルシードによって飛ばされたオレは目を開けた。
そこには赤い髪の少女が赤い衣装を纏い、右手で槍で迫りくる木を払い、空いた手で――――――――注文した焼き鳥を食べていた。
「ってこんな状況でなに食ってんの!?」
「仕方ねえだろ。もったいないし」
「もったいないどころじゃないから! 普通に命が危ない状況だから!」
「テメー、食い物を粗末にするなって母ちゃんに言われなかったのか?」
「あ、スミマセン――――じゃねェェェェェ! 食べるときと戦うときのメリハリつけろよ!!」
シリアスが台無しだよコノヤロー。
そうこうしているうちに杏子は焼き鳥を食い終わり、指をさす。
あれって…………。
「人?」
「ん。たぶん願いの核みたいなもんだろ。アンタならあれをどうにかできるだろう」
なるほど…………ならお望み通り。
「解放してやるその呪縛」
『全てを開く者』を召喚し、その剣先を核に向ける。
それを防ごうと木々が迫るが、杏子の数人分身し、それを払う。
さて、どうやって核に行くつもりか、みなさんはどう考えているのだろうか。
オレは空にはあまり飛びません。では答えはなんでしょうか?
オレってジャングルファイト得意のよね。
スパイダーな男のように木々に飛び乗り、その間に神器から解錠の波動を撃つ。
核に当たり、光りが生まれるとそこにいたのは、先ほどの小学生カップルとジュエルシードである。
「ふぅ、どうにかなった」
「相変わらずデタラメだなそれ」
「お前のもデタラメだろ。なんだよその神器」
杏子の胸にあるアクセサリーに指をさす。
「これか? こいつは『幻想は現実に』っていう神器さ。あることをないこと、ないことをあることにする――――要するにあたしが創った幻想は現実にしたり幻想のままにできるってことさ」
なにその神器。どこぞのクフフフな人が使いそうなんだけど。
「とにかくここから離れるぞ。なんかめんどいヤツが来たし」
高町とオリ主が飛んでくるところを目にとらえた。さっさと行かないと余計なことになりそうだ。
「なあこれ貰っていい? 綺麗だし」
「別にいいけど、後で何重も封印するから貸せよ?」
ということ言いながら疾風のごとくその場を去った。
(オリ主くんサイド)
俺は天宮草太。転生者だ。
なのはと一緒にジュエルシードの封印に向かっていたが、ジュエルシードの反応がなくなり、そのうえジュエルシードもなくなっていた。原作にはなかった予想外なことに戸惑った。
しかし犯人はわかっていた。間違いなく神威とその協力者だ。
神威の魔力と知らない魔力も感じたからな。
「にしてもこんな短時間で封印するとはあいつの力は本物ってことだろう」
だが、負けない。お前が世界をむちゃくちゃにするなら絶対止めてみせる!!
熱血は嫌いじゃないけど、クソみたいに偽善で真っ直ぐなキャラクターは好きじゃない。
そんな作者である。きな臭い存在だしね。