「――――忘れていた。彼女たちの恐怖を」
結界が張られた海上にて彼女達が捜していたシステムU-Dというモノを見つけ、それに向かっていた。
オレはバインドで煤巻きにされて、ブランブランと揺れながらシュテルに引っ張られていた。
「もうやだ…………。早く逃げたい。システムU-Dなんかよりもっとおぞましいモノが来るから離して」
「だめです。あなたを自由にすれば何をしでかすかわかりませんから」
「何もするつもりないし、もうやる気が出ないし生きる気力もない…………あぁ、もう誰か助けて…………」
「落ち着いたと思えば、なんか絶望し始めてるぞコイツ…………」
ディアーチェの言う通り、オレはもう絶望的な状況に嘆くしかなかった。
彼女達と再会したらまず折檻が待っているに違いない。それから暴走したまどかや千香達がオレを口では言えないことを…………。
いやマジでやるからね、あの子達。
今ならソウルジェムがあったらもう魔女化してるだろうなぁオレ…………はぁ。
しかしこういうときこそ、鼓舞するときだ。オレは千香から教わった秘密の呪文を唱え始めた。
「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ…………ブツブツ」
「ねぇ、なんかソラが壊れたよ?」
「シンジくん化するほどの恐怖が来るのだ。仕方あるまい。む、見えてきたぞ!」
なにやら球体が見え始めた。どうやらあれがシステムU-Dらしい。しかしオレは呪文を唱えるのに忙しいからスルーである。
それからキリエとディアーチェがエグミヤを巡って口論になり、球体から金髪ゆったり系少女が現れた。
えっ? U-Dって幼女なの?
まさかの予想外に唖然とするマテリアルズとキリエ。すると、U-Dが喋り始めた。
「誰が私を目覚めさせましたか?」
挙手するキリエとディアーチェ。グイグイと前に出る二人にU-Dは苦笑いである。
しかし、すぐに悲しそうな表情になり、紅い腕を展開させた。
えっ? まさか…………
「私は…………目覚めさせるべきではありませんでした…………。私のシステムは壊れているのだから…………」
U-D曰く、彼女の今のプログラムは破壊と滅亡である。つまり、殲滅という行動しかなかったのだ。
紅い腕は槍となり、マテリアルズ達を貫く。マテリアルズは消えてしまったがどうやらまた復活するらしい。
「んで、あれ。どうすんの? ぶっちゃけ神器が使える回数は後三回しかないし」
「捕まえるに決まってるわよ。エルトリアの環境を戻すために、博士の願いを叶えるために!」
と向かっていくが防衛機能があるのか槍やら腕やら翼やらでキリエは苦戦を強いられる。すると、U-Dのヤツがどこからか縄を取りだし、キリエを縛り上げる。
なんであの子は亀甲縛り知ってるの!?
そのことを聞いて見た。
「天ヶ瀬千香の魔力から得た知識です。あとやってみたら意外に楽しかったです」
「悦に入った顔言わないで…………。無害そうな第一印象がパアになるから」
「実際には私は有害ですから。あ。あと、あなたが朱美ほむらにいじめられた時の映像をリアクションに少しゾクゾクしましたので完全に目覚めたらいじめようかと」
「ロックオンされちゃった!?」
おのれ、変態。こんな純粋無垢な少女を女王様に目覚めさすとは。
しかも、赤い魔力弾でキリエは落とされた。
やれやれとオレは呟いてバインドを解錠し、落ちていくキリエの首袖を掴み、空中に飛ぶ。
U-Dはそのまままた機能停止モードになり、球体へ閉じ籠った。
「さて、どうしたものやら」
オレはそうぼやきながらキリエを抱えてここから離れた。
「ソーラくんみーけっ♪」
「あ…………」
その後、まどか達にキリエを抱えてるところで見つかり、折檻された。
容赦ないよあの子ら…………。
その後、ソラがどうなったかは(返り血で汚れている)
ほむら「次回、決戦。――――リベンジの時よ、みんな。
作者? はて、どこかで寝ているんじゃないかしら?」