とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「――――娘と親はどこか似ているものだ」

少し改稿しました。


第四十五話

アースラのとある一室。オレ達はそこで軟禁状態であった。

なんかまた事件をむちゃくちゃにされたくないそうらしい。

 

「ヤベッ、このカエルつえーぞ!」

「杏子、ちょっと待って。今爆弾で…………って誰よ! ここに落とし穴しかけたヤツは!?」

「あ、ワリ。アタシだ」

「あーもう、ホントチームワークないね。あたし達!」

 

そう言って携帯ゲーム機に必死になる杏子とさやか。

 

ゲームの中ではそうだがリアルではかなり相性いいのにな。

ていうか、いつ持ってきたそれ。

 

「お茶はいかがかしら?」

「ありがとうマミさん。そこに置いといてください」

「ふふ、わかりました♪」

 

マミさんもいつの間にか用意したティーセットでみんなの分の紅茶を入れてくれた。

そういえば紅茶以外は魔力でできてるんだっけ、これ。

 

「ソラくんソラくん、見て見て! ほむらちゃんに将棋で勝ったよ!」

「くっ、油断したわ…………。まどかのキュートな仕草ばかり目を移らせてしまっていたわ…………!」

「ティヒヒヒ、これも計画通りってヤツだね!」

 

と笑顔を浮かべるまどかと悔しそうに拳を握るほむら。

いやまどかってボードゲームはあんまり強くなかったよな。

どんだけ気を捉えすぎなんだよ、ほむら。

 

あ、ほむらもそれほど強くなかったな。

 

魔法少女の時代のトラウマなのか、なんかあんまり捨て駒を使いたくない傾向あるからな。

 

肝心の千香はガ○ラの手入れをしていた。

…………誤字ではない。カメラじゃなくてマジのガメ○。

 

どっから仕入れてきたのやら小さなガメラの甲羅を綺麗にしてあげている。

あえてツッコんであげないが。

 

ちなみにオレは読書中である。前にほむらと出掛けたときに買った本を読み返している。

 

「うむうむ、今日も平常運転である」

「なにゆったりとくつろいでるのですか!?」

 

なんかおさげなお姉さんに怒られた。

えっと確か、妹さんがエグザエルを探しにきたのでそれを追って同じく未来から機械の人間で名前が――――

 

「マンマミーヤ林蔵さんだっけ?」

「誰よそれ!? アミティエ・フローリアンですよ! というかあたしの妹はイケメングループは探しにきたんじゃなくて、無限魔力機関のエクザミアを探しにきたのですよ!」

「あ、ごめん。もっかい言って。『倉リス』のニューシングルの予定日を思い出してたから聞いてないや」

「あんたケンカ売ってるのですか!?」

「ケンカは売ってないよ。馬鹿じゃないの?」

 

うがァァァァァと頭をムシャクシャし始めるマミヤさん――――あ。間違えた。

 

もうメンドイからアミタでいいや。

 

とにかく彼女にマミさんは紅茶を渡した。それを飲んでやっと落ち着いてくれた。

 

「それでマミヤさん――――…………ごめん間違えた。アミタさんでいい?」

「もうそれでいいよ…………。あんたがあたしの名前を覚えないだろうし」

 

いやーと照れくさそうに笑うと「褒めてない」ってツッコまれた。

そうなの?

 

ま、いいや。なんかこの人が聞きたいことがありそうだし。

 

「まずあなた達何者ですか? どうしてここに軟禁されてるのですか? あたしは艦内を自由にして良いって言われてるのに」

「自由にしたらオレとこいつらがやりたい放題するから」

「把握した。見てわかる通りフリーダムですね…………」

 

それがオレ達クオリティである。アミタさんは呆れながら聞いてきた。

 

「魔導士、じゃないね」

「正解。オレ達は神器使い。いわゆる魂を武器にしたモノで戦う化け物集団だ」

「なるほどね…………。今さらだけどあの○メラも神器ってモノなのですか?」

「いんや神器じゃない天然モノ。どっから仕入れてきたのか不明。てか、オレが聞きてぇー。いつものトラブルの元があるから、胃も痛くなってきたし…………」

「あんたがこの中で苦労人ってわかりました…………」

 

同情してくれたこの人がいい人だとわかった。

それからオレ達は情報交換するのだった。

 

「ソラーお腹空いた? ちょっと料理作ったんだよー♪」

 

話を終えると千香が鍋をオレの目の前に出した。

 

「いろいろツッコみたいがどんな料理だ?」

「亀鍋」

「え?」

 

 

そういえばあの小さな怪獣どこ行った?

 

 

 

 

(衛サイド)

 

 

 

結界が張られた都市街にて我は大人モードになって戦いをしていた。

小手調べのつもりだったが、どうも我の偽物は下の実力のようだ。

 

ここまで弱かったのだな、我は。はやての偽物はなかなかだったが如何せん、どこか厨二くさいな。

 

それから我らはお互いの舌戦(かっせん)をしていた。

 

「おのれおのれェェェ!! 肉だるまの分際で王たる(おれ)に差し向かうとはもう許せん! 断罪してくれよう!」

「ぬかせ! 王はこの闇統べる王! ロード・ディアーチェだ!」

「ほざけ、はやてモドキ。マッスルキングはこの我だ! 見よ、このすばらしき筋肉を!!」

「「そんな称号いらんわ!」」

 

我の偽者とはやてモドキにも怒られた。解せぬ。ちなみにはやては屋上で三角座りして構ってよオーラを出している。

うぬー……なんだこの保護欲的なモノは?

 

最初ははやてモドキもはやて自身に執心だったが、我の偽者の王宣言にこちらに参戦してきた。

 

なんでこうなったのだろう…………。

 

「まあよい。(われ)の偽者よ…………貴様にはわからぬか? この肉体美を、すばらしき芸術的な筋肉が!」

「たわけたことをぬかすな雑種。王は既に芸術的肉体がある者だ。そのような肉だるまが芸術など笑止千万だ!」

 

「全く」だとはやてモドキも頷く。…………貴様ら、よくも言ったな?

 

「貧相なスタイルの貴様らにだけには言われたくないな」

「「なんだと!?」」

 

同時にツッコむ王達(笑)。フン、ならば言わしてもらおうか。

 

「まずディアーチェだっけ? ケツ、乳が足りん。はやてのスタイルはもう少しボリュームあったと(われ)は思う」

「なんだと!? 誠か!? オリジナル!」

「知らんがな。てか、衛くん後でシバきな。意味ないと思うけど」

 

む、はやての触れてはいけないモノに触れたのか?

だが、しかし事実だと思う。我が変態化する前にはやての介護をしていてよく裸を見ていた。今思えば恥ずかしいものだ。

 

「そして(われ)の偽者よ。貴様はアソコが小さいな!」

「どこ指さしとる貴様は!?」

「ちなみに我のアソコは筋肉という芸術に目覚めて進化した。水鉄砲からバズーカ砲となったのだ!」

「どうでもいいわ!!」

 

偽者はツッコむに対してはやてとはやてモドキは頬を染めていた。

はやては「バズーカ砲って…………」と顔を赤くして呟く。

驚くのは早いぞ、はやて。我が友は戦艦砲撃くらいあったとまどか殿は言っていたぞ?

 

しかしなぜまどか殿はその事実を? まあいいか。

 

「思い知ったか貧弱共が! 肉だるまと馬鹿にする暇があるなら乳なり筋肉なり増強するがよい!」

「思いっきりセクハラ発言するな馬鹿者!」

「もはや言葉は無用! 王として貴様の血肉一辺も残さず消してくれよう!」

 

おもしろい。やってみろ!

 

我はそう言って偽者の元へ飛び込もうとした――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねーちょっといーい?」

 

 

 

――――がゆったりとした口調の同い年の少女が我らの目の前に現れた。その少女はおっとりそうな顔で見たことある銀髪。そして紅い瞳。

 

はて、どこかで会ったことのある人物か?

 

「パパがどこにいるか知らないー?」

「どけ、幼女! 我の戦いを邪魔するな!」

 

(われ)の偽者はそう言って王の財宝をその少女に射出した。

 

おのれ、卑劣な!

 

我はそう思い少女の盾になろうとしたが少女は腕に盾を展開し、手を前に出して障壁を造り出した。

王の財宝は全てその障壁に阻まれ、力なく空から落ちる。

 

 

…………それは見たことある障壁だった。

 

なぜだ。なぜ貴様が千香殿と同じ力が使える!?

 

(おれ)の…………王の財宝がこんな容易く!?」

「弱いねー。ママ達に比べるとミジンコクラスだよキミ」

「な、なんだとこの――――」

 

 

 

グサッ

 

 

 

偽者はそう言う前に少女がナイフで頭部を刺して、そのまま至近距離からの大型マスケット銃で身体ごと消し飛ばした。

一切の躊躇のない行動に我はすぐさま行動に移していた。

 

このままではまずい、と。

 

「つまんないなー。ママ達との戦いで強くなりすぎたのかなー?」

「貴様…………何者だ?」

 

我はそう言いながらはやての前に降り立ち、いつでも彼女を守れるよう前で構える。

のんびりそうに見えるこの少女だが、コイツに隙を見せればいつでもはやては人質に取られそうだ。

 

「警戒しないでよ。昔の(・・)衛オジサン。ワタシは知り合いには手を出さないよー?」

 

少女はディアーチェには元から眼中などないかのように我とはやてだけを見て会話していた。

我の知り合いだと? 我がそう聞くと少女は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワタシの名前はー『神威天気(かむいてんき)』でーす。この時代の衛オジサンとはやてオバサン、はじめましてー♪」

 

――――予想通り。そしてある意味驚愕な事実が判明して。

 

その笑顔はどこか彼の面影を感じさせていた。




オリキャラはなんと彼の娘です。

誰の娘なのかは次回で明らかにします。…………遺伝してほしくなかった部分はあるけどね。

次回、対面。

――――そしてめぐり会う。

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