とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「――――さあ、見つめなおせ過去の自分に」


GOD編 いつだって不幸はある
第四十二話


やや曇りな天気。曇天より遥かにマシだがそれでも嫌な天気である。

 

闇の書。かつて八神を苦しめたロストロギア。

 

確かにオレとまどかが消滅させたがその残骸は残っていた。

 

なぜそんなこと言うかって?

そりゃ簡単な話だ。

 

「殺してやる! みんなみんな殺してやるゥゥゥゥゥ!!」

 

目の前に師匠を失ったときのオレが神器構えているからだ。

さっきリンディさんからラインが届いて、どうやらみんな偽者と戦っているらしい。

 

え? 急展開すぎる?

 

ダラダラと伸ばすより端的でわかりやすいほうがいいだろ? それに…………。

 

「自分自身と戦えるなんてレアな展開じゃねぇか!」

 

偽者はオレに斬りかかってきた。オレは背後にドコでもドアを展開し、偽者を誘った。

 

砂漠の無人世界に誘い込んだオレは偽者を空中へと蹴り飛ばす。

 

「くそ、がァァァ!!」

「ギャーギャーとうるせぇな。発情期ですかコノヤロー」

 

オレは文句を言いながら、神器を召喚し、いつも通りの言葉を言い始める。

 

「充分だろ?」

「殺す! お前だけは絶対!」

 

なあ、昔のオレ。怨むのは良い。悔いるのはいい。

 

「もういいだろ?」

「間違っていたんだ! お前らを生きることを許したらいけなかったんだ!」

 

だけどな…………絶望して気づいたならいつまでもそうするな。

変われよ。

 

今度は見失わず、失わないように。

 

「だから安心してとっと死ね過去の遺物」

「敵は、皆殺し、だァァァァァァ!!」

 

オレと偽者はぶつかった。

一つは純粋な怒り、もう一つは純粋な殺意。

 

今と昔の戦いが始まった。

 

 

 

(まどかサイド)

 

 

 

私とほむらちゃんは今、昔の自分達と対峙していた。

 

魔法少女だった頃の自分がなぜいるのかわからないけど、彼女達が敵だと言うことは丸わかりだ。

 

「もう誰にも頼らない…………まどかさえ救えれば、もうそれでいい…………」

「なんで…………なんでこんなひどいことをしたの…………」

 

悪い夢を見ているような彼女達の言葉にふと私はほむらちゃんに聞きたいことができた。

 

「ほむらちゃん、今もそう思うの?」

「愚問だわ。今は頼れる人達がいる。味方はまどかだけじゃないもの」

「ティヒヒヒ、そうだね♪」

 

私達は神器を構えて口に出した。

 

「「だからさっさとどっか行って、過去の遺物さん達」」

 

私達の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

(千香サイド)

 

 

 

そしてボクのターン。ボクと杏子、さやかの三人は今まさにそれぞれの自分の偽者達と対峙していた。

 

「杏子、ボクはボクの相手するから他の人お願いね」

「なんでだ?」

「あれはボクが変態になる前の一番危ない時期だからだよ。なにもかも中途半端だからどんな手を使ってでも殺すつもりで来るよ」

 

杏子とさやかはゾッとした表情をしていた。どんな手を使ってでもという言葉は一見簡単に見えるが、ホントに最悪な手段だ。

 

味方でさえも道具に使うようにする――――それを当たり前に実行していたのがあのボクだ。

 

「ていうかアレ、ホントにアンタ? 百八十度全然別人じゃん」

「師匠の変態演説でこうなった。録音あるから聞く?」

「全力でお断りよ」

 

さやかに拒否られた。解せぬ。

 

なーんてシリアス展開が台無しにされたところで戦いは始まった。

 

 

…………さあ、殺してあげる。昔のキャラもみーんな、みーんな台無しにしてあ・げ・る♪




千香が変態化していないだと!?と思われた方は『千香の追憶』をご覧ください。

そしてソラが戦っているのは紛れもない彼が『変わったときの自分』です。
そのときに師を目の前で失い、理想や夢を見なくなった時期です。

とは言っても冷静な相手には闇雲に来るようにしか見えないので敵ではありません。

次回、偽物との戦闘開始。

――――残酷? それが当たり前なのは彼女なのさ。

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