当然、何かが違いますよ(笑)
転校生の自己紹介――――――――もとい知り合いの羞恥を周りに見せる悪夢は終わり、昼休みとなった。
さすがにあの紹介の仕方で周りはドン引きである。
ドSで百合姉妹、もう一人はある意味究極体。関われば確実に染まるだろう。
オレもそれはヤだけどもう手遅れだろうなぁ。
「ソラくんー、一緒にお弁当に食べようー!」
こういうとき、まどかは女神見える。腹黒でなければ…………。
「って、手作りか?」
「うん。さすがに居候だからこれくらいしないとね」
「将来、良い嫁さんになるよお前」
「なら…………私を貰ってくれる?」
「断固拒否」
「えー? なんで? こんなかわいいお嫁さん候補が目の前にいるのに?」
「今朝した自己紹介を思い出せ」
イスにはまだなりたくない。
軽口をいいながらオレ達が教室に出ようとすると、だ。
「ちょっと待ちなさい」
バニングス、月村、高町が声をかけてきた。オレに対して嫌な顔しているが。
「何かな」
「こんなヤツより私達と一緒に食べましょうよ」
わーお、直球ど真ん中。あとそこの二匹。うんうんと頷くな。なんかムカつく。
ま、事実オレはクラスから浮いてる方だ。あまり人と関わらないようにしてきたからな。
それに高町、月村、バニングスの三人の美少女をしつこく口説いて嫌われているという噂が勝手に出回っている。
いや…………口説いた覚えねぇし、そもそもこいつら好きじゃないし。
「なんでそんなこと言うのかな?」
「そいつは女の子と出会う度に口説き回るサイテーな男よ。襲われるわよ?」
オイ、いつの間にそんな噂が出ているんだ? 口説いた覚えほんと覚えねぇぞ。
そしてまどか。「ふーん」と言いながらダンダンと足を踏むな、痛い。
ほんとにしてないから。
「で?」
「でって…………」
「だからどうしたの? 襲われたら、返り討ちにすればいいし、社会的に抹殺すればいい話だもん」
「さらりと恐ろしいこと言うお前に戦慄を覚える」
「ソラくんならむしろバッチこい!! ベッドであなたを待ってる!」
「自重しろ! いやホントマジで!!」
サムアップするこの淫乱ピンクに拳骨を落とした。上手く逃げたヤツのドヤ顔が少しイラッときた。
「で、でも…………」
「でももなにもないよ。あなた達と違って、私はソラくんが大好きだから一緒にいたい。だから善意のつもりで言ったかもしれないけど、くだらない噂を信じるあなたのことを信用も信頼しない」
「なんですって!?」
「どうして怒るの? ソラがそんなことするはずないって確信があるから言ったつもりだよ私。それにあなた達はソラを勝手に嫌悪しているのでしょ? ならあなた達はもう関係ない。関わらないことをオススメするよ」
ヤベぇ…………まどかキレてるよ。怒りで闘気出してるよ。
それほど嫌なんだなオレを馬鹿にされることが。
まどかはそう言ってオレの手を握り、三人娘を残してさっさと出ていった。
まあ、なんにせよ…………ほんのり温かいものが胸に広がった昼食だった。
☆☆☆
そして、とある休日。良い天気なので散歩に出かけた。
理由は家にリビングにエロ本が大量にあったからだ。
どうやら、千香の私物で入り切らなくなったものが溢れたらしい。それを片付けるためにまどかとほむらは千香を締め上げた後、オレを追い出した。
なんやかんやと言いながら二人は興味津々にまじまじ見ていたし、たぶん、そのうちどちらかが性的に暴走するだろうなー。
百合展開は自宅でしないでほしい。居ずらいから。
さて気分転換のつもりに出た散歩だが、オレの目の前に赤い髪の少女がいる。身体的特徴から同い年だろう。
というか、どっかで見たことあるが知らん顔をする。しかし、少女の手がオレのズボンの裾を掴む。
「腹減った…………ソラ、なんか奢ってくれ…………」
「知らん。オレはお前を知らんぞ。佐倉なんとかさんというズボラな女を知らん」
「的確にダメ出ししてるよなそれ?」
「チッ」
「なぜ舌打ち!? あぁ…………腹減った…………」
はぁ…………なんでこいつもここにいるか近くのファミレスで聞くか。
というわけで今日の散歩はファミレスで奢ることで終了した。
この赤毛少女はソラ達の中では常識人です。
苦労人という設定です。