とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「――――戦う前の静けさってこんなふうなものじゃない? まあ、彼らはいつも通りだけど」


第三十二話

目を覚ませば知らない天井だった。真っ白な天井で殺風景な部屋にオレはベッドで寝ていた。

 

病院かここ?

 

あれ、オレは…………。

 

「気がついたのね!」

「よかった、よかったよぅ…………」

 

まどかとほむらがベッドに寝るオレを押し倒すような形で抱きついてきた。

 

うん、とりあえず――――

 

「いたたたたた!? ほむらお願いお腹からどけて! あとまどか、鼻息を荒くしながら抱いてくるな! 怖いマジで!」

「ソラくんと規制事実つくるチャンスだよほむらちゃん!」

「了解! みんながいない間に畳み掛けるわよ!」

「確信犯!?」

 

って服を脱がしにかかるなァァァァァ!! 誰かヘルプ!!

 

 

 

ガラッ

 

 

 

唐突に病室の部屋が開き、そこにいたのは、シャマルさんと衛だった。

 

「…………お邪魔みたいね」

「うむ、さすが我が友。二人の少女を両手に持つとはなかなかの甲斐性がありだな。我はその功績に免じて今日のはやての面会で貴様の武勇伝を語ってやろう!」

「そうじゃあ、ごゆっくり…………」

「シャマル先生カムバァァァァァック!!」

 

無慈悲に閉められた扉。脱がされる衣服。そして襲い掛かる肉食少女達。

今日ほど貞操の危機を感じたことはなかった…………。

 

その後に来たマミさんとさやかに救われた。

千香が当時の状況をこう語っていた。

 

「カオスだね!!」

 

お前が言うなとツッコミたかったが精神的に参っていたので叶わなかった。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

オリ主くんに刺された後、オレはシャマル先生に応急措置されて病院に搬送されたらしい。

 

搬送された後にほむら、さやか、杏子、マミさんがオリ主くんブッコロ宣言しようとしたがそれをまどかと千香が意外にも止めた。

理由を聞くと、

 

「ソラなら殺されたとしても許すと思うから」

「うん、ソラくんって根は優しいから」

 

二人の少女の理由に図星を付かれたオレは目を逸らさずにはいられなかった。

 

優しいって…………いや、さすがにオレもやるときはやるよ?

ただまあ、生きているから許してやろうかなって思っている程度だし。

 

その後の二人は「だから今日は熱い夜を過ごそう!!」と同時に言い出した。

 

いろいろ台無しである。

返せよオレの感動。

 

まあ、なんにせよ。

 

「生きていることはすばらしい…………」

 

さやか「あ、こら杏子! それはソラのために剥いたリンゴだよ!」

杏子「いいじゃんカテーこと言うなよ、さやか」

 

こちらの見舞い品を物色する少女達。

 

マミさん「はい、ソラくん。アーン♪」

まどか「マミさん、その役目は私のものだよ?」

マミさん「ふふ、弟の看病はお姉ちゃんの特権というものよ。残念だけど、譲れないわよまどかさん」

まどか「よろしい。ならばお姉ちゃん戦争だよマミさん」

ほむら「私も同盟として参加するわ」

マミさん「かかって来なさいな、シスターズ。お姉ちゃんがお相手させてもらうわ」

 

第一次姉妹戦争を始める少女達。

 

千香「さあ、ソラ。こっち向いてー。そしてセクシーなポーズを!!」

 

カメラを構え、何か要求する少女。

 

もう一度言おう…………。

 

「生きていることはすばらしい…………!」

「ソラくん、しっかりして! 現実逃避しないで!」

「ごめんシャマルさん、オレはこのカオスな空間に耐えられないよ…………。もうゴールしていいよね?」

「ゴールってなに!? 何をゴールするの!?」

 

姉妹のようにじゃれあう杏子とさやか。

 

まどほむ同盟VSお姉ちゃんマミ。

 

変な写真を撮ろうとする千香。

 

全くもって癒しがほしい今日この頃である。見舞いに来ていたシャマルさんが唯一のオアシスです。

 

「しばらく戦線復帰できないなぁ」

「毒はもう抜けたって聞いてるけど大丈夫なの?」

「まあね。抗体もできたし、次くらっても平気」

「神器使いってこんな規格外な人達ばかりかしら?」

 

顔をひきつらせて苦笑するシャマルさんに対して千香は「いやソラとうちの師匠だけだから」と首を振るう。

 

失礼な。オレの師匠は毒よりキツい病原体を敵にぶちこまれたときに、戦いながらその病原体に順応していたぞ。

 

「人間じゃなくて人外ね」

「解せぬ。まあそれはさておき、八神の闇の書の件はどうにかするか考えている?」

「管制人格を目覚めさせて、対話してどうにかするということにしているわ」

「管制人格?」

「闇の書を管理するAIよ。私たちと同じプログラムで感情もあるわ」

 

ふーん。そんなのがあるのか。というかそれでなんとかなるなら良いのだけど。

 

「タイムリミットも近い。だから私達は全力ではやてちゃんのために蒐集しなくちゃいけないわ」

「なるほど? で、オレ達の魔力をいただきたいと?」

 

シャマルさんは頷く。

 

「リンカーコアの摘出は激痛らしいわ。それでもお願い。はやてちゃんのために…………」

 

シャマルさんは頭を下げてオレ達にお願いした。

 

いや、それよりも聞きたいことがある。

 

「リンカーコアってなんぞ?」

「リンカーンのコアじゃないの?」

「リンカーンの核ってあったかしら?」

「違うわよ。魔力を作り出す器官よ? 知らないの?」

 

ほむらとまどかの発言にシャマルさんは否定する。

 

知らないも何も…………。

 

「オレ達リンカーンなコアないもん」

「えっ?」

 

オレ達の魔力は体力と精神力を混ぜて初めて生み出されるものだ。

だからそういう便利器官あれば、是非ともほしいなそれ。

 

 

「…………それじゃあ、どうやって蒐集しようかしら?」

「「「「「「「「あ………………………………」」」」」」」

 

 

結局、魔力を放出するという形で蒐集しました。

まどかの無尽蔵魔力量にシャマルさんびっくりらしいです




実はソラ達にはリンカーコアがなかったのだ!!

はい、そういうわけでソラの魔力の生成方法はリリカルとは全く違います。

精神エネルギーと身体エネルギーを混ぜて創り出すエネルギーのためリリカル軍勢に比べれば効率が悪い方法なのでどちらかと言えば疲れやすいやり方です。

なので素人が行えばバテテ倒れます。

まあ、ソラと千香は前世から訓練されていますし、まどか達はここに来る前に訓練されていますから身体能力も前世と大きく違いますからね。

さて、次回は闇の書起動。

――――さあ、開幕の時だ

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