とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「――――ここから先が戦いの火蓋。さあ、切る準備はいいかい?」


第二十六話

シャマルさんを正常に戻し、オレとさやか、千香はドナドナのBGMを流しながら、彼女達の一軒家にお邪魔するため向かっていた。

 

やんちゃ娘三人に叱ってもらおうと思ってのことだ。

いやーわかってくれて何よりだ♪ お兄さんはうれしいぞー♪

 

「久しぶりにソラのガチギレの拳骨を見た」

「自重しないといけないかなぁと思ったボクであった」

 

何を言ってるかな二人はー?

オレはそんなに怒ってないよー?

 

反抗と言い訳ばかりなヴィータちゃんに拳骨おとして気絶した光景を見たシグナムさん達が怯えて教えてくれたなんてことないよー?

 

「あのお願いだからその笑顔やめてほしいわ…………」

「あははは、何を言ってるのかなシャマルさん? …………オレの笑顔、そんなに嫌なものデスカァ……?」

「どうしよう…………めちゃくちゃ怒ってるこの子」

 

いざ行かん。ミカン箱の怨みと三人娘の親の説教へ!

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

とある一軒家にて、三人娘の保護者的な人が彼女達を説教していた。ていうか、その――――

 

「こんな身で母親とか。そりゃ、やんちゃになるわー」

「誰が母親や。あんたと同じまだピチピチの九歳や」

「ピカピカじゃね?」

「よろしい戦争や」

 

車イス少女こと八神はやては彼女達、ヴォルケンリッターという守護騎士達の主らしい。

 

まさかこんないろいろ小さな少女が闇の書というロストロギアの主とは誰も思うまい。

 

「ごめんなぁソラくん。うちの娘達が迷惑かけて」

「良いって別に。345円払ってくれたら許す」

「あのミカン箱って何気に人気やしなぁ。…………まだ売っとるかなぁ」

「主はやて! ここは私が責任をもって!」

「シグナム、誰が正座解いてええって言った?」

 

あ、ショボーンとシグナムが落ち込んだ。

さすがみんなのオカン。車イスでありながらもそのオーラは偉大である。

 

「ただいまー。今日の鍛練はザフィーラのおかげでうまく――――あ…………」

「ん? お前は確か…………」

 

記憶の隅にある断片から索的。検索結果一つ。

 

「さやかのストーカーくん!」

「最初に思い出すのまさかのそれ!?」

「違うの? んじゃ、三丁目の夕陽ヶ丘にいる田辺くん?」

「誰だよソイツ!? 我は天道衛! 貴様のクラスメイトだろう!」

「…………ああ! 確か運動会で杏子の騎馬に最初に轢かれた押谷くん!」

「天道衛って言ってるだろ! お前の耳は大丈夫か!?」

 

失礼な。オレの耳は五十メートルも離れた場所からでも音が聞ける優れものだぞ?

ただどうでもいいヤツの名前が覚えるのが苦手なだけだ。

 

「さりげなくひどいな貴様…………」

「いやー♪」

「誉めとらん!」

 

そんなやり取りに呆れるはやて達だった。

え? これが普通じゃないの?

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

闇の書――――魔力を蒐集を集め、666ページまで蒐集すれば、絶大な力を得るとされるロストロギア。

とりあえず聞きたいことができたので八神に聞いてみた。

 

 

集めたら神龍出るの?

 

「いやドラゴンでボールなお話ちゃうから出ないちゃうん?」

「そーなの? チッ、願い事あればギャルのパンティーお願いしたのに…………」

「どこの喋る豚だお前は」

 

千香を叩きながら状況を整理。

 

 

闇の書は魔力蒐集しないはやてにムカついて宿主の彼女の魔力を吸いとる。

 

結果、下半身不随に陥る。

 

このままでは死ぬとメディカルなシャマルの診断で守護騎士達は『蒐集ような迷惑を他人にしないでほしい』という願いを無視して犯行に及ぶ。

 

「…………要するにだめじゃんお前ら。お母さんの言うこと聞かないと」

「このままはやてが死ぬのを見過ごせって言いてぇのかてめぇは!?」

「そこまで言ってないけどさ、せめて蒐集行う前に専門家に聞こうとしろよ。蒐集以外の方法があったかもしれないじゃん」

「ていうか、なんか聞いた話じゃ管理局の人にも蒐集しちゃったそうじゃない。犯行に及んで、もう専門家にも頼れない詰み的状況に陥っちゃってるじゃないこの馬鹿ちん達」

 

さやかの毒舌に「ウグッ」と守護騎士達はグウの根も出せなくなる。

 

「今回は管理局に通報しないけど次は襲うなよ。襲うならオレの仲間達以外と生物だけに限定して、ひっそりと蒐集して」

「同じく。千香ちゃんと良い子のみんなと約束だよ♪」

「黙認するんだあんた達。まあ、私もこういう重い事情があるなら仕方ないなぁーって思ってるけど」

 

さあ帰るべ、帰るべ。オレ達はリビングの扉を開けようとした。

 

「待ってくれ!」

 

衛が制止の声をかけて、いきなり土下座してきた。

 

「別にお前らのしてること通報する気はさらさらないけど?」

「違う! そうじゃない。貴様に…………いや神威に頼みたいことがあるんだ!」

「頼みたいこと?」

「はやてを…………我の恩人を救ってくれ」

 

衛曰く、命の恩人でかつて自分がなりたかったモノを思い出させてくれた彼女を助けたい。そのために強くなろうとして鍛練をしていたらしい。

 

今まで学校を休んでた理由はそれか。

どうやら頑張っていたみたいだ。

 

「だからって犯罪者になれって言うのか普通? 巻き込まれた通りすがりのオレ達に? 随分自分勝手なお願いだな」

「ああそうさ! そうだよ! 我は貴様に頼みたいんだ! エゴだ。醜いお願いだ! でもこのままはやてを失いたくないんだ! 我を、我を死ぬことを悲しんでくれる彼女を!」

 

………………………………。

 

「頼む!! この通りだ!!」

 

真摯に頼む衛にさやかと千香は無言で、土下座の彼を見下ろす。

オレも口を開かない。ただ彼の言葉を聞いていた。

 

「神威…………貴様の力は恐ろしくもすごい。そのすごい力が我にはない。羨ましいくらいだ。だから、どうかどうか…………」

「はぁ……やれやれ…………」

 

どうしたものかねぇー。面倒事は関わらないつもりが、ここまで真摯に頼まれたら――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――関わりたくなっちゃったじゃねぇか。

 

 

 

「さやか、千香。まどか達を呼んでくれ」

「そうね。そうしましょうか!」

「やる気が出てくるね!」

 

それぞれがやる気満々である。

 

八神家VS管理局。

 

言葉からすれば圧倒的な差を感じるが、負ける気なんて全くない。

むしろ上等。敵は強大、だがオレ達は無限大だ。

 

「ありがとう…………ありがとう…………」

 

天道は泣きながらオレにお礼を言ってくる。

 

 

まあなんにせよ…………こんな真剣なヤツに協力してもあいつらも文句は言わないだろ。

なんやかんやで言ってお人好しだからな、みんな。




そうゆうことでソラ達は闇の書側です。

リリカルなのはの世界ではソラ達は基本犯罪者側です。いわゆる敵サイドというわけです。
理由はオリ主くんがなのは側にポジショニングしてるわけもありますが、ソラに対するなのフェイの好感度はゼロな点があったからです。

裏話すれば、AS編でやっとマイナスからゼロに戻ったことですからこれでもまだマシな方です。
罵倒しなくなったわけですし。

次回、変わった理由。


――――ヒーローと英雄の違いがあるのって知っていますか?



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