「――――それが彼女の理由。だからお姉ちゃんになる」
マミの追憶
彼と最初に出会ったのはまどかさんに絡んできたとこらだったかしら。
まあ小さな子どもとは言え、強引そうだったので私とさやかさんと一緒に撃退したわ。
そしていつものように二人の少女を魔女体験ツアーに参加させたわね。まどかさんに励まされた私はそのとき、心の余裕ができていたため油断していた。
お菓子の魔女の脱皮と唐突の噛みつきにはさすがの私も死を覚悟した。
「アベン死マリアァァァァァ!!」
テンション高めに魔女にドロップキックされて助けられた私は思わず、悲鳴を上げたのは悪くないと思う。
いろんな意味で新しすぎて私とまどかさんやさやかさんは呆然とした。
そのとき現れたほむらさんは手で覆い隠して呆れていた辺り、彼の独断と暴走だったみたい。
「んじゃ、正義の味方のソラくんのヒーローショーにご賞味あれ!」
悪ふざけしているように見えたので注意しようとしたわ。けど、彼の手には黒いカギのような剣が握られていた。
キュゥべぇ曰く、理解できない力らしい。
お菓子の魔女はソラくんと戦い、そしてソラくんはお菓子の魔女の口に飛び込んだ。
まどかさんは悲鳴をあげた。
当然だ。小さな子どもが目の前で食べられたのだから。
魔女は新たな獲物を探そうとしたとき、急に苦しみ出した。
遂には倒れてしまい、魔女の腹が盛り上がり、そして出てきたのは――――ソラくんだった。
「うぇーヌルヌルしてキモい…………。ほむらー後でシャワー貸してよ」
「貸してあげるけど、自分がしたことを少し考えて…………」
そのとき見たほむらさんのゲンナリした顔は忘れられないわ。
だって、正義の味方を自称する少年が腹からぶち抜いて魔女を倒すなんてドン引きレベルよ、もう。
それが彼との本格的の出会い。
寝泊まりをどこにするか彼に聞いてみたが公園で寝るとか言い出したのは驚いた。いくら慣れてるとは言え、さすがに心苦しいと思ったので、私は彼を引き取ることにしたわ。
料理を喜んで食べていたし、寝顔がかわいくてもうっっっ最高だったわ! 写真にとりたいくらいだったわ!
彼は私のことを間違って「お姉ちゃん」って呼んだときにした恥ずかしそうな顔はエクセレント!!
お持ち帰りしたいレベルだったわ!
まあ、弟ができたみたいだったのでとてもかわいがったわ。
その後、いろいろあって杏子さんと仲直りして、さやかさんの魔女化から救ったわ。
彼の本当の親のやり取りを見たとき、私は胸が締め付けられた。生きているのに、彼という存在が否定されたかのように見えた。
だから私は積極的に彼に関わることにした。
ワルプルギスとの戦いはなんとか勝利したけど、抑止の存在に私は殺された。
そして改変された世界でまどかさんのことを忘れたまま、生きていき、ほむらさんに改変された世界では自分が魔法少女だったことも忘れた。
元々、憧れだった普通の少女のままで生きていくことになったのだ。
けれど、初めてまどかさんと出会ったとき全てを思い出した。
そしてソラくんは死んだんだと知った。
カッコよくなった彼に気づいてもらえなくて拗ねられたこともあったが、再会してしばらく経って亡くなっていたなんて…………。
私のソウルジェムはとても濁り出していた。けれど、そのとき思い出したことがある。
まだ子どもの頃だった彼が私が魔法少女の真実に絶望したときの話だ。
私はまどかさん達の励ましの言葉を聞けず、引きこもった。そのとき彼は言ったのだ。
「マミさん、立ってください。あなたにはまだ足があるんだ。生きるだけの力があるんだ。前だけを見て歩いて生きてください。オレはお姉ちゃんみたいな人が魔女になって死ぬことは見たくないです……………」
生きる気力が沸いた。彼に必要とされている。それが私の生きる理由だった。
けど、その彼は死んだ。絶望した。
けれど、だからこそ、私自身に問う。
――――私はなんのために生きる?
答えは簡単だ。
彼が守ろうとしたもののために戦う!
気力が沸いてきた。濁っていたソウルジェムが輝きを取り戻した。
私は彼のお姉ちゃんだ。だから、私は彼の遺志を守る。
それがお姉ちゃんの役割だから。
その後お姉ちゃんキャラの地位を築くというわけです。
次回、ついにあの本が!!
…………だけど台無しになるけどね。