(??サイド)
曇天だった彼の心はこの青空のように晴れてくれた。理由はそう、かつての戦友であるほむらと再会したからだ。
ソラにとって友達の再会は生きる気力を与えてくれるものだった。
ほむらはソラに自分が転生してきた理由を説明し、ソラは納得した顔で手に顎を当てる。
「へぇ…………つまり転生したオレが死なないようにってこと?」
「ええ、本来ならあなたは天命で死を迎え、魂を浄化してから生まれ変わる段階まで事を運んでいた。だけど、それをあの老害が勝手に転生させて……………………やっぱ脳髄だけ残してホルマリン漬けにするべきよ」
「やめて。それはいろんな意味でトラウマを起こす光景だから」
某ループモノと破天荒な野球ゲームに出てくる光景を思い出したソラである。
「英雄になってんだなオレ」
「数々の敵を一撃で葬り去ったという伝説を残しているわ。当然よ」
「そういえば、これで異世界とか行けるの? 転生してから試したことがなかったんだけど」
ソラは『全てを開く者』を召喚してほむらに聞いた。腕を組んで、しばらく考えてから彼女は口を開けた。
「可能…………
「かもしれない?」
「このリリカルなのはの世界は次元世界というふうに多次元に世界が分かれているのよ。私達がいるここは管理局という暴虐不尽な組織に目をつけられていない管理外世界。逆に目をつけられている世界は管理世界ね。そして、発展した技術によって滅んだか、はたまた他の理由で滅んだ無人世界。要する世界が星のように分かれていると考えればいいわ」
「う~ん」と異世界のことに悩ませて唸っていた。別に理解してないわけではないが、彼にとって異世界というもの次元世界というわけではない。
「あなたが異世界と呼んでいる並行世界や幻獣界はもしかするとあるかもしれないわ。詳しく知りたいなら実験すればいいわ。失敗したら女神に連絡して聞けばいいし」
「連絡できるの?」
「187と電話番号を押せば出てくるわ」
「なんかヤな電話番号だな」
イヤな、という呼び方がなんともあのドS女神らしい。
「でもこれで冒険ができるんだな。やったね、また冒険できるよ!」
「…………異世界にいくことは管理局の技術じゃ到底無理なことだから、あなたはきっと目をつけられるわね」
「ゲッ、お前からあの暴虐不尽とか言われてたその組織に?」
「馬車馬のように働かせるに違いないわね。もしくは侵略という形で使われる道具とか」
「おいおい…………ぜってぇヤだなぁ」
「そうならないように私達がいるのよ」
ほむらは胸を張る。とは言っても小学三年生の容姿のため、頼れる雰囲気じゃないと思う。
「いや大丈夫かよ。お前容姿が小学三年生じゃん。重火器を撃つどころか持てるのかよ」
「魔法少女だったときのスペックしてもらったから持つことや発砲に起きる反動も耐えられるわよ。それにあなたと同じように神器を特典してもらったわ」
光りと共にほむらの手に一枚のカードが現れ、服装も魔法少女の衣装に変わる。
「『時を駆けるカード』。時間操作を可能にする神器よ。まぁ、時間遡行はできなくなったけど」
肩をすくめながらほむらはそう告げた。要するに遡行以外の能力が継承されているようだ。
ソラは首を傾げながら、次の疑問を口に出した。
「ほむらも神器使いか。ん? つまりまどかもか?」
「そうね。『慈愛の弓兵』という神器を持ってるわ。別名デストロイアーチャー」
「ちょい待ち。なんで慈愛なのにデストロイという物騒な文字が出てくるんだよ」
「あなたも覚えてるでしょ? 救済の魔女を倒したまどかの魔法。あれが神器となったことを想像して」
「…………なるほど、確かにデストロイの次にオーバーキルが付きそうだわ……あれ」
少し背筋が凍った。あれで生きていたら最早怪物どころの問題じゃなかったりする。
核兵器レベルの攻撃に耐えられる知的生物なんて見たことない。
「それにしても千香も転生してくるなんてな…………」
「ちなみに最期はショタコンのパンツ仮面に必殺技を喰らって死んだとか言ってたわ」
「いやほんとどんな死に方!? めちゃくちゃきになるんだけど? つーかあいつって盾の神器だろ。なんで死んでんだよ!」
あらゆる攻撃を防ぐ神器使いを倒したその変態に戦慄を覚えるソラ。
ほむらは目を覆い隠し、呆れながら答えた。
「…………受けなきゃ駄目だって芸人魂がって言ってたわ……」
「やっぱバカだあいつ」
しょうもない理由である。ちなみに敵意や悪意、殺意に反応するため防げない欠点があるが、神器すら使ってないので最早呆れるしかない。
「ま、なんにせよ。また会えるってことだろ。オレはうれしいな」
「…………ほむぅ」
ほむらはおもしろくなさそう表情になる。それもそうだ。意中の男性が他の女性のことを考えているのだ。ほむらはソラの手の甲をつねる。
「イテッ。な、なんだよ」
「別に、なんでもないわ」
「だからつねるなよ。痛いって」
「…………じゃあ、私の言うことを聞いてくれたらやめてあげるわ」
「はいはい。わかったわかった。んでお願いってなんだ?」
「…………ギュッと手を握りなさいよ」
嘆息を吐きながら甘えてくるほむらの言うこと聞いてあげた。表情も鉄仮面から少女らしい微笑に変わる。それをかわいいなと思ったソラだった。
「ほむらちゃーーーーん!!」
「ほむほむぅーーーー!!」
親友であるまどかがこちらに向かってきた。彼女の今の姿は魔法少女の時の衣装と同じ服装である。
「まどか、千香? いったいどう…………――――――――」
ほむらは絶句した。ソラも目をギョッとさせた。
彼女達二人の背後には――――――――――――魔女がいた。
あの頃にいた魔女が。薔薇の魔女が。
いやなんか、ものすっげぇスピードでもう飛んでこちらに向かって…………。
「なんで魔女が!?」
「リリカルなのはってキュウべぇと契約して魔法少女になる物語なの?」
「そんなわけないでしょ。あれはあの世界のみだから! 虚先生ワールドだけだから!」
「さりげなくメタ発言だなオイ」
まあなんにせよ。魔女がいることに変わらない。まどかと千香と合流して、ソラ達は魔女と相対する。
「しっかし、誰がこいつを呼んだんだ? あの世界にしかいないはずだろ」
「あの……その…………」
「あ、あはははは…………」
「オイお前ら。なんで苦笑してるんだ?」
理由を聞くと彼女は答えた。
――回想――
「見つからないなー。本当にどこにいるんだろ?」
「おーい、まどっちー」
「あれ? 千香ちゃん。どうしたの…………ってそれ何?」
「いやー、なんか金髪の自称オリ主(笑)くんがボクにナンパしてきて、んで身ぐるみ剥いだら出てきた。ちなみに全裸で吊るした」
「うん、とんでもないことしたよね。犯罪だよねそれ」
「バレなきゃいいんですよ、姐さん」
「面倒だからもう聞かないけど、その宝石は何かな? 魔力の塊っぽいんだけど」
「う~ん、わっかんないからとりあえず質屋に行こうと思う。換金してお金ゲットだぜ!」
「いやソラくん財産あるから大丈夫だよ。あの下級神が踏み台転生者にしようとしていたから、全財産が一京以上あるみたいだよ。それに年間一千万が銀行に入るみたいだし」
「ガーン。つまり意味なし!? ちっくしょうー。こんなもの!」
千香は宝石を壁に叩きつけた。しかしびくともしない。
「だから壁に向かって投げないの! もう、割れたらどうするの」
「大丈夫大丈夫。たとえ魔女が踏んづけても耐えられそうみたいだから」
「そんな鉱石見たことないよ。それにしても魔女…………魔女かぁ。薔薇の魔女ってなんで薔薇なのかな。百合の魔女とかいなかったのかな?」
まどかはかつていた世界の魔女を思い出していた。あのときのマミさんはカッコ良かったなぁと思い出していると宝石が光だして――――――――
――回想終了――
「「……………………」」
「それから魔女が出てきて現在進行形で襲われていたの」
「要するに…………」
ソラとほむらはある人物に目を向ける。
「「お前のせいかァァァァァ!!」」
怒鳴られた千香はテヘッとサムアップで返した。ほむらにドツかれて涙目になったが。
オレは次にまどかに指をさしてツッコむ。。
「お前もお前でなに思い出してないんだ! アレってほむらが言ってたジュエルシードじゃねぇか!!」
「ぶっちゃけ、ほむらちゃんが覚えているからいいやって思ってたから忘れててね」
「人任せかよ!!」
「ティヒ♪」キラーン
「なに『やっちゃった』って顔してんだよ! それで許すわけ――――」
「許す。無罪。釈放よ!」キリッ
「お前は黙ってろ!」
結局、彼と彼女達は暴走体(魔女)と戦うことになった。まどかのオーバーキルでなんとかなったが。
…………ホント、スゲーな円環の理って。
そんなことを思いながらソラは滅された魔女が消滅するのを目に焼き付けるのだった。
はい、オリキャラ千香ちゃん登場です。彼女の役割はイロモノです。
不快だと思う方はこれ以上読まないことをオススメします。
次回、キャラ崩壊警報発令。もはやこいつらはまどマギでもない。オリキャラである。