とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「――――運動会っていつからこうなったんだ?」


第二十二話

夏休みは終わって始業式。展開が早い?

 

いやだって、あんま話すことないじゃん。主に馬鹿やらかしたのは千香とかだし。宿題もみんなで協力して終わらした。

 

杏子とさやかが全く手をつけてなくてオレが徹夜するはめになったがな。

そのときぶちギレて涙目になった二人は忘れない。

 

そして、季節は秋。紅葉が舞うこの季節にはいろいろな催しがある。

 

食欲の秋、読書の秋、それから――――

 

 

 

 

 

 

 

「第四十六回! 聖佯小学校運動会の幕開けです! 司会は私、三年四組の早乙女和子と!」

事嶺儀礼(ことみねきれい)だ」

「ハイそんな事嶺さん、今日みなさんに一言お願いします!」

「なるべく物品と施設を壊さないでほしい。あとなるべく安全に競技を行ってほしいものです。ぶっちゃけ事後処理がめんどいです」

「はい、リアルで生々しい大人の事情を知って士気が高くなったところで最初の競技に移ります! ゆけ、若人達!!」

 

士気高くならねぇからなそれ。つーか、早乙女先生テンション高いな。

何か良いことであったのかい?

 

「なんか彼氏できたみたいだよ」

「どうせ別れるだろ」

「何気なくひどいわね、まどかとソラ」

 

ちなみに通算二十の失敗例があったりする。

早乙女先生の失敗談のせいで大半の女子生徒が男性恐怖症になったりしないよな?

 

 

閑話休題

 

 

競技を終わらせ、前半の最後の競技である騎馬戦となった。その代理としてオレは参加することになった。

 

まさか中沢くんが怪我して欠場というアクシデントが起こるとはな。

 

おのれ、石ころ。たった一つで中沢くんを戦闘不能にさせるとは。

 

「はっはっはっ! 現れたわねソラ! ここで雌雄を決してやるわ!」

「テンション高いな、さやか」

「ぶっ潰してやる!」

「お前は単純に怖いよ杏子」

 

やる気と殺る気満々な彼女達を尻目に馬役である名も知らない彼らに激励をかける。

 

「とりあえずあいつらに遭遇しないよぉー頼むわ」

「俺らタクシーじゃねぇよ!」

「ちなみに遭遇したらいけに――――じゃなかった。緊急脱出するから各自備えてろよ」

「いま生け贄って言ったよな!?」

 

さあ、なんのことやら?

 

ピストルが鳴り、競技が始まった。

最初に襲ってきたのは名も知らない別クラスのとある少年。そいつが帽子をとろうする。

 

これを取られたら当然負けが確定する。

 

オレはそいつの手を掴み、こちらに引っ張る形で馬ごと崩した。

 

「死ねや! 優男ォォォォォ!」

「うぎゃァァァァァ!?」

 

どこからか凶悪な掛け声に思わず反応するオレ。

 

あ、オリ主くんが杏子の凶手に倒れたんだ。思いっきり殺意が込められてた拳だったと思う。

 

何がそんなに気に入らないのかは少しわかってたりはする。

杏子って口先だけのヤツは嫌いだしな。

 

高町も心配するような声をあげるが、さやかは心配して気を取られた月村とバニングスを倒した。

 

ヤバい。杏子とさやか以外は倒せたけど、残りはオレを含めた三人しかいない。

 

「あとはテメーだけだぜソラ?」

「ふっふっふっ、この美少女コンビに勝てるかな?」

「自分で美少女とか恥ずかしくない」

「…………ちょっぴり恥ずかしい」

 

じゃあ言うなよ。

 

って、杏子め。予想通りにオレの馬は崩された。

 

確か地についたら負けだよな?

 

やれやれ…………。

 

「なっ!?」

 

誰かが驚愕した声を出した。

 

そりゃそうだ。

 

オレは他の騎馬戦選手の騎馬に飛び乗ったからな。

 

「くらえや!」

「甘い!」

 

オレが乗ってた騎馬戦選手は崩されたが、杏子の騎馬を崩すことができた。

オレは最後の一人のところへ飛び乗った。

 

杏子もまたさやかの騎馬に飛び乗ったようだ。

 

「ワリーさやか。助かった」

「いいって。でもさすがソラだね。ジャングルファイトが強いだけある」

「アイツのエキスパートだからな」

 

さやかと杏子の二人は体勢を立て直したか。

 

そして、周りが静かになる。緊張が周りを支配する。

 

冷や汗が落ちた――――――――刹那、動き出した。

 

「はァァァァァ!」

「どりゃァァァァァ!」

 

オレと杏子は同時に飛び出し、帽子を奪った。

 

「チッ、引き分けか」

「さすが杏子だな。ギリギリだったぞ」

「アタシもさ。良い勝負だったぜ♪」

 

オレ達は握手してお互いの健闘を称えあった。周りの歓声が一斉に沸き上がる。

 

「スッゲー歓声」

「ああ…………」

「そりゃそうだろ。あんだけ動きまわったらな」

 

体育教師の円山先生が拍手しながらやってきた。

 

「お前らの戦いは素晴らしかった。小学生とは思えないくらいの働きを見せてくれた。だから――――――――失格」

「「は?」」

 

先生の一言に歓声も静まった。

 

「いやなんでって顔をされてもルールには殴る蹴るもしくは他人の馬に乗ることを禁ずるって書いてあるからな」

 

マジで~…………? オレと観客達はガックリしている中、杏子は挙手。

 

「先生、それじゃあ屋上で決着つけていいですか! アタシの熱いハートが冷めてない!」

「冷めろ。頼むから」

 

お前まだ元気だな…………。ちなみに騎馬戦はうちが負けた。

 

先にさやかからやればよかったなぁ…………。




事嶺儀礼さんは一発キャラです。だからもうでないかも?
ちなみに彼は愉悦の探究者ですが、主に事後処理によって苦労する体育教師です。

マジカル八極拳とか使えないよね?

次回、後半戦。

――――カオスで終わらせるのがこの小説である。

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