とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

157 / 158
「またな――――みんな!」

by一ノ瀬ソラより


最終話

エピローグ的な話を言えば一ノ瀬シイには逃げられたが世界は元に戻った。ほむらの時間停止したような世界に、色が戻りみんな動き出した。

そのときアリオかエディオンか名前は忘れたが、マジで貞操の危機にあったと追記しておく。

 

まさかの母親参戦の親子丼といううらやまけしからんな事態だったが。

 

四季と一刀は元の世界へ帰った。元々異世界の住人だったし、これ以上の長居はおそらく抑止の存在が黙ってないだろう。

一刀は帰りたくなさそうだったな。まあ、スリルと楽しみがあったって言ってたから元の世界にはないモノがあったのだろう。

いずれにせよ、彼には元の世界でも楽しめるモノを見つけてほしいのが友達としての願いだ。

 

師匠は生きていた。いや厳密には生きてるような死人という感じだ。

人間としての機能はあるものの死ねない身体というビックリ超人間になっていたそうだ。だいたいエールのせいだと言ってたからたぶんエールのせいだ。

現在、翠屋第二店舗をミッドで経営してる。ヴィヴィオを養子にした高町はよく娘を連れて通ってるらしい。

 

……パパと呼ばれて常連には離婚した夫婦と言われてるらしい。

おまけにそこにエールが出てくるから韓ドラ展開キターとおばちゃん連中は盛り上がっている。最近の主婦に人気なのよね。

 

スカさんは逃げた。まあ、隠居生活する気満々だったし、一部のナンバーズは更正プログラムを受けている。

なお、メガネを黒幕にしたため彼女が主犯扱いされてる。ザマァ。

 

さて亡くなった者――――アオと青髪姉の同僚二人、シロとナルシストの葬儀は行われたそうだ。

青髪姉は泣いていたらしい。シロは彼女にとって家族になれたかもしれない悲しい少女だったから。

ナルシストはついでだが、オレもシロに関しては残念としか言いようがない。

シロを殺したあのクズは死んで正解だ。名前すら思い出せないが。

 

以上、書かれた手紙の感想である。

 

「だから出してくれよー奥さんー……」

「イヤや。てか、全然反省しとらんやん」

 

当たり前だ。オレはオレのやりたいことをした。反省も後悔もしてない。

今、オレは留置所で手錠をかけられて捕まっていた。

 

「というかまさか煤巻きにされて放置されるとは……いやーオレも愛されてるねー♪」

「どこの世界に愛された男が煤巻きで見捨てられるねん!」

 

そう、オレはゆりかごから出た後、煤巻きにされて放置された。理由は女神との契約を話したことに対しての怒りだなきっと。

オレがした契約は死後、抑止の存在となって世界の守護者になることだった。前世でほむらに殺されてなるはずだったが下級神のおかげで半分抑止の存在となった人間となった。

まあ、要するに死ににくい身体というわけだ。

 

おまけに女神の契約で魔法耐性とか回復力アップという加護があるし…………ヤベー。

オレ、もう人外じゃね?

 

「今更やん」

「やかましい。人外など断じて認めん」

「別にいいや。そや、裁判の日程決まったで」

 

留置所に入ったオレが待ってるのは裁きだ。まあ、あれだけやったのだから裁かれるべきなのが普通だろう。

 

「なんや、全然不安やないやん」

 

八神は口を尖らせて不満そうだ。もっと反省してほしかったのかな。

 

「恐怖でガタガタ震えてほしかった」

「恐ろしいことを言うなお前。ま、不安とか一切ないよ。だってオレは……」

 

そこから先は言おうとしなかった。八神は首を傾げていた。オレが何を言おうとしたのかわかってないのだろうな。

 

「もう時間じゃないのか?」

「あ、ホンマや! 早く待ち合わせ場所に行かなきゃデートに送れる!」

 

八神は衛のデートに遅れないように駆け足で出ていった。残されたオレは彼女の背中を見送り、目を閉じる。

 

「じゃあな衛、八神。幸せになれよ」

 

親友と別れの挨拶をふと口に出していた。

 

そして、数ヶ月後。オレの裁判は行われた。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「永久凍結すべきだ! この男は危険だ!」

「いやいや、かなり優秀のようですぞ。ならば首輪をつけて働かせるのはどうでしょう?」

「ウホ、良い男……」

 

裁判――――というかオレをどうするかという論争が行われていた。この決定が判決になるみたいだな。

そして最後のヤツは明らかに危険人物だろ。現に若い男が連れて行かれて「アーーーッ!」という悲鳴をあげてたぞ。

 

「やれやれ……クロノ少年だんまりだし、八神の知り合いの方々も呆れているなぁ」

 

まあこれが組織だ。自分の利益になるモノは使い、使えなくなったら捨てる。間違ってるとは言えないが組織を維持するためには必要なことだ。

とは言ってもこれが元は正義を志す者達だったとは誰も信じないだろ。

 

落着なき論争にオレは嘆息を吐く。

 

「もう帰っていいか? ぶっちゃけお前らの裁判に意味はない」

「なんだと貴様!」

「だってそうだろ? こんないつまでも利益と偽善を語る場に意味がない」

 

どのみちオレはもうここにいるつもりはない。なぜならまだ一ノ瀬シイが生きている。

ヤツが生きている限りオレやみんなに危害が関わる。

こんな場所にいても時間の無駄。なので――――

 

「というわけで逃げるわオレ」

 

手錠を破壊し、神器を召喚。それに反応するかのように数人の局員が魔力弾を撃ってきたが全てキャンセルした。

ドコでもドアを展開し、オレはここから離れたビルへ繋がるドアに飛び込んだ。

 

「ふぅ……ホント面倒だったなぁ」

「逃がすと思ってるのか?」

 

ビルにはシグナム、ヴィータ、衛、フェイトがいた。

 

逃がす気ではないみたいだな。

 

「ソラ、罪をつぐ――」

「ヤダ」

「即答!?」

「だから言ったであろう……我が友は反省も後悔もしていないと」

 

よくわかってるじゃん衛。んじゃ、逃がしてくれよと言うとヴィータが代わりにゲートボールを撃ってきた。

 

「何しやがる」

「やかましい。こちらも仕事なんだよ。だから捕まれ、ボーナスになれ」

「後者が本音じゃね?」

「ならば私に斬られろ!」

「黙れニート侍」

 

面倒だなぁと嘆息を吐いていると衛達を覆うような半透明の結界が展開された。

 

「お出迎えよん♪」

「遅かったな変態」

「ちょっとー。そこは愛あるような声で名前を呼んでよー」

「煤巻きにされた怨みは重い」

「あらやだ。本気で怒ってる」

 

なら、ニヨニヨすんな。思わず腹パンしちゃったじゃん。

嬌声だったけど。

 

「どこに行くのだ?」

「ここじゃないどこか。オレ達は一ノ瀬シイを倒さなきゃならないんだ」

 

ヤツは害悪だ。邪悪だ。有害な悪だ。

 

一ノ瀬シイはオレを手に入れるためならなんでもしそうだ。だからここから離れて誰も傷つかないようにしなきゃならない。

 

オレならみんなを守ることができる?

 

無理だ。自惚れだ。

関係ないヤツを助けるつもりないが目覚めが悪いことには違いない。

 

……ずっと昔はヒーローに憧れていた。誰も見捨てないヒーローに。だけどホントはそんな人はいない。人間は利己的だ。利益を求めないと生きていけない。無償の愛は家族か愛する人にしか与えられないのだ。

 

他人を愛する立派なことなんて神様や聖女でない限りできないな。

 

「だからお別れだ。オレと会うことは――――まあ、あるかも」

「あるのかよ!」

「だってそうだろ。

 

生きてさえいればまた会える。

生きてさえいればまた巡り会う。

 

オレ達は他人じゃない。友達だ。この絆がある限りオレ達はまた会える。きっとじゃないがな」

 

フッと笑いが込み上がる。

そうだ。前世でまどか達と再会したようにまた会える。

 

なぜなら生きてるから。

 

オレは衛達に向けて背中からサムアップしながらドコでもドアを通り抜けた。

彼と彼女達がオレの名前や悪態、別れの挨拶が聞こえていたが気にしない。

 

ドコでもドアを抜けた先は平原だった。そこにはまどか達が待っていた。

隣にいる千香は手をブンブン振っていた。

苦笑しながらとりあえずに服を召喚し、オレはすぐに着替える。

ファンタジーゲームのようき装備するような着替えだから裸にはならないから安心しろ。

 

「ちぇー、ソラの裸体ならムラムラしたのにー」

「お前は相変わらずだよ」

 

合流したオレはふと空を見上げる。

晴れた綺麗な青空が広がる世界にオレはいる。

 

 

「それじゃあ、まずどこにいく?」

「腹減ったから飯屋!」

「あんたさっきも食ってなかった!?」

 

 

さやかと杏子――――親友みたい悪友。悪友のような親友。そんな関係を持つ少女達。

 

 

「あらあら、困ったわねぇ」

「マミさんマミさん。マミさん的にはどうしたい?」

「お茶にしましょう♪ 落ち着くわよ」

「この人、ホントにお茶が好きだなぁ。っていつのまにかテーブルとティーセットが!?」

 

 

マミさんと千香――――頼れるお姉ちゃんと仲間である変態。二人共暴走するけど大切な仲間であり、家族みたいな人達。

 

 

「ま、まどか……そのドレスは!?」

「イエス! 悪魔ほむらちゃんのセクシードレスだよッ。さあ、これを着てソラくんを誘惑しよう!」

「さすがにそれは私も恥ずかしいわ!」

「私の女神モードと一緒に!」

「あなたがいるなら私……もう何も怖くない……!」

「ティヒヒヒ…………計画通り」(ニヤリ)

 

まどかとほむら――――助けたかった人と大切な相棒。結局、前世では駄目だったがなるようになって二人は救われた。

 

 

――――みんながいたからオレはここまで来れた

――――みんながいたから今のオレがいる

 

悲しいことや楽しいこと。そして最後には笑っていけるような日々は今日も続いていくだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見てソラくん。女神と悪魔のツートップ!」

「ムラムラする?」

「したけど、最後には決めさせろよ!!」

 

 

まあ、要するに――――

 

――――オレの憂鬱な(楽しい)日々はまだまだ続くわけだ。




これでソラのお話はおしまいです。
ありきたりな最後でしたがまあ気にしないでください。

さて裏話を話そうと思いますがなぜ自分がこの駄文を書こうと思いましたのか。


――――簡単な話です。


誰もこんなカオスでギャグ有りネタ有りコメディ有りシリアス有りなぶっ飛んだ小説を書いてくれなかったからですよ!!

まどマギのキャラをこんな風に面白いキャラ崩壊してくれたらいいなぁ、誰か書いてくれないかなぁと思って待ってましたが、誰も書いてくれません。

妄想、想像が強い自分はこんなことを考えながら待ってましたが誰も書いてくれない――――じゃあ作っちゃうか!という流れで書いたのがこの初投稿です。

相手にとって面白い面白くない関わらず、自分は楽しくこれは面白いってだけで書ければそれでいいという本当に自己満足な作品だったと思います。

ぶっちゃけお気に入りしてくれる人なんかいないだろうと思ってましたが、まさかこんなに登録してくれる人がいるなんて……。
おまけにこんな作品に感想も書いてくれる人がいるなんて感激でした。

farushionさん、織村・F・当麻さん、ルミナスさん、skyアイスさん、キシトさん、スノウバークライトさん、へもへも♪さん、そして感想を書いてくれた人達の皆様にはホントに感謝しています。
評価してくれた人も辛辣な発言がありましたがそれも含めてありがとうございます。

まあ幼稚でありきたりで使い古いところがあるのは当たり前な作品なのは自覚してます。やりたかったことですからね!(反省無し)

さて、こんな長いあとがきでしたが次回作は考えています。

魔法少女まどか☆マギカ ソラの始まりの物語。
デート・アライブ 四季のぶっ飛んだ物語。
マジ恋 北郷一刀(達観した精神ジジイバージョン)

この三つを思いつきましたが、ぶっちゃけこれも誰か書いてほしかった作品です。まあ書かせてもらいますが楽しんでほしいのが自分の願いです。

では最後に一ノ瀬ソラ――――純粋だった頃のソラが言っていた言葉で閉めさせていただきます。

また会いましょう! 




――――生きている限りが人生だ!!

by一ノ瀬ソラ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。