まどかの追憶
最初にソラくんと出会ったのは、夢の中――――ほむらちゃんがループする前の世界だった。
キュウべぇと契約するときに、彼は私に向けて考え直せって言われたっけ?
そのときの私は、先輩や親友、そして友達となってくれた女の子を失っていたから冷静じゃなかった。
見知らぬ年下の彼に八つ当たりしてしまい、後味が悪い形で契約し――――――――魔女になった。
魔女となった先は覚えていないけど、円環の理になってから世界は滅んでいたらしい。
後からなって知ったものとは言え、罪悪感がとてもあった。
あ、話を脱線しちゃったね。夢の中で出会ったときの彼が現実でも出会えるとは思っても見なかったから、思わず叫んじゃったね。
そのとき、マミさんやさやかちゃんに誤解されて、射撃と撲殺のデュエット攻撃は今でも目に浮かびます。
それから、彼と知り合ってから色々あった。
マミさんが死ぬ直前で現れて、神器で魔女を倒したり、さやかちゃんを魔女から魔法少女に戻したり、ワルプルギスの夜と戦うときなんかすごかった。
ゲームに出てくる主人公のように、飛ばされたビルを足場にして、近づいたところで
でもやっぱり最後は無理でした。私の魔女の姿――――救済の魔女が次元を越えてやってきた。
ハッピーエンドを認めない世界のルールが最後の敵でした。
マミさん、杏子ちゃんがやられて。
さやかちゃんも魔女化してでも勝とうと戦ったけれど、バラバラにされて。
残ったほむらちゃんとソラくんは満身創痍の身体で魔女と相対していた。
私は嫌だった。自分のために犠牲になることが………………。
だからキュウべぇと契約した。
過去も今も未来の魔女が、いなくなるようにという願い元の契約を。
そして、その代償が私の概念化ということを。
全て受け入れた。世界が改変される前、ほむらちゃんが悲しそうだったけど、笑顔で抱き締めてあげた。
概念化したとき、ほむらちゃんは私のためにここまでがんばってくれたんだと知った。何回もループして、私やみんなが死ぬところを何度も見て、苦しんでいた。
彼女の辛かったことへの同情と責任感かもしれないけど、彼女を助けられて満足だった。
い、良い雰囲気だったけれど…………その…………キスとかしてもおかしくなかったと思う。
――――まぁ、ほむらちゃんの他にいた部外者がそれを邪魔してくれたわけだけど。
ソラくんがいた。あの場所に。
彼は異世界から来たから、この場所にいられるそうだ。
なんかあまりのデタラメさと台無しにしてくれた呆れのせいで雰囲気はぶち壊しだった。
そのとき、彼は嘆息吐きながら私に後悔してないか聞いてきた。後悔してない。
偽善じゃないのかと聞かれたが、これが正しい選択だと私は言った。
彼は一息ついてから、言った。いや宣言した。
「いつかほむらと一緒にお前をここから連れ出してやる! さんざん人を心配させてきたことを後悔させてやる!」
まるで負けず嫌いな子どものようだったけど、それがとてもカッコよくて、印象に残った。
子ども頃に見た白馬王子様の絵本があった。その話に憧れがあった。うん、だってまだ夢見る少女だもん。
彼は王子様じゃない。ソラくん本人もそう言っていた。
王子様はほむらちゃんだと言ったときは笑えたけど、なるほどほむらちゃんが王子様って女の子だけど少ししっくりくる。何度も私を助けようとしてきたヒーローだから。
そして白馬はソラくんだ。王子様の相棒で、遠く離れた果てしない道のりを駆けて、私を助けにきてくれる。
そのときに恋に落ちたかもしれない。
初恋は、おかしいかもしれないけどほむらちゃんだ。だってここまで真摯になっていたから惚れないわけない。
けどその次に好きなったのがソラくんだった。初めて好きになった異姓に私はそのときドギマギした。ソラくんとほむらちゃんがいなくなった後でもドキドキが止まらなかった。年下だけどね。
ソラくんはその後、師がいる世界に行って戦争しに行った。そのとき悲しかったのは言うまでもない。もう会えないとさえ思った。
…………ソラくん。私はまた君に出会えてほんとによかったよ。
だから覚悟してね。私の師匠に教わったタマモ流花嫁術でソラくんをオトす!!
転生する前に修行したとかほむらは言ってたと思いますが、ほんとです。
……………原因はあの淫乱ギツネ仕業だっとは。