とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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今回はfarushion さんとコラボです。さあどうぞ!


「さあ、お話の時間だよ?」

by高町なのは様

ぼけなす「…………」(ガタガタブルブル)


第百二十三話 コラボっちゃいますその三

(??サイド)

 

 

 

 

四季とティアナは仲間と合流するために走っていた。途中からガジェットが現れて襲ってきたが、そこは四季とティアナが葬り去っている。

まあ彼と彼女では敵にはならない。しかしそうは問屋は許さないとばかりに新たな刺客が待っていた。

 

「待っていました」

「お前は確か…………」

 

黒のウェットスーツのような戦闘服。バイザーで隠し、籠手を装備した女性――――オリビアがいた。四季は何かを確かめるように石礫を投げた。

するとオリビアはそれを避けず直に受けたが弾き飛ばされた。

 

「出たなピチピチ女」

「あのその呼び名はなんかヤなんですけど」

「じゃあ変態痴女」

「悪意感じますよそれ!?」

「当たり前だ。こちとら殺されかけてるんだよ。お前の夫に慰謝料を請求したい今日この頃」

「クラウは夫じゃありません!」

 

とは言っているもののモジモジしてうれしそうだ。

やはり、と四季は目を光らせる。オリビアはクラウに惚れている。間違いない。

 

「まあ前世が前世だからな。お前らの人生は悲恋な物語だしー」

 

四季の言葉にモジモジをやめた。彼女は驚愕しているのかピタッと身体を止めたのだ。どういうことなのかとティアナが四季に問うと四季はスラスラ答えた。

 

「まず最高評議会がスカリエッティから没収した英雄の遺物。それはどこの時代で誰のモノだったことから考えることとなる。無限書庫の変態のおかげで誰だか特定できた」

「ユーノさんのおかげで?」

「あの人は変態じゃなかったら物凄く有能だから。ユーノだけに」

「うまいからさっさと説明する」

 

眉間にクロスミラージュを構えられたら四季は余計なことを言わずに答えるしかない。

 

「んで、その英雄はお前達の世界で古代ベルカという時代のモノだった――――つまり、コイツらは古代ベルカの化け物、ということになる」

「その時代の有名な英雄って…………!」

「そうだ。コイツ、オリビアは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――晩年、ゆりかごで最期を迎えた英雄――――オリヴィエだ」

 

根拠はある。オリビアは石礫をガードをとらずに弾き飛ばした。それはオリヴィエが持つ固有能力『聖王の鎧』だ。

あらゆる危機的な攻撃を回避させるもはや無敵と言っても過言ではない能力だ。

 

「だから石礫を投げた…………そうですね?」

「まあな。正直、お前がオリヴィエということは当たってほしくなかったけどな。なんせ時間がかかる(・・・・・・)から」

 

四季としてはさっさとここから抜け出してみんなと合流するべきだが、如何せん相手は英雄。苦戦は必至だろう。

 

「ティアナ、お前はさっさと行け」

「でも…………」

「いいから。コイツは――――俺の獲物だ」

 

獰猛な笑みを浮かべる四季にティアナは恐れを持つ。

 

――――こんな顔をする人間を初めてみた

 

四季の目の前にいる敵は彼の獲物だ。それを邪魔することは許さない。それにティアナのレベルではオリヴィエに勝つことはできない。

 

英雄に凡人は勝てない。

英雄に天才は勝てない。

 

それはまるで世界のルールのように存在する。だからこそ、この場を離れてほしいと四季は思っていた。

 

ティアナはそれに頷いて四季を置いて走る。オリヴィエことオリビアはそうはさせまいとティアナに向かうが、既に四季の錬成は始まっていた。

ティアナから遮るように壁が現れ、オリビアはやむ得ず破壊した。

そこにはティアナはいない。そして四季がオリビアの前に来て、ナイフを構えていた。

 

「そんなナイフで!」

「ところがどっこい。コイツに斬られたら、切り裂かれるぞ?」

 

オリビアはそれを聞いてナイフに伸ばした手を引っ込めた。それは強者としての勘だった。

オリビアが斬られたのは戦闘服のみだった。普通ならば『聖王の鎧』が発動して無傷のはずだった。

しかし、切り裂かれたということは無効化されているということと同義なのだ。

 

「解剖してやるよ、オリヴィエちゃん。お前の鎧は珍しいからな。あと、こちとら伊達にお前みたいな化け物と殺り合ったことがあるから悪しからず」

「は、はは…………」

 

嫌な予感がする。助けてクラウス。

オリビアはそう思った。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

なのはとスバルはフェイトとアリシアにとり憑いている嫉妬と妬嫉の二人と戦っていた。

彼女達には能力は寄生するだけだが、とり憑いていた者の能力は使えるそうだ。

 

今、フェイトと戦っているなのはは親友と久しぶりに競い合うことに喜びを感じていた。

 

「なのはさァァァァァん! アリシアさん強すぎますよ!」

「踏ん張れ。あなたならできる。…………足止めだけど」

「足止めって言った! 言いましたよね!?」

「あ、間違えた。生け贄なの」

「もっとひどい!」

 

軽口が言えるのは余裕の証。嫉妬と妬嫉はそんな二人に苛立ちを覚えた。

 

『なんでそんなに余裕なの?』

『仲間と傷つけ合っているんだよ?』

 

二人の疑問になのはは鼻で笑う。

 

「傷つけ合う? だからなんなの。手加減しろとか言わないでよ。それだとフェイトちゃんやアリシアさんに対しての侮辱だし、何よりこの程度で戸惑うほど私はもう弱くない」

 

なのはのメンタルは強くなっていた。凶暴なのはさておき、雷斗に鍛えられた心と身体が彼女に闘志を与えている。

 

「それに親友だからこそ争う――――それも悪くないの!」

『『ッ!』』

 

なのははスフィアを展開し、フェイトとアリシアに発射。追尾機能があるため、逃げ切れずそれを撃退してしまった。そのため、煙幕でなのはを見失う。

 

「いくよ。スバル!」

「はい!」

 

次にフェイトとアリシアが見たのは青い砲撃魔法だった。フェイトは避け切り、アリシアが少し掠る程度にとどまるが、撃ったのはスバルだけだと気づいたのはなのはがフェイトの背後に移動していたときだ。

 

「いくよ、フェイトちゃん…………悪夢の再現を♪」

『ヒッ!』

 

寄生していた嫉妬はフェイトの記憶――――トラウマを知っていた。そう、あれは彼女の少女時代。ジェルシードをかけた戦いで見せた悪夢の元気玉とかめはめ波を混ぜた凶悪砲撃魔法。

 

「『スターライトォォォォォ――――』」

『ま、待って! いいの!? 親友にそんなほうげ――――』

「『ブレイカァァァァァ』!!」

 

カートリッジとブラスターモード3を使用した『スターライトブレイカー』がフェイトを至近距離から飲み込んだ。

 

フェイトこと嫉妬は戦闘不能。彼女が立つことはもうなかった。それを見たなのは恍惚な笑みを浮かべていた。

世の男ならばその妖艶な笑みにドキッとするくらい、そして恐れを抱くくらいの笑みだった。

 

「あ、悪魔め!」

「悪魔でいいよ…………悪夢らしくぶちのめすだけだから♪」

 

ヴィータと戦う前に言っていた悪夢宣言再びである。前と違うとしたらO☆HA☆NA☆SHIがお話(ぶちのめす)ことになっただけだろう。

 

「やれやれ……心配になって来てみれば恐ろしいモノを…………」

「あ、雷斗くん♪」

 

愛しの彼を見つけて喜ぶなのはにチャンスとばかりにアリシアはなのはに向かって斬りかかる。

 

『くらえ! 雷神の――――』

「唸りってか?」

『――――え?』

 

アリシアの手から神器は消え、そして彼女は力なく倒れた。雷斗が彼女を失神させたのだ。

彼女より早く動き、そして手刀で意識を奪ったのだ。

 

「悪いな。それはうちが元祖なんだわ。模倣じゃ俺には勝てねぇよ」

 

彼は嘆息を吐きながらアリシアを抱えた。

 

「あとはアイツに任せるか…………」

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「……悔しいなぁ」

「くそッくそッ」

 

嫉妬と妬嫉は十代前半の双子の姉弟だった。静かな嫉妬とで活発な妬嫉。

二人は一つという意味で神器『羨むその器』はその効果を発揮する。つまりどちらか一人が欠ければその効果は発揮しないのだ。

 

「馬鹿にして…………馬鹿にして!」

 

妬嫉達は子どもの頃から周りから見下されていた。奴隷だった。そして彼女と彼は普通に憧れ、妬み、そして神器が発動した。それからラースにスカウトされ、彼と行動を共にするようになった。

 

「普通にのうのうと生きてるヤツらに僕らは――――」

「負ける」

 

彼女と彼は声がした方向に振り向く。そこには一人の男が立っていた。白いロングコートを着て、白い髪紅い目、大きな白銀の翼、そして白銀の大太刀を持っている。

 

「誰だお前」

 

は、と言う前にその男、鳳上恭介は剣を構え、そして妬嫉を切り裂く。

え?と彼がそんな表情をしていたときに嫉妬はナイフを抜き取り恭介を刺そうとした。妬嫉も恭介に寄生しようとした。

 

 

バチンッ!!

 

「えっ?」

 

しかしその寄生はなんらかの力で遮られ、そして失敗した。

 

「遅いな」

「――――あ……」

 

さらに嫉妬のナイフを持つ手を切断され、そして彼女の胸に剣が刺さる。彼と彼女は力なく倒れた。

 

「ね……ぇ、嫉妬」

「なあ……に妬嫉…………」

「生まれ変わったら…………また、姉弟でいら、れる…………かな」

「きっと……だいじょう、ぶ…………」

 

最後の最後で彼と彼女は笑い息を引き取った。恭介は頭を掻きながら気分が悪そうに呟く。

 

「…………きっとじゃない。必ず、だろ?」

 

彼はそう言って隙間に呑み込まれた。彼の役目は終わり。彼と彼女を冥府へ旅立たせ再び転生させるというそんな役目。こうして、なのは達の戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隙ありィィィィィ!」

「どわ!? いきなり何しやがるソラ!」

「ノリと気分で飛び蹴りしたくなった!!」

「どゆこと!?」

 

つまり恭介くんがカッコよかったので嫉妬したのである。いや決まってたからねー…………。

 




ちなみにこの恭介くんはまだ幻想卿の守護者だった頃の彼です。正直、初期値の恭介くんマジチートだったので使いました。まあ、今でも変わってないと思いますが。
ちなみに恭介くんがなぜワザワザ本気モードにさせてもらったかと言いますと、彼と彼女の寄生は協力な力です。人外パワーではないと無効化できません。気合いのノリでなんとかなるのはエールと千香くらいですから。

farushionさん、ありがとうございました。上手く使えたどうかはわかりませんが、安らぎを与える少年という立派な役目を果たせたかと思います。

…………ギャグなオチなってしまいましたが。

そしてなのはさんマジ魔王。この人、乙女と見せかけて雷斗に感化されてるところがあるので容赦がありません。真の魔王に目覚めた彼女の果てに待つものとは……!?

…………まあ恐怖の教導タイムになるだけか。ちなみに彼女の最終目標はお嫁さんです。結婚したらカカア殿下だよこれ。

さて次回は、戦わない変態達

――――筋肉とナルシストがぶつかるときソラは怒り出す!!

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