とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「やっちゃった…………でも後悔しない」

byぼけなす


第百二十二話 コラボっちゃいますその二

「『シンクロ』!」

 

オレは『シンクロ』をし、まどかの魔力をラインで繋げた。髪の色と神器に変化が現れる。髪は薄いピンクで、神器は弓になり、矢尻が鍵状になっていた。

 

まどかも同じだ。髪の色は銀髪になり、神器もオレと同じようになっている。

 

「逃げるなメスブタァァァァァ!」

 

オレが弓を引いて、それを離す。ほむらの真横を通過して地面が吹き飛んだ。

 

「ちょ、ソラ。殺すつもり!? なんか殺意を感じるのだけど!」

「あったり前だ! これまで受けたセクハラ、お仕置き、イタズラの数々を身体で払ってもらおか!!」

「いやらしわね! このへん――きゃァァァァァ!?」

 

変態と言い終わる前に第二、第三射撃を発射。

涙目なっても気にしない。ごめんなさいって言っても許さない。これすなわち問答無用なり。

 

「ま、まどか! ソラを止めてッ。マジ殺しで私の命に危機があるのだけど!」

「えー? だってほむらちゃんがソラくんを怒らせたんだよー? あと、ソラくんの敵だから助けないよ私」

「親友として助けて!」

「うーん、ぶっちゃけ親友だろうが恋人だろうが関係ないのだけど、それに…………」

「それに?」

「涙目で逃げるほむらちゃんに興奮してきたよ!! ハァハァ、富竹フラッシュ富竹フラッシュ!!」

「まどかァァァァァ!?」

 

まさにブルータスお前もかとほむらの期待は裏切られた。てか、まどかさんや。どっからそのカメラを持ってきた。

まあそれはさておき、ほむらを追いかけいじめパーティは再開される。

 

「泣け、叫べ、苦しめ! ここが地獄の鬼ごっこじゃァァァァァ!!」

「助けてェェェェェ!!」

 

かつてはまどかがお姫様で、ほむらが王子様という立場。そしてオレが白馬という立場だったが、まさに白馬とお姫様が乱心して、泣き叫ぶ王子様を追いかけるというシュールな光景である。

 

なお、今さらだがグリード優先のはずだと思っていたが、どうやら生存本能など生来の本能が刺激されれば優先もクソもないことに気づいたのはほむらが泣きながら地面に横になってるときだった。

 

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

 

ティアナとプライドの戦いの優劣は明白だった。魔力弾や幻術、ダガーだけではティアナに勝ち目はない。なにせ、相手は魔法をキャンセルできる武器を持っているのだから。

 

「ゲハハハ、どうした! どうしたァ!」

「く、がッ!」

 

遊ばれている。ティアナは目の前の相手をぶちのめしたい。後悔させたい。

しかし届かない。プライドは強いわけではない。大きな身体だけで技術が優れているわけではない。

 

しかし魔法をキャンセルされる、デバイスを無効果する。

ティアナが格闘のチャンピオンならば話が別だが、不得意なクロスレンジによってプライドの独壇場となっていた。

 

「へんッ。これじゃァ兄の二の舞だなオイ?」

 

どうすれば、とティアナは策を巡らすが相手はそれを許さず壁へ叩きつけ首をしめる。

 

「ぐ、ぅ…………」

「さあさあ、とっと逃げない死ぬぜ? 死ぬぜェ!」

 

悔しい、悔しい…………。

 

ティアナにはもはや涙を流すしかなかった。しかし味方はいない。分断されて一人だ。

ティアナの本来の役目は司令塔。だが、指示する味方がいないし、第一に魔導士では『全てを開く者』には勝てない。

 

ティアナの意識は徐々に薄れていき、そして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――死んでしまう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突撃、四季くんの晩飯」

「ゲバブぅ!?」

 

 

…………前に四季が錬成で開けた穴からプライドの側面の顔に向けてドロップキック。

 

こうかはばつぐんだ!

 

ティアナは解放されて咳き込み、助けてくれた四季に頭を下げる。

 

「あ、ありが――――」

「黙れザコ。耳障りな口を塞げ」

「えぇ!?」

 

いきなり辛口に戸惑う。四季はへの字で不満そうな顔をしていた。

 

「て、テメー。よくも……」

「オイ、ゴミ。お前、その神器どっから仕入れてきた?」

「あぁん? どっからだと?」

「そうだ。その神器――――いや人の手で造られた紛い物をな」

 

紛い物という単語にティアナは怪訝な顔になる。どうやらあれは本物の神器ではないようだ。疑問を感じたティアナが四季にどういうことかと聞くとあっさり答えてくれた。

 

「アレは『人造神器』って言って人の手で造られた神器の紛い物さ。神器特有の固有能力はあるが、それは一部しか使えないし、ステータスは最低最悪の粗悪品。量産はできるが開発費が馬鹿デカイし、何より『神器は人の手では作れない』という世界のルールのせいで滅多にできない超欠陥品だ」

 

なるほど、だからプライドはキャンセルしか使えないのか。しかし、なぜそれを四季が知っているのだろうか?

それも聞いてみた。

 

「当たり前だ。開発したのは俺だ」

「へ?」

「若さゆえの過ちで『ルールなんて反逆してやる!』という反抗期だったが、何度もやっても何度もやっても無駄な行いに気づいて研究資料を燃やした。俺にとって黒歴史だよ」

 

まさかの事実にティアナは唖然としていた。ちなみに四季の口がへの字だったのはその黒歴史をほじくり返されただからである。

 

「つーか、旧世代云々(うんぬん)以前にお前が偽物時点で新世代名乗る価値もないだろ。粗悪品使ってる分際がエンシェントを馬鹿にするな、バカ。てか、お前の取り柄はただデカイだけだろ。アオ以下の分際で威張るな、死ね。つか、消えろ。今すぐ帰れ」

「さっきからごちゃごちゃうっせーよ!!」

 

ぶちギレたプライドが四季に向かって神器を降り下ろす。四季は錬成したナイフでその神器(粗悪品)をバラバラに切り裂いた。

 

「は…………?」

「必殺、ただのキック」

「コブベ!」

 

四季が上段蹴りでプライドを引き離し、そしてすぐに召喚陣を展開した。

 

「お前に真のコピーの使い手を見せてやる」

 

四季が召喚したのは先程織莉子によって拉致された少年――――天道陸途だ。彼はいきなりここに呼び出されて「へ? え?」と戸惑っているが、ぶちギレたプライドが迫ってきたのですぐに回避した。

 

「どこだよここ!?」

「ゆりかごという戦艦内部だ。さあ、奴隷。戦え。さもなければお前をホルマリン漬けにして解剖するぞ」

「いきなり呼び出しといて何様!?」

 

それが五河四季である。陸途はまあ状況をしっかり判断した。

 

――――青アザだらけになった少女

――――偉そうな巨漢

――――理不尽な召喚

 

なるほど、つまりあの巨漢のせいで女の子は傷ついたようだ。

 

「そしてそいつはお前を最初に拉致した変態だ」

「お前が犯人かァァァァァ!!」

 

実は違うわけだが、陸途が怒る理由――――それは縄で縛られてるところを道中を行く人達に見られたという恥ずかしい目に合ったというわけだ。そのとき見られた知人達の微妙な顔は忘れられない。

 

それをトリガーにして、オレンジ色の瞳となった陸途は砕けた粗悪品を見て投影を開始した。

 

カギは開けるモノ、つまり開ける力があるという基本性質を瞬時に理解することで陸途は『全てを開く者』を完璧に投影した。

 

「ば、馬鹿な! 投影しただとォ!?」

 

プライドはあまりの出来事に一歩退いたが、いきなり地面がしなやかな縄になり縛り上げた。四季の錬成だ。

 

「さあ、贋作者のレプリカ。とくと味わえ、粗悪品」

「て、テメェェェェェ!!」

 

四季に激昂するプライドだが、陸途の駆け足は止まらない。彼はそのままプライドを斬り抜けた。

 

縄を解除し、プライドはそのまま倒れるがどうやらまだ完全には死んでいないようだ。

 

「ガハッ…………くそぅ。完璧に投影したつもりなのに、なんでだ?」

 

それはおそらく『抑止の力』の影響である。完璧に投影――――つまり完全な複製は不可能なので反発する力が働き、完全な投影はできずデメリットに陸途は吐血したのだ。

 

吐血するほどのダメージなのに、大して痛くなさそうな辺り、こいつも人外だなと四季は思った。

 

「ところであんた。俺をここに…………」

「あ。もうこんな時間。良い子は帰る時間だぞ☆」(棒読み)

「え、ちょ、待て――――」

 

問答無用に四季は陸途を送還し、元の世界に帰した。

 

「ありがとう、異世界の戦士。お前のことは五秒だけ忘れない」

「サイテー……」

「最低? 何を今さら」

 

クスクスと笑うこの外道。しかし神ですらコイツには手を出したくないのか天罰は起きないのである。

 

「さてと…………んで、お前はどうしたい?」

 

既に虫の息なプライドにティアナはどうしたいか四季は聞いた。ティアナはデバイスを展開し、プライドの向ける。

 

「まあ、待て。復讐をしたいならこれを使え」

 

四季が差し出したのは質量兵器――――マグナム銃だ。弾は一発だけ入っており、ティアナは同じくプライドに向けた。

 

「たす、け…………て」

「アンタはそうやって助けをせがむ人を殺してきたのでしょ? なら、その報いを受けろ」

 

ティアナはトリガーを引き、プライドに止めをさした。

眉間に一発辺り、彼は絶命した――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――と思った? 残念。死にません。

 

復活(リボーン)!」

「え、えェェェェェ!?」

 

なんと身体を殻のようにぶち破り、瑞々しいお肌を持ったブーメランパンツだけ履いた変態が現れた。

 

「我、悟りに目覚めた! 真の強者とは筋肉があるものだァァァァァ!!」

「ここに来てマッスルが感染!?」

 

ティアナがツッコミに専念している最中、四季は原因を究明していた。

 

「あ。これ、俺の前世のとき遊び感覚で作った細菌兵器――――『筋肉よ目覚めよ』だ」

「どんな細菌兵器よ! てか、私の復讐劇が台無しよ!」

 

確かに四季は本物の弾丸をセットしていたはずなのに、なぜかこのような細菌兵器がセットされていたことに疑問を感じた。

「てか誰だよ、こんなイタズラしたヤツ――――ってあ…………」

 

気づいた。いたわ、犯人。まあ、どうせ。あえて乗っているのだろうなと四季が思っていると、

 

「プライド改めて『筋肉戦士ぴーたん』はこれよりマッスルを広めにゆくぞォォォォォ!」

 

元プライドことぴーたんはあり得ないことに拳で次元の壁を越えてどこかに行った。

筋肉スゲーと感心しているとティアナはヒステリック気味に叫んだ。

 

「アタシの復讐心を返せェェェェェッ!!」

 

最後の最後で台無しなプライドの最期だった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、共にマッスルを極めようぜ!!」

「なんでお前がここにいる!?」

 

どこかの知らない町にて再会した陸途はあの短時間で変貌したプライドを見て、いったい何が起きたのか少し戦慄した。




skyアイスさん、すみません。
やっぱりノリで行くと陸途くんを上手く活躍させることができませんでした。ちなみにぴーたんは一刀の知り合いの漢女が回収しましたのでもう見滝原は大丈夫です。

もしお使い頂く場合は異世界『ニューカマー・ザ・ワールド』までお越しください。あらゆる漢女とオカマ、そして
筋肉ダルマ達がおもてなしという名の襲撃してきます…………(戦慄)

なお、今回でてきた陸途ですが見滝原が滅ぶ前のお話でワルプルギスが来る前という設定で書きました。

彼の活躍をもっとみたい人はskyアイスさんの作品をご覧ください。

さて次回、砲撃魔と守護者

――――farushionさん、出番です。

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