とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「お菊ちゃんは万能こけしなのだよ? 本来は肩こりマッサージ機器なのだが…………」

byスカさん


第百二十一話

ドコでもドアでゆりかごの内部に侵入したオレ達は中が変わっていたことに訝しげになっていた。

 

「確かゆりかご内部は機械的だったはず……。なのにいつの間にか中世ヨーロッパみたいな大理石になっている…………」

 

衛の分析通りだ。何者かの力でゆりかご内部が改造されているようだ。おそらくマッピング対策だろう。ヤツらは自由に大将をとらせないためだろう。

 

「つか、なんでまどかまで来ているんだよ?」

「ソラくんいるところに私有りだよ」

「わけがわからないよ」

 

まどかはおんぶという形でオレの背中にピッタリとくっついていた。その様はコアラのようである。柔らかい身体にワッチの情欲はたまる一方である。

 

「ムラムラしてきた?」

「してくるから離れろ」

「合意を得た。今こそ合体のときだよソラくん!」

「やめんかい」

 

接吻を迫ってくるまどかを押さえながらオレ達は前から感じる敵意に表情を険しくなる。

そこから現れたのはほむら達だった。

 

「ようこそ、グリードアイランドへ」

「なんですと? ここは念能力者オンリーしか参加できないオンラインゲームじゃん。まどか、今すぐ撤退だ。ゴンさんの力がないとオレ達はここを攻略できない」

「よしきた」

「いや違うからね、まどか。グリード様がたまたま名付けてそうなっただけだからね?」

 

さやかが帰ろうとするオレとまどかを引き止める。まあ帰るつもりは元からないのだが、そこんとこはノリだ。わかってくれ。

 

「それで火憐ちゃんや、ファイヤーシスターズは再結成するのか?」

「火憐って誰よ! てか、中の人ネタをここで使うなよ!」

「ねえパパ。あいつ斬っていい? 斬っていい?」

「まどかも乗らない! あとそのキャラ怖いからやめて!」

 

さすがに斬殺系ロリっ子少女のキャラにさやかさんは涙目だ。オレも怖いよ。だって実際に師匠と一緒に遭遇したことあるもん。

あのとき見たワインレッドな瞳と返り血は忘れられない。

 

「んで、お前らがなんでここにいるんだ? 足止めか?」

『ガハハハ、違うな! 試練だ』

 

なんかモニターが出てきてグリードがアップで映された。

 

『そう、オレと出会いたけ――――』

「えい☆」

「てい!」

 

ガシャンッ!!

 

ガラスが割れる音と共にモニターを破壊した。すると、またモニターが現れてグリードが映された。

 

『いきなり何しやがる!』

「キモい面を見て殴りたくなった」

「後悔も反省もしてないから消えて♪」

『なにこの二人!? 会って早々、いきなり毒を吐かれ――――』

 

ガシャンッ!

 

再びモニターを破壊。

 

言わせない。しゃべる前に黙らせる。それがソラくんクオリティである。

 

「……ちょっとくらい聞いてあげなさいよ」

「メンドイ。というかいちいち待ってられるか。そんな正義の味方ごっこはアオとアホに任せるわ。オレはさっさと帰って『劇場版魔法使いまなか☆マギカ』を見たい」

「あ。私も。なんか主人公が昔の私みたいな人で共感できるんだよねー♪ 男の子だけど」

 

 

※説明しよう! まなか☆マギカとは鹿目まどかの人生をそのままアニメで再現したかのような物語である!

ちなみにヒロイン的な立場にほむらみたいな少年がおり、一部淑女にとって『キマシタワー!!』というコメントがあるほどの愛と勇気とBLがある物語なのだ!

 

え? なぜソラくんも見ているかって? 面白いからに決まってるじゃないか!!

 

(byスカさんより)

 

 

「え、あたし達よりアニメが優先なの? てか、さりげなくあたしのことアホって言ってたわよね?」

「お前のアホは今さらだろ。てか、テレビアニメでめちゃくちゃ気になる終わり方したからさっさと見たい」

「あ、それなら私と一緒に行こうよ」

「デートか。よし、これが終わったら行くか!」

「うん!」

「あんたら緊張感持ちなさいよォォォォォ!」

 

頭をかきむしりながらさやかはシャウトする。ほむら達も呆れた、という顔でオレ達に向けて冷めた目で見ていた。

 

「あ。それより試練ってなんだ?」

「今さら!? それを今さら聞くの!?」

「それがオレクオリティ」

「そういえばそうだった! 上等よ。ここを通りたければあたし達を倒せってことよ!」

 

さやかがそう言って神器を召喚すると他のヤツらも召喚してきた。一触即発。オレ達も警戒心を高くする。

 

するとほむらがさやかの肩にちょんちょんとつつく。

 

「さやか、いいかしら?」

「何よ、ほむら」

「リーダー私でいいかしら?」

「なんのリーダーよ!」

「だって私達一つのチームだし、それにアホなさやかよりこの完璧かつ最高の美を持つ私こそふさわしいわ」

「どんだけ自信あんのあんた!? てか、誰がアホよ!」

 

なんか変な争いが始まった。すると杏子も参戦し、マミさんも参戦してきた。

 

「それならアタシが一番だろ! 戦隊モノのリーダーは常に赤だろ!」

「色なんて関係ないわ。いつだって妹の上はお姉ちゃんよ?」

「ふざけないで。お積む無しのレッドと年増にリーダーをやらせたらクレームがくるわ」

「「なんだと(ですって)?」」

 

オイオイ、仲間割れし始めたぞ。てか、なんで仲が悪くなってるんだ?

 

しかもだんだんと『リーダーを決めるリーダー』という議論になってるし。

 

「たぶん、ソラくんという共有財産がなくなったという影響かも。ほら、みんなってソラくんに依存していたし」

「あー、オレも似たようなもんだからわかる気がする」

 

だからと言ってこのケンカは止めないけど。オレとまどかは無視して先に行こうとしたらマミさんがオレの足下に魔力弾を撃ってきた。

え、見えてるの?

 

「私達を倒してからにしなさい。でないと先には行けませんよ?」

 

すると衛達がいたそれぞれの床下が割れて落ちていった。あ。ヤベ、分断された。

 

これは放置してたら迷って捜すのに苦労するかも。すると結界でオレとまどかは閉じ込められ、またモニターが出てきてグリードが映された。

 

『ガハハハ、一本食わされたな! どんな気持ちだ? 仲間が心配か?』

「あ、割りとそんなにないや」

『はぁ!?』

 

予想外の答えにグリードは驚く。いやだってうちの面子に敗北しそうなのは高町とかツインテ、夜刀神くらいだもん。

四季、師匠、一刀、衛だったらなんか問答無用で勝てそうだし。

 

だから心配する必要はない。

 

「んで、グリード……マチュピチュだっけ? こいつらと戦えってこと?」

『グリードだけでいいっつうの! そうだよ。テメーらはかつて仲間だった女と戦うのさ。どうだ? 良い演出だろ?』

「そ、そんな…………」

 

まどかは愕然していた。グリードの言葉にまどかは絶望して――――いるかのように見えた。

 

「私は」

 

彼女は魔法少女服になって、

 

「みんなを」

 

それから弓を引いて、

 

「傷つけられないよ♪」

 

魔力矢発射。

 

ズドォォォォォンと一矢一殺が四人の少女達がいる中央を通過して床が吹き飛ばした。

 

「え、ちょ、ま……まどか? 行動と言動が一致しないのだけど?」

 

ほむらはまどかの凶行に戸惑っていた。他も同じだ。まさか味方を殺すつもりで撃ってきたのだから。

 

「……私ねーみんなに袋叩きにされて結構傷ついたんだよー? でも怒ってないから安心して♪」

 

嘘だ。満面な笑顔だが目が笑ってない。

 

「それで気づいたことがあるんだ。ほむらちゃん達のお陰でね」

「な、何に?」

 

嫌な予感がするとほむら達は冷や汗をかいていた。そしてそれは予感通りだった。

 

「悲しいけど、これ――――戦争なんだよね…………」

 

真顔でまどかはそう言ってのけた。大魔王も裸足で逃げ出したくなるような恐怖が彼女達を襲う。しかしそれでも立ち向かう勇者はいた。

 

「ま、負けないわよ! みんな狼狽え――――」

 

さやかがそう言う前にオレは背後から腕に間接技を決める。

 

「くっ、はな…………ってソラ。何その振動してるコケシは!?」

「一刀アイデアで、スカさん作の『お菊ちゃん』だ。ベッドの上でいろいろ楽しめる道具ですぜお客さん」

「それをどうする――――ってちょ、どこをさして……ぎにゃァァァァァッ!!」

 

さやかのお菊に思いきり差し込んでやった。するとビクンビクンと反応しながらさやかは白眼を剥いて倒れた。どうやら逝ったようだな。それを見ていた残りのメンバーは恐怖に震えていた。

 

「「「……………………」」」

「さて、お前らに選択肢を与える。まどかにぶちのめせされるか――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ケツの初体験を体験するかをな♪」

 

オレの微笑みで全員が一斉に結界を叩いて助けを求める。

 

「いやァァァァァ!」

「た、助けてグリード様ァァァァァ!!」

「ひぃッ。く、来るな! くる――みぎゃァァァァァ!!」

 

次の犠牲者は杏子である。それから行われたことはあえて書かないが凄惨でえげつないことが起きたと思っててくれ。

 

それからオレとまどかは裏切り共を始末した後、モニターのグリードに向けていった。

 

「「さあ次はお前だ」」

『決めた。お前らだけは絶対に戦わねぇ』

 

なぜグリードにご指名拒否されてしまいモニターと結界は消えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…………もうお嫁に行けないわ」

「あ。まだほむらちゃんだけ生き残ってる」

「リピートタァァァァァイムッ♪」

「い、いやァァァァァ!!」

「逃がさないよォォォォォ!」

 

こうしてオレとまどかが鬼という鬼ごっこが始まるのだった。なお、マミさん、杏子、さやかは縛ってアースラに放り込んでやったことを追記しておく。

 

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

 

ティアナは誰かの悲鳴が聞こえた気がしたが、すぐに記憶の隅にやった。なぜなら、目の前には、

 

「ゲハハハ、来いよ。小娘!」

「上等よ、ゲス。アンタなんかに『偽物』のアイツを汚してたまるモノですか」

 

かつて偽物だった彼のためにティアナは目の前の最低な男に挑む。




ほむら達のお仕置きタイム――――一応、ソラにあったストレス発散です。今までのセクハラ、理不尽がここで果たされました…………。まあ、ギャグの回ですから。


次回、VS新世代『無血の死神』

――――やっとまともに出せますよ、skyアイスさん!

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