曇天の空。今日はあまり出掛けたくない日である。
だが、今日は新発売のお菓子があるのでスーパーにいくことにした。
「一緒にきてくれませんか」
ところがどっこい。扉を開けると、金髪少女が玄関前にいた。オレはそのまま扉を――――――――
「なにスルーしてんだい!」
「離せ! ただでさえ管理局という労働基準を無視した鬼畜組織にバレたってのにこれ以上面倒事はノーサンキュー!」
「グググググッ!」
力と力のぶつかり合い。この勝負引けば負ける! 負けてたまるかァァァァァ!!
「なにしてんの?」
さやかが現れた。ソラは協力を求めた。
「面白そう!」
スカウト成功! すると金髪少女まで参加してきた。
ぐっ、ならば――――いでよ杏子たん!
召喚術でリビングにいる杏子を召喚した。まあただの転移だけどね。
「おっ、なんかおもしろいことしてんじゃん! 負けるなよさやか、ソラ!」
「わかってるわよ!」
「おう!」
オレ達神器使いの友情パワーで徐々に閉まる扉。どうだ参ったか!!
「くっ、このままじゃ…………!」
「誰か…………誰か……助けて!」
天は彼女を――――――――
「諦めないでフェイト!」
――――――――見放さない。ナースキャップを被った女性が助っ人にきた。
「えっ? リニス…………あれ?」
「前を向きなさいフェイト! これを逃したら機会はありませんよ!?」
「はっ、そうだね! わかった。がんばってみる!」
「その意気です!」
徐々に閉まっていった扉が再び開け始めた。
「おのれニャン吉。裏切るか!」
「私は元からフェイトの味方です! あとその名前なんかヤです!」
「なんだと? オレのお気に入りの名前だぞ!? メスオスにも付けられるお得な名前だぞ!?」
「だからってニャン吉はないでしょ、ニャン吉は! これからはリニスと呼んでくださいソラ!」
「嫌だ! ニャン吉はニャン吉だ! こうなったらこれが閉まればニャン吉! 開ければリニスって呼ぶことを賭けた勝負じゃァァァァァ!」
「望むところです!」
綱引きもといドア引きが始まる。負けられない…………この戦い!
「あれ? なんか主旨が変わってない?」
「気にするなさやか! あの猫の名前を賭けた一世一代の勝負だぞ。気を抜くな!」
「そうね! わかった! ちなみに本音は!!」
「アタシも実は気に入ってる名前なんだァァァァァ!」
熱血要素を交えた勝負は白熱する。オレは、絶対、負けない!
「なにこの熱血展開」
「まどかさん、お茶できたわよ。あら、お客様?」
「うん、どうしようかコレ」
「そうね……………………よし! 殺っちゃって♪」
「オッケー!」
「最近のマミさんは私達に毒されてきたわね」
ピンク色の地獄がオレ達に降り注いだのが、この直後だった。マジで死ぬかと思った。
最近、容赦ないねマミさん。
☆☆☆
オレ達は金髪少女の住居に来ていた。ラスボスのラストダンジョンっぽいのでさやかが宝物を探そうとしていたが、リニスに止められた。
「ニャン吉って名前気に入ってたのになぁ」
「諦めてください」
ここに来るまで金髪少女とその犬になぜリニスが生きているか聞かれたので答えた。
なんでもまどかがさやかと出かけていたときに衰弱した使い魔を発見。魔力の枯渇による衰弱だったので優しいまどかはそれを助ける。
しかしヤツはいたずらっ子だ。
魔力を与えすぎるということで、起きて早々魔力酔いをさせるという鬼畜所業を行って、しばらく寝込ませた。
「反省している…………でも後悔してないよ!」
サムアップした彼女にヘッドバットしたことは悪いと思っていない。そのせいでリニスが記憶の半分を喪失したんだぞ。
まあその後、喋って人間になれる万能猫という形でなんやかんや飼うことになった。
まさか記憶を取り戻したら、あら不思議。金髪少女の親族だったとは。
「あの…………金髪少女じゃなくてフェイト・テスタロッサですよ」
「ごめん。オレは知り合い以外の金髪の女に私怨で名前を呼ばないことにしてんだ。諦めろ」
「ひどッ!」
そうは言ってもお前さんさっきからリニスの後ろに隠れて嫌そうな顔してんじゃん。
そのせいでオレのハートもダメージ有り。
くっ、これが呪われた身体の運命か!!
「厨二くさいからやめなさいバカ」
「容赦ないなーほむら」
「当たり前よ。…………厨二に恥ずかしい目にあったことがあるのよ」
数あるループした世界の一つのこと言ってるだろうなぁ。
ちなみにマミさん。「ひどいわねその人」って言ってるけど、たぶんあなたのことを言ってるのだと思うから。
リニス「そろそろです。準備はいいですか?」
ほむら「OK。いつでも殺れるわよ」
まどか「先手必勝だね♪」
さやか「ふっふっふっ、このさやかちゃんの実力を見せるときだね」
杏子「オイ、お前ら何と戦うつもりだ?」
やる気じゃない殺る気満々な彼女達を止める杏子。あと千香なんか鼻の下を伸ばしてなに考えているんだ?
まあ手にある写真がロクなことじゃないって証明してるけど。
(プレシアサイド)
フェイトを使って神器使い達を招待することに成功した。
彼と彼女達の力があればアリシアが生き返るかもしれない。それが駄目でも他に方法を知っているかもしれない。
そんな期待を胸に私は顔をあげる。そこにいたのは――――――――
「みんなお姉さん、友江マミ!」
「元気百倍、正義の味方! 友江さやか!」
「じょ、情熱少女…………友江しょ、杏子…………」
「天使な笑顔であなたを魅了、朱美まどか!」
「シスコンで何が悪い? クールビューティ朱美ほむら参上」
マミさやか「「五人!」」
杏子まどかほむら「「「揃って!」」」
「「「「「ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット!!」」」」」
………………………………。
五人の少女がそれぞれ衣装を着てポーズをとっていた。
あ、そういえば、昔アリシアもテレビでよく見ていたわね~。
確か、プリプリでキュアキュアな少女戦隊を。
「リアクションが薄い!?」
「くっ、何が悪かったのかしら…………」
青髪少女と金髪ドリル少女は悔しがり、
「は、恥ずかしいわ…………」
「よくがんばったよほむら。アタシがアンタを褒めてやるから泣くな。ていうかアタシが泣きたい」
「涙目なほむらちゃん…………萌える!!」
羞恥に苦しむ赤と黒の少女。それを見て鼻息を荒くする桃色の少女。
うん…………なにこのカオス。
「恐らく萌え萌えパワーが足りぬからじゃ」
「「「「は、博士!」」」」
「いや博士って誰だよ。つーか千香かよ」
博士と名乗る白衣を着て、ちょび髭つけた少女に赤い少女はツッコむ。
そんな博士の傍らには死んだ目をした犬耳をつけた少年がいた。哀れ見えたのは気のせいではない。
「ポチ、例のモノを」
「わかったワン。あとお前後で覚悟してろよゴラ」
ポチは最後に物騒なことを言いながらカバンからジュエルシードを…………って!
「なぜジュエルシードがここにあるの」
「ちょっと深海から一つとって来ました!」
「さりげなくすごいこと言ったわね! な、何に使うつもりなの!?」
「ふっふっふっ…………聞きたいかい? そこの紫ガール」
寒気がはしる。嫌な予感がして一歩下がる。
「喜びたまえ紫ガール! このジュエルシードを使い、今日からピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット一員となるのだ!」
とんでもなく恐ろしいことを言い出した!
「グフフフ…………熟女のコスプレは一部のマニアでは高額品。そしてその一人である私にはご褒美!」
「ここまでゲスい女子は初めてみた」
少年から呆れの嘆息が吐かれた。止めるつもりはないみたい。
に、逃げないと! 主に貞操と大人の矜持を保つために――――ってリボンに縛られた!?
「ふふ、ようこそ。ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテットへ!」
「歓迎するわ後輩」
「じゃ手始めにパシリからだね」
「最近親友のまどかの豹変の愚痴を聞いてもらうよ」
ただの子どもじゃなかった。こいつらは魔王の団体だったのよ!
私は今となってとてつもなく後悔した。
「と、止めないのリニス?」
「ええ、これも天命。仕方ありません。というか今までの怨みを晴らすチャンス」
「リニスって意外に黒かったんだねぇ」
味方に助けを求めようにもリニスがそれを邪魔してくれた。
「あ、千香。もしその写真できたら一枚くれ。近所のおばさんに見せたい」
「んじゃ、オレもクラスのネタとして」
「あんた達は鬼か悪魔よ!」
思わず涙を流してそう言ったが現実は無情。博士が徐々に近づき願った。
「さあジュエルシードちゃん! 歪んだ願いを叶えてちょ!」
ジュエルシードが正常に作動し、私の服装がだんだんとフリフリの少女の服装に…………イヤァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
※ここから先は本人の矜持のためにカットします
哀れプレシア。裏話では彼女の写真は管理局では高額商品になってるそうです。
感想に「リニスにソラへの嫌悪感はないの?」という質問がありましたので答えますと、この呪いも徐々に解かれているのか、リニスには嫌悪感を感じないようです。というかこの呪いは初対面の時の好感度がマイナスもしくわゼロになる程度です。
なのでリニスは対してソラのことは嫌ってない知り合い程度の関係です。
ちなみに無印編が終わる頃に呪いは解ける予定です。
次回は番外編です。
――――彼女の記憶の扉が今開きます。