とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「ハハハハハハハハッ。やっとだ! やっと始まる!」

byスカエリッティ


第百十二話

地上本部公開意見陳述会当日。遂にこのときがきた。

 

…………さあ始めよう、決戦の狼煙を。

 

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

 

なのは達は公開意見陳述会の部屋から外のところで待機していた。理由はレジアスがはやてを嫌っているというのもあるが神威ソラと関わりある者達を除外するためである。

 

「なに考えてんねん!」

「大方、我らの中にスパイがいると疑っているのだろう。もしくわ我らが捕まえることをないようにだな」

「アホもここに極まりやな」

 

はやてはもはや言葉にできないくらい呆れていた。なのは達も同様だ。幸い中にはレティやリンディ、ミゼット達など知り合いがおり、中の様子だけわかるようにしていた。

 

「キャロに感謝だな」

「…………なんやろ。これは感謝したらアカンような気がする」

「盗聴も犯罪だからな」

 

なぜああなったのかとはやては嘆くが、しばらくしたら治まった。だいたいアイツのせいである。

とりあえず、キャロとエリオに余計なことを教えたソラのコピーヤローに八つ当たりしようと決意するのだった。

 

 

――――そして

 

――――時は来た

 

 

警報が鳴る。外からナンバーズとガジェット達が攻めてきたという情報だ。なのは達は今すぐ外に向かおうとしたが、ここでなのはは違和感を覚える。

 

 

――――『無血の死神』(・・・・・)はそこにいるのか、と

 

 

気づくのは遅かった。公開意見陳述会の部屋に千香のバリアらしきものが覆い始め、逃げられないようになっていた。

 

「リンディさん! レティさん! ミゼットさん!」

 

応答を呼び掛けるが返事がない。なのはは部屋に覆われたバリアにただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

一方、雷斗はヴィヴィオと遊んでいた。まあ、彼としてはなのは達に例の会議を任せるのが得策だと思っているからである。

すると再び警報が鳴った。雷斗はそれを聞いて嘆息を吐いて部屋から出た。

 

「ちょっと行ってくる」

「いってらっしゃーい♪」

 

全然不安じゃなさそうなのは雷斗式教育が役立っているのである。

さて、雷斗は外から迫る侵入者達を排除しようと駆け出す。

 

まず四季に連絡をとろう。そう思いスマホで発信する。しかしいつまで経って来なかった。

 

すると目の前に四季を殺しかけた二人の男女がいた。やはりバイザーで顔を隠している。

 

「テメーらが四季を殺ったヤツらか」

「そうね。でもまさか復活するとは思わなかったわ」

「ナメんなよ。アイツは『萌え』を知り尽くすまで死ぬつもりがないそうだと言ってたからしばらく死なないだろ」

「いやそれはどうかと思うぞ……」

 

男性は呆れたと言わんばかりな感想をもらした。まあなんにせよ。雷斗がやることは変わらない。彼と彼女を今すぐ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブシュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ら…………?」

 

胸から手が生えていた。そして雷斗は膝から倒れて地に横たわった。

 

「どう、いう……つもりだ……」

 

雷斗は自分に致命傷を与えた女に力弱い怒りの声で言う。彼女の表情は変わらぬまま、何も言わずバイザーの男女の元に近づく。

 

「待てよ…………待てよ――――エール!」

 

最愛の彼女が裏切った。それがとても応えた。雷斗は思わず涙を流す。

 

裏切ったことに対しての怒りか、それとも裏切られた悲しみからなのかわからない。スカエリッティならば雷斗は大して怒らなかった。しかし彼女が味方したのは友人を殺しかけたヤツら。

 

ただ雷斗は血を吐きながら悔しがる。

 

「ごめんね、雷斗。でも…………『グリード』様の命令だから」

 

彼女は無表情でそう言って魔法を雷斗に放つ。

六課に爆炎が舞い、そして雷斗は――――

 

 

 

 

こうして六課は致命的なダメージとヴィヴィオを奪われた。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

ところ変わって意見陳述会の会場内。そこには銀髪の男は中央にいた。彼の目は完全に復讐に燃えた恐ろしい目だ。

 

そしてレティ、リンディ、ミゼットは思う。

 

これが私達の罪なのか、と。

 

「貴様、どこか――――」

 

Sランクの魔導士の一人が口を開いた刹那、そいつは死んだ。いつの間にかソラが彼を斬り殺したのだ。

目に見えぬ早さで味方を殺した相手にSランク以上の魔導士達は戦慄を覚える。

 

「さて、今宵始まるのは最低最悪の劇場。誰も救われない、誰も助からない――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――そう、オレが示した復讐対象は、な……」

 

一斉に復讐対象である上官は逃げ出した。しかし外には出られない。袋のネズミ。

ソラはゆっくり近づいていく。

 

「そ、そうだ! 貴様もよければ我が下に付かないかッ? そうすればこれまでの罪を――――」

「黙れ」

 

ソラは凄みを効かせた声で中年の男を斬殺する。それを見た一人の魔導士がソラに攻撃を加える――――前にどこから現れた一刀によって首を狩られた。

 

「お前の欲望でオレ達はバラバラになった。お前達のせいでオレは失いそうになった」

 

硝子玉のような瞳は怯えた子羊を写していた。

 

「お前達は敵――――だから殺すって決めた。お前達の町を、管理局を、全て破壊してやる…………!」

 

ここでやっとSランク以上の魔導士達は動いた。このままでは友人や家族、恋人にまで被害に及ぶ。だからこそ、目の前の少年を止めなければならない。

彼らは自分達の上官の前に立ち、ソラから守ろうとしていた。最後まで自分の責務を果たそうとしていた。

 

「それが答えか」

「やれやれ…………どうなっても知らないぞワシは」

 

一刀は呆れ、ソラは笑みを浮かべる。彼らにはもはや傲慢はない、自惚れはない。自分の責務を果たすために彼の前にいる。

だからこそ、彼は敬意を表して呟く。

 

「いいぜ。お前らがオレの邪魔するなら皆殺しだ。誰も生かさない、許さない、救わない――――覚悟しろ」

 

幸いな話、昔馴染みだったのかリンディの関係者及び知人にはソラの毒牙はかからなかったそうだ。

そして彼女は語る。

 

 

――――あれはもはや蹂躙だった…………と

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

ああ…………歯車は止まらない。最悪な形と最高の形。

 

果たして運命は何をもたらすのか?

 

「それがわからないのが人生なのにょ!」

「ミルたん。オメー、何言ってんだ?」

「変な電波を受信したにょ。あ、もう大丈夫なのかにょ?」

「まあーな。さてと、あんにゃろー。ボコボコにした仕返しに今度は本気の本気で当たってやるぜ……!」

 

どこかの異世界で、復活する男は…………いた!

 




誰かが復活する予感!
そしてまさかの裏切りに倒れた雷斗の運命は如何に!?

まあ、無事かどうかはさておいて『グリード』というヤツがエールを裏切らせた犯人ですが。

次回、『あ、でも結局ギャグがあります』

――――え? シリアス路線で始まらないの?


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