by朱美まどか
(雷斗サイド)
こんにちわ、みんなの友達雷斗くんです。え? 友達じゃないから引っ込んでろ?
よろしい後でお前の電話にイタ電、迷惑メールの嵐を送信してやる。覚えてろ。
それはさておき、俺はこの状況に困惑していた。どんな状況だって?
それは――――
「さあ雷斗くん、パパってどういうこと? 答えて。答えないと撃つ、答えても撃つから」
高町なのは、それどのみち真っ黒黒助じゃん。てか、レイジングハートでグイグイ背中を付かないで痛いから。
――――回想――――
なぜこんな状況になったかと言うと今肩車している少女ヴィヴィオの知り合いっぽいシスターがいきなり「このロリコンがァァァァァ!」といきなり襲いかかってきたのだ。
前からの奇襲はびっくりしてつい反撃しちゃったよ、俺。しかもモノの見事なカウンターでシスターはノックアウト。ヤベ、殺っちゃった?
後で山奥に遺棄しないと。
「パパー、この人だーれー?」
「パパじゃねぇよ。このシスター、お前の親族じゃないの?」
「ちがうよー?」
「なら、新手の誘拐犯か。よし、ヴィヴィオ。119だ。そうすればこのシスターは安全な場所に送ってくれるから」
「ヴィヴィオ、それわかんないよー……」
「なら俺が教えてしんぜよう。まずはこのスマホで」
「やめなさい。てか、この人が不憫だから」
高町なのはが現れた!
雷斗は腕を抑えられた!
…………いやどっかのRPG風に言ってみたけど、ホントに腕を抑えられてスマホを取られたから。いつの間に来たんだこの人。
「とりあえずその子を捜しにきたんだよ。病室からいなくなってたからね」
「把握。要するにお前の娘なのね。…………ごめん、悪かったからレイジングハートを眉間に構えないで。怖いから、マジで」
「よろしい」とニコニコと笑う魔王様。最近の子は容赦ないなぁー。なんでだろ……………………あ、俺のせいか。
「パパー、このひとだーれ?」
「高町なのは。通称魔王――――あ」
「ちょっとO☆HA☆NA☆SHIしようか」
口は災いの元とはこのことである。
――――回想終了――――
それから高町なのはにいろいろと説教と砲撃をかまされた。ヴィヴィオをどこかに座らせて曲芸師並みに動いたことは言っておこう。
てか、中庭で砲撃をするなよ。結界を張ったからって安全であるとは限らないから。
そしてヴィヴィオ、お前はなぜはしゃぐ? 俺の曲芸師並みの動きに喜んでいるのか、高町なのはの爆音に喜んでいるのかわからないけど、とりあえず将来のお前が不安になった。どうやるお前の未来。
なんとか話をつけて落ち着かせたが、まさか今度は『パパ』に関して聞かれるとは思いもしなかった。
まあ、正直に答えて誤解は解けたけど。
「要するにこの子は雷斗くんの娘じゃないのね?」
「童貞はエールに食われたけど他に交わった覚えはない」
「オイこら。子どもの前で不穏な発言するなし」
高町なのはに怒られた。まあさすがにこの発言はマズイよな、教育な面において。
「お詫びとして今日から『なのは』と呼んで」
「だが断る」
「お詫びとして今日から『なのは』と呼んで」
「いや、その…………」
「お詫びとして今日から『なのは』と呼んで」
「…………はい」
今わかった。高町なのは――――いやなのはは桃子さんの娘である。強引だよ、この人。
「うーん、でもこの子の本当の親は未だにわからないし。どうしようか」
「パパー、ねむいー」
「よしよし、パパは忙しいからママとおねんねしましょうねー?」
「さりげなくママのポジションに入りやがった」
まあ別にいいか。パパよりママ。父より母。
母性愛とは子どもを安心させることができる偉大な力なのだからな。
それに…………アイツもあんな風だったしな。
今では『無血の死神』って呼ばれてるけど。
それから俺となのははヴィヴィオを両側して彼女の手を握って病室に戻るのだった。
「あの……私は…………」
そういえば謎のシスターのことをすっかり忘れていた。ちなみにシスターことシャッハさんはどうも俺がヴィヴィオを拐う変態かと思って攻撃したようだ。
…………誰がロリコンだコラ。
(??サイド)
ティアナ達フォアード陣に新たなメンバーが加わった。ギンガ、シルビィア、ホープ、マリーの四人達である。主にゲンヤが呼んだ助っ人らしい。
それから助っ人三人による模擬戦を行い、彼と彼女達の強さを肌で実感していた。
「フリード、プラストバーン!」
『GYAAAAA!!』
「マジでポケ○ンの技を使ってきやがったァァァァァ!?」
ホープは炎属性最強の技を回避したが、ビルマの上層が燃やし尽くされた。
「チッ、外したか」
「オイこらチビッ子ッ。なんで殺る気満々なんだよ!? てか、よくそんな技を覚えたな!」
「愛に不可能はない!」
「スゲーなお前の愛!」
などホープはキャロのキチガイ火力に苦戦したり、
「はァァァァァ!」
「どぅりゃァァァァァ!」
互角のラッシュをし合うスバルとギンガ。
「ってやりにくい!」
「反則ですよ、あの人の重力操作!」
「ぐががががが……重いィィィィィ……」
そしてシルビィアのレアスキルに苦戦するティアナ、エリオ、アオ達であった。
彼女のレアスキルは人を潰せるほど威力はないが、重りを与える程度の重力を与える。そのため今受けているアオは動きににくいのでシルビィアが放つ魔力弾が回避できずに直撃した。
「ゲブゥ!!」
「ああッ、アオさんの顔面に魔法が!」
「ストライク!」
「ティアナさん、せめて心配しましょうよ!」
そんなこんなでフォアード達の模擬戦は続く。
☆☆☆
模擬戦が終わり、はやて達隊長組とフォアード陣は食堂で昼食をとっていた。フォアード陣は新たに加わったギンガ達と友好を深めていた。
するとテレビではレジアス・ゲイズが新兵器について説明と質量兵器の有効性について語っていた。
「確かに魔法と大して変わらないな」
「どういうことや衛くん」
「例えば魔法の非殺傷設定。あれがなければ魔法も質量兵器と大して変わらぬ。また質量兵器の利点は使いやすいということだな。例え魔力が使えなくとも使えること、だな」
「うーん、確かにそうやなー」
「だが同時に訓練されていなければ危険な代物だ。ゆえに質量兵器を持ったばかりのヒヨッ子が犯罪者達を捕まえるにはあまりオススメできぬのだ」
「もっとも訓練されていたら大丈夫だがな」と衛は呟く。危険な代物だが犯罪者を捕まえるには悪くない代物だ。
武器は殺人にもなる。しかし使い方によっては抑止力となる。
肯定も否定もしない。
それが衛の意見だ。
「私としては立案してほしくないで。こんなか弱い乙女が傷ついたらどないすんねん」
「筋肉を鍛えれば不可能ではない!」
「…………せやった。この人、筋肉で銃弾弾く化け物やった」
マッスルキングを目指す我が家の旦那様にはやては額に手を当てて呆れてしまう。
「地上本部公開意見陳述会がそろそろだな」
「確かお偉いさんが集まるとこやねんな?」
「そうだ。そして厄介な話……」
「『無血の死神』の予告状。それもソラくんを捕獲しようとしたアホ共やな」
『無血の死神』は予告した。
『我が恨みを晴らすときがきた。関係者一堂覚悟しろ』
そんな予告がはやてが言うアホ共に届いた。彼らには危機感がないのかあまり信用していない連中が多かった。当然だ。
いくら『無血の死神』と言えど管理局の中心的な会議に来るのは飛んで火に入る夏の虫なのだから。
「確かに護衛はおる。Sランク以上の魔導士ばかりや。けど……」
「魔導士殺しと呼ばれてる我が友を止められる保証はどこにもない」
はやてと衛は不安だった。
そしてそれは的中してしまうとはこのときはやてと衛は気づかなかった。
☆☆☆
ほむらとまどかは久しぶりに外に出かけていた。気分転換を兼ねてであるが、ホントのことを言えばソラの誕生日が近づいていたからだ。彼女達はソラが喜ぶモノを買いに街道を歩いていた。
「にしてもソラくんってこういう甘いお菓子が好きなんだー」
「ええ、彼って師匠譲りの甘党らしいわよ。しかもグルメ」
「だからデートのときに美味しいお店知ってるんだ……」
知られざる趣味にまどかはしみじみと納得していると背後から荷物を奪われてしまう。引ったくりという愚か者だ。彼は路地裏に消えていくことをこの目で見ていた二人である。
「始末してくるわ」
「あ。じゃあ私も」
「まどかは待ってて。すぐだから」
ほむらはそう言ってまどかをその場で待たせた。それから一分程度でほむらは荷物を取り戻し戻ってきた。
「早かったね」
「あんなザコと比べるまでもないわ。さあ、帰りましょ」
ほむらが先にいくという形でまどかは彼女の後ろについていく。
(…………あれ?)
そのとき彼女はふと疑問に思う。
(なんだろう。なんか違和感ある……)
まどかはほむらに僅かな違和感を感じていた。そしてそれはほむらだけではないと気づくの先の話だった…………。
やっとね雷斗! パパにランクアップだよ!
ちなみに第二婦人の座をエールが狙っていたりする…………。そして最後に出てきたのはフラグです。
…………このフラグがソラ達に最悪をもたらします。
次回、そして彼は動き出す。
――――遂に彼は殺ってしまった…………