とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「パパってなんぞ?」

by雷斗


第百十話

(??サイド)

 

 

「チッ、ちょこまかとッ」

「ゼェゼェ…………なんなんですか、この人」

「私の『シルバーカーテン』お構いなしに撃ってくるなんてぇ…………」

 

クアットロはISで逃走を計ろうとしたが、なぜかなのはに見破られて逃げられないように的確に砲撃を撃っていた。

 

「どうやって見破ってぇ…………」

「勘。シックスセンス」

「人外になってるぅ……」

 

もはや絶望的である。すると、なのはの遥か後ろから爆発がした。なのはが振り返るとそこには局員に囲まれた青髪の男性がいた。彼は周囲に泡を出現させ、それで局員を閉じ込めた。

 

(敵? いや、このメガネも知らないって顔をしているし……)

 

思案していると泡に閉じ込められた局員達が閃光を放ち――――

 

 

 

 

ドガァァァァァンッ!

 

 

 

 

爆発した。爆死したのだ。局員がいた場所は血で汚れ、肉一つも残していない。

なのはが彼を敵として断定するには充分だった。彼女は砲撃で青髪を消し飛ばそうとしたが、あっさり避けられた。

 

「いきなり撃つとは狂暴なレディーですね」

「知ったこと。あなたがしてることは許されないことだから撃って当然なの。それにあなただって話し合いに来たわけじゃないでしょ?」

「クスクス…………そうですね」

 

不気味に笑う青髪の男性になのはは警戒心を高める。青髪の服装は黒のタキシードだが胸元ははだけており、髪は女性のように長く綺麗で手入れされているようなモノだった。

 

「僕の目的はお分かりですか?」

「知るか。さっさと答えて落とされろ」

「随分と品のないお人ですねぇ。まあ、せめて…………」

 

 

局員達を爆殺させた泡が展開され、青髪の男は言う。

 

「僕の美しさのために、ち――――ブフッ!?」

 

最後まで言う前に青髪の男は地下から出てきた光線に飲み込まれた。なんで?と思いながら光線が出てきた地下に目を向けるとティアナ達が出てきた。

 

「あ。すみません、なのはさん。めんどくさかったのでぶち抜きました」

「別に問題ないの。というかさっきからエリオくんがキャロにチュッチュッされてるのだけど……」

「無視してください」

「了解」

 

「そんなぁッ!?」と叫ぶエリオだったがすぐにまたキャロの餌食にあった。

それからなのははクアットロ達に目を向けたが、どうやら逃げられたそうだ。フェイトもここに来た辺り、同じだろう。

 

「おのれ、紫。私のエリオくんのファーストを奪った罪を必ず裁く」

「なんかキャロも壊れてきたなぁ」

 

フェイトはしみじみと呟く。キャラ崩壊が激しいのがこの作品である。そんなことはさておき、光線に飲み込まれた青髪の男は今度は厳つい顔の中年に担がれた形で現れた。

どうやら彼らは仲間のようだ。

 

その中年男は大きな身体で筋肉がガッシリしており、黒いタンクトップとズボンを着ただけの格好だが、おそらく身軽に動けるためだろう。

その中年男はティアナを見てニヤリと笑う。

 

「なるほどなァ。ラストの馬鹿が不意打ちでやられたのも頷ける」

「不意打ちじゃないわよオッサン。というかアンタ誰?」

「オレァ、プライド。そして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――『無血の死神』だァ」

 

なのは達はそれを聞いて驚く。『無血の死神』は神威ソラが持つ異名だ。それをこの男が名乗っていることがおかしい。

 

「どういうこと? 『無血の死神』は神威くんじゃないの?」

「あんな旧世代と一緒にすんな。オレァ、新しい世代の『無血の死神』だァ」

 

プライドは手を前に出す。そこから光と共に現れた――――――――カギのような剣が

 

「『全てを開く者』!?」

「クックックッ、やっと理解したようだなァ。オレこそが『無血の死神』だァ!」

 

そういえばソラらしくない殺し方が度々あった。その殺人は一撃必殺ではなく、被害者を殴り、苦痛を与えて殺すという悪質な殺し方だった。

そのときは上層部が血を流すことなく殺されていたため、『無血の死神』ということで収まっていた。

 

そして――――ティアナの兄はまさしくそんな(・・・)殺され方をしていた。

 

「アンタが…………アンタが兄さんを」

「そうだァ。まあ旧世代がとどめをさそうとしたときに現れて、殺せたかどうか確認できなかったが、まさか旧世代が犯人扱いされてこちらとしては大助かりだったァ。なんせ、こちらは快楽殺人し放題だったからなァ!」

 

笑うプライドにティアナは魔力弾を放つ。しかし、それは『解錠』によりキャンセルされ消滅した。

 

「無駄無駄ァ! これがどんな神器か知ってるだろォ?」

「クソ、クソ……」

 

涙を流し、自分の無力さを知るティアナ。

 

――――なんで、なんでここに来て兄さんの仇をとれないのッ!

 

悔しい悔しい悔しい!

 

彼女は射殺さんばかりにプライドを睨むがヤツは好戦的な表情をしていた。

 

「ここで皆殺しにしてやろォか?」

 

笑うプライドだったが直後、その表情をやめてその場を離れた。彼がいたところからアオと四季の斬撃がきた。

 

「外したか」

「あ。ヤベ、落ちる。えいや」

「ちょっ、ズボンの裾を掴むなよ! 脱げる脱げる!」

 

宙には浮けない四季はそうやって落下を阻止する。そんなコントにプライドは険しい顔をする。

 

「テメェ、嘗めた真似を……」

 

「なめる? あいにくオッサンよりティアナのようなピチピチギャルをナメナメしたい」

「発言が変態っぽいぞ。あ、でも変態か。なんせ究極の変態の遺伝子があるし」

「なんだと。よろしい、戦争だ。どちらが萌え萌え写真をとるかを雌雄を決する」

「上等。我が最高兵器の十香ちゃんの力を見せてやる」

 

「オレを無視するなァ!」

 

プライドは激怒する。しかし二人は勝手に変な戦いを始めようとしていた。

プライドは無視する二人のクソガキを殺そうとしたとき、声がした。

 

『プライド、さっさと帰ってこい』

「しかしラース!」

『アオ・S・カナメはまだしも、そこにいる変人は興味のないことには全くの無関心だ。その無関心な者が邪魔すれば即刻抹殺される』

「そんなもん、オレの神器でェ!」

『愚か者。あの方に迷惑かけるつもりか? 貴様に力を与えてくれたあの方を』

 

プライドは歯を食い縛り怒りを抑えた。そして二人のクソガキに対して言う。

 

「テメェらはこのオレがゼッテー殺してやる! 精々怯えて待ってろォ!」

「わかったわかったからさっさと帰れブサイク」

「ウザいキモい暑苦しい物体はゴミ箱に帰れ」

「ゼッテー殺す!」

 

完全に興味なし。それに怒るプライドだが、二人は完全に眼中にない。

転移魔法でどこかへ行ったことを確認してから二人は同時に呟く。

 

「「邪魔者は消えた。さあ、始めよう。我らの萌え萌えバトル(聖戦)をッ」」

「『ハイペリオンスマッシャァァァァァ!!』」

「『ディバインバスタァァァァァ!』」

 

ティアナとなのはの極太砲撃魔法がアオと四季の二人に直撃した。プライドという敵を見逃してしまうから当然の報いである。

 

なお、四季はアオという肉の盾とプロテクションを使いちゃっかり無事だったが。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

スバルの姉ことギンガ・ナカジマは二人の同僚と一緒に破壊された研究所を調査していた。どうやら違法研究していたところだったらしく、謎の割れたカプセルが三つあった。

 

「ギンガさん、三つありますけど何があったのですかね」

「シルビィア、たぶん猫耳幼女を造っていたんだ。獣人に萌えを感じる人達だからきっと造っていたはず」

「それはお前だけだ。てか、なぜに幼女? 普通お姉さまじゃね?」

「幼女こそ至高で純粋な存在である」

「そういえばお前、『ロリショタ愛好会』の会員だったな」

 

ホープ・アブストラクト――――優秀で顔が整っている美青年だがロリコンという残念なレッテルがある。同僚であるシルビィア・スノーマンは悲しきことに彼の幼馴染みだったりする。

 

「はいはい、イチャイチャしていないでさっさと調査」

「イチャイチャしてませんよ!?」

「そう? でもシルビィアって彼のことを……」

「わーわー! それは言わないでくださいー!」

 

必死に誤魔化すシルビィアにギンガはクスクス笑う。三人はこのような部隊で仲良くしているのである。

 

(にしてもカプセルが三つ……か)

 

ギンガはふと疑問に思う。三つが割れているということは実験体が三つ存在していたことになる。その三つは行方不明だが、しっかりと資料が残されていた。

 

(だけど書かれていたのは実験体の一人のみ。その他の実験体の資料は破られている……)

 

きな臭い。まるで二体の実験体の存在をなかった(・・・・)ことにしたいような感じがギンガはした。

 

考え込むギンガにシルビィアはヒョコと顔を出して資料を覗き込む。

 

「それでその実験体は何者なのですか?」

「ホープの大好きな幼女よ。しかもヴィヴィオという名前の聖王のクローン」

「ヤッフゥゥゥゥゥ!」

「ホープが暴走した!?」

 

ホントに相変わらずだなぁ。まあなんにせよ。厄介なことに変わらないとギンガは思うのだった。

 

 

 

 

(雷斗サイド)

 

 

 

 

 

どうもみんなの雷斗です。すずかとアリサから逃げ出した雷斗です。

ホントによく逃げれたもんだよ。アリサはどこからか入手したのかもわからない(双剣双銃《カドラ)で、すずかは黒いブーツを赤く熱しながら追ってきた。

うん、アリサ。お前いつから緋弾を受け入れた。そしてすずか、いつから悪魔の風脚を習得した。

 

なんというか俺に関わったことで人外かしてるのは気のせいだろうか……。

 

まあそれはさておき、病院に逃げ込み彼女達が諦めるまで隠れていた。ここならさすがに騒げないしな。

 

結果、見事に成功。どうやら彼女達は恭也さんや鮫島によって地球に帰らせられることとなった。

「覚えてろー!」「再会したら覚悟してね」と言って帰ったようだ。ザマァ。

 

さてさて、病院に逃げ込んだ病院を散策することにした。現代の医療技術に興味はないことはないが、何よりエールや高町なのは達によって溜まった心労を癒すためである。なので中庭を散歩していた。

 

綺麗な花が咲いてる花壇の道を歩いていると一人の少女が花をじっと見ていた。金髪でオッドアイ。白い入院服を着た少女だ。

なんというかエールが言ってた踏み台転生者っぽいなぁ。

 

俺はそう思っていると少女はいつの間にかズボンを掴んでこっちを見ていた。

 

「パパ…………?」

「パパじゃねぇよ」

「ママ…………?」

「まさかのママかよ。いやママじゃねぇよ」

「パパ?」

「え、リピート? ヤベ、選択肢エンドレスパターンに入った」

 

まあどうでもいいけど。それよりこの幼女はなぜここにいるか聞いてみた。どうやら彼女は迷子のようでママを探しているそうだ。これはイカン。即刻ママを見つけなければ。

理由? ぶっちゃけた話、エールが知れば間違いなく毒牙にかかるから。

 

「んじゃ、ママを探すぞー?」

「おー!」

 

肩車してやると元気になったのか良い返事をしてくれた。

 

 

そして、俺はこのとき気づいていなかった――――また面倒なことに巻き込まれていることに…………。

 

 

まあ、いつも通りだしね。問題ないけど。




現れた本来の敵――――
そして彼らの目的は如何に――――

そんなことなど露知らず雷斗は幼女と戯れる。あれ? なんか雷斗が変態っぽいな。

さて次回は、ほのぼのしていた日常――――だったのに…………

――――コメディはない。カオスもない。最後にあったのは最悪の足音…………

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