とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「だいたい千香のせい」

byアギト


第百八話

(??サイド)

 

 

 

ティアナとスバルはヴァイスのバイクで風となり、エリオはキャロの強制デート、雷斗はなのは、すずか、アリサという三大美女とリアル鬼ごっこという充実な休日を過ごしている。

 

あれ? 最初以外ろくなモノじゃない?

 

まあいいや。

 

そんなこんなで一人になったアオはシイに誘われて外に出かけていた。カフェで彼女とお話がしたかったからだ。

 

「お兄ちゃんのクローン……だったよね?」

「厳密にはプロジェクトFで造られた『人造神器使い』だ。まあ違いがあるとすれば信念だな。アイツは切り捨てるモノは切り捨てるが、自分は絶対に切り捨てない」

「…………理想論ね」

「確かにそうさ。でもいいじゃん。簡単に諦めるより最後の最後まで足掻き、苦しんで、成功を掴む。そういうもんだろ、夢や理想って」

 

そういうところは実はソラもそうなのだが、彼は最後の最後で、どうしようもなければ切り捨てる。アオは逆にどうしようもなかろうが足掻く。

 

諦めないと諦める。それがアオとソラの違いである。

 

「……お兄ちゃんは私のことが嫌いなのかな」

「さあな。でも『ソラ』の記憶ではアンタの母親はアイツを拒絶した。会いたくて会いたくて仕方なかった人に、否定され、拒絶されたことはアイツにとってトラウマになっているんだ」

「一ノ瀬という名前が?」

「いや血の繋がりがだよ。もっともアイツにとって『一ノ瀬ソラ』は理想を目指して師匠――――『五木雷斗』を死なせてしまった忌むべき過去の存在だ。だからこそ、『一ノ瀬』という名前が許せないんだ。思い出すだけで腹が立つ…………ってな」

 

それがソラがシイを拒絶する理由。自分の過去を思い出させるトラウマと思い出を持つ存在が許せない。

だから拒絶したのだろうとアオは推測した。

 

「つまりソラにとって『一ノ瀬』の名前と思い出は地雷なんだろうな。シイさんが彼のことを『一ノ瀬』と言わない限り、大丈夫だと思う」

「……………………」

「シイさんには悪いが、あの人は変わってしまったんだ。もうあの人に優しい心はない。敵を許さない冷酷な『無血の死神』さ」

 

シイがソラと出会ったのは母親が彼を拒絶したときだ。知らない男の子だったが、彼女は彼が悪い人ではないという印象だった。

 

会いたかった。父親が違うとは言え、兄と呼べるべき人に。そしてごめんなさいと言いたかった。シイの前世はそんな後悔がある人生だった。

 

「私は諦めません……。兄に拒絶されようとあの人は私の兄ですから」

 

それでいい、とアオは思いながらコーヒーを口に含んだ。

結局、彼女の意思を尊重するのでいいやと思っている。

すると、シイのデバイスから通信が入った。どうやらエリオとキャロからのようだ。

 

「アオ、エリオとキャロが小さな女の子を保護したようです」

「へー、なんか訳ありみたいだな」

「そしてキャロが呪詛を吐きながら呪い人形を五寸釘で打っています」

「ちょい待ち。どんなカオスだよ」

 

大方、デートの邪魔をされたことに対して腹を立てているが呪い人形に五寸釘とはシャレにならない。何してんだホント。

 

「現場に行きますか」

「そだな。てか、ドコでもドアが使えたらなぁ……」

「あなたができるのは『解錠』と『封印』くらいですからね」

 

アオはまだ『全てを開く者』を完璧に使いこなせていない。そこがソラと差があると言えばそれまでだが、まあなんにせよ。彼と彼女は現場に向かうのだった。

 

 

 

 

(エリオサイド)

 

 

 

 

どうもエリオです。キャロに拉致され、強制デートで振り回されていたがマンホールから小さな女の子が出てきた。人気のないところのマンホールだったのであまり騒ぎにならなかった。

 

え? なんでそんな場所に僕達がいたって?

 

……察してください。キャロの暴走はもうどうにも止まりません。しかもどこからか入手したのか呪いの人形と五寸釘を持っていたし。その人形がどこかの魔王の亡霊だったし。

 

まあそれは雷斗さんから学んだ念仏で成仏させたが、今はどうでもいいです。僕とキャロ、スバルさんとティアナさんはマンホールの下にある水道を調査することとなった。どうもレリックがあるみたいだったので。

 

「チッ、せっかくエリオくんとラブいちゃデートしていたのに」

「あからさまに舌打ちしないで。キャロのファンに怒られるから……」

「大丈夫だよ金ちゃん。ヤンデレがステータスなのは私の個性だから」

「誰が金ちゃんだし。緋弾の人とゴッチャにしないで」

「そんな細かいこと気にしてると禿げるゾディアック卿の逆襲☆」

「ウザいし、わけがわからないよ。てか、どこのアイドルだよキャロは」

 

中の人ネタにはしる暴走少女キャロにツッコミながら僕は前に進む。すると、声が聞こえた。どうなら先客がいたようだ。

 

「チビッ子達、合図を出したら、私達が敵を引き付けておくからその間にレリックを確保しなさい」

「そして愛の逃走しろってことですね。わかります」

「オイこらピンク。アンタいい加減に自重しろよ。ツッコミする暇がないのよ、こっちは」

 

青筋を浮かべてクロスミラージュを構えるティアナさん。最近、彼女が怖いです。アオさんのせいだと思ってましたが雷斗さん式ブートキャンプで凶暴化してるような気がします。このままだと第二のキチガイが誕生するのでしょうか……。

 

「最近のティアナは怖いね……」

「スバルさんもそう思いますか?」

「夜中に閃光弾を作っていたからね」

「何に使うのかな……」

 

ティアナさんの凶暴化に憂鬱なため息を吐いていると彼女は僕達に耳栓を渡してきました。

え、何に……と言おうとしたとき彼女はパイナップル状の金属からピンを引き抜き、敵に向けて投げた。

 

 

ドガァァァァァン!!

 

 

軽い爆発が起きました。

 

「って、ティアナさんンンンンッ!?」

「何よチビッ子。さっさと行きなさい。とどめをさしたら私も行くから」

「いや質量兵器を使いましたよね!? 思いきり爆殺しましたよね敵を!」

「バレなきゃいいのよ、バレなきゃ」

 

黒ッ! この人黒い!

 

平然としているなんてどんだけ雷斗さんに染まっているのですか!? あの人もあの人で普通にトラップや爆撃を使ってきますしね!

 

「つべこべ言わずさっさと行く! さもなければ逝かせるわよ?」

「「イエス・マムッ!!」」

 

僕とキャロはさっさと進むのだった。だってクロスミラージュを眉間に標準されていたら誰だって逃げますって!

 

「あ。それよりエリオくん、この後一緒にお風呂入ろうよ。別に何もしないから♪ ハァハァ…………」

「僕に味方はいないのかッ!」

 

まさに四面楚歌。もう二次元に逃げたい今日この頃。誰か僕を助けてください…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変態だーーーー!! ピチピチタイツを着た変態がいるゥゥゥゥゥ!」

「スカリエッティのナンバーズって変態ばかりなの?」

「「「んなわけあるかァァァァァッ!!」」」

 

最後にスバルさんの叫びと三人の女性のツッコミが聞こえて僕の思考は現実から逃避した。帰ったら『劇場版エヴァンゲリオン』を見よ。

 

僕は決め顔でそう思う(偽物語より)

 

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

 

ルーテシア・アルピーノはレリックを探していた。彼女は仲間であるアギトとチンクと共にレリックを探していたりするが、実は違う。母親はもう目覚めさせているし、ぶっちゃけスカリエッティともう協力関係を結ぶ必要はないが、友達感覚でお願いを聞いている。

彼女は千香の教育のおかげで変態化はしてないが思考回路が快楽主義というヤバい子どもになっていた。元々イタズラ好きで社交的だったようなので、それが早い段階で覚醒してハッチャけキャラになってしまったようだ。

なお、メガーヌも実はハッチャけキャラだったのでルーテシアを止めなかったことを追記しておく。なんか不満があったのかもしれないね、きっと。

 

さて話は変わるがルーテシアには目的がある。そう、彼に会うためだ。イタズラという名目で参加していたが、彼女は意中の少年がいた。きっかけはアグスタ。一目見たときから『ユー恋してる』である。

 

悩み悩み苦しんだ末に母親に説得され、彼女は戦いの地に立つことで彼とお話をしようと決意したのだ。ルーテシアはポケットからその意中の少年の写真を取り出す。

 

「もうすぐ会えるね…………エリオくぅんッ♪」

 

笑う、嗤う、ワラウ。

 

なんとうかヤンデレ的な笑みにアギトはドン引き、チンクはルーテシアの意中の少年に同情した。

 

そんな主であるルーテシアにガリューは思う。

 

 

 

 

――――あれ? なんでこうなった?




キャロの中の人って白雪とお通ちゃんらしいです。中の人のネタって結構使えますからねー、主にメタ発言で。
ちなみにスバルの中の人ってほむほむらしいです。

え? クールビューティーもいけるのこの人ってビビったのはごく最近です。

次回、ヤンデレにはご注意を

――――ところがどっこい『敵』はいた

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