by神威ソラ
四季とポニテの女…………いや夜刀神十香だっけ?
まあいい。こいつらがオレの前に立ちはだかる状況ははっきり言ってオレは不利だ。
特に四季だ。なんでもヤツは錬金術が使え、神器以外のなんでも切り裂く力がある。
当たらなければなんともないが、師匠の知り合いに弱いヤツはいない。
例えばエール。
彼女は戦争にも関わらず、パイで敵を排除していた。
いやマジで。
パイ投げで敵を排除していた。
何やってんだッ!ってツッコんでいたけど、あのパイはクソ不味い必殺料理人作の科学兵器だったらしい。
ある意味凶悪だったと思う思い出だが、よくよく考えていればエールは全く
つまり四方八方の攻撃を防いだだけでなく砂煙でさえ浴びていなかった。
真面目な話を言えば師匠の知り合いは人外どころか超人だと思う。その超人っぽいのが目の前にいるわけだが、まあ油断ならない敵というわけだ。
「それで助けに来たわけか?」
「いやお前に会いにきた。そこに瀕死になってる役立たずはどうでもいい」
「役立たず言うなッ!」
アオは文句を言うがどこ風吹こうがおかまない無しに会話を続ける。
「お前に聞きたい。十香のこのコスチュームについてどう思う?」
「は?」
いきなり何を聞いているのかと問い詰めようとしていたら、四季がポチッとなとボタンを押した。
すると、夜刀神の服装が変わった。カジュアルな服がいきなり――――
――――バニーガールになった。ハイグレで網タイツ。足と胸に目がいきそうなセクシーな格好でうさ耳がピョコピョコ動くというセクシーとかわいらしさを表現する衣装になっていた。
「し、シキッ。これはどういうことだ!?」
「八神はやてからもらったデバイスの情報を使って簡易式のバリアジャケットさ。ここに行く前にお前に渡した腕輪がソレだ」
「だ、だだだだからと言ってここ、このような格好をさせる必要がある!?」
全くだ。なんの必要があって夜刀神にこんな格好をさせたんだ。そう聞いてみると四季はフフンと胸を張り答えた。
「全ては『萌え』のためだ」
はい?
「この俺が真理の扉で得た情報でさえ理解できなかった新たな真理。かわいい、美しい、妖艶などなどというどの言葉にも当てはまらない言葉。そう、俺は探究したいのだ――――『萌え』をッ!」
…………オレは四季という男に対して印象が知的から変な人になったよ。
「あんたおかしいよ……」
「おかしいのは当たり前だ。変人だから」
「いや変人どころかスケベだろ。かわいい女子にこんな格好させる辺り」
「知るか。美少女にセクシーな格好させて何が悪い? 男の欲望だろうが」
いや確かに男してはうれしいんだが、なんか夜刀神がかわいそうだ。羞恥心で顔が真っ赤だぞ。
「あとコイツはペットだ。俺がどんな格好させるかは自由だろ」
「私はペットではなァァァァァいッ!」
いろんな意味で顔を真っ赤になった夜刀神に四季は彼女の頭を撫でる。すると、彼女はほにゃーと顔が緩んで落ち着いた。
オイ、チョロいなこいつ……。
「ちなみにバニーガールの感想は?」
「「最高に萌えた」」
「よろしい。てか、ハモる辺り、実はお前ら兄弟じゃね?」
さすが四季。ある意味正解を言い当てていた。てか、いつの間にかアオも回復していた。エロが関わると回復するのか、こいつ?
「さて、第二モードは裸エプロンだ。見たい人、挙手」
「シキィィィィィ!?」
十香は顔を真っ赤にしながらツッコミながら止めようとするが、錬金術で造られた手錠で手足を封じられて動けなくなる。「それで答えは?」とオレ達に聞いてきた。
「「見たいです、先生!」」
「よろしい。さあ共に『萌え』を理解しよう!」
四季は再びボタンを押そうとした。しかし、彼はいきなり事切れたかのように倒れた。
「え?」と呟いたとき、次に倒れたのはアオだった。
二人とも眠っていた。いや意識がなかった。これはいったい…………。
「ソ~ラ~く~ん?」
優しい声が後ろから聞こえて背中から抱きつかれたが、振り替えるのがめちゃくちゃ怖い。振り返りたくない。しかし、振り替えられなければ彼女はさらに怒りを燃やすだろう。
ギギギとブリキのような音を立てながら首を背後に向ける。
そこにいたのは女神――――という名前の鬼神。
うん、円環の理の状態のまどかさんがいるではあーりませんか。なんだ。優しい優しい愛する彼女じゃないか。
というわけで離してよ。
「ヤダ。ソラくんにはお仕置きしないと駄目だからねー」
「な、なぜわたくしめがお仕置きされなきゃならないのですか?」
「乙女を泣かしてあまつさえ、欲情していたから」
「欲情じゃないって。こ、これは…………そう萌えだ! 萌えという概念を深めていたんだ!」
「ふーん…………」
あ、ヤベ。なんか言い訳したせいで余計に怒らせたっぽい。
というわけで――――逃げるんだよォォォォォ!
「逃がさない」
「キャウンッ」
襟首掴まれた。てか、概念化したまどかから逃げられるわけなかったァァァァァ!
「それじゃ♪ 少し頭を冷そうか…………」
「お、お慈悲をォォォォォ!」
「慈愛の女神が判決します♪ …………ギルティ」
笑顔から真顔という表情を変えたまどかさんが首を切るしぐさをした。ってちょ、マジで、やめ――ぎゃァァァァァッッッ!!
その後、目覚めたとき裸のまどかとベッドで寝ていた。身体中に痣あったのは気のせいだと思いたい…………。
(??サイド)
さて、ソラが折檻と男女こ(またの名を搾り取るという)営みをされた後の話をしよう。
四季が目覚めたことで六課に明るさが戻った。なんやかんやで四季は顔が広い男なので、喜ばない局員はいなかった。まあ、彼の好き勝手の行動が再び起きて困る局員もいたが。
なのははアオによって魔法の力を取り戻したが、しばらくは雷斗の指導の元でクロスレンジの特訓をすることになった。魔法に頼らない戦法を得るためが目的である。
なお、そのときの彼女の雷斗を見る目が友人とは違う好意的なモノだったとはやては言っていた。もしかすると特訓は建前ではとはやては推測している。
雷斗に恋する乙女が増えたことはエールによってすずかとアリサに伝えられ、彼女達もミッドに来ようとしていた。
さすがに不味いのではやては説得したが、治まる気配がなかったので後日の休みで彼女達は来ることになった。エールの修羅場計画は順調である。
アオは自分の正体を六課に暴露した。はやてやティアナなどフォアード達や隊長達はアオの正体を知り、局員達は最初はあまり良い顔をしなかったが、衛となのはによって彼は彼だと認識し、いつものように接するようになった。
彼のセクハラは相変わらずだが、なのはによって制裁されていたりしている。まるで姉と弟みたいだなーなのが局員達の印象である。
以上、少年二人と教官一人の成り行きである。
「ティアナさん、今日のパンツは何色!」
「『スターライトブレイカァァァァァッッ』!!」
「アーーーーーッ!!」
なお、アオのセクハラでティアナが『スターライトブレイカー』を覚えた。
何それ怖い。
閑話休題
その日、六課のフォアード達は休日を得た。訓練と度々あるスカリエッティ関連の事件にさすがに休み無しはキツい。なので上層部のお偉い方にO☆HA☆NA☆SHIしてわかってくれた。
さすが我らの魔王様と言っておこう。さて、そんな休日にエリオは困っていた。
彼は二次元に逃げていた時期があったが、やはり現実から逃げるわけにはいかないため自重し始めた。
いや彼もがんばっていたよ? 必死に受容しようと、ありのままに受け入れようとしていたがキャロの暴走は予想の斜め上だったため勝てなかった。恐るべし、ヤンデレストーカー。
もはやエリオにとってキャロは苦手な美少女である。出会えば至る所にキスしてくるし、お尻も触ってくる。
なので出来るだけ会いたくない。
「右…………よし。左…………よし!」
「甘いよ、エリオくん」
「ッ!」
エリオは振り返る。そこにいたのはキャロ…………ではなくキャロの立体映像が映った虚像だった。
「残像よ」と呟いて本物のキャロはエリオを縄で捕まえた。
「さあデートに逝こうよ!」
「ちょっと待って! 字が違うッ」
「あ。そうだね。じゃあ、一緒にイこうよ!」
「それも違う! というか、せめてまともな状態で連れて行ってェェェェェッ!」
哀れ。エリオはキャロによって連れて行かれる。彼の休日はもうキャロによって潰されるだろう。
「エリオも大変だな。彼女がヤンデレとかもはや悪夢だな」
「雷斗ー、アリサとすずかさんがここに来てと君とお話したいって」
雷斗は逃げ出した!
しかし魔王達から逃れられない!
「どこに行こうと言うの? 雷斗」
「そうだよ。ちゃーんとお話しないといけないんだよ?」
アリサとすずか。ムチと鋼鉄のヒールを装備した女性達が雷斗を捕まえていた。
「…………めんどくさい」
その後、彼は二人の美女の攻めから逃げ出すこととなった。彼の災難はいつもエールによって呼び起こされているのだった。
「し、シキ! こ、この服はなんなのだ!?」
「ディーラー。なかなか萌えるだろ」
なお、その日。十香は四季によって着せ替え人形させられていた。ヴァイスなどの男性陣にとって眼福だったと追記しておく。
やっぱりこれがこの小説らしいです。
さてアオの正体なのですが前回のほぼ会話通りに事実です。アオには神器――――または魂と呼べるモノがなかったので神器は召喚できないし、当初は人形でした。しかしキリトの世界で得た『全てを開く者』を手に入れたため、人格と魂と神器を手に入れました。
空白期にいた千香と一緒にいた少年こそ、アオなんですよ。
それからアオはソラの修業である程度成長してから記憶を封印してソラから離しました。なぜ? 理由は人間らしさを身に付けたかどうかの千香の実験だからです。
まあ、アオが敵対しようが味方になろうが彼女としてはどうでもいいことです。彼はソラのあったかもしれない未来の存在なのですから。
次回、休日
――――されど、ただでは済まない休日である