byサイト
(アオサイド)
今日は隊長達との模擬戦である。この模擬戦のルールは五分以内に高町空尉に当てないとまた五分からやり直しという鬼畜ルールである。
高町空尉のモットーは実戦で戦い、自信と緊張を無くすのがこの訓練の意味らしい。
別に砲撃が撃ちたいから実戦ばっかりしていると思いたくない。
高町空尉にスバル、エリオが突貫していくが、スフィアとプロテクションでなかなか攻撃が当たらない。
ティアナが指事を出すが、単純でわかりやすい。
キャロは召喚術やフリードの火炎など補助的なことをしているが、突貫している二人はそれを活かしていない。
はぁ…………暇だなぁ。
「あんたも何かしなさいよ!」
「嫌でごわす。なんで自分がトリガーハッピーに突っ込まなきゃならん」
「あのハリセンがあるでしょ! それでなんとかしなさいよ!」
「いやアレ、あくまでも魔法や能力をキャンセルすることしかできないハリセンだからね。決定的なモノが出せないから、ね?」
そんなこと言っていると言っているとティアナにピンクの砲撃が直撃。撃墜である。
なんかいつの間にか、エリオ達も落とされているし。
「次は君だよ、アオくん♪」
「えー…………。なら、仕方ない。わたくしは最期最後でおのれの欲望に従うのみ。さあ、行かん。なのはさんの乳――――」
「ディバインバスター!!」
「アーーーーーー!!」
おふざけは許さない。なぜなら私は高町なのはだからと言わんばかりのツッコミが炸裂された。
「…………なあ、俺達参加しなくていいのか?」
「必要ないわ。キリトと四季、一誠は既に実戦で使えるもの。それに三人はチームワークより個人で戦うタイプだし」
「まあ、そうですけど。てか、アオが真っ黒クロ助になってるんだけど」
「セクハラ男子は死すべきよ」
シイさん、パネェッス…………。
てか、一誠。てめぇも肉なんか食ってないで心配しろや。
☆☆☆
今日の全ての訓練を終わらした自分達は解散となってフリータイムとなった。エリオはシャワーを浴びに、キャロはエリオのシャワーを盗撮しに行った。
…………ん? なんかおかしなこと言ってたか?
キャロの最近のマイブームはエリオの観察である。
同い年の異姓には興味津々なのは悪いことではない。むしろ自分が進めてこうなったと言ってもいい。
さて、話は変わるが自分は広場で散歩をしていた。気分転換を兼ねてのことだ。
すると魔力弾が弾ける音とかが聞こえるではありませんか。自分が気になって見てみると、なんとティアナが自主練をしていた。
あんだけ動いてたのに、まだまだ動ける彼女は現役だなぁ。自分はもうクタクタだけど。
「んで、ヴァイスさんはなんで陰からこっそり見守っているのですか?」
「ティアナ嬢のポロリを期待して」
「いやポロリないから」
「それじゃあ、ティアナ嬢のキャストオフを」
「あんたの中のティアナはどんだけ変態なんだよ」
しかしポロリとキャストオフは男のロマンである。女性なら尚更みたいのは男の
「まあ冗談はさておいて、あの二人はこうやって毎晩自主練しているんだよ」
「二人って、まさか」
「察しの通りスバルもだ。スバルはティアナに協力しているようなモノだがティアナ嬢はどうも行き急いでいるってところが俺の印象なんだが」
確かにそうだ。今回の訓練で確信したが、どうも焦っている様子が見られた。たぶん、リニア戦のとき接敵した神器使いが原因だと自分は思う。
「このままのオーバーワークを続ければ…………」
「ぶっ壊れる、か…………。ヴァイスさんは止めるように言ったの?」
「言っても『自分は凡人だから』という理由で止まらなかった。あいつには才能があるのだが…………後は本人が気づくまでだな」
手の施しよいがないか…………。ヴァイスさんの言う通り、彼女自身が気づかない限り、この問題は解決しようがない。
自分はただ彼女の努力を見守るしかなかった…………。
(ティアナサイド)
私は凡人だ。だから努力する。
私の兄は管理局員だった。両親を早くから失い、男手一つで私を育ててくれた立派な人だ。
たまに私が兄さんと遊びに行きたくて我が儘を言って困らせたことがあったが、そんな私を兄さんは仕事の合間をぬって遊んでくれた。
そんな兄さんには夢があった。立派な執務官になることだった。
兄さんの夢は私にとって叶えられるモノだと思っていた。それは私にとって誇りだった――――
――――しかし
――――兄さんは
――――ある男によって…………殺された
雨の日の出来事だった。兄さんは犯人を追って追い詰めたが、なんと犯人の仲間が現れて、そいつは人質をとって手足を出せない兄さんをなぶり殺した。
人質だった女の子は無事で事件の聴衆された。彼女は人質にされたときの意識があいまいだったため、顔はよく覚えていないらしい。
…………けれど彼女はその犯人の仲間の名前を知っていた。
そう――――『無血の死神』だ。
あいつが兄さんを殺したんだ…………。
兄さんの夢を奪ったんだ…………。
兄さんは上司からも無能呼ばわりされ、無念の想いで死んだ。
だから私はそのとき決意した。
――――『無血の死神』をこの手で捕まえる。
兄さんの夢を…………ランスター家の銃弾を証明してみせる!
そのためにも強くなる。あの青髪の女になんかに手こずっている暇はない。
私が兄さんの仇を必ずとる。…………絶対に。
(シイサイド)
私は今、次なる召喚のためチョークで書かれた円を使って陣を組んでいた。異世界からの召喚にはこういう手順が必要のため、いちいち組まないと異世界からの猛者を呼び出すことができない。
なぜ、私がそういうことをしているのか?
理由は私の兄の知り合いである女神からの指示だ。なんでも全ての異世界、平行世界の危機に備えての準備らしい。
…………強大なナニカが近づいていると彼女は言っていた。
「そのナニカって言うのは知らないけどね…………」
「そんなことより、今度はどんなヤツを呼び出すつもりだ?」
陣の手伝いをさせていた四季が私に聞いてきた。私も実はあまり知らないのだ。
この召喚で呼び出される者は『強い存在』でしかないため、人種人格性別はランダムで呼び出される。
つまり、変態だったとして仕方がないのだ…………仕方がないのだったら仕方がないのだ。
「なんで二回言う必要があるんだよ」
「問題児が呼び出されても仕方がないってことよ」
「わけがわからない」
ちなみにこれで召喚される者達はいつでも自分の意思で還れる仕組みになっている。なので一誠はみんなと違い、来るべき戦いが来るまで自分の世界でゆったりするつもりらしい。
四季と十香はこの世界に興味があるため、残っているがキリトだけは別の理由で帰りたくないらしい。
彼曰く、「変態に振り回される毎日だった」からだと。
ホントに何があったのよ…………。
そんなことを思っていると陣が光だし、何かが召喚された。
それは人型で髪は黒い。そして犬歯がやや長く、瞳は紅い――――――――
――――――――スッポンポンな男性。
「きゃあァァァァァ露出狂よォォォォォ!!」
「いやお前のせいだろ」
四季のツッコミがあったものの私は問答無用に魔法を乱射するのだった。
召喚された彼、『サイト』は喋る剣『デルフリンガー』に向かってこう言っていたらしい。
「数百年ぶりの目覚めで魔法を乱射されるのはこれ如何に」
『知らねぇよ』
このサイトくんは『ゼロ魔』のサイトくんになるはずだったサイトくんです。
彼がトリステンに来る前は日本出身ではなく、異世界のとある国の出身です。そこで彼は家族を失い絶望の淵の中で出会ったのがヴァンパイアのお姫様です。
そこで彼は執事として働きそれなりの幸せな日常でしたが、彼女を狩るハンターにより彼と彼女は瀕死になってしまい、最期の最後でその姫様はサイトを吸血鬼化させることで生き残らせて亡くなります。
まあ、そんな過去を抱えてやっと『ゼロ魔』の世界に来て虚無とガンダールヴと冒険して眠りにつきます。まだ彼は心の傷を抱えているのでいつか癒されるときはくるのだろうか……。
さて次回、ホテルアグスタです。
――――実はなのはさんに新たな属性が?