ではどうぞ。
「さあ、見せてみろ若造共」
by北郷一刀
時間は少し前に遡る――――――――
(??サイド)
なのはが教え子であるエリオ、キャロ、ティアナ、スバル、アオ達にガジェットによる訓練し終えた後、アオ以外の彼と彼女達にデバイスを与えることになった。
その直後にアラートが鳴り、なのはとフェイトの隊長陣を含めた少数部隊を確立し、部隊はガジェットが占拠したリニアモーターの近くまで飛んでいた。
新人達には初めての実戦であるため、誰もが表情が固かった。
「なぁ、スバルちゃん」
「何、かな…………?」
「小便したくらなっちった」
ズゴォン!!
新人達を含めた隊長までもズッコけた。
「あんた、この状況でなに言ってるのよ!?」
「いやー、なんか急にトイレに行きたくなっちゃって…………。あ、ヴァイスさん。この上空からやっていい?」
「空気と場所を考えなさいよ!!」
「俺はどんな状況だろうとどんな場所だろうと諦めない!! なぜならそこが便所だから!」
「なに無駄にカッコいいこと言ってるのよ。いろいろ台無しよ!!」
漫才展開にティアナを除いた新人達に少しだけ笑う声がした。少しずつだが、アオのボケで緊張が和らいだようだ。
(一見、ふざけているように見えて実は考えている…………か。衛くんの言う通りだね。彼は周りを常に考えているよ)
なのはがアオのことを感心していると目的地に到着とヴァイスから通達が来た。
「もう我慢できない!! アオくん、突貫しまーすッッッ!!」
「「「「「「えェェェェェ!?」」」」」」
アオは扉を開けた瞬間、リニアモーターへ向かって飛び降りたのだ。
「なにしてんのよ、あいつ!?」
「そういえば、たまにノリとボケでとんでもないことしでかすって衛くんから注意されてたなー…………」
「なのは、呑気なこと言ってないで早くアオを助けなきゃ!!」
新人達と隊長達はアオに続いた。…………そのとき、キャロの表情が優れていなかったと誰も気づいていなかった。
(エリオサイド)
どうもエリオ・モンディアルです。僕達はアオさんに続いてリニアモーターへ飛び降りました。隊長のみなさんは僕達をリニアモーターへ移すために、ガジェット達を相手にしています。
僕とキャロは外側から、ティアナさんとスバルさんは内部からレトリックの確保へ向かっていました。
「キャロ、大丈夫?」
「う、うん…………平気だよ」
嘘だ。元気がない。ここへ降りた時からなぜか元気がないのか僕は気になった。
彼女は何かを恐れているようで、怖がっていた。
「そんなことよりエリオくん。変じゃないかな」
「そうだね。
僕達を寄せ付けないためならば、もっとガジェットがここにいるはずなのに。僕達が相手しているのは数機程度のガジェット達。
ありえない。これではせっかく占拠したリニアモーターがすぐに奪還されてしまう。
子どもの僕でもわかることだった。
「え、エリオくん!」
「どうしたの、きゃ…………ろ…………」
キャロが指をさしたところには一人の男性が立っていた。
白い制服を着ており、髪は焦げ茶色。瞳は紅く、歳はなのはさんより二つ下くらいだと思う。
優しそうな顔立ちが今のその人の顔はホントに恐ろしいナニカに見えた。
「やれやれ…………ここに来るのはそれなりの実力者と踏んだが、子どもを寄越すなんて管理局もなかなか鬼畜じゃないか」
老人みたいな口調のその人はやる気がなそうに呟くが、なぜか不意をつけそうにもなかった。
僕でも……わかるほどの殺気がにじみ出ていたのだから………………。
「あなたはいったい…………?」
「お前達の敵さ。ま、要するにワシはここの足止めというわけさ」
彼は真っ白な刀を引き抜き、そしてゆったりとした構えで僕達を見据える。
「ワシの名は北郷一刀。ただの王様だった男さ」
哀愁漂うその発言をスイッチにし、僕とキャロの絶対勝てない戦いが始まろうとしていた。
(??サイド)
さあさあ、最初のお相手は『氣』の使い手の『怒れる帝王』。
子どもも老人などのか弱き者など関係ない。
――――彼はただ目の前の敵を殺す戦士だ
出したかったキャラその一。北郷一刀です。彼は神器使いではありません。
この一刀は『無印』から始まり、王として駆け抜け、『真』では記憶と経験を持って三国の王を天下へ導いた経験値がチートな化け物です。
つまりマブラヴのタケルちゃんみたいにループしちゃった最強さんです。戦場の哀しみ、憎悪を知っており、最前線で多くの仲間達を助けています。歳は十七歳なのに老人みたいな口調と達観してるのはそれだけ何年も戦い続けた証です。
原作の一刀はだいたい種馬扱いされて、恋姫達にフラグ立てる弱者でしたが、この一刀は別れた外史の恋姫達の未練があるのため、哀愁があってあまり女性と仲良くすることがありません。まあ、その哀愁のおかげで彼の世界ではモテモテにさせてますが。
次回、勝てない戦い
――――無理、無謀、そして…………無駄