とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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今更だけど百話を越えちゃいました…………。読んでいるみなさんに楽しんでいただいて早百話です。

これからもよろしくお願いします!!

ではどうぞ!


「はぁ…………なんでこうなった」

by五木雷斗


外伝! 壊れた女性と忘れていた少年 その二

(雷斗サイド)

 

 

――――夢を見ていた。

 

 

それは前に見た夢とは違い、青年の幼少期のようだ。

 

彼は普通の大人しい少年だった。

 

外に出る度に彼はしていることは木陰で読書ばかりだった。彼はなぜ友人と遊びに行かないか観察していると、子ども達は彼を恐れる目で見ていた。

 

一人の子どもが化け物、叫び石を投げつけてきた。

 

 

――――しかし、その石を少年は目をくれずに、当たる前にそれを掴んだ。投げた石がまるで見えていたかのように。

しかもパリパリと電気を帯びた石を地に向けて投げた。

当然、爆発して子ども達は雲の子を散らすように逃げ出した。

 

 

…………だから彼は化け物と呼ばれていたのか。

 

 

そのせいで周りから疎まれ、友人ができないようだ。

両親は既に他界しているのか夕暮れになっても迎えに来ない。

 

少年はいつまでも一人だった。しかし、今日は違った。

 

なんと少年に声をかけてくる少女がいたのだ。少年は怪訝な表情で彼女を見る。

 

そして彼女は言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊ぼうよ♪」

 

 

その少女は誰かに似ていた。そう前の夢に出ていたあの女性と。

 

そう彼女は――――――――

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

わたくしこと五木雷斗は憂鬱な夜を迎えることになった。今日はバニングス先輩の誕生日パーティだ。

色んなVIPを迎える中で一般人が俺だけだ。

 

いや四人くらいの一般人らしき人がいた。

 

「筋肉こそ至高」と言ってそうな金髪の美青年。薬指にほ指輪をしていた。既婚者のようだ。

 

モデルのようなスタイルをしたロリショタについて熱く語っている金髪の女性。

 

健康的な体型をしているトリガーハッピーらしき女性。

 

それをまとめる短髪の苦労人な女性。彼女の左の薬指には金髪青年と同じく指輪をしていた。この人が彼の奥さんなのだろう。

 

なんとなくだが、強く生きろと思った。

 

 

…………なぜか美青年美女なのに、前に残念がついていそうな気がした。

 

この人達もバニングス先輩の友人か知り合いかはわからないが、パーティ招待客のようだ。

 

あとで話しかけようと思う。

 

 

まあ、なんにせよ。場違いな空気に呑まれた俺はどうしようか右往左往をしていると、バニングス先輩に声をかけられ、腕を抱かれた。

 

柔らかな二つの塊が心地よいでござる、と思っていると彼女を追ってきた金髪青年と比べるとやや下の美青年とその取り巻きが彼女に話しかけてきた。

 

「アリサちゃん、なんで逃げるんだよ? 俺様と君は許嫁だろ?」

「誰がアンタの許嫁よ!」

 

ニヤニヤといやらしい目でバニングス先輩を見ていた美青年は俺に視界に入れると表情を変えて睨み付けてきた。

 

「なんだ貴様は? 失せろよ庶民。貴様には用はないんだよ」

「失せたいんだけどこの美少女に逃げられないようにさせられているんだよ」

 

事実そうである。バニングス先輩のマシュマロにやられて動けないのだよ、ワトソンくん。

 

するとバニングス先輩は爆弾発言を投下してきた。

 

 

 

 

 

 

 

「この人はアタシの恋人よ!」

 

 

 

 

 

 

 

この爆弾で周りは静まりかえり、それから笑いが飛び交った。

 

そりゃ、そうだ。俺みたいなフツ面草食ボーイが肉食系お金持ちのお嬢様が釣り合うわけがない。

 

なんかバニングス先輩のせいでスッゲー恥をかかされた。

 

「あー笑えた! そんな不細工がアリサちゃんと釣り合うわけがないだろ?」

 

全くその通りである。そう言った美青年はアリサちゃんの手を乱暴に掴み連れていこうとする。

 

「さあ、こんな不細工と一緒にいたらアリサちゃんが穢れる。こっちにこいよ」

「離してよ! いやよ、離して!」

 

俺はやっと解放された――――そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザッ…………

 

 

頭にノイズが響く。

 

これは夢で見ていたと同じ……。

 

俺はその夢を起きた状態で見ているようだ。スクリーンに映された映画のように俺はその夢を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――服を破り捨てられ

――――無惨な格好で犯された夢で見た少女…………

 

――――そしてボコボコになって倒れた少年が見ていたのは……………………血塗れの姿で犯した男達を原型のない肉塊した少女の姿

 

 

嫌な感じだ。少女がその日(・・・)を境に狂ってしまった。

 

 

…………なぜだ? なぜ自分が少女が壊れたことを知っているのだ?

 

いや、そんなことはどうでもいい。

俺はバニングス先輩を助けないと(・・・・・)。でないとあの少女のようになってしまう。

そんな気がしたのか、俺は美青年の腕を掴んでいた。

 

「なんだよ庶民。俺様になんか、イダダダダダ!?」

 

自然と力が込められる。美青年の顔が痛みで醜く歪む。

取り巻き達はそれには狼狽していた。

 

「離せよ! このゴミ――――」

 

言う前に俺は美青年の顔まで近づき言葉を吐く。

 

「死ねてぇのか? クソガキ…………」

 

明らかに自分じゃない自分が言った言葉だった。俺は平穏第一な人間なのに実は野蛮な男だったようですよ、顔も知らないお父様お母様。

 

その言葉に美青年の取り巻き達は息をのむ。殺気というものが俺に滲み出ていたのかな?

 

唯一平気だった美青年は激昂して俺に殴りかかってきた。

 

「んだと、このゴミがァァァァァ!」

 

その拳を俺は顔で受けてしまった。あえてである。

しかもノーダメージだ。逆に美青年が手を抑えて声をあげていた。

 

弱いなこいつ。とりあえず、それなりの対価として俺は反撃に移らせてもらう。

 

「痴漢だァァァァァこいつ痴漢だぞォォォォォ!」

 

俺は美青年に指をさして叫んだ。

 

「なっ!? 俺様はそんなこと一切」

「その証拠にアソコがモッコリしているぞォォォォォ!」

「なに言ってんだお前!?」

「シクシク……みなさん聞いてください。アルベハイ家の長男がアタシのお尻と胸を触り出して、あまつさえアタシの大事なところを……」

「そんなことしてねぇぞ!?」

 

しかし無情かな。アルベハイム家の言い分とパーティ主催者の娘の言い分ではどちらが有利か明白である。そのアルベハイム家の長男は屈強な黒服の男性達に連れて行かれた。

何度も何度も反論をしていたがバニングス先輩のお父様が鶴の一声でその美青年は反論しなくなり、ポカーンとした顔になった。

 

これは間違いなく『お前に娘に相応しくない。なのでお前んとこの会社との取り引き打ち切るわ』と言われたに違いない。

 

まさしくザマァである。

 

「それにしてもバニングス先輩もかなりの役者でしたよ。特にウソ泣きがすばらしかったです」

「男なんて涙一つでチョロいものよ」

「それを男の俺の前で言ってほしくないです」

 

幻想がソゲフされそうだから。

 

「アンタに感謝しているわ。おかげで一番邪魔なヤツが消えてくれたわ」

「バニングス先輩って結構黒いですねー」

「アリサよ」

「へ?」

「……き、今日からアリサと呼びなさい!」

 

なんか知らないけど名前で呼び捨てとはちょっと厳しい。なぜならこの人は学校でも男と女の間では大人気なお姉様なのだから、常に親友以外には名前で呼ばれたことがないのだ。

 

つまるところ標的にされそうだから呼びたくないのは本音である。

しかし――――

 

「わかりました。二人っきりのときはそう呼ばせてもらいます」

「~~~~!?」

 

言葉が不味かったのかアリサ先輩は顔が真っ赤だった。ヤバい…………怒らせたかなー?

 

そう思う今日のパーティだった。

 

そしてこれが――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――五木雷斗の最期の日常(・・・・・)だった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「して、アリサよ。この男は誰なのだ?」

「アタシが決めたフィアンセです」

「パピーは貴様を認めぬぞォォォォォ認めさせたければワタシを倒してからにしろォォォォォ!!」

 

最後にアリサ先輩はとんでもない置き土産をしてくれたせいで彼女の父親と小一時間問いつめられた。




ノエル「かっくいいー!! まさしくヒーローだね!

さてさて次は月村すずかちゃんの誘拐だよん。とらはのキャラが少しおかしいところがあるかもしれないけど気にしないでね♪

――――さあ、そろそろ『おはよう』の時間だよ、『ライト』」

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