とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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時間系列は空白期の間です。

「遂に私のターン!!」

byノエル(偽名)


外伝! 壊れた女性と忘れていた少年 その一

(究極の生命体サイド)

 

 

ヤッホー♪ 私の名前はノエル。

リリなののメイドのノエルちゃんじゃないよん。千香の師匠のノエルたんだよん。

 

まあ女性として色々ダメな私だが、最近は暇をもて余している。

 

つい最近はどこかの世界の戦場を台無しにし、どこかの世界の平和を台無しにし、どこかのお姫様と王子様の恋路を台無しにした。

 

それに飽きたらその世界の有りとあらゆる生命を死滅させちゃった♪ キャピ☆

 

 

さーて、今日はどこの世界に行こうかなー?

 

そうだ! ソラくんと千香ちゃんが転生した世界に行こう!

 

 

きっと面白い世界だろーな♪

 

 

 

 

 

――――彼と彼女には常に災難と混沌があるのだから♪

 

 

 

 

(とある一般人サイド)

 

 

 

――――夢を見ていた

 

 

とある青年が小さな少年に戦い方を教える夢だ。

少年は泣きながらも彼に何度も何度も打ち込みをしていた。

殴られ、蹴られ、怒られても少年は彼に食いかかる。

 

 

ときには少年を猛獣の群れにぶち込んだり、盗賊の拠点にカチコミしたりとやりたい放題な青年だった。

 

というか少年…………よくついて行こうと思ったな。

 

俺なら絶対逃げ出しているぞ…………。

 

 

それから少年が一人で戦えるようになったとき、青年は少年を旅立たせた。会話からすればどうやら視野を広げるのが目的っぽいな。

 

青年は悲しそうな表情で少年の旅立つところを見送った後、彼に話しかける女性(ヒト)がいた。

 

そうその人は――――――――

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

俺の名前は五木雷斗。私立聖佯大学付属高校二年で地毛が茶髪で黒目な普通の男子高校生だ。

 

…………今、DQNネームって思ったヤツ、ちょっと校舎裏に来い。

 

テメーらに説教してやる。

 

まあ、なんにせよ。至って非日常なんて無縁な男子高校生の俺は普通の友達、普通の生活、普通の高校ライフをしているわけだが唯一『非』があるなら俺が記憶喪失であることだ。

 

…………そう、俺には十三歳以前の記憶(・・)がなかったのだ。この町に来て聖佯に転校してきた以外俺は何も覚えていなかったのだ。

 

 

――――両親に親戚の顔

――――生まれ故郷の場所、その光景

――――趣味や特技

 

 

などなど、名前や年齢以外が真っ白な状態だったのだ。

 

 

まるでそこから産まれた存在(・・・・・・・・・・・・)と言えるくらい不自然なのだ。

 

 

ま、だからと言って気にすることじゃないが。今が一番なのだから。

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

金髪の美少女に声をかけられたが無視である。なぜなら彼女は俺にとってトラブルメーカーであるからだ。

平穏無事を望む吾が輩には触らぬが祟りなし――――グェ。

 

「無視するなー!」

「ギブギブ…………首が絞まってるぅ」

 

ちくせう。まさかコブラツイストを決められてしまうとは…………。

柔らかな二つの塊に顔が当たって幸せな一コマに見えるがリアルでは彼女の制裁は痛いである。

 

「バニングス先輩。何故にこのわたくしめを引き止めたのですか?」

 

アリサ・バニングス。バニングス家の一人娘で世界の富豪たるお嬢様である。

彼女と出会いは世紀末英雄伝説みたいなチンピラに絡まれてたところで『助けられた』のだ。

 

 

誤字ではない。

 

 

『助けた』ではなく『助けられた』のだ。

 

まさか自分がヒロイン的な立場になるとは思わなかった。チンピラは単にカツアゲしてただけなのに、格ゲーのごとくバニングス先輩の怒濤のコンボで撃沈された。

 

昔、彼女は誘拐されたことがあるため、それ以来鍛えているとか。

 

格ゲー並の実力者にランクアップとはなんぞなり…………。

 

それはさておき、どうもチンピラにカツアゲされてオドオドしていた俺を情けなく思い度々彼女に絡まれるようになった。なんで彼女はこうしてかまってくるのかは謎である。

 

「アンタ、明日の休日暇でしょ? その日はアタシの誕生日パーティだからちょっとアタシの家に来なさい」

「ええー? そんなブルジョア達の集まるパーティに俺が逝くなんて…………」

「字が違うよ」

「現れたな、紫ガール先輩」

「すずかって呼んでよ♪」

 

紫ガール先輩――――またの名を月村すずか先輩である。

 

俺は彼女を警戒している。彼女からただならぬ気配がするし。出会った当初、おもちゃを見つけた子どものような目で見られた。

 

完全にロックオンですね、わかります。

 

「それで紫ガール先輩もそのパーティに行くんですね」

「うん、そうだよ。親友の十八になるパーティに出席するのは当たり前だよ♪」

「親友じゃない俺が行っても意味ないと思いますのでバニングス先輩。俺はそのパーティには…………」

 

と言いかけたときバニングス先輩はとても悲しそうな表情で俺を見ていた。

…………なぜだ。なぜ俺をそんなにパーティに誘いたがる。

 

すると月村先輩が俺に耳打ちしてきた。

 

「(それがね、そのパーティはアリサちゃんのフィアンセを決めるパーティでもあるんだよ)」

「(なんですと? ならばおめでとうじゃないですか)」

「(もう……乙女心がわかってないなぁ)」

 

呆れたと言われても男性に乙女の心理を理解しろとは酷だが。なんでもバニングス先輩は結婚するなら好きな人がいいという夢見がちな少女な考えをしていた。

 

リアルではほぼ不可能じゃないかな、それ。

 

だって仮に好きな人が庶民だったら彼氏が認められるのはハードなミッション以外の何物でもないじゃん。

 

「で。俺を誘う理由はバニングス先輩の恋人役をしろというワケですか?」

「そ、そうよ! だから来なさい!」

「だが断る」

「なんですって! どうしてよ!?」

「俺にメリットないし、美少女に釣り合うほどの美男子じゃないので。それに平穏第一の俺にとって明らかにテロとか強盗に襲撃可能性ありありな非日常のお誘いですから」

「このヘタレ!」

「ヘタレ王に俺はなる」

 

ふざけて言ったら今度はアイアンクローされた。痛かったでごわす。

 

ちなみに結局パーティに参加することになった。…………別に翠屋のケーキの誘惑に負けたわけではない。断じてそうではない。

 

しかし…………なぜバニングス先輩は俺を彼氏役に選んだのかな?

俺がパーティに行くことを了承したときにとても喜んでいたことと関係あるのかな?

 

 

 

(バニングスサイド)

 

 

 

今日、アイツにアタシの誕生日パーティを招待するために声をかけた。

初めてコイツに出会ったとき、そこらのチンピラにヘコヘコするヘタレで男として情けないのかと説教したときだ。

 

彼はアタシの言葉を耳に流してばかりで聞こうという気は全くなかった。むしろ、やる気の無しの反論でアタシを余計に苛立たせた。

そのときにアイアンクローしたことは悪くないと思う。

 

そんな日常を繰り返しているとある日、アイツに絡んできたチンピラが集団を連れてアタシに御礼参りしてきた。

 

アタシはその集団と戦い、背後から近づく仲間に気づかず、頭を殴られた。

意識を失い、手足を縛られたアタシは下品な笑みを浮かべてチンピラ達に制服を乱暴に破られた。

 

これから受けることは容易に想像できた。

 

アタシは小学校ときにあった誘拐と同じようなことが起きて身体が自然が震えてきた。

 

――――イヤ、誰か!

 

 

きっと王子様が来てくれる、とそんなご都合主義があるとアタシは密かに信じていたかもしれない。

だけど現実は残酷で、そしてアタシは――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突撃ィィィィィ!」

 

 

 

…………訂正。王子様はいなかったけど頭にパンツを被ったメイド服を着た変態がいた。

彼女はアタシを襲おうとしたチンピラにシャイニングウィザードで壁まで吹き飛ばした。

 

「にゅふふふ…………いいね、いいね! 凌辱されるところを台無しにするこの空気いいね! そうだと思わないかい? 雷斗くん!」

 

雷斗? ヘタレがここにいるの?

 

アタシはそう思って瞼を開けて彼女を見ると――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――グッタリとした五木雷斗がいた。

 

返事がない。ただの屍のようだ。

 

そんなテロップが流れた気がした。しばらく呆けていたチンピラは激昂して変態に一斉に襲いかかってきた。

 

「危ない!」とアタシがそう叫んだとき、その変態は言った。

 

「大丈夫だよ。なんせ、私の知る『幼馴染み』は最高して最強のナイトだから♪」

 

刹那、変態に襲いかかってきたチンピラの一人が吹き飛んだ。

吹き飛ばされた理由は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――グッタリしていた五木雷斗がそのチンピラを殴り飛ばしたからだ。

彼は無言のまま、変態から解放され――――チンピラ達を蹂躙し始めた。

 

 

一斉に襲いかかきたチンピラ達は木刀やメリケンサックル、鉄棒で五木に襲いかかってきたが彼は素手でそれに対抗し、全てのチンピラを撃退した。

…………しかしそれだけでは終わりはなかった。

 

 

倒されたチンピラの一人馬乗りして殴り始めたのだ。

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も…………。

 

 

「もうやめてくれぇ」とそのチンピラは力なき声で懇願したが問答無用だった。

歯を折り、関節を外し、髪の毛を全て抜き取ってやっと終わった。

 

「…………次は、どいつだ?」

 

そう言った瞬間チンピラ達は一斉に逃げ出した。いや、無理もない。

何もかも瀕死になったチンピラを見たら誰もが逃げたくなるわよ。

 

「さて…………こいつをどこに沈めるか」

「それより去勢してオカマバーにぶちこもうよ」

 

アタシがそのときそのチンピラのために説得したのは言うまでもない。

 

 

そんなこんなでアタシは後日、五木にお礼を言ったがその日のことを彼は覚えてないらしい。

なんでも彼を拉致してきた近所のお姉さんによって意識を奪われ、目覚めると自宅にいて、朝になっていたらしい。

 

なにそのホラーと彼は乾いた笑いをあげていたが、アタシは深く言わなかった。

 

…………理由はどうあれ、アタシはコイツに惹かれていた。

小学校の頃に誘拐されたときに同期生が言っていたようにアタシはコイツを王子様に見えたのだから。

 

 

ねぇ、朱美妹。アタシも見つけたわよ。

アタシだけの王子様を。




ノエル「ヒャッホーイ!! いいねいいねいいね♪
楽しくなってきたよぉ!

さてさて次回はパーティ編だよん。

次は何して遊ぼうかなー?」

誰か…………たすけ…………

ノエル「せいや☆」

あべし!? …………(ちーん)by作者

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