とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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「――――やりたい放題。それが彼らのスタンダード」


第九話

真っ黒な夜空に浮かぶキラキラした星空。

 

そんな静かで幻想的な世界とは無縁に、桜色と金色の魔力がぶつかり合う。

お互い真剣に戦っている二人の少女は数回魔力弾を撃ち合って、杖を構え、戦う相手を見据える。

 

「どうしてジュエルシードを集めるの!?」

 

 

 

チョポポポポポ

 

 

 

「話しても…………わからない」

 

 

 

ズズズズズ、フゥ…………

 

 

 

「話し合わないと何もわからないよ!」

 

 

 

あ。マミさん、そこのせんべえとって。ありがと。

 

 

 

「話したところで何もわかってくれない!! だから…………!」

 

 

 

バリバリ、ポリポリ、ムシャムシャ

 

 

 

「だからってこんな――――――――ってうるさァァァァァい!!」

 

うなーと手を振り上げ、怒る高町。

おや、ついに高町さんの娘がぶちキレちゃったよ。やだやだ、最近の若い子ったら。

 

「そりゃ怒るよ! 人が真剣に戦っているのになにお茶しているの!? なにしに来たの!?」

 

何しに来たか、か…………。それぞれの目的を話すと以下の通りである。

 

杏子「暇潰しにきた」

さやか「面白そうだから見にきた」

マミさん「お姉ちゃん、ちょっと心配になって来ちゃった」

ほむら「気にせず戦いなさい。今、まどかとジュースを賭けてるのよ」

まどか「必ず勝ってね金髪ちゃん!」

 

高町に味方はいないや。ちなみにオレはお前に賭けてるから絶対勝てよコラ。

 

「金髪のお姉さん以外まともなヤツがいない! あとほむらちゃんなに勝手に賭け事してるの!?」

「気安く名前を呼ばないで。あなたごときのミジンコが名前を呼ぶなんて頭が高いは」

「何様!? 何様なのあなた!?」

 

それが今世のほむらである。ほむらの師はとんでものないもの彼女に教えてしまったね、これは。

ツンドラ通常運行である。

 

あとそこの高松と金髪。千香がお前らのスカートの中を狙っている。

 

「ッ!?///」

「高町だよ! というか天ヶ瀬さんなにしてるの!?」

「美少女のパンチラは金になる。コレクションになる。五月六日に聖佯ムッツリ商会で売買予定。カミングスーン!」

「やめてほんと!」

 

スタンダードな千香はやはり変態である。聖佯ってそんな団体あったかなぁ。

あの千香だし、ないなら作るな絶対。

 

あ。ちなみにここにくる途中、小動物と犬が戦っていたけどマミさんが拘束した。…………亀甲縛りで。

 

「ユーノ君が!?」

「アルフが!?」

「何かが目覚めそうとか言ってたけど…………マミさんなんてことしちゃったんだ」

「ごめんなさいソラくん。ひどいことしたからせめて気持ちよくと考えて………………」

 

何を思って気持ちよくさせようと思ったのだろうか。

 

「余計な気づかいだよ! とんでもないことしてくれたよほんと!」

「とにかくアルフを早く解放…………え? 別にいいって? なんで? えっと、気持ちよくなってきたからもういいって? わかったアルフがそう言うなら私は…………」

「フェイトちゃん気づいて! アルフさんが手遅れになる前に!!」

 

カオス。そして変態が増える。変態ってバイオハザードするのかな。

今度研究してみよう。

 

「そこまでだ!」

 

と言って現れたのはオリ主くん。なんか服がボロボロなんだけど、どうしたのだろうか。

 

「草太くん!」

「草太!」

「待たせたね。天道が邪魔――――ぐぼっ!!」

「「草太ァァァァァ(くゥゥゥゥゥん)!?」」

 

登場早々マミさんのマスケットが火がついた!

登場早々退場させるなんて、マミさんさすがにひどくね? 今の。

 

「だってなんかムカついたもん♪」

「かわいらしく満面笑顔で答えるものじゃないから。普通に殺人だから今の」

「魔力の弾だから大丈夫!」グッ

「サムアップしてもらっても…………」

 

ほら見ろ。親の仇を見るようにオレを……………………オレっすか?

 

「なんでオレ? いやマミさんだから。犯人はこの人だから。実行したの見たでしょ」

「クスンッ…………実はソラくんにそうしないとおっぱい揉むぞとマミさんは脅されて……………………ニヤリッ」

「誤解を招くこと言うなまどか! つーかお前笑ったとこ見たぞ今。黒い方の!」

「あら、揉みたいの? ごめんなさい後六年待ってて。そしたら揉ませてあげる」

「マミさんなに言ってるの!?」

 

まどかよ、どうしてオレを窮地に追いやる? そしてマミさんその発言いろんな意味でアウトだから!

 

「サイテー…………」

「女の敵だね…………」

「誤解されちゃった!? てか、お前ら会話聞いてただろ」

 

節穴じゃないのこいつらの耳。つーか聞く耳もたずかよ! っていきなり攻撃して来やがった!!

 

空中に跳んで魔力弾の攻撃を避けることができたが、今度は金髪少女が大鎌の魔力刃でオレを地面へ叩き落とした。

さらに極太の砲撃魔法がオレのもとに追い打ちしてきた。

 

やむ得ず、神器で砲撃魔法を解錠でキャンセルし、金髪少女が放ってきた三日月の斬撃が迫ってきたが回避。

なんとか避けれたけど一杯一杯だった。

 

オリ主くんでどんだけパワーアップして、コンビネーション発揮すんだよコイツら。

敵同士なのかホント。

 

「お姉ちゃんとして見過ごせないわね、それは……………………」

 

そう言ってマミさんはマスケット銃で高町達を牽制し、誘導させた。

誘導したふたりを待っていたかのようにリボンで二人を縛り上げることに成功した。

やはり、ベテランの魔法少女だっただけである。

 

さらにリボンで無数のマスケットを創造し――――って!

 

「ちょっ、やりすぎじゃないかそれ!?」

「甘いわソラくん。女は甘やかしたら最後付け上がる生き物よ。殺るなら徹底的によ」

「字が物騒だし、改めて思った。女ってマジで怖い!!」

 

まどかとほむらというドS姉妹をつい思い浮かべてしまった。

あいつらマジでオレをイジルことに対しては全力だからな………………。

 

すると、マミさんは金髪少女のもつジュエルシードを奪う。何するつもりだ?

 

「これね。二人が争う理由は」

「それは危険なものです! 渡してください!」

 

高松…………あ。間違えた。高町はそう言うがマミさんは真剣な表情のままだ。

マミさんは正義感の強い女性だ。つまり少女同士の争いの種となるものを見過ごせないのだろう。

 

「争う原因があるなら…………」

 

そう言って空へ放り投げる。リボンから巨大な大砲を造りだし…………ってあれは。

 

「消えなさい♪」

 

笑顔でティロるマミさん。

ジュッッッドォォォォォンと遥か上空で爆発したジェルシードはたぶんその理不尽さ泣いていると思う。

マミさんの火力は神器使いの中では随一だからな。

 

そして、どうしよう。どんな恐怖の魔王も真っ青になるぞ今の。

現に高町なんかジェルシードと同じ末路を思い浮かべたのか、めちゃくちゃ震えているし、金髪少女なんか呆けているし。

 

「さてと…………もう喧嘩しない?」

「「はい…………」」

「ソラくんにひどいことしない?」

「「ち、誓って」」

「誓いなさい。今すぐ」

「「誓いますから銃をこちらに向けないで!」」

 

魔王だ。魔王がいる。マミさんマジ魔王。

 

あれ?

 

そういえばこの世界って高町が魔王になる物語じゃなかったっけ。

んじゃ、今日から魔王少女友江マミがはじ――――――――

 

 

バンバン

 

「何か考えた?」ニコッ

「イイエナニモ」

 

マジで顔のすぐ横で撃たれるとは思いませんでした。

 

「いやー、マミさんってマジパネェです。そのうち魔王少女って…………がふっ」

 

あ、眉間撃たれた。さすが敢えて地雷に踏みに行くさやかちゃんクオリティ。

死んでないけどめちゃくちゃ痛そうに悶絶している。同情はしない。自業自得だもん。

 

「そういえば千香は?」

「千香ちゃんならそこにのびてるオリ主くんの恥ずかしい写真撮ってるよ」

「誰か止めろよ!」

 

ホント誰か止めて! 女性の下着を被せ始めたあの変態だを止めて!

オリ主くんが社会的に殺される!

 

「ふふ、いつも通りねみんな――――――――あらっ? なにしてるのかしら」

 

カチッ、ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババッッッ!!

 

「きゃあァァァァァァァァァァ!!」

「にゃァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

一斉放射!? 全身くまなく直撃してるよ! つーか、なんでなのマミさん!?

 

「ごめんなさい。いつのまにかソラくんに向けて魔法を撃つ準備してたから、ついやっちゃった♪」

「いやかわいらしく言っても怖いよこれ! つーかこの二人生きてるよね!?」

「せっかく準備していたマスケットを無駄ならなくてよかったわぁ…………」

「恍惚とした顔しないでください!」

 

マミさんの中にナニカが目覚めた。ヤベー、ドSが三人になった。

ドS三姉妹にならないだろうか。

 

オレは将来を不安をいだきながら、頭を抱えた。

もうやだ。心労が増えてばかり。

 

ちなみにボロボロになった高町達は夜明けまでリボンに縛られていた。オリ主くんは吊らされていたし。

 

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

 

ちくしょー、この正答はオリ主である俺様がモブごときにやられるとは……………………。

 

ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババッッッ!!

 

 

「え?」

 

 

ちょっ、一斉にこちらに魔力弾が迫って――――――――ぎゃァァァァァァァァァァァァァァァ!?

もう一人踏み台役の転生者、天道衛。全身打撲および骨折により全治五ヶ月。

 

哀れ、彼の登場はまだまだ先である。




カオスを目指す。それがこの小説の目標です。

次回、観測。それでも神器使い達はマイペースである。

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