とある転生者の憂鬱な日々   作:ぼけなす

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やってしまった…………けど後悔していない。

ではどうぞ。


プロローグ

(主人公サイド)

 

気がついたら真っ白な空間にいた。ほんとに何もない見覚えのないところだ。

 

あれ…………? ここはどこだ?

オレは確か…………

 

「気がついたか」

 

振り返るとギリシャ神話に出そうな服装を着た老人がいた。…………なぜか嫌な予感と嫌悪感(・・・)がした。

 

「おぬしには踏み台転生者になってもらうぞ」

「踏み台? 転生者? 何いってんだあんた?」

「無礼な男じゃのう。ワシが神ということを知ってのことか?」

「ぐは!?」

 

いきなり身体が重圧がのしかかる。…………ちくしょう、こいつ何しやがった。

 

「ふほほほ、良い気味じゃのう。あの小娘の駒をこのように扱えるのじゃからのう」

 

ムカつくなこいつ嘲笑。オレはなんとかしようと召喚術を使うが反応しない。

 

チッ、アレが使えればこんなヤツ!

 

「安心しろい。殺さぬ。だが、おぬしはワシが用意した世界で不遇なおもちゃとして歩むのじゃな」

「だ……れが……おもちゃ……なんか」

「強情じゃのう。ほれ、呪いじゃ」

 

そう言って老人は腹部を蹴りやがった。ゴロゴロを転がる。

 

クソッ、立てない。呪いとかかけられたのか、不快感も感じるし。

 

「さて、そろそろゆくがよい。そして踏み台という惨めな人生を楽しむがよい」

 

オレの下から大きな穴が現れる。ちくしょう…………。やっと…………やっと、後悔なく終われたのに…………。

 

オレは最後まで、老人を睨みながら落ちていった。

 

 

 

(??サイド)

 

 

 

老人がなぜソラをこんな目に合わせたのか理由がある。

この神は自らの愉悦を楽しむ最低最悪な神で、幾度の少年少女達の人生を不幸なモノしてきた。

 

ソラを使って自らの娯楽を楽しむと考えてのことである。

 

「ふほほほ、良い気味じゃ。これほど気分が良いは不幸な人生を見たとき以来じゃ。さてと、ヤツの容姿と特典をつけて――――…………?」

 

老人は訝しげな表情でウィンドに映った設定をみる。

 

「なぜじゃ? 容姿は銀髪オッドアイに設定したのに、銀髪じゃが蒼い瞳しか設定できぬ。それに特典が既についているじゃと?」

 

邪魔な特典と思い、取り除こうしたがエラーと表示される。そればかりでだんだん苛立ちを募り、

 

「ええいなぜじゃ! 仕方あるまい。こうなれば人格を――――」

 

 

 

 

 

――――ザシュ

 

「あ? …………は?」

 

老人の胸から手が生えていた。血で濡れた細い手が手刀を構えていた。背後にはその犯人である女性が無表情で佇んでいた。

 

…………貫かれたのだその女性に。

 

「なにアタシのおもちゃを使って遊ぼうとしてるの? この下級神」

「き…………さま」

 

手が引き抜かれたとき、老人は瀕死であった。

 

神には上級、中級、下級という位階で分かれている。邪神であれ、悪神であれ、善神であれ、その位階には上下関係

は絶対である。

 

「で、アンタはアタシのお気に入りになんでこんなことしたのかしら?」

「貴様のような小娘が中級なぞ、絶対認めん! 女が男の上に立つなど許せん!」

「やれやれ…………古い考えだねぇ」

 

額に手を当て、呆れた女神だがすぐに鋭い目で下級神を見据えた。

ソラをこんな目に合わせた理由はもう一つある。

 

――――嫉妬

 

彼は女神が自分より上の位にいることが許せなかったのだ。

 

「アンタが踏み台転生者にしたヤツがどういうヤツか知ってる? アタシのお気に入りの一つで"英雄"になった少年よ」

「な、なんじゃと?」

「神界において英雄を転生することはタブーよ。それを破る上に踏み台の呪いをかけるなんて言語道断だわ」

「わ、ワシは悪くない! 悪いのは…………そうお前じゃ! 女の身でありながらワシより上の位にいるからじゃ!」

「あ。あとアタシはもう中級じゃないから」

 

女神は額を見せる。そこには紋章があった。

 

「そ、それは上級神の…………」

「そ。あいつが英雄になったおかげでアタシは晴れて上級神に昇級よ。んで、アンタには抹殺命令が下されたのねぇ。全知全能様に」

「ゼウス様が!?」

「アンタがこれまで娯楽で人を地獄に叩き落とした罪がバレたのよねぇ。ちなみにソースはアタシだけど」

「き、キサマァァァァァァァァァァ!!」

 

狂ったかのように襲いかかる下級神に上級神はただ手を向けて、

 

「消えろ。過去の遺物」

 

消滅の砲撃で完全に消した。

消えた下級神に目をくれず、女神は嘆息吐きながら振り返る。そこには三人の少女が立っていた。

 

「というわけでアタシはあいつの呪いを解除で手が空けないからサポート頼むわよ」

「任せてください! あの人には人間だった頃からお世話になりましたし」

「…………できる限りのことをするわ」

「別に合法的にヤっちゃってもかまわんだろ?」

「「なに考えてるの!?」」

「ジュルリ…………ショタになった彼をこの手で…………ハァハァ」

「だめよ。その役目は私よ。譲らないわ。縛るのは私の役目」

「○○○ちゃん!? なにとんでもないこと言ってるの!? あ。でもいいかもそれ」

 

騒ぐ三人娘に女神はこめかみに指を押しながら呟く。

 

「人選間違えたかも…………」

 

――――――これは少年と少女達の異世界冒険(?)記である。

 

 




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テンプレなのかな、この展開…………。ちなみにクソ神はもうでません。

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