No.の効果を勘違いして書いていたので修正いたしました。
志賀崎イノル&志賀崎イノリ LP:4000
モンスターゾーン
ランク4 ヴェルズ・オピオン 攻撃力:2550 ORU:0
レベル4 ヴェルズ・サンダーバード 攻撃力:1950
魔法・罠ゾーン
伏せ:1枚
黒峰刹&天城カイト LP:4000
モンスターゾーン
セットモンスター1体(執念深き老魔術師)
魔法・罠ゾーン
伏せ:3枚
「サンダーバードで伏せモンスターに攻撃!」
セットされているモンスターがわかっているのに攻撃してきたか…なにかしら対策をしていると見ていいかな。
サンダーバードの攻撃により伏せられていたカードから執念深き老魔術師が現われ、破壊される前に執念深き老魔術師は呪文を唱えていた。
「セットされていた執念深き老魔術師の効果が発動される。このモンスターがリバースした時、相手フィールド上にいるモンスター1体を破壊する」
「おっと、ダメージ計算前に手札から速攻魔法、禁じられた聖衣を発動!フィールド上にいるモンスター1体を選択しそのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで600ポイント下げる。僕はヴェルズ・オピオンを選択!!」
オピオンに白いローブのような服が装着されると表示されている攻撃力が下がった。
ランク4 ヴェルズ・オピオン 攻撃力:2550→1950 ORU:0
「自分で攻撃力をさげるだと?」
天城の疑問に私は深いため息を吐き、自分が伏せたカードを確認して天城は私が伏せたカードを見てすらいないということがわかってしまった。
そのカード、私も伏せてたんだよねー。
「禁じられた聖衣は攻撃力を下げる代わりにカードの対象にはならず、カードの効果で破壊されないんだよ」
相手が説明する前に解説をすると天城が無言で睨み付けてきているのがわかった。
「そういうことだ! よって執念深き老魔術師の効果でオピオンは破壊されない!」
「ならば、サンダーバードを選択し破壊する」
執念深き老魔術師の呪文が効いているのかサンダーバードが苦しみだし、突如爆発を起こすと2体のモンスターは消えてなくなった。
「続きだ、オピオンでダイレクトアタック! ダークネス・ブリザード!!」
執念深き老魔術師は破壊されるとオピオンが動き出し、口から黒いオーラをまとった雪のブレスを吐き出して攻撃をしてきた。
「ぐうぅ!!」
「くっ……!」
LP:4000→2050
「僕はこれでターンエンド!」
ランク4 ヴェルズ・オピオン 攻撃力:1950→2550
「私のターン、ドロー。手札から暗黒界の取引を発動。お互いデッキからカードを1枚ドローし、その後手札1枚を墓地に捨てる」
どうしようかな……天城の協力を得られないということは全力でやるしかないよなぁ……説得は面倒だし。
志賀崎イノルと私がデッキからカードをドローし、手札を1枚墓地に捨てた。
「そして墓地に捨てた暗黒界の策士グリンの効果を発動。カードの効果によりこのカードが墓地に捨てられた場合、フィールド上の魔法・罠カードを1枚破壊する」
「チッ……速攻魔法、侵略の汎発感染を発動! このターン、ヴェルズと名のついたモンスターはこのカード以外の魔法・罠の効果を受け付けない」
グリンによって破壊されそうになった伏せカードが立ち上がり、そこから黒い靄が相手フィールド上を包み込んだ。
あのカードは何かと厄介だから此処で消費させたのはよかった。
おそらく、2枚積みぐらいはしているだろうけど。
「自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、E-HEROヘル・ブラットを特殊召喚することが出来る。さらに異次元の偵察機を召喚しリバースカードオープン、エンジェル・リフトを発動。墓地に存在するレベル2以下のモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。蘇生するのは暗黒界の策士グリン」
私の場には背中から悪魔の羽を生やし頭から大きな羽のようなとさかある悪魔族のモンスターと球体の機械と灰色の体色をしており緑色のマントを羽織ったモンスターが現われる。
「(いくよ、ブラック・ミスト)」
『やっと俺の出番かよ』
うん、まぁ前のデュエルでは出す前に終わったからね……。
「レベル2のヘル・ブラットと異次元の偵察機とグリンをオーバーレイ」
3体のモンスターは紫色の球体となると地面から現われた黒い穴へと入っていく。
「3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚」
3つ浮かぶオーバーレイ・ユニットの中心部に黒とオレンジのジェル状の液体が現われるとそれは次第に形を変えてモンスターへと変わる。
「現われろ、No.96ブラック・ミスト」
ランク2 No.96ブラック・ミスト 攻撃力:100 ORU:3
『口上は言わないのか?』
ブラック・ミストの質問はあえて答えずにそのままデュエルを続けようとしたが志賀崎兄弟に遮られた。
「「No.だと!?」」
2人がブラック・ミストを見ていると2人の体から黒いオーラのようなものがあふれ出し、目つきが鋭くなったような気がする。
「そうか、黒峰刹。お前もNo.を持っていたのか……」
「ならばそのNo.僕たちがいただく!」
相手の態度が急変し天城は驚いた表情して呟いた。
「こいつらNo.所持者か……」
No.を相手がもっているとわかると天城はいつか見せた肉食動物のような笑みを浮かべる。
「ならば、狩らせてもらおう。貴様らの魂ごと!!」
……なんかまともなのがいないよなぁ。
3人そろって獰猛な笑顔を浮かべているのを見て、遠くを見つめ現実逃避をしつつデュエルに戻ることにした。
「ブラック・ミストでヴェルズ・オピオンを攻撃」
「攻撃力100で攻撃だと!?」
「焦らないでくれないかな。ブラック・ミストの効果を発動。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで相手モンスターの攻撃力を半分に下げその変化した攻撃力分、ブラック・ミストの攻撃力をアップさせる」
ブラック・ミストから黒い霧が噴出するとそれはオピオンに襲い掛かり、攻撃力が下がるとブラック・ミストには黒いオーラがまとい、攻撃力が上がった。
ランク4 ヴェルズ・オピオン 攻撃力:2550→1275
ランク2 No.96ブラック・ミスト 攻撃力:100→1375
うわぁ、見てるだけで計算が面倒そうな数値。
でも、デュエルディスクが自動で計算をしてくれているので計算間違いは起きないようになっている。
「いけ、ブラック・ミスト」
私が指示を出すとブラック・ミストの腕から触手が生え、それは鞭のようにしなりオピオンを攻撃して破壊した。
「ぐぁ!」
「くっ」
LP:4000→3900
「手札からマジック・プランターを発動。自分フィールド上の表側表示で存在する永続罠を1枚墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする。私はエンジェル・リフトを墓地に送る。これでターンエンド」
「俺のターン、ドロー! くっ、モンスターをセット……ターンエンドだ!」
「俺のターン、ドロー! 手札からシールドクラッシュを発動。その伏せモンスターを破壊する」
シールドクラッシュのカードからレーザーのようなものが飛び出すと相手の伏せモンスターを破壊する。
消える前に出てきたモンスターは青紫色と青色をした火の玉、ヴェルズ・オ・ウィプスだった。
あのモンスターはダメージ計算後にモンスター効果を無効にするから厄介なんだよね。
ここで破壊できてよかった。
「ブラック・ミストでダイレクトアタックする」
ブラック・ミストの腕から再び鞭が現われて志賀崎兄弟を襲った。
「「ぐあああ!!」」
LP:3900→2525
「ターンエンドだ」
「僕のターンだ、ドロー! 見せてやるよ、僕たちのNo.を! レスキュー・ラビットを召喚!」
頭にメットとゴーグルをかぶったウサギが一度ぴょんと跳ねて現われる。
くっ、でたな。かわいい顔して強力な効果を持ったウサギめ!
「レスキュー・ラビットの効果を発動! このモンスターを除外してデッキからレベル4以下の同名通常モンスターを特殊召喚する! 僕はレベル1のバニーラを2体特殊召喚!」
メットをウサギが消えると白い愛らしいウサギが2体現われた。
レベル1 バニーラ 攻撃力:150
ヴェルズじゃなくてレベル1のモンスター?
いったいどんなNo.が出てくるのだろうか……。
「レベル1のバニーラでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
バニーラが橙色の球体となって穴の中に入っていき、光の爆発が起こるとそこには牛のように大きな角を持ち銀色の仮面みたいな顔があり、体からはいくつもの鎖が中心にある十字架に雁字搦めになっていた。
その十字架の前には鉄の球体にトゲが生えたものが浮かんでおり、右肩と思われるところには31という数値が書かれているモンスターがそこにいた。
「現われろ、No.31アベルズ・デビル!!」
ランク1 No.31 アベルズ・デビル 攻撃力:500
「これでターンエンドだ。次、頼んだぞ!イノリ!!」
攻撃力が500なのに攻撃表示?
……ここは慎重に動いたほうが良いかも。
「私のターン、ドロー。」
「おっと、スタンバイフェイス時に覇者の一括を発動させてもらう。このターン、相手はバトルフェイズを行えない」
伏せられていたカードが立ち上がるとそこから男性の気合を入れるようなそんな声が鳴り響き、ブラック・ミストは体を震わせると戦闘体勢を解いてそのまま動かなくなった。
N o.を守った?攻撃反応型じゃないということかな?
「……カードを1枚伏せてターンエンド」
「俺のターン、ドロー! よしっ、俺たちが持つNo.の恐ろしさを見せてやる……! レスキュー・ラビットを召喚し効果を発動! デッキからレベル4以下の同名通常モンスターを特殊召喚する! 俺はレベル1のダンシング・エルフを2体特殊召喚!」
金髪の青い露出が高い服を着た女性エルフが2体現われる。
レベル1 ダンシング・エルフ 攻撃力:300
なんだか出てくるモンスターでその人の嗜好がわかってしまったような気がする。
「俺はレベル1のダンシング・エルフ2体をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
2体のダンシング・エルフが緑色の玉となって穴の中に入って行き、光の爆発が起こるとそこには左肩と思われるところに13という数値があり、アベルズ・デビルと体が色違いで十字架の前には円形ののこ刃のようなものが浮かんでいること以外は姿形が似ているモンスターがそこにいた。
「No.13ケインズ・デビル!!」
ランク1 No.ケインズ・デビル 攻撃力:500 ORU:2
「ふっふっふー。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
志賀崎兄弟は2体そろったNo.を見ながらにやにやと笑っている。
なにをたくらんでいるんだか……。
「何をたくらんでいるかは知らないが全力で狩ってやる! 俺のターン、ドロー! 手札からフォトン・スレイヤーの効果を発動! フィールド上にエクシーズモンスターがいる場合、このモンスターを守備表示で特殊召喚する。さらに自分フィールド上にフォトンまたはギャラクシーと名のついたモンスターが存在する場合、銀河騎士(ギャラクシー・ナイト)をリリースなしで召喚できる!」
紫色の剣を持った白い人型ロボットのような戦士が現れ、その隣に白い鎧を着た騎士が現われる。
「そして銀河騎士はこの方法で召喚に成功した時、攻撃力がエンドフェイズまで1000ポイントダウンし、自分の墓地の銀河眼の光子竜1体を守備表示で特殊召喚する! 再び現われろ、銀河眼の光子竜!!」
レベル5 フォトン・スレイヤー 守備力:1000
レベル8 銀河騎士 攻撃力:2800→1800
レベル8 銀河眼の光子竜 守備力:2500
「その特殊召喚成功時にリバースカード、オープン! デモンズ・チェーンを発動! フィールド上のモンスター1体の効果を無効にし攻撃できなくする。選択するのは銀河眼の光子竜だ!」
カードから黒い鎖が出てくるとそれはギャラクシーアイズに絡まりつき行動が制限されてしまった。
「くっ、バトルだ!」
「おっとその前にNo.13ケインズ・デビルの効果を発動! オーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで相手フィールド上のモンスターすべて、攻撃表示になる。そしてこのターン攻撃が可能なモンスターはケインズ・デビルを攻撃しなければならない」
「なに?」
あ、これはまずい。
この状況で攻撃を強制する効果ときたらあのモンスターたちはユベルと同じあの効果があるとみて良い……。
天城が出した銀河騎士以外のモンスターたちはケインズ・デビルの鎖で無理やり立たされて攻撃表示に変更する。
「ふふふっ、アハハハハ!! 教えてやる! No.であるアベルズ・デビルとケインズ・デビルは2体そろって効果が発揮されるモンスター!」
「その恐ろしい効果に恐れおののけ!! この2体が自分フィールド上に存在する限りこのNo.は戦闘および効果では破壊されない!」
「さらにこのモンスターへの攻撃によって発生する自分への戦闘ダメージは変わりに相手が受ける!!」
「なに!?」
予想していたとおりの効果に私は口元を押さえてまずいと呟いた。
天城のターンにそろえた攻撃力が高いモンスターが3体もおりの銀河騎士とフォトン・スレイヤーが攻撃をしたらライフが0になる。
銀河眼の光子竜はデモンズ・チェーンの効果によって攻撃は出来ないけど……。
でも、私が伏せたカードを使えば1ターンは持つ。次の私のターンになればあのNo.はなんとか出来るし。
さすがにこの状況になれば使うよね?
「さあ、攻撃して来い!!」
「ぐっ、銀河騎士!」
天城が声を上げると銀河騎士は剣を構えてケインズ・デビルに攻撃をしようと剣を振り上げた。
「手札からクリフォトンの効果を発動!! このモンスターを手札から墓地に送り、ライフを2000払うことでこのターン受けるダメージは0になる!」
「はぁ!?」
私が驚いているのもつかの間、クリフォトンがフィールド上に飛び出し銀河騎士とアベルズ・デビルの間に割り込むと両者の攻撃は跳ね返り2体のモンスターは定位置に戻る。
さらにクリフォトンは私たちの前に来ると透明のバリアを張り、役目を終えて墓地につながる穴へと入っていった。
そのコストでのライフを払うとそのダメージで体に痛みが走った。
「ぐっ……」
「っ……」
LP:2050→50
続けてフォトン・スレイヤー、ブラック・ミストがケインズ・デビルに攻撃をしたが私たちはクリフォトンが張ったバリアに守られる。
「逃れたか……だがお前たちのライフはわずか50! もうお前たちに勝ち目はないんだよ!」
「残念だったな!!」
2人して高笑いをしている声を聞きながら私は体を震わせた。
「おっと、黒峰刹。体が震えているのでは?」
「まぁ、俺たちのNo.の前で恐怖するのは当たり前のことだがな!」
恐怖で震えている? だれが? どうして?
私はね……別の意味で体を震わせてるんだよ。
「本当に…・・・いい加減にしなさいよ!! この中二病患者が!!」
「「「!?」」」
突然私が大声で叫びだし3人は驚いているが私はかまわずに天城をにらみつける。
「私が伏せたカードを使えばこんなにライフを払わなくてすんだ筈でしょ?」
自分でも驚くくらい低い声が出たが、今は感情を抑えることが出来ない。
「……俺はお前の助けなど」
「タッグデュエルは俺ルールでどうにかできるもんじゃないの。現に此処まで追い詰められてる。天城はこのデュエル負けたいわけ?」
私が目を細めてそういうと天城は眉間に皺を寄せて私をにらみつけている。
現在放っておかれている志賀崎兄弟はなぜか私と天城をみておろおろと落ち着かない様子でいた。
「私はデュエルで負けたくない。だから天城が協力しなくても私は天城を利用する。伏せたカードも出したモンスターも利用してこのデュエルに勝つ!だから天城、私を利用しなさい」
私は言い終わった後、何回か深呼吸をして志賀崎兄弟に目を向けると2人は怯えたように体を震わせていた。
「続けよう」
「「は、はい! わかりました!」」
「……ターンエンドだ」
レベル8 銀河騎士 攻撃力:1800→2800
なんであの2人は敬語になっているの?
私は訝しげに2人を見ていると志賀崎イノリはデッキからカードをドローしていた。
「ぼ、僕のターン、ドロー! カードを1枚伏せてターンエンドだ!」
「私のターン、ドロー。リバースカードオープン、波動共鳴を発動。フィールド上に存在するモンスターを1体選択し、選択したモンスターのレベルをエンドフェイズ時まで4にする。私が選択するのはフォトン・スレイヤー」
レベル5→4 フォトン・スレイヤー 守備力:1000
「手札から終末の騎士を召喚し効果を発動。召喚に成功したときデッキから闇属性モンスターを1体墓地に送る。私は異次元の偵察機を墓地に送る」
デュエルディスクにカードをセットすると黒い鎧をまとい赤いぼろぼろのマフラーをつけた騎士が現われる。
レベル4 終末の騎士 攻撃力:1400
「そしてレベル4となったフォトン・スレイヤーと終末の騎士をオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚」
フォトン・スレイヤーは黄色の球体になり終末の騎士は紫色の球体となって穴の中に入ると光の爆発が起こり、そこから現われるのは先ほど手に入れたNo.である海賊船が浮かび帆のところには50という数値が書かれたモンスター。
「現われろ、No.50ブラック・コーン号」
「「2体目のNo.だと!?」」
ランク4 No.50ブラック・コーン号 攻撃力:2100
「ブラック・コーン号の効果を発動。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで相手モンスター1体を墓地に送り、送ったモンスターの攻撃力分、相手にダメージを与える。私はケインズ・デビルを選択」
「墓地に送る、だと……?」
「ケインズ・デビルとアベルズ・デビルの耐性は破壊に対する効果……」
破壊できないなら、墓地に送れば良いじゃない。
ケインズ・デビルは魂を抜き取られてブラック・コーン号の砲台に吸い込まれていき、しばらくするとケインズ・デビルの魂は射出されて志賀崎兄弟に攻撃をした。
「ぐあぁ!!」
「うわあ!!」
LP:2525→2025
「バトル、ブラック・コーン号でアベルズ・デビルを攻撃」
「させるか! リバースカードオープン、和睦の使者だ!!」
私はため息を吐き自分のフィールドと相手のフィールドを見てみる。
モンスターの数や伏せカードのことを考えるとこっちが圧倒的に有利だけど、ライフがわずか50。
このターンで決められなかったのが悔やまれる……あとは天城に任せるしかないか。
すっごく、不安だけど。
「私はこれでターンエンド」
「お、俺のターン……ドロー! くそ、アベルズ・デビルを守備表示に変更してカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
いいカードが引けなかったようで志賀崎イノリは引いたカードを見てから表情を歪め伏せカードを1枚セットした。
怪しいなぁ……。
「俺のターン、ドロー。これで終わりにする! 手札からサイクロンを発動しデモンズ・チェーンを破壊する!」
竜巻が相手のフィールドにあるデモンズ・チェーンのカードを破壊するとギャラクシーアイズを拘束していた鎖は消えてなくなった。
「ブラック・コーン号の効果を発動しアベルズ・デビルを墓地に送り、攻撃力分のダメージを与える!」
アベルズ・デビルも魂となってブラック・コーン号の砲台の弾となりブラック・コーン号は攻撃をした。
LP:2050→1525
「くそ!!」
志賀崎イノルが悪態をつき志賀崎イノリは無言でこちらをにらみつけている。
「これで終わりだ! ギャラクシーアイズでダイレクトアタック! 破滅のフォトン・ストリーム!!」
ギャラクシーアイズの光線が志賀崎兄弟に向かって放たれあと少しであたるというところで志賀崎イノリが笑ったのが見えた。
「なーんてな! リバースカードオープン!! 聖なるバリア-ミラーフォース-を発動!! お前らのモンスターは全滅だ!!」
なんか嫌な予感がしたと思ったらミラフォだったか……。
ちらりと天城を見てみるとタイミングよく天城もこちらを見ていたがすぐに前を向いた。
「リバースカード、オープン! 速攻魔法、禁じられた聖衣を発動する!」
「な、なにー!?」
さすがに使ったか……よかった。
ホッと息を吐き私はデュエルの終わりを悟って腕を下ろした。
「俺はギャラクシーアイズを選択し、このターンギャラクシーアイズはカードの効果で破壊されない! いけ、ギャラクシーアイズ!!」
レベル8 銀河眼の光子竜 攻撃力:3000→2400
ギャラクシーアイズの攻撃は無事に志賀崎兄弟に当たり2人は攻撃の余波で吹き飛ばされた。
「「うわあああ!!」」
LP:1525→0
デュエルが終わる合図が響き渡り、フィールドにいたモンスターたちは消えていき景色は0から9の数値が覆うとすぐに元に戻った。
No.を回収しないと……。
「なんだ、これは!?」
天城の驚く声が聞こえたのでそちらを見てみるとなぜか天城は黒い触手のようなものに束縛されていた。
て、はい?
「おい、はやくNo.を回収するぞ」
「いや、ちょっと待って。て、ブラック・ミスト!? 何勝手に出てきてるの!?」
人に見られたらどうする気!?
慌てて周りを見渡してみるともう夕方に近い時間帯だからか遠くで何人かデュエルをしている人以外いなかった。
とりあえず、ブラック・ミストが一般人に見られる心配は無くなったようだ。
「あいつが妙な動きをしていたからな。拘束させてもらったぜ」
ブラック・ミストは口元を吊り上げて笑うと右手を志賀崎兄弟に向けた。
右手から黒い靄が出てくるとそれは志賀崎兄弟の体に入り込み、しばらくするとカードの形となってブラック・ミストの右手に収まった。
「これで回収したNo.は3枚。ご苦労だったな」
「うわぁ、偉そうに……」
触手をはやして手に入れたNo.を私のエクストラデッキに入れると満足そうに頷いていたので、私はじと目でブラック・ミストを見た。
「黒峰刹……貴様っ!」
天城に目を向けると彼は悔しげに歯を食いしばりこちらを睨み付けていた。
「悪いがNo.は俺らで回収……おい」
ブラック・ミストの不機嫌な声で私を呼び止めるが無視して天城に近づき、エクストラデッキから先ほど手に入れたNo.の1枚を天城に差し出す。
「ブラック・ミスト」
「嫌に決まってるだろ」
眉間に皺を寄せて腕を組み、即答したブラック・ミストをじっと見つめる。
「ブラック・ミスト」
もう一度ブラック・ミストの名を呼ぶと、しばらく黙っていたが舌打ちをして右手を天城に向け拘束を解くとすぐにエクストラデッキのほうに消えていった。
「……どういうつもりだ?」
天城は私と私が持っているNo.を見て問いかける。
「一応、一緒に戦って手に入れたわけだからね。戦利品は分けるべきだと思って」
まぁ、このNo.は一緒に使わないと効果を発揮できないわけだから持っていても仕方ないとは思うけど。
天城は私をじっと見た後、持っているNo.に手をかざすと天城の手から白い手が出てきてそれはNo.を持ち天城の手に収まった。
「お前が持っているNo.は俺が回収する。それまで首を洗って待っていろ」
天城は身を翻して志賀崎イノリのほうに近づき、落ちているハートピースを拾い上げた後その場から去って行った。
私は志賀崎イノルのほうに近づいてハートピースを回収し早速自分のハートピースにはめ込んでみる。
「よし、これで決勝大会にいける」
手の中にあるすべてはまったハートピースを見て頬が緩む。
これであとの期間はのんびり出来るわけだけど……ブラック・ミストがゆるさないんだろうなぁ。
『明日もNo.の回収をしてもらうからな』
「(わかったよ。それじゃ、家に帰りましょうか)」
思ったとおりの言葉に呆れながらも私は自分の家へと向かった。
家に帰ってくるとブラック・ミストはエクストラデッキから姿を現し私に視線を向けずにリビングに行くとソファに寝転がり録画してあったエスパーロビンを見始めた。
私はというともう一つのソファにうつ伏せで倒れこんだ。
「おい、どうした?」
ブラック・ミストの声をきっかけに私は拳を握り締めてうめき声を上げる。
「なんであそこでキレちゃったかなぁ……。天城に中二病とか言っちゃったしその後の私の台詞も中二病じゃん……なに偉そうに言ってるんだか……」
あの後、家に帰っている途中で冷静になった私はタッグデュエルのとき、私が取った行動を後悔していた。
本当なら足とかバタバタさせて暴れまわりたい気分だが、ブラック・ミストがいるからそれも出来ない。
私はちらりと時間を見てから一息つくために紅茶を淹れようと動き出した。
とりあえず、今度から気をつけよう、デュエルでも冷静さを失ったら負けだし……。
紅茶を淹れた後、買っておいたチーズケーキ2個を取り出しブラック・ミストの前に出した。
「あ?なんだこれ……」
「チーズケーキと紅茶、一緒に食べようか」
私がそういうとブラック・ミストは心底理解できないというようにはぁ? と首をかしげチーズケーキを見る。
「俺は食べ物なんて食わなくても生きていける」
「わかってるよ。でも目の前にいるのに一人で食べるのも気がひけるから」
自分で淹れた紅茶を一口飲んでカップをテーブルに置く。
うん、今回もうまく淹れられた。
ブラック・ミストはフォークを持ってチーズケーキを突っついた後、フォークで切り取って口の中に運んだ。
「……」
なんだろう、ブラック・ミストの周りが明るくなったような気がする。
私もチーズケーキを食べてみるとチーズの濃厚な味と甘さマッチしていておいしく感じられた。
ちらりとブラック・ミストを見たら、すでにチーズケーキは半分ほどなくなっている。
「どう?」
聞いてみるとブラック・ミストは我に返り、チーズケーキを食べる手を止めて勢い良くこちらを見た後、視線を泳がせた。
「ま、まぁまぁじゃねぇか?」
「ふーん。夕飯は食べる? いらなかったら遠慮なく言っていいからね」
にやにやと笑っているのがわかったのかブラック・ミストは舌打ちをした後、小さく食べると呟きチーズケーキを食べた。
さて、じゃあ今日の夕飯は何にしようかな……。
やったね、モンスターの方のブラック・ミストが登場したよ!(途中で空気になってたけど)
そして今回出てきたNo.は漫画版にでてきたNo.ですが効果はOCG版です。
だって漫画版の効果ってつかえな(ry