遊戯王の世界に転生したがろくな事が起きない   作:アオっぽい

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今回の話では第三者視点のベクターからの衝撃の真実が明かされます。
といってもほとんどアニメどおりに話が進んでおり、台詞がちょいちょい違う程度でアニメ3話分詰め込んでいるためかいつもよりすごく長いです。
あと、アーカイドからの衝撃の真実がちょこっと出てきたりします。

アーカイド自身から語られる衝撃の真実を知りたいという方は今回の話は読まずに、次に投稿される主人公視点のお話を見てから此方を見ることをお勧めします。

次の話が投稿されるのは一週間以内だと思います…。


第三十四話 ベクターVS遊馬

遊馬LP:4000

ベクターLP:4000

 

 異世界の墓地、サルガッソでカイトとミザエル、凌牙とドルベ、刹とアーカイドがデュエルを始めると同時に此方でもベクターと遊馬は向かい合いデュエルを始めていた。

 

「俺のターン、ドロー! 俺はゴブリンドバーグを召喚!」

 

 先攻は遊馬から始まり、早速召喚したモンスターはプロペラが1つついた戦闘機に乗ったゴブリンだった。

 

レベル4 ゴブリンドバーグ 攻撃力:1400

 

「このモンスターの召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる! 来い、ガンバラナイト!」

 

 3機のゴブリンドバーグが吊るして持ってきたコンテナが地面に下ろされると、コンテナからガンバラナイトが現われる。

 

レベル4 ガンバラナイト 攻撃力:0

 

「俺はレベル4のゴブリンドバーグとガンバラナイトでオーバーレイ!」

 

2体のモンスターは光の玉に変わると宙に躍り出て、地面に現われた渦の中に入っていく。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現われろ、No.39希望皇ホープ!!」

 

 渦から光の爆発が起こると遊馬のエースモンスターであるホープがフィールドに現われる。

 

「いきなりエースモンスター召喚とは余裕がないなぁ。ん~?」

 

 ベクターは現われたホープを見るなりに挑発するようにそう言うと遊馬は怒りの表情をあらわにしててめぇ!と握りこぶしを作っていた。

 

『遊馬! 気持ちは分かるが、落ち着くんだ!』

 

 アストラルにたしなめられ遊馬は悔しげに呻いているとベクターは口がないにもかかわらずその表情は笑っていた。

 

「フィールド魔法、異次元の古戦場サルガッソの効果を発動!」

 

「な、なに!?」

 

 はるか上空にある薄暗い雲から4つの雷がそれぞれのデュエルフィールドとなっている場所に落ちてきた。

 その1つは遊馬に向かっていき、雷は遊馬に直撃した。

 

「ぐああぁ!!」

 

『遊馬!?』

 

遊馬LP:4000→3500

 

 衝撃に遊馬は吹き飛ばされている間にも他の場所でデュエルをしているカイト、凌牙、刹も雷によって地面に倒れこんでいた。

 

「ぐっ、なんだこれ?」

 

『まさか、フィールド魔法が!?』

 

 2人が困惑しているとベクターが突然笑い出す。

 

「この場所にはフィールド魔法、異次元の古戦場-サルガッソの効果があらかじめ発動してるんだよ! そうとも知らずにのこのこお出まし頂いたうえにエクシーズ召喚とは! これはお礼を言うべきかぁ?」

 

 言い終えると同時にベクターは再び笑い出し、サルガッソの効果を説明しだした。

 サルガッソはモンスターエクシーズを特殊召喚した時、500ポイントのダメージを受ける。

 さらにモンスターエクシーズがフィールドにいるプレイヤーはターンの終わりにさらに500ポイントのダメージを受けるといったものだった。

 

『だが、彼らも条件は同じ。一体何を……』

 

「ふざけんな!! どんな罠が待っていようが、俺は絶対お前をぶっ倒す!」

 

 怒りに震える遊馬は一歩前に出て、怒鳴りながらベクターを指差した。

 言われている本人は表情も変えずにそれは楽しみだなと答え、片足を上げる。

 

「ほら、お前も応援してやれよ!」

 

 ベクターは傍らに倒れている真月の頭に足を乗せ、踏みにじった。

 

「やめろー!!」

 

 思わず飛び出そうとする遊馬にアストラルが前に出て止める。

 

『遊馬、落ち着け! 怒りに身を任せればやつの思う壺だ』

 

「くそ! 俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 遊馬がターンを終了させたことによりサルガッソの効果が発動され、雷が遊馬に向かって落ちる。

 

「ぐああぁ!」

 

遊馬LP:3500→3000

 

「俺のターン、ドロー! 俺はアンブラル・グールを召喚!」

 

 召喚した際に出てきたカードから黒色の霧が出てくると、地面から紫色の体をし、深緑色の長いマントを羽織ったグールが出てくる。

 

「アンブラル・グールの」

 

 ベクターがモンスター効果を発動しようとした時だった。

 突然、轟音が鳴り響き宙に浮いているはずのコンクリートの地面が揺れ始めた。

 

「うわぁ!? な、なんだ!?」

 

『……なんだ、あれは?』

 

 倒れないようにバランスを保ちながら遊馬は周りを見渡しているとアストラルは何かを見つけたのか目を見開き、信じられないというように呟いた。

 遊馬はその言葉を聞き、アストラルが見ている先に視線を向ける。

 

「で、でけぇ!?」

 

 遊馬達が見ている先には刹とアーカイドのデュエルフィールドがあり、アーカイドの後ろにある宇宙空間にそれがいた。

 左右に広がる大きな翼に顔にある長いくちばし、それはハチドリをモチーフにされたモンスターで体は黒く目や羽、体にはオレンジ色の模様が描かれている。

 大きさはおそらく高層ビルと同じくらいだろう。

 そのモンスターは羽や顔を振り回して暴れ始め、自分を扱っているプレイヤーであるアーカイドに向かって長いくちばしを突きつけようとする。

 しかし、途中でその動きは止まり突然現われた銀色の大きな鎖がそのモンスターを縛り上げる。暫くすると鎖が消え、同時にモンスターはおとなしくなった。

 心なしか光っていたオレンジ色の部分が暗くなっているようにみえる。

 

「……あのお子ちゃまめ。加減しろよ。この空間ごと吹き飛ばす気か」

 

 一連の様子を見ていたベクターは遊馬などに聞こえないように毒づいていたが、一瞬で表情をにやけさせる。

 

「おやおやぁ? あっちが大変なことになってるみたいだな」

 

「じゃあ、行くよ? 地縛神Aslla Piscu(アスラ・ピクス)でダイレクトアタック」

 

 Dゲイザーの通信機能から聞こえてきたアーカイドの指示と共にアスラ・ピクスはその大きなくちばしで刹を攻撃しているのが見えた。

 画面を映し出すとアスラ・ピクスに攻撃される直前に刹がブラック・ミストの腕を掴んでどこかへ放り投げていた。

 その直後、アスラ・ピクスの攻撃が刹へと当たり吹き飛ばされる。

 

「せ、刹!?」

 

『あんなモンスターに攻撃されたらひとたまりも!』

 

 遊馬とアストラルは焦った様子で足を踏み出そうとするがベクターに止められた。

 

「おっと、お仲間を心配してる場合か? 俺はアンブラル・グールの効果を発動! このカードの攻撃力を0にすることで、手札から攻撃力0のアンブラルと名のついたモンスターを特殊召喚することが出来る! 来い、2体のアンブラル・ウィル・オ・ザ・ウィスプ!」

 

 ベクターのフィールドに青い人魂のようなモンスターが2体現われる。

 

レベル1 アンブラル・ウィル・オ・ザ・ウィスプ 攻撃力:0

 

「そしてアンブラル・ウィル・オ・ザ・ウィスプの効果を発動! このカードは特殊召喚した時、レベルを自分のモンスター1体と同じに出来る。よってレベルは4となる!」

 

レベル1→4 アンブラル・ウィル・オ・ザ・ウィスプ 攻撃力:0

 

「俺はレベル4のアンブラル・グールと2体のアンブラル・ウィル・オ・ザ・ウィスプでオーバーレイ! 3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚! いでよ、No.104」

 

 3体のモンスターが紫色の球体となって地面に現われた渦の中に入っていくと光の爆発が起きる。

 その中から柱体の形状をしており、上部には手のような物体がついたものから展開しごつごつとした青い翼が背中から生え、服装は白いタキシードに金色の装飾がついている。

 手には細く大きめの金色のリングが3つ繋がった物を持っている男性型のモンスターが現われる。

 

「そのまばゆき聖なる光で、おろかな虫けら共を跪かせよ! 仮面魔踏士(マスカレード・マジシャン)シャイニング!!」

 

ランク4 No.104仮面魔踏士(マスカレード・マジシャン)シャイニング 攻撃力:2700 ORU:3

 

「出たな、オーバーハンドレッド・ナンバーズ! だが、これでやつもサルガッソの効果で……」

 

 フィールド魔法、サルガッソの効果で頭上に渦巻く黒い雲から雷の音が鳴るがその前にベクターは1枚のカードを掲げた。

 

「俺は速攻魔法、サルガッソの灯台を発動! サルガッソの効果ダメージが発動した時、このカードを墓地へ送ることでその効果を無効にしさらにこのカードが墓地にある限り俺はサルガッソの効果は受けない!」

 

『防衛策を講じていたか……』

 

 落ちてきた雷が墓地に落ちたサルガッソの灯台に向かっているのを見てアストラルは悔しげに呟いた。

 

「行け、シャイニング! 希望皇ホープに攻撃!」

 

「そうはさせるか! ホープの効果を発動!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、攻撃を無効にする!」

 

 ホープの翼が変形して攻撃から身を守ろうとしたときだった。

 

「馬鹿め!! シャイニングの効果を発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、相手モンスターがバトル中で発動した効果を無効にする!!」

 

 シャイニングが持っていた金色のリングをばらばらにして3つあるうちのひとつをホープへと投げる。

 金色のリングは回転しながら電動ノコギリのようにホープの盾を破壊した。

 

「さらにさらに! 豪華特典として相手プレイヤーに800ポイントのダメージだ!」

 

 盾を破壊した金色のリングはそのまま遊馬に向かって飛んでいき、そのまま吹き飛ばした。

 

「ぐ、ぐわあぁ!」

 

『遊馬!! う、ぐっ……』

 

遊馬LP:3000→2200

 

「まだだ! ホープの効果は無効、シャイニングの攻撃は続行だ!」

 

 自分の手に戻ってきた金色のリングをシャイニングは再びホープに向かって投げる。

 

「罠発動、ハーフ・アンブレイク! このカードはバトルでのモンスターの破壊を無効にし、プレイヤーが受けるダメージを半分にする!」

 

 シャボン玉のようなものがホープを包み込み、攻撃から身を守っているが戦闘ダメージで金色のリングから電流が走り遊馬に当たる。

 

「うぁ、ぐああぁ!」

 

遊馬LP:2200→2100

 

「しぶといねぇ。ま、残ってくれていたほうが楽しみが増えていいがな。俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 遊馬はベクターを憎々しげに睨み付けると勢い良く指差した。

 

「みてろ! お前をこの前と同じように叩きのめしてやる!!」

 

『遊馬!! 落ち着くんだ!』

 

 遊馬の発言にアストラルは再び落ち着くように言うがうるせぇ!!と突っぱねた。

 

「お前に俺の気持ちが分かるかよ!! 真月は俺のせいで……」

 

そういってベクターの足元に倒れている真月に目を向け、握りこぶしを作った後デッキの一番上に指を置く。

 

「俺のターン、ドロー!! 俺は手札からリミテッド・バリアンズ・フォースを」

 

『待て、遊馬!! CXを召喚すればサルガッソの効果でライフポイントを失う!』

 

 魔法カードを発動しようとする遊馬をアストラルは慌てて止めた。

 現在のライフは2100。リミテッド・バリアン・フォースでホープレイVを呼び出して1600となりこのターンで決めなければ1100と追い込まれることとなる。

 

「だからって、このまま続けばターンが終わるごとに500ポイント失う! 此処はホープレイVで一気に決めてやる!」

 

『しかし遊馬、このデュエル何かが可笑しい。すべて私達を誘うような展開、前に戦ったベクターとは明らかに違う』

 

「だけどアストラル! 此処で怖気づいたら、真月が浮かばれねぇんだよ!」

 

 真月を殺された怒りに遊馬はアストラルの言葉はまったく届かず、いつものコンビネーションを失っていた。

 

「刹とブラック・ミストとは違って仲が悪いんだなぁ、お前達は」

 

『なっ!』

 

 2人の言い争いを見ていたベクターは不意にそんなことを呟き、その言葉を聞いたアストラルは目を見開いた。

 遊馬には聞こえなかったようでそのままデュエルを続けてしまう。

 

「俺はRUM-リミテッド・バリアンズ・フォースを発動! 希望皇ホープでオーバーレイ・ネットワークを再構築! カオスエクシーズ・チェンジ!」

 

 ホープが赤紫色の球体となって頭上に渦巻く渦の中に入って行き、黒と深緑色の光が爆発を起こす。

 

「今こそ現われろ、CNo.39希望皇ホープレイV!!」

 

 黒味の強い濃紺色の体に深紅と銀色の配色が混じった装飾が施され、闇を彷彿させるモンスター、ホープレイVが現われる。

 

ランク5 CNo.39希望皇ホープレイV 攻撃力:2600

 

「来たか。だが! モンスターエクシーズを特殊召喚したことにより500ポイントのダメージを食らう!」

 

 ベクターがそういうと同時に雷が遊馬に落ちて、吹き飛ばされた。

 

「ぐわっ、ぐう!」

 

遊馬LP:2100→1600

 

「お、俺はホープレイVの効果を発動! 1ターンに1度、カオスオーバーレイ・ユニットを使ってフィールド上のモンスターを破壊しそのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える! いっけぇ!!ホープレイV!!」

 

 ホープレイVは2本の剣を手に取るとそれを1つに合体させてシャイニングに向かって投げた。

 

「シャイニングを破壊しろ! Vブレードシュート!!」

 

 ホープレイVが投げた剣がシャイニングに当たり、そのまま破壊される。

 破壊されたときの爆発にベクターが巻き込まれて遠くに吹き飛ばされるのが見えた。

 

ベクターLP:4000→1300

 

 土煙が周りを漂い遊馬がホープレイVに攻撃の指示を出そうとした時、煙が晴れてきた。

 そこには今まで対峙していたはずのベクターの姿が見当たらなかった。

 

「どういう、ことだ? ベクターが消えちまった……」

 

『まさか、今の攻撃で異空間に飛ばされてしまったのか?』

 

「じゃあ、俺が勝ったのか?」

 

 まさかの展開に呆然としていたが倒れている真月の姿を目にして遊馬は今にも泣きそうな表情を浮かべた。

 

「でも、真月は……もう帰ってこねぇんだ!!」

 

「ありがとう、遊馬君……」

 

 目に涙を浮かべながら膝をつくとか細い声だがはっきりと聞こえた声に遊馬は反射的に顔を上げた。

 

「真月?」

 

 もう二度と動くことはないと思っていた真月の体は動き出し、体が痛むのかゆっくりと立ち上がろうとしていた。

 

「おまえ、おまえ! 生きていたのか!! 真月ー!!」

 

 遊馬は嬉しそうに真月に駆け寄ろうと走り出す。

 

「フッフフフ、クックククク……なぁんちゃって!!」

 

「し、真月?」

 

 突然笑い出して顔を上げた真月の表情はあの性格から想像もつかないほど狂気に歪められていた。

 

「イッヒヒヒハハハハ、可笑しくって腹痛いわ~」

 

「おまえ、何言って……」

 

 態度が急変したことについていけずに呆然とする遊馬だが真月はかまわずに立ち上がった。

 

「面白いやつだなお前、本当に俺のことを……ウッヒヒヒヒ! なら見せてやろうか!? もっと面白いものをよぉ!!」

 

 真月は人間離れした歪んだ笑みを浮かべて両手を自分の前に出すと両手の間に赤紫色の光が集まり、真月の体に同じ色のオーラが包み込んだ。

 

「バリアル・フォーゼ!!」

 

 真月の胸にはひし形の宝石のようなものが現われ、背中から制服を破って黒い翼が生える。

 真月の姿は見る見るうちに変わっていき、灰色と黒の肌に黒く短い腰巻をつけ髪の毛は灰色だが真月と同じ髪型の人物に変身する。

 その姿は先ほどまで対峙していたベクターだった。

 

「お前は! 貴様、真月に化けてやがったのか!? それじゃ、おい。本物の真月はどこだ!?」

 

 真月から変身して出てきたベクターに遊馬は再び怒りの表情をあらわにするがベクターはおどけた様子で口を開く。

 

「本物ぉ? 誰、それ? 俺、ベクター! 鈍いなぁ、俺が真月だよ!」

 

「そんな馬鹿な! だってさっきまでお前は、ベクターは俺達とデュエルをしていた! この前だってベクターは俺とデュエルをして真月を」

 

 必死で言葉を紡ぐがベクターはそれを嘲笑う。

 

「まだ分からないのかよ! この前デュエルをしたのも、さっきまでデュエルしてたのも俺が生み出した分身だよ!! 本物の俺はお前の親友、真月零に化けてたってわけだ! ジャンジャジャアァーン!! 今明かされる衝撃の真実ぅ!! いやぁ、本当に苦労したぜ。間抜けな転校生演じてつまらねぇ協力までしてさぁ」

 

『真月がバリアンだと刹が言っていたが、本当だったか……』

 

 苦々しい表情を浮かべて呟いた言葉に遊馬は驚きを隠せずにアストラルを見つめた。

 

「アストラル。お前、真月がバリアンだって……!」

 

『……あぁ。昨日、刹から聞いた。しかし、ベクターだったとは』

 

 アストラルがベクターを睨みつけている間にベクターは遊馬たちに聞こえないように舌打ちをした。

 

「あの女、余計なことを……。まぁ、予想の範囲内だ」

 

 ベクターは内心ほくそ笑み、遊馬に向かって指を指す。

 

「しっかしお前らは単純だよな! 俺の口から出たでまかせを全部信じちまうんだからな!」

 

 そして自分の耳元に手を当てて高い声でわざとらしく言いはじめた。

 

「アストラルを守るぅ? バリアン警察ぅ? ウッハハハハハ!! 楽しかったぜぇ、お前らとの友情ごっこと恋愛ごっこぉ! 助けに来てくれてご苦労さん、遊馬巡査!ウヒャフフフ」

 

「う、そ……」

 

飛行船にも通信が繋がっているらしく結は絶望に満ちた顔で崩れ落ち、近くにいる小鳥などに心配されている。

 

「うそだ、ふざけんな……。お前が真月なわけない! あいつは人を騙すようなやつじゃないんだ!!」

 

衝撃的な真実に遊馬はベクターの言葉を否定するが、それはベクターの笑いを誘う要素でしかなく腹を抱えて笑っていた。

 

「ヒッハハハハ!じゃあ、言ってやる! お前のデッキには俺との友情の証、5枚のバリアンカードが入ってるだろ?」

 

「っ!?」

 

 ひそかに真月からもらっていた5枚のバリアンのカードは遊馬と真月の2人だけしか知らないはずだった。

 

『なんだと!? 遊馬、君はリミテッド・バリアンズ・フォースだけではなくほかにもカードを渡されていたのか!!』

 

「アストラル……それは」

 

 アストラルの問いかけに遊馬は顔を下に向けて答えなかった。

 すかさずベクターが言葉をかけ、自分を指差した。

 

「言えないよなぁ。固い友情で結ばれた大切な親友、真月の頼みだもんなぁ!!」

 

「それじゃあ、結のことは?」

 

 不意に通信機から刹の声が聞こえてきた。

 怒りに声が震えているわけでもなく静かに問いかけているが、映像では刹は顔を下に向けているため見ることは出来なかった。

 

「はぁ? 俺があんな尻軽女に惚れるわけねぇだろ! 全部刹が、俺に手を出させないようにするための演技に決まってるだろ!!」

 

『どういう意味だ?』

 

 刹の名前が出てきてアストラルは険しい表情のまま問いかける。

 

「フン、教えてやるよ。脳内お花畑なお前らと違ってあの女だけは最初から俺を疑ってやがった!」

 

 忌々しそうに刹を見ながらそういった。

 

「それで保険として黒峰刹のたーいせつな友達である森沢結に告白したってわけだ! これだと迂闊に手を出せないだろ? ウッハハハハ! そうとも知らずにあの女、俺に告白されてちょっと優しくしたら良い気になってよぉ。あー、顔が良いってつらいわー」

 

「……最低!」

 

 同じ女の身である小鳥とキャシーはベクターの発言に虫唾が走っていた。

 結から真月のことについて話を聞いており、嬉しそうに話していたのを見ていたからでもあった。

 

「私は……」

 

 顔を下に向けていた刹がゆっくりと顔を上げる。

 

「お前らを絶対に許さない」

 

 それを見た瞬間、ベクターは背筋に寒気が走るのを感じた。

 刹には何も表情がなかったにも関わらず、その纏っている雰囲気やベクターを見ている瞳にただならぬものを感じ取った。

 ベクターとは違って刹の目の前にいるはずのアーカイドは感心したように笑みを浮かべて楽しそうにしている。

 

「……チッ。さぁて俺の親友、九十九遊馬君! デュエルの続きとしゃれこもうじゃねぇか! 俺の仇を取ってくれるんだろ?ウッフフフフ!」

 

「てめぇ! 俺はホープレイVでダイレクトアタックだ!!」

 

 遊馬がホープレイVに指示を出すとホープレイVは剣を握り、攻撃を開始する。

 

「永続罠、Vain-裏切りの嘲笑を発動! Vと名のつくモンスターが攻撃してきたとき、その攻撃と効果を無効にし相手のデッキにあるVカードをすべて墓地へ送る!!」

 

 遊馬のデッキにはいっている5枚のカードが宙に浮かび上がり、墓地に繋がる穴が出てくるとその5枚は墓地へと送られた。

 遊馬は思わず送られてしまったカードを追いかけるように走り出す。

 

「さらに相手のデッキ、手札からVと名のつくカードが墓地へ送られたとき、Vカード1枚につき500ポイント、自分のライフを回復する!」

 

 穴から黄緑色の光が出てくるとそれはベクターに向かっていきベクターのライフが回復してしまった。

 

ベクターLP:1300→3800

 

「さらにさらにぃ!! 墓地に送られたVカード1枚につき相手のデッキから5枚のカードを墓地に送る!」

 

 遊馬のデッキの一番上から1枚ずつカードが墓地へと送られていく。

 5枚のVカードにさらに25枚ものカードを墓地へ送られ、遊馬のデッキは薄くなっていた。

 

『……残るカードはわずか3枚。カードがドロー出来なかったとき、それはデュエルの敗北を意味する』

 

 アストラルの説明に遊馬は体を震わせながら恐る恐る自分のデッキを見る。

 33枚もあった筈のデッキは3枚となり、それは敗北へのカウントダウンが始まっている証拠でもあった。

 

「一思いにはやらねぇ。じわじわ行かせてもらうぜぇ!」

 

『わざわざ自分の分身を作ってまで遊馬とデュエルをしたのは、最初からこれを狙っていたからか!?』

 

 アストラルの問いかけにベクターはその通り!と肯定した。

 

「遊馬のことだから俺からもらったカードは友情の証として必ずデッキに入れると思った。そして、真月を俺にやられたと思わせれば頭に血が上って一気にホープレイVを出してくれると思ったが……お前ってやつは気持ち良いぐらい思ったとおりに動いてくれるな!」

 

 ベクターは心底可笑しそうに顔に片手を当てて笑い続け、遊馬に向かって指差した。

 

「最高だぜ、最高!!」

 

 遊馬は悔しげに拳を握り、その様子を見ていたアストラルは目を閉じて遊馬から顔を逸らす。

 ひとしきり笑い終えたベクターは2人に真月の声で話しかけた。

 

「遊馬、残りカード3枚でどうするつもりだぁー? せいぜい足掻いて見せろや!! どの道全員生きては戻れねぇんだからな! それもこれも遊馬、お前が招いた結果なんだよ! 関係ねぇやつらを巻き込んでなぁ」

 

「俺が……俺が、みんなを」

 

 遊馬は此処にくるまえに刹とカイトが行かないほうが良いといっていたことを思い出す。そして自分の迂闊な発言に小鳥達がついてきてしまったことも。

 

「お前にしてみれば、良かれとおもってぇ! やったんだろうがな!! ウハハハハハ!!」

 

 良かれと思っての部分だけ真月の声で言い煽っていくベクターに遊馬は乗せられて、てめぇ!と怒りに震えた。

 

「フッ、まさに手も足も出ないその様でどうするつもりなんだ?」

 

「……おれは、俺はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「じゃあ、お約束のサルガッソの効果を受けてもらおうか!」

 

 サルガッソの効果で頭上にある雲から雷が遊馬に向かって落ちる。

 

「ぐあああぁ!!」

 

遊馬LP:1600→1100

 

『私達はベクターが周到に用意した罠と心理戦に完全に翻弄されている』

 

「あぁ、俺のせいだ」

 

『私も迂闊だったのだ。刹から告げられたときにもっと深く考えるべきだった』

 

 悔やむように言うアストラルに遊馬はたまらずにはっきり言えよ!と怒鳴った。

 

「俺が最初から真月のことを話してればこんなことにはならなかったって!!」

 

「あぁ、確かに。アストラルに隠し事をしたのはまずかったよなぁ。刹は信頼を寄せている相棒のブラック・ミストには言ってたっていうのによぉ!」

 

 信頼と相棒の部分を強調してベクターが言うとアストラルは無意識に画面に映し出されている刹とブラック・ミストを見た。

 ブラック・ミストはアストラルとは違ってデュエルで助言はしていないが、刹の隣に立ち一緒に戦っているのが見える。

 その姿はどこからどう見てもお互いを信頼し合っているパートナーだった。

 

「そ、それはお前がアストラルを守るためだって言ったから!!」

 

「あーあ、言い訳してやんの!! さて、そろそろ始めるぜ! 俺のターン、ドロー! 俺は手札からフローリアス・ナンバーズを発動! このカードは自分フィールドにモンスターがいない時、墓地のNo.を特殊召喚する!! 戻って来い、シャイニング!!」

 

ランク4 ランク4 No.104仮面魔踏士シャイニング 攻撃力:2700 ORU:0

 

「さらに俺はこのカードの効果でカードを1枚ドローする!!」

 

 ベクターのフィールドにシャイニングが戻った姿を見て、遊馬とアストラルは苦々しい表情を浮かべていた。

 

『自分のNo.の復活まで計算に入れていたというわけか……』

 

「くっ、このままじゃホープレイVは破壊されちまう!」

 

「破壊だぁ? 攻撃も出来ず効果も発動できない木偶の坊状態のホープレイVをか?そいつがいる限り、サルガッソの効果で500ポイントのダメージを受けるんだぜ!?じっくり楽しんでやるよ!!」

 

 何も出来ないホープレイVを敢えて破壊しないことにより効果ダメージを与えさせる。デッキ破壊だけではなくライフまでもぎりぎりまで削るつもりなのだろう。

 

「俺はシャイニングの効果を発動! シャイニングは1ターンに1度、相手のデッキからカードを1枚墓地へ送ることが出来る!! ただし、この効果を使ったターン、シャイニングは攻撃できないがなぁ。これでお前のデッキは残り2枚だ。デュエルで負ければお前はこのサルガッソに沈む。それだけじゃねぇ。一緒に来た仲間はどうなるかなぁ?」

 

 遊馬は悔しそうに表情をゆがめてベクターを睨みつけるとベクターは嬉しそうに笑っていた。

 

「いいよ、その悔しそうな面!! これでお前らくだらねぇ人間の仲間のフリをした甲斐があったもんだ!! フフフッ、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 ベクターがターンを終了したそのとき、飛行船がある場所の後ろのほうで大きな黒い渦が発生した。

 その黒い渦は飛行船を吸い込もうとしているのか、宙に浮かんでいた飛行船が見る見るうちに引きずり込まれていっている。

 

『飛行船が!』

 

「ああ、あれか。たまにあるんだよな。サルガッソのあちこちに出来るブラック・ホールに巻き込まれちまうんだ」

 

 ベクターの説明に遊馬はなんだと!?と声をあげて飛行船に目を向けていた。

 

「あの穴、塞いでやろうか?」

 

 その言葉に藁にでもすがるような思いで遊馬はベクターに視線を向ける。

 

「俺が持っているサルガッソの灯台の効果を一時的に増幅させればやつらを助けてやることもできるかもなぁ? だが、ただでとはいかねぇ。お前が持ってるNo.をすべて寄越しな」

 

「No.を、すべて渡せだと?」

 

「出来るわけねぇよな! そんなことしたらアストラルが大変なことになっちまうもんなぁ! じゃあ、飛行船のお友達は諦めるか……」

 

 仕方ないというように腰に手を当てていうベクターに遊馬はふざけるな!と声を張り上げる。

 

「お前の相手は俺とアストラルだろ!? 小鳥達は関係ねぇだろうが!!」

 

「その関係ねぇやつらを連れてきちまったのは、お前だろうが!! さぁ、どうする? アストラルを取るか、お友達を取るか、二つに一つだ!」

 

 遊馬はベクター、アストラル、飛行船のほうに視線を向けてどうすれば良いんだと呟きながら焦っていた。

 

『落ち着け、遊馬』

 

「みんなが危ないんだぞ! そんな落ち着けるわけ」

 

「アストラルは冷たいよなぁ、お友達に!」

 

 2人の会話に割り込んできたベクターを睨みつけ、遊馬は顔を下に向けた。

 

「俺にはアストラルか小鳥達かなんて選べねぇ……選べるわけねぇ!!」

 

『遊馬! 分からないのか!? これもベクターの作戦だ!!』

 

「うるせぇ!! 俺は大切な仲間を助けたい! みんなを助けたいだけなんだ!!」

 

 そのときだった。

 遊馬のDゲイザーから小鳥から叱責する声が耳に入ってきた。

 遊馬の目の前に画面が現われるとそこには目を吊り上げている小鳥の姿があった。

 

「何やってるのよ、遊馬! アストラルと一緒にデュエルを続けて! 私達は大丈夫だから!」

 

「小鳥?」

 

「あなたの使命はアストラルを守ること! そう誓ったはずよ! 勝って!! 絶対にこのデュエルに勝って!! 人を信じることや友達との絆を間違ってないってことを、あなたが間違ってないということを証明して!! カットビングよ、遊馬!!」

 

 小鳥は笑顔でそう告げると同時に通信を切る。

 すると刹がデュエルをしているフィールドのほうからモンスターの咆哮が聞こえてきた。

 そちらに目を向けるといつの間にかサイバー・エンド・ドラゴンが召喚されていた。

 そして雲雀がサイバー・エンド・ドラゴンの背に乗って飛行船に向かって行っているのが見える。

 暫くすると吸い込まれていく飛行船が止まり、後ろに緑色の輪が現われてこちらに向かって発進し始めたときだった。

 

「きゃあああぁ!!」

 

「こ、小鳥!?」

 

 突然聞こえてきた悲鳴に遊馬は返事をするように声をかけるが聞こえてくるのは暴れているような音や悲鳴だけだった。

 

「どうしたんですか!? 結さん!!」

 

「し、正気にもどるウラー!!」

 

「結!?」

 

 遊馬は逃げ回る足音にまぎれて聞こえてきた委員長と徳之助の言葉に驚きを隠せないでいた。

 結は誰にでも優しくておとなしい性格をしている。決して人を傷つけるようなことはしない、はずだった。

 

「すべては、アーカイド様のために……」

 

 ようやく映し出された画面には結の姿が見え、瞳に光がなくぼんやりとそう呟いていた。

 

「アッハハハハ!! そう簡単にやらせるわけないでしょ? ばあぁーか!!」

 

 刹が映し出されている画面からベクターのように爆笑しながらアーカイドは激しく罵っている声が聞こえる。

 言い知れぬ不安が胸に広がっているとき、もう1つ画面が現われてサイバー・エンド・ドラゴンに乗っている雲雀が映し出された。

 

「刹! 遊馬! 此方は私に任せろ!! だから、デュエルを続けるのだ!」

 

 雲雀のサイバー・エンド・ドラゴンが飛行船にたどり着き、暫くすると雲雀は結を飛行船の上に連れ出してデュエルを始めているのが見えた。

 その間に小鳥達は飛行船を操作してブラック・ホールから逃れ、危険場域を脱出した。

 

「よ、よかった……」

 

 ひとまず危機から脱出した事実に喜び、通信機から遊馬を応援の言葉を告げて行き小鳥達が無事なことも分かった。

 凌牙やカイトからも遊馬のことを案じる言葉を投げかけられ、遊馬は潤み始めた目を擦った。

 

「おう、任せろ! アストラル……その色々と、本当にごめん!」

 

 頭を下げて謝る遊馬にアストラルはいつもの調子で遊馬の名前を呼んだ。

 

『勝つぞ、このデュエル! 行くぞ、ゼアルだ!!』

 

「ああ! かっとビングだ、俺!!」

 

 遊馬が上に拳を突き出すとアストラルは背中を合わせて同じように腕を上に伸ばす。

 

「俺と!」

 

『私で!』

 

「『オーバーレイ!!』」

 

 アストラルは青色の光に包まれ、遊馬は赤色の光に包まれて上空に躍り出る。

 

「総仕上げと行くか……アストラル!!」

 

 二つの光がぶつかり合ったとき、ベクターはアストラルの名を呼んだ。

 

「本当に遊馬と1つになれるのかぁ? お前はいま、心の底から遊馬を信じているのか? 疑っているんじゃないのか? お前に黙っていた遊馬のことを……自分の心の奥底までよーく覗いてみるんだ」

 

 ベクターの巧みな話術にアストラルは胸を締め付けられるようなそんな気持ちに陥る。しかし昨日、刹が真月のことについて話したときのことを思い出す。

 

「だが、遊馬は……私をまもるために」

 

 ようやく言えたその言葉は、ただのいい訳のようなものだった。

 

「本当にそう思うかぁ? じゃあ、刹とブラック・ミストはどうだ?ブラック・ミストは最初から刹に教えられてたんじゃないのか? 俺よりも相棒を信頼していた証拠じゃないか。おまえらは……どうだろうな? 遊馬はお前に黙っていた。その理由はお前を心の底から信頼していないからじゃないのか?」

 

「な、何言って!?」

 

 遊馬はベクターの言った言葉に噛み付くがその問いかけにアストラルは答えられずに呆然としていた。

 

「そうだ。お前の心に小さな黒い染みが出来てるだろ? そいつを素直に認めるんだな。今まで遊馬を執拗に攻めてきたのはな、アストラル。その裏で自分を裏切った相手への疑いの芽を張らせ、怒りという芽を出させるためだったんだよ」

 

「なんだと!?」

 

 ベクターの言葉に遊馬は驚きの声をあげる。

 

「お前は純潔で穢れを知らない。そして裏切られることに免疫がない。だからわずかな小さな染みで十分。それだけで命取りだ。いまその小さな染みを無限の絶望の闇に広げてやるよ!!」

 

「ふざけんな!! アストラルはそんなものに負けねぇ!!」

 

 遊馬が否定した直後に2人の姿が合わさり、ベクターの前でゼアルが現われようとしたときだった。

 

「それはどうかな? 今のアストラルに闇を拒むことが出来るかな?」

 

『なに?』

 

「忘れたか!? ホープレイVはバリアンの力だ!!」

 

 ベクターがそう言った瞬間、変身する前にゼアルは解かれ遊馬とアストラルは反発して地面へと倒れた。

 

『ぐわああぁ!!』

 

「アストラル!?」

 

 吹き飛ばされたアストラルが空中にあお向けで倒れると、アストラルの左胸から黒い触手のようなもの、闇があふれ出てきた。

 

『ぐっああぁ! あああぁー!!』

 

 苦しげな悲鳴と共にどんどんあふれ出てくる闇はアストラルを包み込んでいく、その過程でアストラルの額に一瞬だけバリアンの紋章が現われた。

 目の前の出来事に遊馬はただアストラルの名を呼ぶことしか出来ず、闇は球体となって完全にアストラルを閉じ込める。

 暫くすると回転しながらアストラルは闇を振り払って姿を現わすが、その姿はどこか最初のころのブラック・ミストと似ていた。

 体半分が黒くなっており、表情は悪に染まっていた。

 アストラルは口元を吊り上げ遊馬を見る。

 

『ゼアル、ゼアル!』

 

 ゆっくりと遊馬に近づき、アストラルは遊馬の肩を力強く握り締めた。

 

『ゼアル、ゼアル、ゼアル! ゼアル!!』

 

「あ、アストラル? どうしちまったんだ!?」

 

 ゼアルと呟き続けるアストラルに遊馬の声は届かず、肩を掴んだまま上空に現われた黒い渦の中に遊馬と一緒に入っていった。

 

「なに!?」

 

 まさかの展開にベクターが驚いていると渦から暗い黒い光が爆発し、遊馬とアストラルが場所に紫色と黒が混じった球体が現われる。

 そこにはゼアルが立っていた。

 しかし白いボディスーツは灰色に染まり、黄色だった髪は真っ黒に染められている。

 その者が右手を掲げると紫色の光が灯った。

 

「暗き力はドローカードさえも闇に染める。ダークドロー!」

 

「フハハハ、ダークドローと来たか。さしずめ、お前はダークゼアルとでも言うべきか? ん?」

 

 笑いながらベクターは挑発するがダークゼアルは何も反応せずにデュエルを続けた。

 

「DZW-魔装鵺妖衣(キメラ・クロス)を召喚」

 

 モンスターのカードが表示されるとそこから黒い霧が噴出し黒い紺色の鋭角的なフォルムで金色の装飾がつき、細い四足に前足の付け根部分から黒い羽が生えており、長い尻尾があるモンスターが現われる。

 

レベル1 DZW-魔装鵺妖衣(ダーク・ゼアル・ウェポン-キメラ・クロス) 攻撃力:0

 

「キメラ・クロスの効果を発動。このカードはフィールドの魔法、罠カードを1枚破壊する」

 

 キメラ・クロスから藍色の炎が吐かれるとそれはベクターのフィールドにあったVain-裏切りの嘲笑を破壊する。

 

「さらにカードを破壊したことにより、キメラ・クロスはホープレイVに装備!」

 

 キメラ・クロスは藍色の炎となってホープにまとわりつき、ホープレイVに大きな暗い翼が付けられ右手に赤い刃の大きな鎌のようなものが現われる。

 

「キメラ・クロスを装備したホープレイVはモンスター効果を失い、バトルでは破壊されない。ホープレイVでシャイニングを攻撃!」

 

 ホープレイVが持っている鎌をふるうと刃が飛び出しシャイニングに向かっていった。

「血迷ったか!? 攻撃力はシャイニングのほうが上だ!」

 

 ホープレイVは2600に対しシャイニングは2700だ。

 シャイニングは回転しながら此方に来た刃を金色のリングで受け止めて跳ね返した。

 

「ホープレイVは破壊されないが、お前はダメージを食らう!」

 

 跳ね返された攻撃をホープレイVは食らって爆発が起こり、ダークゼアルはその衝撃にのけぞった。

 

「ぐぁ!」

 

ダークゼアルLP:1100→1000

 

「キメラ・クロスの効果を発動。このカードを装備したモンスターがバトルでダメージを受けたとき、攻撃力を2倍にしてもう一度攻撃が出来る! ダーク・チャージ!」

 

ランク5 CNo.39希望皇ホープレイV 攻撃力:2600→5200

 

 ホープレイVに黒いオーラが包み込むと攻撃力が上がり、再びシャイニングを攻撃する。

「なんだと? 罠発動、ハンドレッド・オーバー! このカードは自分のモンスターが攻撃されるとき、破壊を無効にする! ぐおおぉ!!」

 

 シャイニングが攻撃され爆発を起こしその衝撃でベクターは吹き飛ばされる。

 

ベクターLP:3800→1300

 

「その代わり、攻撃してきた相手モンスターはもう一度攻撃が出来る!」

 

「ホープレイVでシャイニングを攻撃!」

 

 ダークゼアルは口元を吊り上げて歪んだ笑みを浮かべながらホープレイVに指示を出していた。

 

「ハンドレッド・オーバーのもう1つの効果を発動! この罠の対象となったモンスターが攻撃されたとき、相手モンスターの攻撃力に100加えた攻撃力となる!」

 

ランク4 No.104仮面魔踏士シャイニング 攻撃力:2700→5300

 

 シャイニングは笑いながら金色のリングをふるってホープレイVの攻撃を跳ね返した。

 そして再びホープレイVは跳ね返された攻撃を食らって爆発を起こす。

 

「ぐぅ!」

 

ダークゼアルLP:1000→900

 

「キメラ・クロスの効果を発動! モンスターの攻撃力を2倍にしてもう一度攻撃が出来る! ダーク・チャージ!!」

 

ランク5 CNo.39希望皇ホープレイV 攻撃力:5200→10400

 

「どうやら血迷っているみてぇだな。このままほっときゃ……フフフフッ」

 

 ハンドレッド・オーバーの効果でシャイニングの攻撃力が必ず100上回るはずなのにホープレイVに攻撃指示を出すダークゼアルにベクターはほくそ笑んだ。

 ダークゼアルはキメラ・クロスの効果を使い続けとうとうLPが600となりホープレイVの攻撃力は83200、シャイニングの攻撃力は83300と普段のデュエルでは滅多に見かけない攻撃力となっていた。

 

「さぁ、来い! この攻撃でお前の最後となる!!」

 

 ホープレイVが鎌を回転させて攻撃をし始めようとしたときだった。

 

「ぐっ、ぐああああぁ!!」

 

 突然ダークゼアルが苦しみ始め、宙へと浮かぶと紫色の光が球体となって包み込み赤と青の光が現われて地面へとたたきつけるように降りてきた。

 その二つの光はアストラルと遊馬だった。2人は地面に倒れている。

 

「うっ……」

 

 遊馬の意識が戻ったのか、体をふらつかせながらも体を起こしていた。

 

「あ、アストラル!?」

 

「遊馬君!!」

 

 少し離れた場所で体を点滅させ倒れているアストラルを見て叫ぶがその直後に刹の焦った声で遊馬の名を呼んだ。

 それと同時に刹、凌牙、カイトが映し出された画面が現われる。

 

「ホープレイVの攻撃を止めろ!!」

 

「そうしなければ貴様の負けだ!!」

 

 3人の言葉に遊馬が振り返ってみるとホープレイVが攻撃しようとしているのを慌ててターンを終了させることで攻撃をやめさせた。

 

「チッ……まぁ、サルガッソの効果は食らってもらうぜ」

 

 上空に雷が鳴り始めたとき、遊馬はアストラルの元に駆け寄ろうと走り出すが途中で雷が落ちて遊馬は食らってしまう。

 

「ぐあぁ!」

 

遊馬LP:600→100

 

「お前のライフはわずか100。そしてデッキのカードは残り1枚。おまけに頼みの相棒はその様か……もう諦めちまえよ!!」

 

「いや、俺はあきらめねぇ!! アストラルもみんなも俺の大事なものを、これ以上絶対に傷つけさせねぇ!!」

 

 この圧倒的に不利な状況でも遊馬は強い意志を持ってベクターを睨みつける。

 倒れているアストラルは薄く目を開いてか細い声で遊馬の名を呟いた。

 

「ケッ……。俺のターン、ドロー! 見せてやる、俺の本当の力を!! RUM-バリアンズ・フォースを発動! このカードはモンスターエクシーズをランクアップさせCXを特殊召喚する! 俺は仮面魔踏士シャイニングでオーバーレイ!!」

 

 シャイニングが赤紫色の光の玉となって上空に現われた渦の中に入っていく。

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築、カオスエクシーズ・チェンジ!! 現われろ、CNo.104」

 

 蝙蝠を模した赤い翼を持つ球状の物体から展開されて黒と白のモノクロな仮面に赤色の左右に大きく分かれた歪な翼に後ろ裾が長い燕尾服に似たものを着たモンスターが現われる。

 その手には長い杖を持っていた。

 

「混沌より生まれしバリアンの力が光を覆うとき、大いなる闇が舞い踊る。仮面魔踏士アンブラル!!」

 

ランク5 CNo.104仮面魔踏士アンブラル 攻撃力:3000

 

『遊馬……私との絆が断たれてもなお、君は1人で戦おうというのか』

 

 現われたCNo.に遊馬が驚いている間にアストラルは1人で自分の前に立っている遊馬を見つめていた。

 

「カオスエクシーズはバリアンズ・フォースで特殊召喚した時、相手モンスターのオーバーレイ・ユニットをすべて吸収する!」

 

 ホープレイVにあったカオスオーバイレイ・ユニットが移動しアンブラルの前に赤と黄色の十字架、カオスエクシーズが2つ並ぶ。

 

「さらに、奪ったオーバーレイ・ユニット1つにつき300ポイントのダウンだ!!」

 

ランク5 CNo.39希望皇ホープレイV 攻撃力:83200→82900

 

「まだだ! アンブラルは特殊召喚したとき、相手フィールドの魔法・罠カードを1枚破壊する! 俺はキメラ・クロスを破壊!! デストロイ・ステップ!」

 

 アンブラルが杖を振り回すと杖から炎が飛び出してきてホープレイVを包み込んだ。

 装備されていたキメラ・クロスが破壊されてホープレイVの姿が元に戻った。

 

ランク5 CNo.39希望皇ホープレイV 攻撃力:82900→2600

 

「キメラ・クロスが!」

 

「装備魔法が壊れちゃ、ライフを削ってまであげた攻撃力もパァだな! これで終わりだ! アンブラル、ホープレイVを攻撃!」

 

 アンブラルの杖から黒い電流が放たれてホープレイVは破壊されるが遊馬は諦めずに動き出す。

 

「罠発動、エクシーズ・リベンジ・シャッフル! このカードは自分のモンスターエクシーズがバトルで破壊されたとき、ダメージを0にし破壊されたモンスターエクシーズをエクストラデッキに戻す!」

 

 破壊されたホープレイVが光となって遊馬のエクストラデッキに戻っていった。

 

「そして相手モンスターに攻撃の権利を与えることで墓地のモンスターエクシーズ1体を攻撃表示で特殊召喚する! 蘇れ、希望皇ホープ!!」

 

ランク4 No.39希望皇ホープ 攻撃力:2500

 

「馬ぁ鹿ぁか、てめぇ!! モンスターエクシーズを召喚すりゃサルガッソの効果で」

 

「墓地のプリベントマトの効果を発動! このカードを除外し、相手ターンに発生するすべての効果ダメージを無効にする!」

 

墓地から現われたメットを被ったトマトたちが現われて上空から落ちてきた雷を遊馬の代わりに受ける。

 

「チッ、デッキ破壊が仇となったか……。なら、エクシーズ・リベンジ・シャッフルの効果でもう一度ホープを攻撃だ!」

 

「俺は墓地にいるマジック・リサイクラーの効果を発動! このカードを除外することでデッキから1枚墓地へ送る! そして墓地の一番下にある魔法カードをデッキに戻す」

 

「はぁ? そんなことして何になる?」

 

 遊馬は最後に残っていたカードを見た後、かすかに笑みを浮かべそのカードを墓地へ送り一番下にあった魔法カード、リミテッド・バリアンズ・フォースをデッキに戻した。

 

「俺は墓地へ送ったエクシーズ・エージェントの効果を発動! エクシーズ・エージェントを除外することで自分のモンスターエクシーズの1体のオーバーレイ・ユニットを使用する効果を発動できる!」

 

 墓地から現われた黒いスーツにサングラス、帽子を被った3頭身の男性型モンスターが持っているカバンを開くとオーバーレイ・ユニットがホープに向かっていく。

 ホープは翼を盾に変形させてアンブラルの攻撃を防いだ。

 

「往生際の悪い……。こうなったら、アンブラルの効果を発動! カオスオーバーレイ・ユニットを一つ使うことで相手の手札を1枚墓地へ送り、ライフを半分にする! 俺は2つのオーバーレイ・ユニットを使う!」

 

 アンブラルが杖を回転させるとそこから竜巻が発生して遊馬を襲う。

 

遊馬LP:100→25

 

「さらにお前の手札2枚、墓地へ送られる! どうだ? ライフは25。デッキは残り1枚。手札も伏せカードもない。此処まで追い込まれた感想はよぉ? 俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 遊馬はふらつきながら体を起こしてそのまま立っていた。

 

「どうした? そのようすじゃあ、ドローもできないんじゃないか?」

 

「ベクター、確かにお前の言うとおり俺とアストラルの絆は葬り去られちまった。だけど分かったんだよ。たとえどんな汚い手で墓地へ送られたとしても積み重ねた思いの力を信じている限り、希望という名のカードが俺を助けてくれるんだってな!」

 

 前を見て叫ぶ遊馬にベクターは嘲笑った。

 

「知った風なことをいうじゃねぇか! けどよ、てめぇに最後に残った希望とやらはあのカードなんだぜ! お前と真月の友情の証のなぁ!」

 

「確かに、そうだ。けど、俺はこのカードを引くしかねぇ。希望を信じて引くしかねぇんだ。俺のターン、ドロー!!」

 

 遊馬は勢い良くカードをドローするが、ドローしたリミテッド・バリアンズ・フォースを見た瞬間、力が抜けたようにアストラルの近くに倒れこんだ。

 

『ゆ、遊馬……』

 

 アストラルは倒れたまま手を動かして少しでも遊馬に近づこうと移動する。

 

「アスト、ラル……」

 

『遊馬、私はもうこれまでのように君を信じることが出来ない。だが、どんな窮地に陥っても希望を信じて戦う君を、私は信じたい……』

 

 2人は片手を上げてそっと手を合わせた。

 いままで触れることが出来なかったはずの2人が触れ合ったことで新たな絆が此処に生まれた。

 

「俺と」

 

『私で』

 

「『かっとビングだ!』」

 

 静かに2人がそういうと金色の光が2人を包み込んだ。

 他でデュエルしていた一部のものたちはその光に目を奪われていると、アストラルが遊馬に肩を貸して立ち上がった。

 

『いくぞ、遊馬!』

 

「おう! 俺は俺自身と」

 

『私で』

 

「『オーバーレイ!』」

 

 遊馬が赤色の光、アストラルが青色の光となって再び上空に飛び出した。

 

「俺たち2人でオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

『真の絆で結ばれし2つの心が重なったとき、語り継ぐべき力が現われる!』

 

 黒色のボディスーツに黄緑色の模様があり、肩と腰に白と赤のアーマーが取り付けられ、髪は腰までありオレンジを基調として前髪が赤色に染められ、目は双方とも金色になっている。

 

「『エクシーズ・チェンジ! ゼアル!!』」

 

 新たなゼアルが現われたことによりカイト、刹を除いた仲間達は嬉しそうに声をあげた。

 ちなみに2人は呆然とその様子を見ている。

 

「くっ、新たなゼアルだと!? だが、いまさら進化してもおせぇんだよ!!」

 

 予想外だったのかベクターは悔しげに遊馬とアストラルが新たに進化を遂げた姿、ゼアルⅡを睨みつけた。

 

「それはどうかな?」

 

「なに!?」

 

「重なった熱き思いが、世界を希望の未来へと再構築する! リ・コントラクト・ユニバース!」

 

 ゼアルⅡが持っていたリミテッド・バリアンズ・フォースが光に包まれカードの形だけを残して砕けると再び光は集まり、その姿を変えた。

 

「なにぃ!? カードを書き換えただと!?」

 

『奇跡の光が闇を払い、リミテッド・バリアンズ・フォースの真の姿を呼び覚ました!』

 

 アストラルがそう説明している間、刹がいるデュエルフィールドの方が若干煩くなっていたが気にせずにデュエルを続けた。

 

「俺はRUM-ヌメロン・フォースを発動!!」

 

『このカードは自分のモンスターエクシーズをランクアップさせ、CXを特殊召喚する!』

 

「俺はランク4の希望皇ホープでオーバーレイ・ネットワークを再構築!」

 

 ホープは金色の光となって上空に渦を描きながら舞い上がると青色の光が爆発を起こした。

 

「『カオスエクシーズ・チェンジ! 現われろ、CNo.39!』」

 

 そのモンスターは白を基調に赤と黄色を用いた原色要素が強調されたカラーリングで、どこかゼアルとゼアルⅡの容姿と似ていた。

 

「『未来に輝く勝利を掴め。重なる思い、繋がる心が世界を変える! 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー!』」

 

ランク5 CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー 攻撃力:2800 ORU:1

 

「ホープレイ・ヴィクトリーだと!? だ、だが!! サルガッソの効果で貴様は終わりだぁ!!」

 

 黒い雲から雷が落ちてくるがゼアルⅡは笑みをこぼして口を開いた。

 

「ヌメロン・フォースが発動されたとき、フィールドで表側表示すべてのカードの効果は無効となっている!」

 

 ゼアルⅡに雷が当たる直前に雷は消えてしまう。

 そんな効果があったとは知らなかったベクターは目を見開いて動揺していた。

 

「行くぜ! ホープレイ・ヴィクトリーでアンブラルを攻撃!! この瞬間、ホープレイ・ヴィクトリーのモンスター効果を発動!オーバーレイ・ユニットを1つ使いこのモンスターがバトルするとき、相手モンスターの攻撃力を自分の攻撃力に加える!! ヴィクトリー・チャージ!」

 

ランク5  CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー 攻撃力:2800→5800

 

「攻撃力、5800!?」

 

 ベクターは攻撃を防ぐ手段がないのか怯えたように後ろに下がっていた。

 

「これが俺たちの」

 

『絆の力!!』

 

「『いけ、ホープレイ・ヴィクトリー!! ホープ剣・ダブルヴィクトリースラッシュ!!』」

 

 いつの間にか2つの腕が追加されているホープレイ・ヴィクトリーは4つの腕に剣を持ち、アンブラルを粉砕する。

 

「ぐぅおおおお、あああぁ!!」

 

 アンブラルを破壊された衝撃にベクターは勢い良く吹き飛ばされて地面に何度もバウンドしながら転がっていく。

 

ベクターLP:1300→0

 

 ベクターのライフが0となり、デュエルの終了を告げる音と共にZEXALⅡwinという画面が現われる。

 遊馬とアストラルの勝利にみんなが安心していると地面が再び揺れ始めた。

 コンクリートの地面に少しずつひびが入り、小さな破片が宙へと浮かび上がる。

 ゼアルⅡがもたらした光の力がサルガッソのバランスを崩し崩壊しようとしていた。

 その間にベクターは羽をもがれ満身創痍な状態で体を起こしていた。

 

「貴様ら……これで勝ったと思うなよ? いいか? アストラルの心を汚した悪の染みは決してけせやしねぇ! 汚されたという思いは永遠に残り、それがお前らの絆を蝕んでいく! フッフハハハハ」

 

 ゼアルⅡの変身を解いた2人はベクターが消えていった場所を神妙な表情で見ていた。

 そして2人や他の場所でデュエルをしていたカイト、凌牙、刹は飛行船のフラッシュトランサーによって飛行船の中に乗り込み、このサルガッソを脱出した。

 


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