遊戯王の世界に転生したがろくな事が起きない   作:アオっぽい

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第二十七話 山に行くとろくな事がおきない

 タクシーに乗って山の下までたどり着いた私は早速歩いていこうとした時、ブラック・ミストがエクストラデッキから出てくる。

 

「刹、あっちのほうでバリアンの力を感じる」

 

「分かった。じゃあ、いこう」

 

 ブラック・ミストが指差した方向に向かって走り出そうとするが、ブラック・ミストに止められた。

 

「お前が走っていったら何時つくかわかんねぇだろ。俺が抱えて飛んでく」

 

 あぁ、そういえばブラック・ミストって浮いてるから飛んでいけるんだったね。

 浮かんでいるブラック・ミストの足元を見ながらそんなことを思い、お願いして抱えて飛んでもらった。

 此処は山でほとんど人がいないから飛んでいっても誰かに見られることはないだろうし。

 

「ブラック・ミスト……あれって」

 

「あれはスフィア・フィールドか?」

 

 暫く飛んでいると大きな半透明の赤い球体が空中に浮かんでいるのが見えてきた。

 その球体はWDCの決勝であったスフィア・フィールドってやつに似ている。

 Dゲイザーをつけてスフィア・フィールドに近づいてもらう。

 中には遊馬くんとアストラルがデュエルをしており、相手は長い金髪で左側のサイドは鳥の羽のような髪型をした男性だった。

 見たことない人だったが、恐らくあの人がバリアンなのだろう。

 丁度、相手はモンスターをエクシーズ召喚したところだったのか、渦の中からモンスターが現われる。

 それは赤と青の宝石がついた黒い四角錐の形から展開され、機械的で鋭利なフォルムに各所に宝石が散りばめられた赤と黒の体をもつドラゴンが相手のフィールドに出現した。

 

「顕現せよ、そして我を勝利へと導け! No.107 銀河眼の時空竜!!」

 

ランク8 No.107銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン) 攻撃力:3000

 

「No.107? No.って確か全部で100枚なんじゃ……」

 

「あれは、アストラルの記憶のNo.じゃねぇな」

 

 じゃあ、あのNo.はアストラルから生まれたものじゃないってこと?

 だとすると誰か他の人がNo.を作り出したことになるけど……No.はそんな簡単に作ることは出来ないと思うし。

 

「ブラック・ミスト、あの中に入ることって」

 

「たぶん無理だろうな。あれは特別なフィールドで作られてる。向こうから招かれない限り入ることはできねぇ」

 

 このまま見守るしかないか。

 

「とりあえず、下に降りよう。此処にいてもしょうがないし」

 

 それにこの体勢のままでいるのもちょっと恥ずかしいし。

 ブラック・ミストは私に言われてゆっくりと下に降りていく。

 その途中でスフィア・フィールドの下のほうで小鳥ちゃん、璃緒ちゃん、凌牙がいることに気づいた。

 

「小鳥ちゃん、璃緒ちゃん、凌牙!」

 

 地面に降りて3人に近づく。

 私の声に反応して3人はこちらに視線を向けた。

 

「刹、お前も来たのか」

 

「うん、カイトに教えられて……」

 

 そういってスフィア・フィールドに視線をやった後、3人に何があったか聞いてみたところ、小鳥ちゃんがデュエル庵に戻ろうとした帰りに急に襲われて気がついたら遊馬君はあの男とスフィア・フィールドの中にいたらしい。

 璃緒ちゃんと凌牙は今さっき此処にたどり着いたばかりらしい。

話を聞き終わったところで、男はいま召喚したタキオンドラゴンで希望皇ホープに攻撃していた。

 

「銀河眼の時空竜で希望皇ホープに攻撃!」

 

「俺はオーバーレイ・ユニットを1つ使って、相手モンスターの攻撃を無効にする!」

 

 タキオンドラゴンから放たれたブレスをホープはプロテクターのような羽を変形させ盾にして防いでいた。

 

「銀河眼の時空竜のモンスター効果、発動! 1ターンに1度、バトルがすべて終了した時オーバーレイ・ユニットを1つ使ってフィールドにいる銀河眼の時空竜以外のモンスター、すべての効果を無効にし攻撃力と守備力を元に戻す! タキオン・トランスミグレイション!」

 

 タキオンドラゴンは召喚されたときの黒い四角錐の形に戻って光り輝き始め、周りも虹色に輝いている。

 するとホープが召喚された直後に現われる姿へと戻っていく。

 

「これは」

 

「一体何が起きて……」

 

 私たちが困惑している間にも男はモンスター効果の説明を続ける。

 

「さらにこのターンの間、タキオンドラゴンはバトル中に効果を発動したすべてのカード1枚につき1000ポイント攻撃力がアップする! 時空をさかのぼり、再び顕現せよ!」

 

 男の言葉と同時にタキオンドラゴンは再びドラゴンの形になっていった。

 

ランク8 No.107銀河眼の時空竜 攻撃力:3000→4000 ORU:2→1

 

「そしてこの効果を自分のターンで使用した時、タキオンドラゴンはもう一度攻撃することが出来る!」

 

『馬鹿な! このモンスターは過去に戻って、自分に有利な選択を出来るとでもいうのか!』

 

 え、このモンスター効果ってそういう風に解釈できるの?

 思わずブラック・ミストに視線を向けると彼は黙って首を振った。

 おそらく、突っ込みはあきらめろといいたいのだろう。

 

「行け、タキオンドラゴン! 殲滅のタキオン・スパイラル!!」

 

 タキオンドラゴンから紫色のブレスが放たれてホープを破壊する。

 その破壊された衝撃に遊馬君とアストラルは吹き飛ばされた

 

「うわああぁ!!」

 

遊馬LP:4000→2500

 

「ぐ、ぐあああぁ!!」

 

 スフィア・フィールドの壁に遊馬君が激突した瞬間、遊馬君の口から苦しげな悲鳴が上げられた。

 

「遊馬!」

 

 そのまま空中に倒れる遊馬君を見て小鳥ちゃんは泣きそうな表情を浮かべながら叫んだ。

 あのフィールド、リアルダメージもあるのか……。

 

『遊馬、大丈夫か? しっかりしろ!』

 

「脆い。脆いな、人間というものは。タキオンドラゴンの一撃でその様とはな…」

 

 かすかな失望と嘲笑が含まれた言葉を聞きながら、遊馬君はふらつきながら立ち上がろうとして、男を睨みつけている。

 それを見て男は笑みを浮かべた。

 

「そうだ、九十九遊馬。立ち上がれ! 貴様にはこのデュエルを続けてもらわなければ困る。立ち上がり、無様に負けて私にNo.を渡すのだ!」

 

「あの野郎!」

 

 男の物言いに凌牙は怒りをあらわにして叫んだ。

 あの一撃だけで此処までダメージを負っている。このままデュエルを続けたら遊馬君が危ない。

 

「どうした? 立ち上がれないのか? ならば潔くサレンダーしろ」

 

「俺は、俺はサレンダーしねぇ。此処で負けたら、アストラルが……。だから、ぜったい……」

 

 そういって遊馬君は気を失ってしまったのか浮かんでいる体が脱力している。

 これ以上のデュエルは無理そう……こうなったらデュエルを引き継いでやるしかない。

 私はデュエルディスクを立ち上げ、歩き出す。

 

「私がデュエルをしてくる。凌牙たちは下がってて」

 

「なっ、刹! 俺が……」

 

「待て!!」

 

 凌牙が私をとめようとした時、頭上からカイトの声が聞こえてきた。

 オービタルを背中につけて飛んできたカイトは地面に降りる途中でデュエルディスクを立ち上げて私達の前に着地した。

 

「そのデュエル、俺が引き継ごう!!」

 

「カイト……」

 

 まさかカイトが割り込んでくるとは思わなかったので驚いていると、後ろから璃緒ちゃんの声が聞こえてきた。

 それはいつもの声ではなく、低くどこか予言めいた言葉を話している。

 

「呼んでいる……。ギャラクシーアイズがギャラクシーアイズを呼んでいる。遥かなる時空を越えて再び合間見えた2体の竜が互いに引き寄せ合っている」

 

 まさかカイトが持つギャラクシーアイズとあの男が持つギャラクシーアイズの事をいってるの?

 ていうか、璃緒ちゃん一体どうしちゃったの?

 

「ねぇ、凌牙。璃緒ちゃんどうしたの?」

 

「わからねぇ……。ただ、最近こういうことが起きるんだ」

 

 璃緒ちゃんには隠された力があるとでも?

 信じられないけど、カイトがギャラクシーアイズを持っていること、璃緒ちゃんは知らないはずだし。

 そんなことを考えているとスフィア・フィールドから風が吹き始め、いつの間にかカイトは光の粒子となってスフィア・フィールドの中に入っていった。

 カイトは中で遊馬君、アストラルと会話をした後、男に向き直った。

 

「俺を此処に招き入れたということは戦う意思があるんだろうな?」

 

「私が貴様を招いたのではない。ギャラクシーアイズがギャラクシーアイズを呼んだのだ」

 

「ならば俺がデュエルを引き継ぐのに異論はないな?」

 

 遊馬君とアストラルはスフィア・フィールドにいたままデュエルはカイトに引き継がれてデュエルが始まった。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドだ。そして銀河眼の時空竜の攻撃力は元に戻る」

 

ランク8 No.107銀河眼の時空竜 攻撃力:4000→3000

 

「さぁ、来い。もう1体のギャラクシーアイズを持つ者よ!」

 

「望むところだ! どちらが真のギャラクシーアイズ使いか貴様に思い知らせてやる!」

 

 なんか、2人の目的が若干変わってないか?

 

「いくぞ!俺のターン、ドロー! 俺は手札から魔法カード、フォトン・トレードを発動! このカードは手札からフォトンモンスター1体を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする!来い、フォトン・スラッシャー!」

 

レベル4 フォトン・スラッシャー 攻撃力:2100

 

「このカードは自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、特殊召喚できる! さらに俺はフォトン・クラッシャーを通常召喚!」

 

レベル4 フォトン・クラッシャー 攻撃力:2000

 

 カイトの場に顔は十字の穴が開いている仮面のようなものを被り青いプロテクターを着けたモンスターと同じく緑色のプロテクターを着けたモンスターが現われる。

 

「これで攻撃力2000以上のモンスターがそろったな」

 

 ブラック・ミストの言葉に私は頷いた。

 カイトはギャラクシーアイズを召喚する。カイトのギャラクシーアイズの効果を使えば相手のオーバーレイ・ユニットを墓地に送ることが出来て、タキオンドラゴンは効果も使えなくなる。

 それでもオーバーレイ・ユニットを補充するカードはあるからまだ安心できないけど。

 

「俺は攻撃力2000以上のモンスター2体をリリース!」

 

 カイトの手にはいつもの赤い十字架のようなものが握られて、それを頭上へと投げる。

 回転するそれに光の粒子が集まり、ドラゴンの形へと変わっていく。

 

「闇に輝く銀河よ。希望の光となりて、我が僕に宿れ! 現われろ、銀河眼の光子竜!!」

 

レベル8 銀河眼の光子竜 攻撃力:3000

 

 銀河眼の光子竜が咆哮をあげるとそれに釣られて銀河眼の時空竜も共鳴しあうように咆哮を上げていた。

 スフィア・フィールドから光が漏れ出すと同時に突風が吹き、倒れないように足を踏ん張る。

 2体のモンスターがそろうだけでこうなるとは……ネオギャラクシーアイズとかを出したらどうなってしまうのだろうか。

 暫くするとスフィア・フィールドからもれていた輝きがさらに増して、風も強くなっていく。

 気を抜いたら倒れてしまいそうなほどの風に体がふらついたとき、ブラック・ミストが体を支えてくれた。

 

「刹、つかまってろよ」

 

「ありがとう、ブラック・ミスト」

 

 ブラック・ミストに掴まりようやく風が収まったとき、周りを見渡してみるとひどいものだった。

 地面にはひびが入り、木々は折れてそこらへんに倒れてしまっていた。

 なんであの2体が揃うだけで此処まで……。

 

「ギャラクシーアイズ2体が揃うとき、大いなる力の扉が開かれる。そう伝え聞いてはいたが……」

 

「何のことだ?」

 

 カイトは問いかけるが男はフンと鼻で笑い、敗れ去る貴様には知る必要もないと突っぱねた。

 

「ならば勝って聞かせてもらう! 銀河眼の光子竜で銀河眼の時空竜を攻撃! この瞬間、銀河眼の光子竜の効果を発動! 互いのモンスターを除外する」

 

 銀河眼の光子竜の効果が発動され、2体のモンスターは光の粒子となってフィールドからいなくなる。

 

「これにより、貴様のモンスターのオーバーレイ・ユニットはすべて墓地へ送られて、そしてこの効果で除外されたモンスターはバトルが終了した時、フィールドに特殊召喚される! さらに銀河眼の光子竜は墓地へ送ったオーバーレイ・ユニット1つにつき攻撃力が500ポイントアップする!」

 

ランク8 No.107銀河眼の時空竜 攻撃力:3000 ORU:1→0

レベル8 銀河眼の光子竜 攻撃力:3000→3500

 

「オーバーレイ・ユニットを失ったタキオンドラゴンは牙を抜かれたも同じ」

 

「それはどうかな? 私は速攻魔法、インスタント・オーバーレイを発動!このカードはフィールドのモンスターエクシーズにオーバーレイ・ユニットがないとき、これをオーバーレイ・ユニットにすることが出来る!」

 

 やっぱりオーバーレイ・ユニットを補充させるカードがあったか……。

 あんだけタキオン、タキオンって言ってるからタキオンドラゴンをサポートするカードがたくさんあるはず。

 

「残念だったな……。銀河眼の時空竜の効果を発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、フィールドにいるタキオンドラゴン以外のモンスターすべての効果を無効にし攻撃力と守備力を元に戻す! タキオン・トランスミグレイション!!」

 

 タキオンドラゴンの効果が発動され、再びカイトたちの周りは虹色に輝きタキオンドラゴンは黒い四角錐の形に戻る。

 そして銀河眼の光子竜の攻撃力が元に戻ってしまった。

 

レベル8 銀河眼の光子竜 攻撃力:3500→3000

 

「これでは銀河眼の光子竜のモンスター効果が使えない……」

 

 ……あの効果を無効化にするのは永続的なのか。

 これは厄介だな……。

 でも、モンスター効果を無効化にするから魔法・罠カードや伏せられたモンスターや墓地にいるモンスターは対象外になる。

 そこが狙い目かな。

 

「このバトルで効果を発動したカードは私が使ったインスタント・オーバーレイ1枚。よってタキオンドラゴンの攻撃力は1000ポイントアップする!」

 

ランク8 No.107銀河眼の時空竜 攻撃力:3000→4000

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

ランク8 No.107銀河眼の時空竜 攻撃力:4000→3000 ORU:0

 

「私のターン、ドロー! 私は手札から魔法カード、トラクター・リバースを発動! このカードは自分のモンスターエクシーズにオーバーレイ・ユニットがないとき、相手の伏せカードを引き寄せこのカードと共にモンスターエクシーズのオーバーレイ・ユニットとする!」

 

 あのカードか、相手の魔法・罠カードを除去しつつ自分のエクシーズモンスターのオーバーレイ・ユニットを補充できる。便利なんだけど、相手が使うとすごく厄介なカード。

 自分の伏せカードを奪われたことにより、カイトは悔しげな表情を見せている。

 

「逆転のカードを奪われた! という顔をしているな。銀河眼の時空竜で銀河眼の光子竜を攻撃!さらに速攻魔法、タキオン・ドライブを発動! このカードの効果で自分フィールドのタキオンドラゴンは魔法・罠の効果対象にはならない!」

 

 タキオンドラゴンの口から放たれたブレスがフォトンドラゴンに襲い掛かって破壊されてしまった。

 No.はNo.でしか破壊されない。だからフォトンドラゴンと攻撃力が同じでもタキオンドラゴンは生き残る。

 

「また効果を使うつもりだな」

 

「そうだろうね。それにバトル中に使われたカードは1枚だから攻撃力も上がることになる」

 

 このまま攻撃されたらカイトは負ける。

 カイトのことだから何かしら対策はあるだろうけど、やっぱり見ててハラハラする。

 

「そしてこの瞬間、銀河眼の時空竜のモンスター効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、タキオン・トランスミグレイション!! このバトル中で発動されたカードはタキオン・ドライブ1枚。よって銀河眼の時空竜の攻撃力は1000ポイントアップする!」

 

ランク8 No.107銀河眼の時空竜 攻撃力:3000→4000 ORU:1

 

「気高き竜の爪にかかって最後を遂げられることを光栄に思うが良い! 銀河眼の時空竜でダイレクトアタック! 殲滅のタキオン・スパイラル!!」

 

 タキオンドラゴンの紫色のブレスはカイトを襲い、大きな爆発が起こる。

 何時までたってもバトルの終了を告げる合図が聞こえないことから、カイトは何とかやり過ごしたというのが分かる。

 煙が晴れたとき、カイトのライフは減ってはいたがまだ残っていた。

 

カイトLP:2500→500

 

 さらにカイトのフィールドにはいつの間にかフォトンドラゴンが存在していた。

 

「馬鹿な、どうして!?」

 

「俺は墓地にいるフォトン・スペクターのモンスター効果を発動させたのさ。タキオン・ドライブで防ぐのは魔法・罠のみ。つまりモンスター効果は対象外。俺はダイレクトアタックを受けたとき、墓地のフォトン・スペクターを除外することで墓地のフォトンモンスター1体の効果を無効にし攻撃力を1000ポイント下げて特殊召喚したのさ。そしてそのモンスターが召喚されたターン、バトルでは破壊されない」

 

レベル8 銀河眼の光子竜 攻撃力:3000→2000

 

 いや、だから先に……うん、やっぱりなんでもないや。

 こんなときにでも突っ込みを入れたくなる自分に呆れつつもデュエルを見守る。

 

「くっ……私はこれでターンエンド」

 

ランク4 No.107銀河眼の時空竜 攻撃力:4000→3000 ORU:1

 

「いくぞ!俺のターン、ドロー! 俺は魔法カード、死者蘇生を発動! 墓地よりフォトン・スラッシャーを特殊召喚! 続いて手札からフォトン・サークラーを召喚!」

 

 フォトンドラゴンの両隣にフォトン・スラッシャーと赤紫色のローブを着たモンスターが現われる。

 

レベル4 フォトン・スラッシャー 攻撃力:2100

レベル4 フォトン・サークラー 攻撃力:1000

 

「そして手札から魔法カード、シフトアップを発動! このカードは自分のモンスターのレベルを最も高いレベルにそろえる!」

 

レベル4→8 フォトン・スラッシャー 攻撃力:2100

レベル4→8 フォトン・サークラー 攻撃力:1000

 

 これでレベル8のモンスターが3体となった。

 カイトは雄たけびを上げると体から赤いオーラが現われる。

 

「俺はレベル8の銀河眼の光子竜とフォトン・スラッシャー、フォトン・サークラーでオーバーレイ!」

 

 3体のモンスターは黄色の球体となり、頭上に現われた薄暗い渦の中に入っていく。

 

「3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりて姿を現わすが良い!」

 

 カイトの手には大きな青紫色の槍のようなものが握られ、カイトはそのままそれを渦に向かって投げる。

 すると渦から光の爆発が起きた。

 

「光臨せよ、我が魂!! 超銀河眼の光子龍!!」

 

 銀河眼の光子竜とは姿が少し変わり、赤く輝いているドラゴンが現われる。

 それは銀河眼の光子竜が進化した姿といっても良いだろう。

 

ランク8 超銀河眼の光子龍(ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン) 攻撃力:4500 ORU:3

 

「超銀河眼の光子龍がエクシーズ召喚されたとき、このモンスター以外のすべてのモンスター効果を無効にする!フォトン・ハウリング!!」

 

 超銀河眼の光子龍の口から波紋のようなものが放たれて銀河眼の時空竜のモンスター効果を奪い去った。

 でも、此処で倒しても次のターンで復活してくるかもしれない……。

 できればこのターンで仕留められれば安心できたんだけど。

 

「俺はオーバーレイ・ユニットを1つ使ってフィールドにいるこのモンスター以外のオーバーレイ・ユニットをすべて墓地へ送る! そして墓地へ送ったオーバーレイ・ユニット1つにつき500ポイントアップする!」

 

ランク8 超銀河眼の光子龍 攻撃力:4500→5000 ORU:3→2

 

「行け、超銀河眼の光子龍!アルティメット・フォトンストリーム!!」

 

 赤いブレスが超銀河眼の光子龍から放たれてタキオンドラゴンを破壊し、大きな爆発が起きる。

 

「ぐっ、うわあぁ!!」

 

LP:4000→2000

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 壁に激突して元の場所に戻ってきた男は急に笑い出した。

 

「良い、良いぞ。ギャラクシーアイズ使いたるものこうでなくてはな!」

 

「負け惜しみを……」

 

「私のターン、ドロー! 私もこれを使わせてもらおうか。魔法カード、死者蘇生を発動! 墓地より銀河眼の時空竜を特殊召喚!」

 

 墓地へと繋がる穴が開かれてタキオンドラゴンはフィールドに戻ってきた。

 そしてフォトンドラゴンとタキオンドラゴンは威嚇するように鳴き合っている。

 

「これならば私が本気を出すのに相応しい……。バリアル・フォーゼ!」

 

 男がそう叫ぶと男がつけていたペンダントが輝き始めて彼の体を包み込んだ。

 驚いているのもつかの間、男の姿は変わっていき顔には白い仮面がつけられ丁度、鳥の羽の形をした部分はその仮面の一部となっていた。

 黄色の肌に上半身は裸で胸には赤い宝石のようなものがつけられている。

 腰には長い黄色の布が巻かれており、その姿はまるで風呂上りのような……。

 

「……ブ、ブラック・ミスト」

 

「おい、言うなよ。お前は何も言うな」

 

 男が戦隊もの如く変身をして現われたものがあれということに私は呆然としていたが、我に返ってブラック・ミストに視線を向けると止められてしまった。

 少し周りの様子を伺ってみると皆はそこまで驚いている様子はなかった。

 やっぱり私だけか……。

 

「今からお前に真のバリアンの力を見せてやろう。RUM-バリアンズ・フォースを発動! このカードは自分のモンスターエクシーズをランクアップさせカオスエクシーズを特殊召喚する! 私はランク8のタキオンドラゴンでオーバーレイ!」

 

 タキオンドラゴンは赤紫色の球体になると頭上に現われた渦の中に入っていく。

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築! 混沌より生まれしバリアンの力、No.に宿りて新たな混沌を生み出さん! カオスエクシーズチェンジ!!」

 

 渦から黒と深緑色の光が爆発を起こしてそこからモンスターが現われる。

 

「逆巻く銀河を貫いて、時を生ずる前より蘇れ。永遠を越える竜の星! 顕現せよ! CNo.107 超銀河眼の時空龍」

 

 そのモンスターは赤い炎のようなものに包まれ頭は3つに分かれている。

 あれがタキオンドラゴンの進化した姿?

 少し想像してたやつと違うけど……。

 超銀河眼の時空龍が召喚されたことにより、2体のモンスターはまた共鳴しあう。

 

「いかん! エネルギーが大きすぎる! このままではスフィア・フィールドが!!」

 

 スフィア・フィールドは先ほどの比ではないほどに輝き始めて所々電流が発生している。

 もしかしてスフィア・フィールドが壊れようとしてる?

 

「このデュエル、貴様に預けておくぞ! 我が名はミザエル! いつか2体のギャラクシーアイズを支配するものだ!!」

 

 そういって男、ミザエルはその場から消え去ってしまった。

 スフィア・フィールドが壊れ始めているのか、周りの壁が崩れ始めカイトと中にいた遊馬君が落ちていく。

 カイトはオービタルが飛んでいって何とかなっているようだが、遊馬君はそのまま地面へと落下していく。

 

「遊馬!!」

 

「ちょ、凌牙!」

 

 凌牙は遊馬君が落ちる場所へと走っていき、私はその場所が崖の近くだと気づいて慌ててその後を追った。

 遊馬君は木の上の落ちるが、落ちるスピードがゆるまっただけで地面へとたたきつけられる。

 そして落ちた勢いで転がっていき崖へと落下しようとしていた。

 

「ぐっ!」

 

 遊馬君が下へ落ちるが寸前で凌牙がその腕を掴む。

 しかし2人の体重に耐え切れなかったのか凌牙がいた部分の地面が崩れた。

 

「ブラック・ミスト!」

 

「たくっ、無茶してんじゃねぇよ!」

 

 落ちようとしていた凌牙の足を掴みながらブラック・ミストの名を呼ぶと、触手を出して私達を支える。

 ゆっくりと2人を引き上げて崖から離れたところに運んで一息つく。

 

「凌牙!!」

 

「遊馬!!」

 

 璃緒ちゃんと小鳥ちゃんは走ってこちらに駆け寄ってくると2人の様子を見ていた。

 凌牙は私達が助ける際に壁に強く打ちつけてしまったようで、遊馬君はミザエルとのデュエルのダメージや落下した時に負った怪我などもあった。

 私達はすぐに山から降りて2人を病院へと運んだ。

 


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