遊戯王の世界に転生したがろくな事が起きない   作:アオっぽい

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※追記 4月18日
カード効果の間違いやプレイングなど、おかしな部分があったため色々と修正しました。


第十五話 サイバー流とのデュエルはろくな事がおきない

黒峰刹LP:4000

都賀原雲雀LP:4000

 

「先攻は譲ってやろう」

 

「後攻のほうが良いくせによく言うよ」

 

 腕を組んで偉そうにそういってきたので私は目を半開きにして呆れたように呟く。

 

「じゃあ私のターン、ドロー。モンスターをセット、カードを2枚伏せターンエンド」

 

「ふむ、手堅く来たか……。私のターン、ドロー! 相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、サイバー・ドラゴンを特殊召喚できる!」

 

 白いボディに蛇のように長い胴体を持ち、体が機械でできたドラゴンが現われる。

 

レベル5 サイバー・ドラゴン 攻撃力:2100

 

「サイバー・ドラゴン・コアを召喚!」

 

 球体がいくつも繋がり胴体と思われるひとつに赤く光るコアが埋め込まれそこに赤いケーブルが繋がっているどこかサイバー・ドラゴンに似たモンスターが現われる。

 

レベル2 サイバー・ドラゴン・コア 攻撃力:400

 

「サイバー・ドラゴン・コアの効果を発動する。召喚に成功した時、サイバーまたはサイバネティックと名のついた魔法・罠カードを1枚手札に加える。私はサイバー・ネットワークを手札に加える。さらに手札から機械複製術を発動。自分フィールド上に表側表示で存在する攻撃力500以下の機械族モンスター1体を選択し、デッキから選択した同名モンスターを2体まで自分のデッキから特殊召喚する!私はサイバー・ドラゴン・コアを選択! サイバー・ドラゴン・コアはフィールド上・墓地に存在している限りサイバー・ドラゴンとして扱う。よってデッキからサイバー・ドラゴン2体を特殊召喚!」

 

 サイバー・ドラゴン・コアの両隣の地面が光るとそこから2体のサイバー・ドラゴンが現われる。

 

「手札から融合を発動! サイバー・ドラゴンとなっているサイバー・ドラゴン・コアと1体のサイバードラゴンを融合! 現われろ、サイバー・ツイン・ドラゴン!!」

 

 白いボディを持ち、一つの体に二つのサイバードラゴンと良く似た頭があり右側の頭にはオレンジ色のコアがあり背にはトゲが生え、もう1つの頭には青色の装飾に首にはいくつものケーブルがついていた。

 

レベル8 サイバー・ツイン・ドラゴン 攻撃力:2800

 

「すっげぇ、いきなり攻撃力2800のモンスターか!」

 

「刹さん、大丈夫かな……」

 

 そんなことを話している観戦している2人に分からないように苦笑いを浮かべて都賀原のフィールドを見る。

 

「サイバー・ツイン・ドラゴンは2回攻撃が出来る! まずは伏せモンスターを攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!!」

 

 サイバー・ツイン・ドラゴンの右側の頭の口からキュイィンという音と共に光が集まり、その光が解き放たれると光線となって私の場にいる伏せモンスターを攻撃する。

 伏せられていたカードがひっくり返り出てきたのは丸っこい毛むくじゃらの体に白い天使の羽が生えたモンスター、ハネクリボーが光線に当たり破壊される。

 

「破壊されたハネクリボーの効果を発動。このカードが破壊されて墓地に送られたターンに受ける戦闘ダメージは0となる。……サイバーエンドだったらダメージを与えられていたかもね」

 

 軽口を紡ぐと都賀原は鼻で笑い、首を振った。

 

「冗談だろう? そんなことでダメージが通っていたら私はとっくのとうに貴様に勝っている。カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

「さぁ、それはどうかな……。私のターン、ドロー。手札からトレード・インを発動。手札にあるレベル8モンスター、堕天使スペルビアを墓地に捨てデッキからカードを2枚ドローする。永続魔法、神の居城-ヴァルハラを発動。このカードは自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札から天使族モンスターを1体特殊召喚することが出来る。ヴァルハラの効果を使用して手札から堕天使ゼラートを特殊召喚」

 

 2本の角が付いた赤い兜をかぶり赤いマントのような、しかし悪魔を彷彿させる羽があり上半身は裸で下半身にはぼろぼろの布が腰についており、左手には歪な形をした剣を携えてゼラートがフィールドに舞い降りる。

 しかしファクトリーフィールドの効果により体がすべて金属で出来たものへと変化していく。

 

レベル8 堕天使ゼラート 攻撃力:2800

 

「その召喚成功時にチェーンし永続罠、サイバー・ネットワークを発動する! このカードは発動後、3回目の自分スタンバイフェイズ時に破壊される」

 

 カードが発動された瞬間、地面に光る線のようなものが相手フィールドに張り巡らされ、その光景はネットワークを彷彿させるものだった。

 

「……堕天使ゼラートの効果を発動。手札から闇属性モンスターを墓地に送り、相手フィールド上に存在するモンスターをすべて破壊する。私は堕天使アスモディウスを墓地に送る」

 

「サイバー・ネットワークの効果を発動。このカードはフィールド上にサイバー・ドラゴンが存在する場合、デッキから機械族・光属性モンスターを1体除外する私はサイバー・ドラゴン・ドライを除外する」

 

 堕天使ゼラートの持つ剣から黒色のオーラがまとわりつき、横に振るうとオーラが斬撃となって都賀原のフィールドにいるモンスターを破壊する。

 

「堕天使ゼラートでダイレクトアタック」

 

「リバースカードオープン、ガード・ブロックを発動! 自分が受ける戦闘ダメージを0にしデッキからカードを1枚ドローする!」

 

 ゼラートは飛び上がりサイバー・ドラゴンの頭上から持っている剣で切り伏せるとサイバー・ドラゴンは爆発をおこして破壊される。

 

「アドバンスドローを発動。自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のモンスターを1体リリースしデッキからカードを2枚ドローする」

 

 ゼラートは光の粒子に包まれるその場から消えてなくなり、私はデッキから2枚ドローする。

 

「ターンエンド」

 

「……私のターン、ドロー!」

 

罠カード サイバー・ネットワーク スタンバイ1回目

 

「手札からサイバー・リペア・プラントを発動! このカードは墓地にサイバー・ドラゴンが存在する場合、2つの効果の内1つを選択するが墓地にサイバー・ドラゴンが3体以上存在する場合、両方を選択できる。私の墓地には4体のサイバー・ドラゴンがいる! よってデッキから機械族・光属性モンスター、サイバー・ドラゴン・ドライを1体手札に加え、自分の墓地の機械族・光属性モンスター、サイバー・ドラゴンを1体デッキに戻す。そしてサイバー・ヴァリーを召喚!」

 

 現われるのはサイバー・ドラゴンと同じ形をしたモンスターだが、サイバー・ヴァリーの頭からは角が生え、胴体の部分にいくつかのトゲが生えており丸い赤色の装飾がついている。

 

レベル1 サイバー・ヴァリー 攻撃力:0

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「私のターン、ドロー。ヴァルハラの効果を使用、豊穣のアルテミスを特殊召喚しサイバー・ヴァリーを攻撃する」

 

レベル4 豊穣のアルテミス 攻撃力:1600

 

 機械へと体が変わっているアルテミスが現われ、すぐに指示を出すとアルテミスはサイバー・ヴァリーに向かって光の弾を放つ。

 

「サイバー・ヴァリーの効果を発動! ヴァリーが攻撃の対象になったとき、このカードを除外することで相手のバトルフェイズを終了させデッキからカードを1枚ドローする!」

 

 光の弾がサイバー・ヴァリーに当たる寸前でサイバー・ヴァリーは消えてなくなり、光の弾は地面へと当たる。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

「今回はずいぶんと消極的だな」

 

 都賀原がそう言うのでしょうがないでしょと呟いて右手を腰に当てる。

 

「大量展開なんてしたら素材にされるのが落ちだしね」

 

 このフィールドじゃなかったらもっと積極的に動くんだけどな……。

 いまのところはオネストも握ってないみたいだし慎重にいかないと返り討ちにされる。

 

「そうだな。それにいたっては貴様のほうが良く分かっているだろう。私のターン、ドロー!」

 

永続罠 サイバー・ネットワーク スタンバイフェイズ2回目

 

「リバースカードオープン、転生の予言を発動。墓地に存在するカードを2枚選択し、持ち主のデッキに加えてシャッフルをする。私は自分の墓地にいるサイバー・ドラゴン1体と貴様の墓地にいる堕天使スペルビアをデッキに戻す! そして墓地にいるサイバー・ドラゴン・コアの効果を発動! 相手フィールド上にモンスターが存在し自分フィールド上にモンスターがいない場合、このカードを除外してデッキからサイバー・ドラゴン1体を特殊召喚する! さらにサイバー・ドラゴン・ドライを召喚!」

 

 先に現われたサイバー・ドラゴンに似た形をしているが黄色の装飾が付き、胴体にジェット機のような形をしたものがつけられているモンスターが現われる。

 

レベル5 サイバー・ドラゴン 攻撃力:2100

レベル4 サイバー・ドラゴン・ドライ 攻撃力:1800

 

「サイバー・ドラゴン・ドライが召喚に成功した時、自分フィールド上のすべてのサイバー・ドラゴンのレベルを5に変える。サイバー・ドラゴン・ドライはフィールド上・墓地に存在する限りサイバー・ドラゴンとして扱う。よってサイバー・ドラゴン・ドライのレベルは4から5に変化する!」

 

レベル4→5 サイバー・ドラゴン・ドライ 攻撃力:1800

 

「レベル5となったサイバー・ドラゴン・ドライとサイバー・ドラゴンでオーバーレイ!」

 

 2体のモンスターは黄色の球体となり空中に飛び上がった後、地面に開いた穴の中に入っていく。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚! 更なる進化を遂げたサイバー・ドラゴンよ、いまここに姿を現わせ!」

 

 光の爆発が起こると、そこから赤い電流が発生し音を立てながらゆっくりとモンスターが現われる。

 白いボディに黒と赤の装飾がつけられ、胴体の中央に大きなオレンジ色に光り輝くコアがつけられ、背からは機械でできた羽が生えており勢い良く広がった。

 そしてサイバー・ドラゴン・ノヴァの全体が姿を現わすと大きな咆哮をあげる。

 

「現われろ、サイバー・ドラゴン・ノヴァ!!」

 

ランク5 サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻撃力:2100 ORU:2

 

「サイバー・ドラゴン・ノヴァの効果を発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、墓地にいるサイバー・ドラゴン1体を特殊召喚する!」

 

 サイバー・ドラゴン・ノヴァの周りを漂っていたオーバーレイ・ユニットがコアの部分に当たるとサイバー・ドラゴン・ノヴァが再び咆哮を上げ、地面から穴が開きそこからサイバー・ドラゴンが現われる。

 

ランク5 サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻撃力:2100 ORU:2→1

レベル5 サイバー・ドラゴン 攻撃力:2100

 

「サイバー・ドラゴンでアルテミスを攻撃する!エヴォリューション・バースト!」

 

「リバースカードオープン、攻撃の無力化を発動。相手モンスターの攻撃を無効にしバトルフェイズを終了させる。そしてカウンター罠が発動されたことによりデッキからカードを1枚ドローする」

 

 サイバー・ドラゴンから放たれた光線がアルテミスに当たる前に消えてなくなる。

 

「サイバー・ネットワークの効果を発動。デッキからサイバー・ドラゴン・コア1体を除外する。そして私はカップ・オブ・エースを発動、コイントスを行い表が出た場合、自分はデッキからカードを2枚ドローし裏が出た場合、相手はデッキからカードを2枚ドローする」

 

 都賀原の手に裏、表で違う柄が描かれた大きめのコインが現われると、そのまま空中に投げコインは回転しながら地面へと落ちる。

 

「表だ! 私はカードを2枚ドローしカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「私のターン、ドロー。手札からトレード・インを発動し手札のレベル8マスター・ヒュぺリオンを墓地に捨てデッキからカードを2枚ドローする。墓地にいる光属性モンスターと闇属性モンスターを除外しカオス・ソルジャー-開闢の使者-を特殊召喚」

 

 右手に剣を持ち、左手に盾を構えた青色の鎧を身に包んだ男性型のモンスターが現われるが体全体が機械へと変わる。

 

レベル8 カオス・ソルジャー-開闢の使者- 攻撃力:3000

 

「カオス・ソルジャーだと?」

 

 効果を知っている都賀原はカオス・ソルジャーを見て苦々しい表情を浮かべている。

 サイバー・ドラゴン・ノヴァは相手の効果によって墓地に送られたときにエクストラデッキから機械族の融合モンスターを1体特殊召喚できる効果がある。

 相手ターンでも攻撃力がアップできる上に特殊召喚まで……これが厄介なんだよね。

 

「カオス・ソルジャーの効果を発動。1ターンに1度フィールド上のモンスターを1体除外する。私はサイバー・ドラゴン・ノヴァを選択する」

 

 カオス・ソルジャーの剣先がサイバー・ドラゴン・ノヴァに向けられると黒い球体の塊がサイバー・ドラゴン・ノヴァの近くに出現しサイバー・ドラゴン・ノヴァはその球体に吸い込まれてその場から消えてなくなった。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

「エンドフェイズ時、速攻魔法サイクロンを発動し私の場にあるサイバー・ネットワークを破壊する!」

 

 カードから放たれる竜巻が都賀原の場にあるサイバー・ネットワークを破壊すると周りにあった光る線のようなものが消えてなくなる。

 

「サイバー・ネットワークのもう1つの効果を発動! このカードが墓地に送られたとき、除外されている機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚し、自分の魔法・罠カードをすべて破壊! そしてこの効果で特殊召喚したモンスターの効果は発動できず、発動したターン私はバトルフェイズを行えない。私はサイバー・ドラゴン、2体のサイバー・ドラゴン・コア、サイバー・ドラゴン・ノヴァを特殊召喚する!」

 

 地面から光が漏れ出しそこから一気に4体のモンスターが並べられる。

 

レベル5 サイバー・ドラゴン 攻撃力:2100 

レベル2 サイバー・ドラゴン・コア 攻撃力:400 (2体)

ランク5 サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻撃力:2100

 

 攻撃力はカオス・ソルジャーより低いがあのカードがあるからこのモンスターの数は脅威でしかないよな……。

 

「さぁ、私のターンだ。ドロー! 手札からパワー・ボンドを発動! そして場にいるサイバー・ドラゴン2体とサイバー・ドラゴンとなっているサイバー・ドラゴン・コアを融合しサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!!」

 

 3体のサイバー・ドラゴンが融合されるとそこから白色の電流を発生させながら機械の羽が生え3つのそれぞれ違うデザインの首を持つサイバー・ドラゴンの進化形態が現れる。

 

「パワー・ボンドの効果により特殊召喚されたモンスターの攻撃力は、そのもともとの攻撃力分アップする!! しかしパワー・ボンドは発動したターンのエンドフェイズ時、私は効果でアップした数値分のダメージを受ける」

 

レベル10 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力:4000→8000

 

「攻撃力8000!?」

 

「この攻撃を受けたら刹が……」

 

 傍らで観戦している遊馬君たちから驚きの声が上がる。

 サイバーデッキだとこれぐらい普通なんだよな……。

 

「さらにサイバー・ドラゴンとなっているサイバー・ドラゴン・コアと機械族となっているアルテミス、カオスソルジャーを墓地に送りキメラテック・フォートレス・ドラゴンを特殊召喚する!」

 

 私のフィールドにいたモンスターが消えて現われるのは数珠繋ぎの円盤型の胴体に1個の胴体につき1本の機械竜の首を生やしているモンスターだった。

 

レベル8 キメラテック・フォートレス・ドラゴン 攻撃力:0→3000

 

「キメラテック・フォートレスのもともとの攻撃力は素材としたモンスターの数×1000となる! さぁ、いくぞ!サイバー・エンド・ドラゴンでダイレクトアタック!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

「手札から速攻のかかしを捨てて効果を発動。このカードを手札から捨てて攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」

 

「く、速攻のかかしだと!?」

 

 速攻のかかしを捨てることで半透明のかかしが私の前に出るとサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃を受けきり、私は攻撃によって起こった風の強さにすこし体がふらつく程度だった。

 

「ぐっ……私はサイバー・ジラフを召喚する」

 

レベル4 サイバー・ジラフ 攻撃力:300

 

 体が機械でできた犬の形をしたモンスターが現われるがすぐに光に包まれてフィールドからいなくなる。

 

「サイバー・ジラフをリリースしこのターンのエンドフェイズ時まで、効果によるダメージを0にする。ターンエンドだ」

 

「私のターン、ドロー。創造の代行者ヴィーナスを召喚」

 

 ベージュ色の服を着ており足まで長い金髪に背中からは翼が生えており、その女性の周りには赤、青、紫の球体が浮かんでいた。

 しかしフィールド魔法の効果により容貌は機械と変わり果てる。

 

レベル3 創造の代行者ヴィーナス 攻撃力:1600

 

「ヴィーナスの効果を発動、ライフを500支払いデッキから神聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)1体を特殊召喚する。私は1500ライフを支払い3体の神聖なる球体を特殊召喚する」

 

 雲のようなものを周りに漂わせている光り輝く球体が3体現われるが、すぐに機械で出来た球体へと変わる。

 

刹LP:4000→2500

レベル2 神聖なる球体 攻撃力:500 (3体)

 

 都賀原は私のフィールドに出ているモンスター達を警戒しつつも怪訝そうに見ている。

 

「リバースカードオープン、DNA移植手術を発動。このカードが発動した時、属性を1つ宣言しこのカードがフィールド上に存在する限り、フィールド穣のすべての表側表示モンスターは宣言した属性へと変化する。私は闇属性を宣言」

 

 私が宣言すると同時にフィールドにいるモンスターは黒いオーラに包まれるがすぐにそれは消える。

 

「私は闇属性となったレベル2の神聖なる球体3体でオーバーレイ」

 

 機械となっている神聖なる球体が紫色に変わり地面に現われた穴の中に入っていく。

 

「3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。現われろNo.96ブラック・ミスト」

 

光が爆発するといつもの召喚した時のゲル状ではなく初めから形がなっている状態で現われる。

 

ランク2 No.96ブラック・ミスト 攻撃力:100 ORU:3

 

「……ナンバーズ?」

 

 聞いたことも見たこともないモンスターに都賀原は首をかしげてブラック・ミストを見る。

 

「今回も勝たせてもらうよ」

 

「なっ……ふん、そのモンスターには強力な効果があるみたいだな」

 

 都賀原ははじめは驚いていたが、すぐに冷静さを取り戻してブラック・ミストを観察する。

 

「いくよ。ブラック・ミストでサイバー・エンド・ドラゴンを攻撃」

 

「100で攻撃だと? ……まさか!」

 

 ブラック・ミストの効果が予想できたのか、都賀原は目を見開いて驚いていたが私はデュエルを進めた。

 

「ブラック・ミストの効果を発動。オーバーレイ・ユニットを1つ使い相手モンスターの攻撃力を半分にし変化した攻撃力分、攻撃力をアップさせる」

 

 ブラック・ミストから黒い霧のようなものが噴出するとサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力が下がり、ブラック・ミストの攻撃力が上がる。

 

レベル10 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力:8000→4000

ランク2 No.96ブラック・ミスト 攻撃力:100→4100 ORU:3→2

 

「そしてリバースカードオープン、バトル・リスタートを発動。この戦闘ではお互いのモンスターは破壊されず、さらに戦闘ダメージは0となる。また、この戦闘の攻撃モンスターはもう一度だけ攻撃が出来る。攻撃宣言時、ブラック・ミストの効果を再び発動。相手の攻撃力を半分にし加算させる」

 

レベル10 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力:4000→2000

ランク2 No.96ブラック・ミスト 攻撃力:4100→6100 ORU:2→1

 

 大幅に上回った攻撃力をみて都賀原は深く息を吐き、目を閉じて腕を下ろした。

 

「また私の負けか。本当に貴様は強いな……」

 

 どこか嬉しそうにそう呟くといつものドヤ顔をして私を指差す。

 

「次こそ貴様に勝つ!」

 

「いつもどおりの台詞をありがとう」

 

 私は笑みを浮かべてそういい、ブラック・ミストに指示を出して攻撃させる。

 

「(攻撃のほうは手加減してよね)」

 

『へいへい』

 

 ブラック・ミストの触手がサイバー・エンド・ドラゴンを襲い、サイバー・エンド・ドラゴンは破壊された。

 

「ぐ、うわあああぁ!!」

 

都賀原LP:4000→0

 

 攻撃により都賀原が吹き飛ばされデュエルの終わりを告げるブザー音が鳴り響くと周りの景色が一変して工場から普通の部屋へと変わっていった。

 正直言うとモンスターを全部素材にされたのが救われた。

 都賀原もどんどん強くなっていってるなぁ……。

 

「よっしゃあああぁ!!」

 

 デュエルディスクにセットしてあるカードを片付けていると突然近くから叫び声が聞こえ吃驚していると目の前に遊馬君が現われた。

 

「すっげぇ、デュエルだったぜ刹!!」

 

「本当、すごかったです!」

 

「ありがとう遊馬君、小鳥ちゃん」

 

 我が事のように喜んでいる2人に私はお礼を告げてから一言言い、すでに立ち上がろうとしている都賀原の下に歩いていく。

 

「今回のデュエル、一歩間違えれば負けていたよ」

 

 座っている都賀原に手を差し伸べながらそう言うとふんと鼻で笑い、私の手を掴んで立ち上がる。

 

「表情を変えなかったくせに良く言う」

 

 あ、やっぱり変わってなかったか……。

 難しいなと考えていると遊馬君と小鳥ちゃんが隣にやってきて遊馬君が都賀原と話し始めていた。

 主にサイバー・ドラゴンが格好良かったとかそんな話だ。

 

「そういえば、小鳥ちゃんはなんでここに?」

 

「えっと、それが……」

 

 小鳥ちゃんの話によると遊馬君が忘れていったハートピースを渡そうとしたところこけてしまい、そのままコースターに乗ってしまってその時運悪くハートピースがセットする部分にはまりコースターが発進。

 降りるに降りられなくなり、一緒に乗っているのだという。

 

「大変だったね……」

 

「もう、本当ですよ! 遊馬ったら先も見ないで突っ走っていって!」

 

 頬を膨らませて怒っている小鳥ちゃんを慰めふと2人はこのままここにいていいのかと思い口に出す。

 

「2人ともここにいて良いの? デュエルの相手を見つけてデュエルしないといけないんじゃ……」

 

 私の言葉に遊馬君と小鳥ちゃんはあっと声をあげた後、慌ててコースターへと乗り込んでいく。

 

「2人とも、がんばってね!」

 

 手を振って言うと2人も手を振り返し、コースターを発進させてこのフィールドだった場所を後にする。

 

「騒がしい後輩だな」

 

「まぁね。でもいい子だよ」

 

 特に遊馬君は何事も一生懸命ですぐに仲間を助けちゃうような子だし。

 

「そうか……」

 

 都賀原は遊馬君たちが去っていった方向を見て考え込むように黙っていたが、こちらに視線を向けると手を差しだした。

 

「今回も楽しいデュエルだった」

 

 私も手を差し出そうと思ったが途中で手が止まり、悩んでいると都賀原が止まったままの手を掴んで無理やり握手させる。

 

「黒峰刹、私に勝ったのだ必ず優勝を勝ち取れ。まぁ、貴様ならそれが容易だろうがな!」

 

 何もなかったかのように告げる都賀原に笑みを浮かべて私は頷いた。

 


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