コードギアス 反逆のルルーシュ Request C.C.   作:グリムゼン

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誤字報告本当にありがとうございます。
お付き合いいただければ幸いです。


第五十六話 結果は決まってる あなたと共にいる

さて、スザクの周りが失態と思っていないような失態の事で、ユーフェミアの騎士をやめた。

僕たちとしてはそれほど気にする内容でもない。

先の事は知ってる。元々の鞘に戻るだけ、結局のところはね。

 

シャーリーは、いつもの通り学園に戻ってる。

ルルーシュと同様に少しだけ休みがちになってるから。

でも、いい話も聞いた。学園祭が近づいているから、来てみない?だってさ。

その場では聞かなかったけど、学園祭ってなんだろう?

 

マオは絶賛C.C.と特訓中。

僕も習ってきたことだけどね。基礎的な事はもう終わってるし。

今は行儀作法の真っ最中、お辞儀の仕方、立ち振る舞い、ダンスなんかも。

先の事を見据えたC.C.が言い出したことだからいつもより気合が入ってる。

普段は、そこまでやる気を出さないんだけど。

 

そういう僕は、キッチンを使ってピザを焼いている真っ最中。

神根島の出来事が終わってから、C.C.が僕にお願いしてきた。

まぁピザは普段から作ってるから、別にいいんだけどね?

あれ?C.C.がやる気出してるのって、もしかして?

 

通信機がなった。

このコードはゼロ、ルルーシュか。

おおよその検討はつくけど、こっちにかける程切羽詰まってないよね。

 

「ゼロ?どうかした?」

『澤崎の件でな』

「そっちで結果が決まっていることをこっちに聞く理由ある?」

『なに?』

「合流する気ないでしょ。黒の騎士団は」

『少しは動揺するかと思ったんだかな?』

「君の事を知っていれば分かることだよ。人は見るものでしょ?」

『悪魔がかっている未来予知にも等しいその力、ギアスか』

「知っていることを知っているだけ。それ以外は知らないからね」

『はぐらかしもとうとうあきらめたか?』

「今のをはぐらかしと取るかどうかは君に任せるよ」

『やはり食えないやつだ』

「それは褒め言葉として受け取っておこう」

『お前、少し変わったか?』

「通信ではいの一番に僕の名前を呼んでいた君とは違うさ」

『ふっ、まぁいい。今回はお前たちの手を借りるつもりはないからな』

「ガウェインはどう?問題はない?」

『ラクシャータにやらせている。ようやく空を飛ぶナイトメアも手に入ったし、少しはお前たちに近づいている』

「組織力では君たちには到底勝てないんだけどね」

『嘘をつけ』

「過分な評価痛み入るよ。情報操作はディートハルトがいるし、今回は傍観させてもらうね」

『結果を楽しみにしていればいい。ああ、それと、アッシュフォード学園で学園祭があるのは知っているか?』

「シャーリーから一応聞いているけど、行って大丈夫?」

『あの会長にしてあの学園ありだ。イレブンだろうがブリタニア人だろうがオープンだからな。お前でも問題ない。予定がないようなら来てみてくれ。12mの巨大ピザも作る予定だ』

「ふっ」

『ん?どうした?』

「いや、ゼロの話が終わってルルーシュになるのが、ちょっとおかしくてね」

『それはそれだ。時間が許せばお前にナナリーも紹介しようと思っている』

「それはそれは光栄だ。楽しみにしておくよ」

 

通信が切れる。

ルルーシュは一体僕たちがどれほど大きく見えているのやら。

まぁ、技術力を組織にあてはめたらグラシャ=ラボラスとヴェパールが作られるのはすごいのか・・・

おまけに向こうにはまだ見せてないダンタリオンがあるし。

おっとっと、ピザが焼きあがった。

とりあえずもう一枚作っておこうか。

 

不意にテレビをつけてみる。

ちょうどついていたチャンネルではユーフェミアの事を報じてた。

言わずもがなスザクの事だ。

騎士公位の返上。

それがどれだけ自分勝手な事なのか分かってるのかな。

 

日本人の救世主、成り上がりの騎士、枢木首相の息子

色々言いようはあるし肩書も色々だ。

そんな彼がユーフェミアの騎士になったのは日本人にとっては誇りであり軽蔑でもある。

自分たちの中からブリタニアに認められたなら名誉ブリタニア人以上に価値のあるものになる。

だけどその反面、それを旗頭にしようとしていた連中にとっては劇物だ。

その存在を知っている人がどれほどいるかはわからないけど。

 

そしてその騎士を返上した。

誇りは落胆となり、軽蔑は侮蔑に変わる。

日本人はどれだけの人が首をくくっただろう。

テロリストを標榜する人たちはどれほど使えない駒と思っただろう。

情勢はニュースでしか伝わらないけど、どれほど思いがあったかな。

お飾りの副総督、うわさで聞く部分はそれが大きい。

そのうえ直々の騎士の指名だ、彼女自身が解任するはずがない。

だとすれば、二つに一つ、と言っても実質一つ。

外部による騎士の解任か、自分が辞めたいといったか。

そして、外部による騎士の解任は皇族である以上皇帝本人以外ありえない。

つまりは本人が辞したというところに帰結してしまうわけだ。

直接の方がまだ気が楽かい?枢木スザク

遠回しに殺した人数のほうがはるかに多いって知ったら君はどうなるだろう。

それとも、自分の手の届く範囲の人しか君は認識しないつもりかな。

どっちにしても・・・

 

「おおっ、いい匂いだな!」

 

C.C.がマオと一緒に戻ってきた。

来ている服は・・・いつも着ている服じゃない。

舞踏会に着て行くような、ドレスだ

オフショルダータイプのフレアスカートのドレス。

黒に所々金のチャームが付いたドレスはC.C.の髪に映えてとても綺麗だった。

マオは白い燕尾服、普段は下げている前髪をオールバックにしてかっこいい。

・・・いいな

 

「お帰りC.C.」

「ただいまリート」

「とても綺麗だよC.C.」

「っ、ああ、ありがとう」

「リート、ピザ作り終わったの?」

「うん、ちょうど二枚目が終わったところだよ。二人はどうしたの、服も着替えて」

「C.C.に教えてもらってたんだけど、実践だって言って下のダンスホールで2曲踊ってきたんだ」

「最近分かったが、自信がないのはマオの悪い癖だ。リートがいるからって比べる必要はないんだぞ?」

「そんなことないよ。自信がなく見えるのはC.C.の前だからだよ。今日初めて踊るのに」

「それも仕方ないだろう。周りの女どもはお前に夢中だったぞ」

「そういうC.C.だってダンスのお誘い受けてたじゃない」

「ピザ食べるんだったら、着替えてきてね。汚れちゃうといけない」

「?ああ、分かった」

「すぐ戻ってくるよ」

 

そう言ってマオは部屋を後にした。

C.C.は手を後ろに組んでそのままだ。

 

「どうした、リート」

「別に」

「どうした、嫉妬か?」

「別に」

「そうか」

「そうだよ」

 

C.C.が近づいてきて僕の背中に周る。

 

「食べてもいいか?」

「着替えてからって言ったでしょ?」

「ドレスは着替えるのに時間がかかる」

「着ていったのはC.C.じゃない」

「・・・私はピザを早く食べたい」

「僕にどうしろって?C.C.」

「・・・今日のリートは意地悪だ」

「僕も時々意地悪になることだってあるよ」

「後で、久しぶりに踊らないか?」

「ピザは?」

「・・・て、手伝ってくれ」

「はぁ~、分かったよ僕が悪かったよC.C.」

「いや・・・私も悪かった。リートが嫉妬してくれるのは、不謹慎だが、嬉しかったんだ」

「後で、踊ってくれる?」

「ああ」

「エスコートさせてくれる?」

「ああ、もちろん」

「ドレスはここに置くわけには行かないね、部屋に行こう」

「そうだな」

 

僕が一歩進んでもC.C.は歩かない。

黒のシャーリンググローブの右手を出して待ってる。

 

「今日のC.C.はわがままで一段と綺麗だ」

「そうとも、私はC.C.だからな」

 

僕が手を取るとC.C.もそれにこたえてくれた。

着替えに行くのにエスコートするのって言いたくなったけど、それは気にしない。

 

リートが手を取って部屋へ連れていく。

ピザを食べたいのはもちろんだが、何よりリートが嫉妬してくれたことに私は内心歓喜していた。

マオを整えてやったのは私だが、それ以上にリートのいじらしさを感じることができた。

それとリートは気が付いていないだろうが、私のドレスを脱がすことができるのはお前だけなんだぞ?

私も羞恥心と戦っている。いや、理性だな。これは。

とても、今更ではあるんだがな。意識し始めると最初期よりだいぶ観念がましになってきている。

気にしていなかったんだぞ、二人で風呂に入ること自体。

それが、もはや水着で二人で風呂だ。いや、子供のリートだったら気にしなかったんだが。

今では立派になった、頼りがいのある私の壊変者だ。

だからこそ!甘えもする!だが、面と向かっては言いづらい!

けっ・・・こ・・・・・・くそっ、言えたらどれだけ楽だ!

私は・・・C.C.だから・・・な

 

ドレスから着替え終わって、リートのピザを堪能している

やはり、リートの作ったピザはおいしい。

マオもピザを頬張ってうまそうに食べている。

そして肝心のリートは、律儀にキッチンの後片付けだ。

この後一緒の時間をもらうんだからマオと一緒にだとさ。

うむ、何か要求されそうで怖いな。

 

「C.C.マオ、食べた?」

「おいしかったよリート、ごちそうさま」

「まだ私は食べるぞ、こんなうまいピザを残すなどもっての他だ」

「あ、ピザと言えば、アッシュフォード学園で巨大ピザを作るってルルーシュが言ってたよ」

「ああ、もうそんな時期か」

「ネットで見たけど、ここの学園祭だいぶすごいらしいね」

「私は行ってもいいが、正直気が進まんな」

「あれC.C.、12mの巨大ピザって書いてあるけど、食べなくていいの?」

「マオ、あれは未来では失敗する定めなんだ」

「そうなの?」

「目の前で大きくなったピザ生地が、木に引っかかってダメになるところを私はもう見たくはないな」

「そっか、C.C.と一緒に学園祭?に行けると思ったんだけど」

「なに!?リート、お前行くのか?!」

「ちょうどいいというか、ルルーシュとシャーリーからお誘いがあったからね、せっかくだし」

「なら私も行く」

「へ?」

「私も、行く!」

「え、でもC.C.、仮面無しだよ?向こうにもC.C.いるんだよね?」

「問題ない、私が何とかする、プランはしっかり練っておくから問題ない!」

「僕もついていっていい?」

「もちろん」

「こういう時こそ、見せ所だぞ、マオ」

「言いたい事はわかってるつもりだよC.C.」

 

――――――――――二人は優雅に着飾り、あたりの者らの心を奪う

          二人は華麗に舞い踊り、あたりの者らの視線を釘付けにする

          一人は右目に時計を宿した凛々しい青年

          一人は額に世界を宿した美しき魔女

          只人はその場にて傍観するほかない

          二人は一つの曲が終わるたび、多くの喝采を浴びる

          只人は声をかけることすらかなわない

          二人はその場から隔絶されているのだから

 

          私の心も奪われた

          彼の者に心奪われた

          心と呼べるものかはわからない

          それはきっと心と呼べるもの

          私に名はなく私に名はある

          ・・・一つ目の時計が巻き戻る

          ・・・二つ目の時計に針が増える

          ・・・私の愛しい人、私の名の人よ




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