東方孤傀劇/~Noキミョン?Noウドンゲ?Yesうどみょん!   作:因田司

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今回は、青娥娘々が妖夢達に用意した場所での様子を紹介します。

……あれ?見た事があるぞ、此…的な表現も含まれていますので
閲覧の際は御注意下さい。

原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪


春ですけど夏ですから……

REISEN

~とある一室

 

 

私達は、私達にしては豪華すぎる部屋の中にいた。

 

ベッドが四つあり、テレビもあった。清潔な一部屋だった。

 

 

「フフフ……スウィートルーム、御気に召しました?」

 

 

感心する私達の後ろから、青娥さんが声をかけてきた。

 

 

「ささっ、私は芳香ちゃんを捜しに行かないとね……じゃ、ごゆっくり~~」

 

 

そう言うと、這い上がってきたあたりの床にまた穴を開けて中に入ってしまい、たちまち穴は塞がってしまった。

 

部屋に取り残された私達。

 

 

「……お二人とも……」

 

 

するとリリーホワイトさんが近付き、小声で私達に囁いてきた。

 

 

「私、嫌な予感がするんですけど……」

 

 

…実は其の事については私も、穴に入る時には薄々感づいてはいた。

うどんさんも気付いていたに違いない。

 

しかしあそこで下手に拒むと、相手が相手だったため何をされるかは判らなかった。

 

其にあんな開けた場所で戦闘を行えば、巡回しているマリス達に気付かれてしまう

可能性も高くなる。

其処で仲間を沢山呼ばれてしまえば、助かる可能性は零に等しい。

 

ふとうどんさんは、テレビの黒い画面を見ながら言った。

 

 

「そういえば現在のMHKニュース、どうなったんでしょう……」

 

 

最近一人に烏天狗、射命丸文さんを含む二人の天狗で司会を行っていた途中に

マリス達の襲撃に遭い、其のまま放送終了というハプニングを起こしていた。

 

其から所持していたガラパゴス式の連絡器のワンセグ機能で毎回確認はしていたが、放送休止のままだった。

 

……今の状況で何故そう思ったのかは判らなかったが。

 

 

「確かに……此の間に、何か情報を掴まないと……」

 

 

そう言って私はテレビの近くに置いていた、黒いすずりぐらいの大きさのものを掴んだ。

此がリモコンに間違いはない。

 

本来私はリモコンというものは判らなかったのだが、白玉楼にいた頃にテレビを観る際、

幽々子様がいつも所持、占領していたので其の形や操作方法もはっきりと覚えていた。

 

幽々子様がやっていた様にリモコンの一番上の端にある、赤いボタンを押しながら其を画面に向けた。

 

すると暫くして電源が点き、黒い画面が一気に彩られた。

 

 

 

【…天狗が最も怖いと思ったランキング第1位…〈潜む影〉】

 

 

「!?エ"……!??」

 

 

ホラー番組だった。思わず顔を歪めてしまった。

私は半人半霊という家系の者ながら、幽霊系統が大の苦手なのであった。

 

いそいでリモコンの別のボタンでチャンネルを変えようとした。

 

が………

 

 

「……!あれ……?」

 

「…どうしました?」

 

「……チャンネルが変わらない……」

 

「!え……!?」

 

「変ですね……幽々子様は、いつも此で変えていたのですが……」

 

 

何度押しても、変わらなかった。

 

すると、リリーホワイトさんが、

 

 

「!妖夢さん、テレビを消せばいいじゃないですか?」

 

「!そ…そうでした……」

 

 

もう一度赤いボタンを押しながら、リモコンをテレビに向けた。

 

だが………

 

 

「!電源が…切れない……!?」

 

「!?え……!?」

 

 

リモコンでも、更にテレビに直接ついている電源を押しても無駄だった。

 

 

「こ、怖いですよ……」

 

「……暫く、我慢するしかない様ですね……」

 

 

其処で私達はベッドの上の一番奥に体育座りをし、出来るだけ三人で身体をくっつけて見た。

 

身体がまた震えていた。しかし私だけでなく、うどんさんもリリーホワイトさんもそうだった。

 

 

 

 

【とある昼下がりに遊んでいる、五人の妖怪少女……一人が遊ぶ四人の姿を撮影している】

 

 

ナレーションと同時に、其の通りの光景が画面に映し出された。

 

其の時私は、その遊ぶ少女達の一人に見覚えがあった。

 

 

「……影狼…?」

 

「!え……!?」

 

 

顔にモザイクがあるものの、其の姿は明らかに狼女、今泉影狼だった。

以前に迷いの竹林で一戦を交え、更にその後にもう一度出会ったので忘れる筈が無かった。

 

となると撮影者含む、残りの四人は……

 

 

【彼女達の奥にあるのは、どうやら廃神社の様だ】

 

 

!うぅ…紫色の『廃』と赤色の『神社』の文字………

何て毒々しい色のテロップを使ってるんだ……

 

そう考えていると、

 

 

【『ねぇ、私も混ぜてくれない?』

 

『じゃあ其処にカメラ置いて来たら?一緒に写れるしさ』

 

『……そうね』

 

 

そして撮影していた少女もカメラを傍に置き、彼女達に加わった】

 

 

……集団に駆けていくあの姿……指名手配にもあったろくろ首…赤蛮奇…だっけ……

彼女に違いなかった。

 

今は全員無罪になったと、影狼は言っていたけど……

 

 

【しかしカメラは、彼女達の他にいた、不可解なモノも映してしまった】

 

 

そう言うと、五人が遊ぶ姿が映し出されたまましばらく時間がたった。

しかし、私には何も変化は見えなかった。

 

ふと、隣を見るとうどんさんの顔が青くなっていった。

リリーホワイトさんも口があわあわしていた。

 

 

「?どうしました……二人とも?」

 

 

そう訊ねると、

 

 

「……いた……さっきいましたよ……!!」

 

「私も…見付けてしまいました」

 

「!?うそ…何処に……!?」

 

【お判り頂けただろうか……】

 

 

そういうといつの間にか、画面ではリプレイに入っていた。

 

 

【置いたカメラに映し出された少女達と廃神社の本殿。其の本殿に御注目頂きたい……】

 

 

唾を飲み込んだ。汗が滝のように流れてきたのが判る。言われて通りに其処に注目する。

 

!あ…………

 

 

 

 

 

 

【奥から真っ青な服を着た、うつむく少女の姿が…!】

 

 

「キャァアァアァアーーーーー!!!!!??????」

 

 

思わずうどんさんにすがり付きながら大声をあげてしまった。

 

 

【彼女は…いったい……?】

 

 

しかしすぐに、私がうどんさんに抱きついている事が判ると、思わず顔が赤くなった。

 

 

「~~//ご、御免なさい…うどんさん……つい……」

 

 

そう言ったが、

 

 

 

 

 

「……うどんさん?」

 

 

返事が無い。うどんさんが顔をうつ伏せたまま黙っていた。

 

 

「うどんさん……どうしたんですか?」

 

 

肩を揺すると、彼女は其のまま座っていた布団に倒れた。

 

 

「!?」

 

 

全く動かない……気分が悪くなったのか……!?

 

 

「リリーホワイトさん!うどんさんが……!」

 

 

すぐにリリーホワイトさんの方に向いたが、

其処にはいつの間にか地面に落下し、動かなくなっていた彼女がいた。

 

 

「!リリーホワイトさん……!?」

 

 

……いったい…何が……!?

 

 

 

すると、私は部屋にある違和感を感じた。

 

此は……異臭?…………

 

 

「!?しまっ……!」

 

 

しかし、気付いた時には既に遅かった。

 

 

 

 

私の意識は、静かに下に、下に、堕ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?

………はい、劇中で出てきた番組は、実際にでも酷似しているものがあります。

因みに今回のサブタイトルにもあります様に、此の出来事一帯は春の間に起きているという設定です。
何と言う今更感でしょう……

それでは、次回もゆっくりしていってね♪

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