東方孤傀劇/~Noキミョン?Noウドンゲ?Yesうどみょん! 作:因田司
此の章は終了します。
原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見てくださると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
YOUMU
VS〈影を告げる妖精〉ケイオスブラック・アルフ
~人間の里
何が起こったか判らない私の前で、化け物と化したリリーブラックが左右二つに切り離されていた。
当の本人も表情から、完全に予想外だと思っていたようだった。
「キキャァァアァーーーー……………」
擦れ声とともに裂かれた身体は二つとも私の前に、ばったりとうつ伏せに倒れた。
「外見が随分と変わって一瞬誰かと思ったけど……」
其の後ろに誰かが立っていた。
「またあんたかい……リリーブラック」
赤いトンボでツインテールにしており、癖のある赤髪。
服装は半袖にロングスカートの着物のようなものを着用して、銭の付いた腰巻をしている。
そして手には大きな鎌。
「!小野塚小町さん!」
「!おやぁ、アンタ達かい……噂には通り、やはりラブラブの様だね」
いつの間にかうどんさんとリリーホワイトさんが隣に来ていた。
私は顔が赤くなるのを感じて、隣に目を向けるとうどんさんも顔を赤らめていた。
慌てて話をそらした。
「~~ど、どうして此処に…また、サボりですか?」
「いや、ばっちり仕事さ…通報が来たんだ。此処でコイツによる襲撃があったってね」
小町さんが動かない魔精の左半身を、鎌でつつきながら言った。
「通報してくれたのが誰か……知ってるかい?」
「私です」
声を出し、手が挙がる。其は……
「!リリーホワイトさん!?」
「別のマリスが最初に吠えた時に私が通報したんです。咆哮もばっちり聞かせてあげましたしね」
「!もう一匹いたのかい!?ソイツは今……?」
「妖夢さんと鈴仙さんが倒してくれました」
「そうかい……とにかく、三人とも礼を言わせて貰うよ」
小町さんが礼を言った。
すると黒妖精の切り口から黒い手が、互いの半身に向かって大量に伸び、
中央でがっちりと握りあった。
「!!!」
手はそのまま二つの半身を互いにに引きよせ、中央で身体をくっつけ完全に癒着した。
「マダダァ……終ラセルカァア……!!!」
其のまま立ち上がりながら剣と盾の腕を構えて私達の方に伸ばしてきた。
「おっと、そうはさせないよ!?」
だが、小町さんが其の背中に鎌の刃を突き立てて、其のまま引き寄せて組み伏せた。
「!?エグェ……!??」
「もうあんたを逮捕するのは飽き飽きしてたのに……今度は化け物になってるじゃないか……面倒くさいね」
「じゃ、早速コイツの出番かね……?」
小町さんが魔精を組み伏せたまま、懐から取り出したのが……
注射器の様だ。中味に乳白色の液体が入っているのが判った。
「喰らいな、化け物!!」
其のまま敵の首筋に荒く突きさした。
ドスゥ!!!!!
「!??!ギォアァアァアア……!!!????」
其の瞬間変化が起こり始めた。
身体の紫色がみるみる引いていき、腕の剣や盾も消滅して普通の手になった。
三つの目で肥大していた眼窩も小さくなり、元の目に戻っていった。
元の大きさに戻った黒妖精は、再びそのままばったりと倒れた。
「ほう……なかなかの効き目だねぇ…こいつぁ」
首から注射器を引き抜きながら、小町さんが呟いていた。
うどんさんが目を丸くした。
「~~そ、其は……!?」
「驚いただろう。最近完成されたといわれるマリス用ワクチンのプロトタイプだ」
小町さんは空になった注射器を振って、得意そうだった。
うどんさんが歓喜の声を上げた。
「師匠……ワクチンを完成させたんですね!?」
だが私は疑問の声を上げた。
「ですが……どうして貴方が其を……?」
「!嗚呼、其はだね……」
小町さんが其の問いに対して説明を始めた。
「前に、地獄の三途の川のほとりで変な黒い三頭犬二匹と遭遇してね……退治したが、其の時地上では、アリスの心の闇……えっと………何だっけな……」
「……マリスですか?」
「!そう、それそれ……其のマリスという化け物がうろついて、永遠亭ってとこが其の本体
の情報を求めているっていう事も聞いた。
本体は判らないが、一応報告っという事で其で映姫様の許可を貰って行ったところ、数本分けてくれたのさ」
地獄にまでマリスが侵攻してたとは……止まる様子は無いのか……
私は苦虫を噛み潰していた。
「ぐっ………!!」
リリーブラックが気が付いた様だった。痙攣しながら身体を動かしている。
するとリリーホワイトさんがフヨフヨと其処に近付いていった。
「リリーホワイトさん……!」
私が呼び止めようとした時には、既に拘束されていたライバルの前にたどり着いていた。
「私を滅するという方法を変えない限り、何度やっても同じ事ですよ?」
「~~また……今年も……負けてしまったのかぁ……!」
リリーホワイトさんの顔は見えなかったが、私達には判った。
最初にライバルと出会った時と同じ、あの何所までも続く様な無表情に違いない。
「此処までですね、リリー『ブラック』……牢獄で大人しくしてて下さい」
「……………」
黒妖精は黙ってしまった。だが歪ませた表情には目の前にいる
白妖精さんに対する憎しみしかなかった。
「さぁて、連行の準備をしな!」
「かしこまりました!!」
小町さんが立ち上がって退いた直後には、数十匹の裁判妖精達がリリーブラックを素早く縛っていた。
黒い妖精達が、黒い妖精を拘束した。
「さて、里の皆には迷惑をかけたな……道を開けてくれないかい?」
人だかりが別れて道が開いた。
「!そうそう……言い忘れていた事があった……!」
小町さんが何か思い出したかのように私達の方に歩いてきた。
そして私とうどんさんに近付くと、私達の耳元でこう囁いた。
「お前さん達も、上手くやっていきなよ?」
顔を離した小町さんはウィンクをしていた。再び顔が赤くなるのを感じる私達。
いそいそと戻って行った小町さんは号令をかけた。
「よし、じゃあ出発するよ?最初の目標は無縁塚だ!!」
そして、黒い魔精だった妖精を連れ、退場して行った。
「終わったんですね……」
「私達も行きましょう」
騒動が終わり、まばらになりつつあった人だかりから、私達も離れた。
其の時私の左手は、うどんさんの右手は自然につながれていた事に私達は気が付かなかった。
如何でしたか?
此でリリーブラックが逮捕、退場という結果になりました。
次回から新しい章に入り、やっとうどみょん達だけの
ラブコメ的展開に入っていきます。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪