東方孤傀劇/~Noキミョン?Noウドンゲ?Yesうどみょん!   作:因田司

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今回は、此の小説で初の戦闘シーンを紹介いたします。

……グロテスクと思うシーンもございますので、
閲覧される際は御注意ください。

原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目見てくださると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪




Love Berserker◎

YOUMU

~人間の里

 

マリスの突然の出現に里の住民達が騒いでいた。

 

 

「……とはいっても、てめえ等に武器なしじゃあ不平等だからなぁ……」

 

 

黒妖精は其の喧騒を気にもせず考え込んでいる。

 

すると思い直したように、

 

 

「おい!一式寄越せ!!」

 

ズボォァァァアアァ!!!!!!!

 

 

なんと、擬態したマリスの背中に両手を突っ込んだ。

 

 

「!?」

 

 

見ていた観客からざわめきが起こる。

私達も構える。何をするつもりだ……?

 

 

すると黒妖精は天狗マリスの背中に入れた手を思いっきり引き抜いた。

 

 

「!!!」

 

 

其の手には、黒い剣と盾を握っていた。

 

どちらも禍々しい黒色で統制されて、刀身や盾の表面に

蒼い目玉を模した装飾が施されていた。

擬態した身体の中で収まっていたとは思えない大きさだ。

 

 

「よっ……重い…な………!?」

 

 

其等を重そうに持ち上げるリリーブラック。武器と身体の大きさが

かなり不釣り合いだ。

 

 

「さてさて……最後にかわしたい言葉はあるか?一言だけ許してやる」

 

 

最後というつもりにはするつもりは…無論ない。

 

私は前に進み出ながら、後ろのうどんさん達に声をかけた。

 

 

「うどんさん…近距離は私に任せて下さい……

後ろから援護射撃をお願いできますか?」

 

「判りました……気をつけて下さい、みょんさん…!」

 

「私も頑張ります!!」

 

 

リリーホワイトさんがうどんさんの隣で返事をするのが聞こえた。

 

見えない二人の言葉を聞いて安心出来た半面、相手を見る目付が余計

険しくなるのが自分でも判った。

 

 

「!あぁあぁ………最後に告白かと思えば…作戦確認かよ……つれない野郎共だな。戦いしか頭にねぇのか?てめえ等が脳筋だろうが。俺はがっかりだぜ?」

 

「貴方達が負ける前提で作戦立てたんですよ。其位も察せられないのですか?

まあ、無理でしょうね……脳筋ですから」

 

「!?~~お前は、二人をスプラッタにしてからたっぷりといたぶってやる!!!」

 

 

リリーホワイトさんの言葉に対して返した、其の言葉を聞いた……

 

其の時だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブヂィンッッ…………!!

 

 

 

 

何処からかそんな音がした………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう……考えるのは止めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

REISEN

VS〈春を告げる妖精〉リリーブラック

〈攻めゆく閉塞心〉マリス・ソードロイド

〈守りゆく閉塞心〉マリス・シールドロイド

〈影のテレグノシス〉犬走椛

~人間の里

 

 

「……………」

 

 

……みょんさんがすっかり黙ってしまった……

 

戦いに備えて、精神を統一してるのでしょう。

 

 

「俺様が!!その奇麗な顔を切り刻んでやろう!!!」

 

 

不意にリリーブラックが天狗マリスの後ろから飛んできて、

みょんさんに向かって、マリスで出来た剣を突き出してきた。

 

みょんさんは即座にしゃがんでその一撃を避けると、

 

 

「……『成仏』」

 

 

其処から背中の楼観剣を引き抜きながら切り上げ、前と後ろに伸び切った

リリーブラックの両腕を、

 

 

ズバァアアァ!!!!!!

 

 

マリスの剣と盾ごと切り落とした。

 

 

「!?ぐわぁあああ!!!両腕がぁあぁ……!!?」

 

 

そして其のまま、みょんさんに足の裏で蹴り飛ばされ、再び地を転がった。

どうやら、剣を使い慣れていない様ですね……馬鹿な事を……

 

 

「!何シテルノヨ!?」

 

 

見ていた住民達の歓声の中、天狗マリスが後ろに転がって行った

黒妖精に向かって叫んだ。

 

当の本人はうずくまっていた。

 

 

「両腕を切り落とされたぁ……時間稼ぎをしてくれぇ……!!!」

 

「…再生スル気ネ……無茶スルカラヨ」

 

 

そして私達の方を向き、

 

 

「感覚ヲ狂ワセタラドウナルノカシラネ?」

 

 

突然、盾と剣を持つ手を入れ替えた。

 

 

「!?」

 

「本人モ出来ナイ事…持チ手ヲ変エル事モ出来ルノヨ?」

 

 

マズい……あのまま感覚を狂わされたまま剣を振られたら

みょんさんが対応出来ずに斬撃が…!

 

 

「妖夢さん!私達が狙撃しますよーー!下がって下さい!!」

 

 

リリーホワイトさんも、其に気付く事が出来ていたらしく

みょんさんに向かって声をかけた。

 

でも、其を聞き入れる様子がなかった。

 

 

「!みょんさん……?」

 

 

マリスがみょんさんに向かって走りだした。

 

みょんさんが持っていた楼観剣を鞘に収めた。

其でも動かない。

 

 

「みょんさん!早く……!!」

 

 

マリスが距離を詰めてくる。

 

其でもみょんさんは動かない。

 

マリスが剣を振り上げ、そして振り下ろしてきた。

 

其でもみょんさんは動かない。

 

 

「みょんさぁん!!!」

 

 

私は我慢できずに、右手の指をピストル状にして

みょんさんの後ろからマリスに狙いを定めた。

 

まさに斬られる……其の時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「……『霊斬』」

 

 

 

 

 

 

 

みょんさんは踏み込みながら、一度しまった楼観剣を素早く抜いて

 

 

ザァンッッッッ!!!!!!!!

 

 

すれ違いざまに敵の左手を剣ごと切り落とした。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

「ギォアァアァアァァアアァーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

 

痛みで悲鳴が上げるマリス。どよめく住民達。

 

其の時、私は見てしまった。

後ろで痛みに呻くマリスを見る、みょんさんの目を……

 

 

みょんさんの目が……完全に光っていなかった。

まるで死んでいるかの様な目だった。

 

さっきまで何もなかったのに……何があったの…みょんさん……?

 

 

 

 

 

 

「~~~グゥ……ナラバ……!」

 

 

すぐに左腕を人外の形に再生させたマリスは足を発条のようにして高く跳躍し、

近くの民家の屋根に乗った。

 

私達や、観客達が目でその動きを追った。

 

 

「牙符『咀嚼玩味』ィイ!!!」

 

 

擬態しているマリスの黒い牙が、更に黒い雷を覆い始めた。

 

そして、

 

 

 

「マズ数ヲ減ラシテカラダァアアァーーーーーー!!!!!!」

 

 

 

何と、私達の方に飛んできた。

みょんさんを諦め、私とリリーホワイトさんの方に狙いを定めてきたらしい。

 

 

ブチブチブチィイ……!!!!!

 

 

マリスの口が皮膚の限界に逆らって大きく裂け、黒くてらてらと光る牙が

ズラリと並んでいるのが見えた。其の奥には無数の目玉がのぞいている。

 

 

あれで噛み付いて、浸食する気ね……?

 

 

私は片手でリリーホワイトさんを抱え、

あいている方の手の指をもう一度ピストル状にして、弾幕を発射しようとした。

 

と、

 

 

 

「!?」

 

「!!…ヨ…妖夢……!?」

 

 

私達の目の前に低い姿勢でみょんさんがいた。

素早い身のこなしで、私達とマリスの間に割り込んできたのだ。

 

 

さっき左腕を切りつけた楼観剣をマリスに向け、

 

 

 

「『霊突』」

 

 

 

踏み込みながら勢いよく突き出し、おぞましく開けられたマリスの口の中に

其の刃を思いっきり入れ込んだ。

 

 

ドズゥウ!!!!!!

 

 

そしてダメ押しにみょんさんは刀の頭を掌で強く叩き、更に相手の喉の奥深くに

一気に刀身を押し込んだ。

 

 

ズバァアァア!!!!!!

 

 

マリスの後頭部分から切先が出た。

 

急所を貫かれた天狗マリスが目を見開いているのが、みょんさんの肩越しに見えた。

驚愕した顔の擬態が解け始め、黒ずみ、沢山の目玉が見開かれ始めた。

 

そして、溶けて黒い霧のようになり消滅していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みょんさんは足下に黒い霧が充満する中で黙ったまま、楼観剣についた

黒い染みを、刀を振って払い落した。

 

 

「妖夢さん……何があったんですかー……!?」

 

 

リリーホワイトさんの声に気付き、此方を振り向くみょんさん。

 

瞳は黒かった。何も見てなかった。

 

私は悲しかった。

 

 

「みょんさん……!!」

 

 

私はみょんさんの肩を掴んだ。私を見てほしかった。

正気に戻って欲しかった。

 

其でも、みょんさんは何も見てなかった。

 

リリーホワイトさんや、住民達が心配そうに見ていた。

 

 

「みょんさぁん……!!!」

 

 

顔をうつぶせる。私は悲しかった。

 

もう…見てくれないんですか?

 

 

「正気に戻って下さい……みょんさぁん……!!」

 

 

 

 

 

「!//う、うどんさん………!」

 

 

声を聞いて、顔を上げる。

 

 

みょんさんが私を見ていた。目も死んでいなかった。

 

顔を赤らめながらも、しっかり見てくれていた。

 

 

「みょんさん……!!!」

 

 

安心したからか、私の目から涙があふれた。

 

此は…嬉し涙…ね……?

 

 

「良かったです、いったい何があったんですか……?」

 

 

リリーホワイトさんがみょんさんに訪ねた。

 

みょんさんは表情を暗くした。

 

 

「…私、私達を殺すと脅されてから……其処からの……あの……」

 

「……記憶ですか?」

 

「!!は、はい……//……そう…です……」

 

 

 

「私は…頭に血が上ってたんだと思います……私だけでなく、

うどんさんも殺すといわれて……」

 

 

私はみょんさんの肩をもち直して、じっと見た。みょんさんは其に呆然として

私を見つめ返す。

 

自分は言った。

 

 

 

 

 

「御願いです……怒りでなく…貴方自身で守って下さい……!

怒りにまみれた貴方は……私は見たくないんです………!」

 

「!……すみません……」

 

 

みょんさんが申し訳なさそうに言った。

 

私は頬が緩んだ。

 

 

「でも、貴方に何度も助けられた……もう、数え切れないほどに……

ありがとう……みょんさん……」

 

「うどんさん……!」

 

そして周りを見渡した。

 

 

リリーホワイトさんは笑顔で見ていた。

 

住民達も、その後ろで大歓声を上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?キャァアァーーーー!!!」

 

「!!?」

 

 

一人の住民の突然の悲鳴で振り向いた先……足元の薄れていく黒い霧の中から、

ゆっくりと立ち上がった影があった。

 

 

足元の霧が渦巻き、その影を取り巻き始めた。

 

 

「……ヘ……ヘヘヘ……ヘヘヘヘヘ………!!」

 

「リリー…ブラック…!」

 

 

声からして判った。

私達は今度は並んで構えた。取り巻く薄い黒霧ではっきりとは見えない相手を

見据える。

 

 

 

しかし其の霧が晴れ、はっきり見えた敵の姿………其はもはや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「感動ノ抱擁は……済んダか、リア充共?」

 

 

 

 

リリーブラックという身体を突き破った、化け物だった。

 

 

 




如何でしたか?

今までのマリス達の戦いでは、セリフだけで詳しい様子が分かりませんでしたが、
詳しく書くと実際はこんな感じの戦いを繰り返していました。

相手が擬態していた偽者とはいえ……かなりエグいです。

次回は、リリーブラックと対峙します。

それでは、次回もゆっくりしていってね♪

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