東方孤傀劇/~Noキミョン?Noウドンゲ?Yesうどみょん!   作:因田司

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今回はリリーブラック達が妖夢達に直接出会う場面をお送りします。

すみません、前回言ってました戦闘シーンは
もう少し先になりそうです。

原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目見てくださると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪


え?嵐の前って静かじゃないの?Byこいし

YOUMU

~人間の里

 

 

……目が痛い。

泣きすぎて真っ赤になってるに違いない。

 

 

私達は、人間の里を歩いていた。

勿論、うどんさんと朝食をとり、リリーホワイトさんと出会った

里とは別の里である。

 

リリーホワイトさんもすっかり痙攣が治ったらしく、

私達の周りを元気そうににフヨフヨと飛び回っていた。

其の笑顔を見ると、思わずほっこりとした気分になる。

 

すると同時に私は、隣で一緒に歩いているうどんさんが視線に入った。

 

そしてさっきの出来事が頭に浮かんだ。

 

 

 

森の出口で抱きしめたあの感触……

私を胸に預けてくれたうどんさん……私は…………

 

 

 

 

思わず顔が真っ赤になる。

其を隠す様にうどんさんから視線を離し、うつむいた。

 

 

其の時だった。

 

 

 

 

 

 

「よう……頭が春満開のパッパラパー野郎共」

 

 

私達の上から声が聞こえた。

思わず私達は見上げた。

 

私達の前方上空から、一匹の妖精が降りてきていた。

 

 

前に花の異変の時に無縁塚で戦った妖精だ。

リリーホワイトさんの衣装を黒くしたような風貌だった。

 

だが、顔つきは前より変わっていて

黒い瞳に白眼は赤く、目の下には薄くクマがある。

 

 

「真っ盛りのカップルに寄生して……気分は良いか、リリーホワイト?」

 

 

其の妖精が、皮肉そうに口をゆがめて言った。

 

すると、笑っていたリリーホワイトさんの表情がガラリと変わり、

一気に無表情になった。

 

其の口から出てきたのは……

 

 

 

「……やはり貴方が原因でしたか……薄々は感じていましたが。

まだ生きてたんですか、リリー『バラック』?」

 

「!俺をいつも死んだ者扱いするのは止めろ!あと、『ブラック』だ!!

粗い仮小屋と一緒にするんじゃねぇ!!」

 

「口が粗いからそう呼ぶんです。其に妖精と違うなら死ぬじゃないですか…

私は貴方を私から蔑ろにしたいから、好きにそう言ってるんです」

 

 

今迄に聞いたこともない様な、侮蔑のこもった口調だった。

 

其を聞いていた黒い妖精は怒りに震えていたが、

直ぐに勝ち誇ったような表情になって言った。

 

 

「だが、私が木を倒した他に、マリスって奴の影響でお前、

相当衰弱してたようだな?別の里で暴れてるのを見て、良い気分だったぜ」

 

 

リリ-ホワイトさんは、其の話題を完全に無視した。

 

 

「此処にきて、また命がけの窃盗でもするんですか?……『買い物』と称して」

 

「!俺はてめえ等の様な野良妖精とは違うんだよ!

三月精みてぇにそんな悪戯に、其処まで命もかけてねえし!!」

 

「…リ、リリーホワイトさん……あの妖精は……?」

 

 

私の隣にいたうどんさんがリリーホワイトさんに質問をした。

 

彼女は無表情のまま早口で答え始めた。

 

 

「リリー『バラック』です。似てほしくはなかったのですが、私の服を黒っぽくした姿です。いがみっぽくて、乱暴で、いつも私を消すことしか考えていない脳筋さんですよ。

趣味は永遠亭から盗みに盗んだ、大量の薬での危ない実験です。まさに幻想郷不適合者そのものといっても過言じゃありません。

私は『アレ』と一緒の役割を持ってると思うと、嘆かわしいったらありゃしないです。春告晴の役割をろくにこなした事も見た限り……見た限りでは無いですのに」

 

さっき訂正を求められたのにもう直ってる。

相手を相当嫌ってるようだ。言い過ぎにも程がある。

 

でも其が本当なら、ろくでもないなと思った。

 

 

「成程…師匠が最近薬の減りが速いと仰ってたと思ったら……

貴方の仕業だったんですね!?」

 

 

うどんさんが叫んだ。

 

 

「!おいおい……一番弟子の兎さんよぉ。失敬してるのは普通医療に使わねえ

薬ばっかりだろう。其にお前!そこまでばらす必要はねえだろ!?」

 

「同じでいたくないですが、同じ春告精として互いを知っておくべきだと

思いましてね。さらけ出すのは意外と大事なんですよ?」

 

 

私はその言葉が胸に引っ掛かった。

 

互いを……知るためにさらけ出すんですか……?

 

 

 

 

 

「ですが、もっと情報は提供するべきでは?」

 

 

リリーホワイトさんは不意に懐からピンク色の最新の携帯機器を取り出して

少し操作して画面をリリーブラックに見せた。

 

其を見たとたん、リリーブラックの目の色が変わった。

 

 

 

「ゥアアアッッッ!!!???其、お……俺様の……!!!!!」

 

 

 

そして、リリーホワイトさんは其の画面をそのまま私達に見せてくれた。

 

 

其処にうつっていたのは目の前にいるリリーブラックが

まるで、今の姿から大人に急成長したかような姿だった。

 

此方に向かってポーズをとっている。

 

 

「いたるところにあるアジトの中で盗んで合成した薬を使って、

自分の身体を大きくして生活してるんですよ。妖精とは違うと自分を信じ込ます為にですね」

 

「~~~~~てめぇは変態か?何処まで私の事を……!!!」

 

 

当の本人は、沸点を既に通り越していた。

顔に青筋が立ち、赤い白眼が更に血走っていた。

 

しかし、次の一言は……

 

 

「此の写真は、貴方がメールに添付して送ってくれたものじゃないですか。

大きくなる薬を見つけたって自慢する為に」

 

「!?は……!???」

 

 

……悪い事企んでいるけど、其の分相当なマヌケと見た。

送信した写真の存在を忘れていたとは……

 

 

「~~~私を馬鹿にするのもいい加減にしろよ、

スペルも持たない雑魚妖精がぁ……!!!」

 

「其は貴方も同じですよね?」

 

「!!!」

 

 

……にしても、リリーホワイトさんがどれだけ嫌ってるのかが分かる。

相手が言う事をことごとく論破して行っているのだから。

おまけに暴露か皮肉を必ず付けくわえて。

 

……無視した部分もあったが。

 

 

「~~~~~~!おっと、こんな事を話をしに来たんじゃなかった……

話があるのは、カップルの……君達だ」

 

 

……どうやら、リリーホワイトさんの相手をするのは無理だと判断したらしく、

今度は私達に話を振ってきた。

 

 

「私がリリーホワイトを嫌ってるのは判ったろ?

だからソイツを使って実験をしてやろうと思うんだ。

お前達も、本当は邪魔で邪魔で仕方がないだろう?

だから……その……何だ……ソイツを此方に渡してくれると…

幸いなんだけどな……ダメか?」

 

「『憑坐の縛』!!!」

 

ゴオォォッッッッ!!!!!!!!

 

 

何故か恥ずかしがりながら要求を言ったリリーブラックの顔面に

私が指示して飛ばした半霊が直撃した。

 

 

「『イリュージョナリィブラスト』!!」

 

 

更にうどんさんの目から放たれた赤い光線が

追い打ちをかける様に彼女を飲み込んだ。

 

 

「!???ォゴッフェエエェエェェ……!!!!」

 

 

そのまま彼女は吹っ飛び、地を転がってうつ伏せに倒れた。

 

 

「……遠慮しておきます」

 

 

私は地面に伸びた妖精にこう言い捨てた。

 

リリーホワイトさんの身体を使って悪い実験をすると明言したからには

奴に彼女を渡すつもりは更々ない。

其に私達は、リリーホワイトさんを邪魔だとは微塵も思っていない。

 

リリーホワイトさんが静かに拍手をしてくれた。

 

 

いつの間にか私達の周りには、騒ぎを見にきた里の住民達が集まっていた。

 

 

 

 

「~~ゲフ……!!~~き、貴様等が…其の…気なら……俺にも考えがあるぞ!?」

 

 

リリーブラックが、いそいそと立ちあがると、

 

 

パチンッッ!!!

 

「来い!出番だぞ!!」

 

 

指を鳴らしながら怒鳴った。

 

すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

シュタァッッ!!!!

 

 

上から誰かが落ちてきて、

私達と黒リリーの間に着地をした。

私達は身構えた。

 

青い目で腋の空いた白い服に、大きな剣と楯を持っている。

楯には大きな紅葉のマークがある。

 

 

(!此の人は……!)

 

 

私は白楼剣の柄に手をかけながら思った。

此の人物を前に書物の中で見た事があったからだ。

 

確か……妖怪の山で警備をしている、白狼天狗の一人か……!?

他力本願で、用心棒でも雇ってたのか……?

 

 

だが、次の瞬間、その考えは瞬く間に覆された。

 

 

 

 

 

「ヴォォオオォオォォォォオォォオオォォオオーーーーーー!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

突如吠えた。女の子の口から出るとは思えないし、

狼のものとでも思えない凄まじい咆哮だった。

 

私達や、取り巻いていた住民達は、たまらず耳を塞いだ。

 

だが私は耳を塞ぎながら、其の天狗のある変化を見ていた。

 

咆哮をあげるその口の中に並ぶ歯が、

みるみる尖っていき、真っ黒に染まっていった。

 

まさか……!

 

 

「マリス……!!」

 

 

うどんさんが私が想像していた、彼女の正体の名前を口にした。

 

 

「そうだ!!私はコイツ等と同盟を組んだのさ!!

てめえ等を……確実にブチのめす為になぁ!!!」

 

 

マリスが吠えるのを止め、楯と剣を構えた。

 

私も耳から手を離し、背中の剣を二本とも引き抜いた。

 

 

「其を聞いたからには黙ってられません……

そのマリスとともに、殲滅されて貰います!!」

 

「だから俺は死なねぇんだって!!今更謝ろうたってもう遅いぞ!!?

さてさて……さっきは失敗したが……今度こそ成功させてやる……!

成仏する覚悟は出来てるか!!えぇぇ!!???」

 

 




如何でしたか?

リリーブラックがひどい扱いをされていますが、
いつもの事ですので御安心下さい。

次回はまともな戦闘シーンになりそうです。

それでは、次回もゆっくりしていってね♪

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