道を外した陰陽師   作:biwanosin

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は、八日・・・だと?自分でも驚いてます。
一次創作って、書けるときはかなりかけたりもするんですよね・・・原作のことを考えなくてもいいからかも知れません。


では、本編へどうぞ!


第四十二話

 ・・・・・・・・・はぁ。

 

「なあ、殺女。私と凉嵐は別のところに移ってもいいか?」

「ん?ふぁんで(なんで)?」

「お前たちが無駄に視線を集めてるからだ!」

 

 声をひそめながら荒げる、一輝や殺女と一緒にいるうちに備わっていた技術を使ってそう伝える。

 現在集まって食事をしているメンバーは、全部で七名。

 料理を口いっぱい頬張っている殺女に、対照的に少しずつ食べている匂宮美羽。匕首の様子をたずねている九頭原匁に、それに答えている穂積。唯一高校生ではない夜刀神夜露と周りからの視線に困惑しながらも話している凉嵐。で、私だ。

 私や凉嵐、穂積の三人はそこまで目立っていない。唯一中学生の夜刀神夜露は多少目立っているものの、会場内には参加選手の家族や来年のための見学という事で来ている中学生はいるので気にするほどではない。穂積については、見た目高校生くらいなことが幸いしたな。(注:雪姫は周りから良くて夜露の同級生、一番低くて中学一年生くらいに見られていますが、本人は気づいていません)

 が、残りの三人はそうではない。席組みの人間が目立たない道理はないし、それは当然のように適応されている。

 会場内を見回してみると、他にも席組みが複数集合しているところは目立っているようだし、星御門鈴女に至っては取り巻きに囲まれていて姿すら見えない。

 

「ん~・・・ファイト!」

「ファイトじゃないだろう!?」

「あの・・・雪姫、さん・・・目立ってますよ・・・?」

「君に言われたくない!・・・とはいえ、確かに今のは考えなさ過ぎだったな」

 

 ついつい、本気で大声を出してしまった。一輝が笑っているのが見えてハリセンを叩き込みたくなってきたが、それをするとさらに目立つので自重しておく。

 

「・・・毎年こんななのか?」

「そう、ですね・・・いつもなら、鈴女さんの取り巻きの方々がにらみを聞かせてくれるんですけど・・・」

「今回は席組み以外の人がいるから、彼女たちが何をし出すか分からない、って言っててよ~」

「いや、どんな取り巻きよそれ・・・」

「慕われてるんですね、鈴女さんって」

 

 いや、夜刀神夜露。慕われているで説明がつくレベルではない気がするぞ。軽く狂気だ。

 殺女のように基本笑顔というわけでもなく、匂宮美羽のような触ったら壊れてしまいそうな形でもなく、九頭原匁のようなとっつきにくさがあるわけでもない。確かに有名人である席組みのなかでも取り巻きができやすそうではあるが・・・本人もカリスマ性を持っていなければああはならないはず。

 ・・・そう言えば、一輝も独特なカリスマ性を持っているな・・・席組みであることを公表したら、ああなるのだろうか?いや、それはないか。あの問題児性についていけるのはほんの一握りがいいところだろう。

 そう考えると、慣れてきてしまっている自分は・・・

 

「そういえば、席組みは自分の種目がない間はどうするんだ?一種目だけしか参加できない以上、かなり暇になると思うのだが・・・」

「そう、ですね・・・たとえば、次は席組みの人との試合なら、封印を解いたり精神統一をしたりして、出来る限り勝てる可能性をあげる・・・んですかね?」

「まあ、そうなるだろう。私はそれ以外の時間、他の選手の武器の調節に回す予定だ。・・・呪具の整備ができればいいのだが、どうにも自分用にカスタマイズした物しかできない」

「あ、えっと・・・私は皆の憑き物とのリンクを強めたりも、しま、す・・・。鈴女さんは、呪具の整備もする、って言ってました・・・」

 

 ・・・星御門の家の人間が整備に回るのか・・・かなりの脅威になってくるな。

 

「・・・と、他校の席組みはこうも他の選手のサポートをするらしいが、殺女は何かするのか?」

「う~ん・・・今のところ予定があるのは、カズ君のお手伝い、かな?力仕事とか」

「・・・そうか」

「何と言うか、殺女さんらしいわね・・・」

 

 ・・・まあ、うん。きっと大丈夫だ。

 零厘も席組み第三席『型破り』が裏方に回ると言っていたし、対抗できるだろう。

 

「って、一番何をしでかすか分からないやつだった・・・」

「一体、カズは裏方で何をするのか・・・」

「むしろ、何をしでかすのか、の方が正しいのではないかとわたくしは思いますけど・・・」

 

 零厘の人間としては、本気で心配になってくる・・・

 まあでも、さすがに危険ではないだろう。その辺りはちゃんとするやつだし、問題があるとすれば何かに喧嘩を売っていかねないということくらい。

 

「まあ、各分野の権威に喧嘩を売っているくらいで済めば、万々歳だな」

「雪姫ちゃん。気づいてないかもしれないけど、かなり染まってきてるわよ?」

「自己防衛だ、気にしないでくれ」

「・・・まあ、その気持ちは分かるけど。あたしも中学からは割とそんなだったし」

 

 あれについていくうえで必要なスキルは、二種類ある。

 一つは、あのノリについて行って楽しめるやつ。席組みの人間は普段から割と非日常なので、どこか感覚がずれているようだ。楽しんでいるのを何度か見た。

 もう一つは、私や凉嵐のようにある程度は気にしないでおくもの。というか、事実として権威どもに喧嘩を売る程度であるのならば被害は少ないのだ。あれが本気で何かし出したら、それこそ次の日に隠蔽された形でニュースが流れる。

 あれは、もう・・・胃に悪いのなんの。

 

「・・・そう言えば、雪姫ちゃん。カズから切り札って言って渡されてたやつ、あれって・・・」

「一つは、まあまだまともだ。あくまでも『術』の範囲に含まれるからな。ただ、もう一つに至っては冷静に考えてみると・・・」

「・・・使うのは、本当に必要になった時だけにしましょう」

「ああ。・・・ついでに、凉嵐が渡されてたあれも、だな」

 

 今回、一輝が「作ってみた~」とか軽いノリで作り、殺女以外の全員に三枚から五枚ほど配った札。

 内容を聞かされた時は、まず自分の耳を疑った。一つ目の切り札を個人的に教えてもらった時も驚いたが、それ以上の衝撃であった。

 次に、一輝の頭を疑った。たかが学生同士の大会で、何でここまでの物を準備するのか、と。闇口光也との個人的な繋がりを利用して危険のない技術として認定されながらも、一切公開されないというおまけつきで。

 

「「はぁ・・・無事に終わるといいなぁ・・・」」

 

 この苦労を共感できるのは、現時点では凉嵐だけのようだ。だが、とても心強い。

 

 

 

 ========

 

 

 

「すいませんね、わざわざお時間を取っていただいて」

「そう思うんなら、さっさと終わらせてくれないか?部屋に帰って寝たいんだよ」

「でしょうね・・・と、すいません」

 

 そう言いながら、このタイミングで受信したらしいメールを開く光也。人を呼び出しておいてのんきなもんだ。

 

「だれからだ?」

「息子からですよ。今高校二年なので、寺西さんの一つ上ですね。他にも、今中学三年の娘もいますし、息子の方は今回の呪校戦にも参加していますよ。私は、唯一寺西さんに対抗できるのではないかと睨んでいます」

「そんなに強いのか?」

「ええ、まあ。前に言った二十三位、あれが私の息子です。・・・とはいえ、全力の寺西さんはおろか、普段レベルの封印がかかっている状態でも手も足も出ませんね」

 

 ま、その程度の順位でどうにかなってもだしなぁ。

 

「ですが、まあ今の状態の封印がかかっている寺西さんを相手に、競技のルールの中で戦うのであれば、億に一つ勝てる可能性があるのではないあと思ったり思わなかったり、ですね」

「なるほど、向こうが万全の状態で俺が超体調が悪くて、さらに運が偏りまくっていれば、というところかな?」

「ええ、まさにその通りです」

 

 うん、よく分かった。要するに大した奴ではないが、参加している男子の中では俺に次ぐ力の持ち主である、と。

 

「まあ、変にプライドが高くて危なっかしいんですけどね。いつか何かやらかすのではないかと思います」

「そんな奴にランクを与えるなよ。ランクがあると、色々と特権が与えられちゃうんだから」

「力がある以上、私の方針的に与えない訳にはいかないんです」

 

 まあ、それが光也の示した方針だしな。息子であり、色々と問題がありそうであると分かっていても、そこには従わない訳にはいかないのか。

 

「・・・で、話ってのは?」

「妙な動きをしている者を一人捕まえました。呪詛による自殺をされてしまったので何も聞き出せませんでしたが、何かあるかもしれません」

「あっそ。ま、何かしたら他の席組みが対処するだろうさ」

「それはそうなんですけどね。一応、規則上は何かあったら寺西さんが最上官となる可能性が高いわけですし、気にしてくださると」

「分かってるよ。白夜も慈吾朗もいない状況で何かあったらちゃんと他の席組みに指示は出すし、必要なら俺も動く。役目ぐらいはこなすよ。・・・何より、俺の存在が原因、って可能性もあるしな」

 

 卵でありながら席組みに席を置くことになった俺。その存在に対して文句がある人間は国内にいくらでもいるだろうし、海外のお偉方にも俺の正体を伝えてないためそちらからもグチグチと言われている。まあ、大抵は世界ランキングに乗せない、という条件で黙ってくれたんだけど。

 

「あ、それともう一つ。私の息子と当たることがあれば、呪術の世界(この世界)というものの厳しさを教えてやってください」

「本気で戦う可能性は分からねえけどな。気に入らないやつだった場合、俺が何をし出すか分かんねえけど」

 

 それだけ言い残して、俺は自分の部屋に向かった。

 光也の息子、ねえ・・・闇口家は確か結界の奥義を継承していく家だっけか。

 いや、結界はあの家に伝わる奥義の一つにすぎないんだったか?・・・ま、戦ってみれば分かるか。少しは見る側も楽しめるように、瞬殺だけはやめとくつもりだし。

 




こんな感じになりました。
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。

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