道を外した陰陽師   作:biwanosin

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流れで繋げて。
問題児からちょうど一時間後です。


では、本編へどうぞ!


第二話

「では、こちらが今回新しく席組みに入ることになりました、寺西一輝さんです」

「寺西一輝です。ほどほどによろしくお願いします」

 

 俺は九人の前でそう挨拶をした。

 深く関わる必要はない。席組みに入ったのは、そんなことのためじゃない。

 

「彼には空席になった第三席に入っていただきます。皆さんも協力して」

「ふざけるな」

 

 トップがしめようとしたら、二十代くらいの男性が口を挟んできた。

 席組みは全員が雑誌などで紹介されているため、俺でも知っている。

 

 確かアレは・・・第五席だったか。

 

「どうしました、粂神さん?」

「どうしたもこうしたもあるか。何だそいつは?寺西なんて名は聞いたこともないし、そいつはどう見ても卵だ。何故席組みに、しかも、第三席なんて立場におく」

 

 まあ、当然と言えば当然の反応だよな。

 席組みには、かなりの特権が与えられる。

 

 人間のみで行われた事件に対する警察と同等の事件への介入権。

 妖怪、陰陽師が少しでも関わる事件への、警察以上の介入権、ならびにその事件を完全に自分の預かりとすることが出来る。

 その他にも様々な特権が与えられる席組みに、奥義を継承できていない卵が所属した例は、これまでに存在しちゃいない。まあ、同じような特権が与えられる立場の中には、いるみたいだけど。

 

「そうですね・・・寺西さん、貴方自ら説明しますか?」

「・・・もとの名も話さないと説明できませんよ?」

「はい、ここにいる人たちには知っていてもらったほうがいいでしょうから、構いませんよ」

 

 なるほど、元から話すつもりだったわけか。

 まあ、変に警戒されるよりはいいか。

 

「・・・一昨日の深夜、鬼道の神社で何があったのかは知っていますか?」

「当然だろう。白澤と、それに唆された妖怪どもに襲われ、一族皆殺し。まあ、白澤がそんなことをした、というのは少し意外だったがな。白澤は、俺が責任を持って殺すつもりだが」

「・・・へえ、世間一般ではそうなってるのか」

 

 俺がトップを睨むと、向こうは肩をすくめてきた。

 

「そうするのが最善だと考えました。一部の人間には口止めをしてきましたし、学校も転校していただきます」

「そうか・・・ま、無関係な人間を巻き込むよりはましか」

「勝手に話をするな。早く説明をしろ」

 

 ああ・・・面倒だな、馴れ合い。

 

「その情報は、少し間違ってる。確かに分家の人間まで含めて片っ端から殺されたが、決して全員殺されたわけじゃない」

「・・・それは、どういう意味だ?」

「そのまんまの意味だよ。二人だけ生き残りがいて、そのうちの一人は一族の妖怪全てをその檻に受け継いだ。で、それが俺だ」

 

 その瞬間、この場の空気が固まった。

 まあ、当然ではあるよな。一族全滅だと思ったら、生き残りだ、というやつが一人目の前にいるんだから。

 

「・・・どうやって白澤に襲われて生き残る?」

「殺したよ。白澤に連れられてきた妖怪もろとも、全滅させた」

「キサマが霊獣殺しだと?」

「そうだ。確かに俺は卵だけど、奥義とは別で力があるからな」

「・・・言われて信じると思っているのか?」

「全然」

 

 はぁ、面倒だ・・・何で俺がこんなこと・・・

 

「じゃあ、どうしたら認めるのです?」

「手合わせをしろ」

「・・・もういいです。それでいきましょう」

 

 一番手っ取り早い気がしてきた。

 

「では、光也。下の修練場を借りるぞ」

「ええ、どうぞ。皆さんも、寺西さんの実力を知るためにもどうです?」

「あ、その前に一つ」

 

 全員が移動を始める前に、俺は声をかけた。

 

「なんでしょう?」

「水を一杯」

「・・・?どうぞ」

 

 首をかしげながらも水を一杯差し出してくれたので、俺はそれを操り、自分の周りに漂わせながら、修練上に向けて歩き出す。

 

「そうだ。もし他にも納得できてない人がいたら、その人たちも参加してくれて構いませんよ。大した手間ではないですし。もちろん、第四席から下の人で、ですけど」

 

 どづせやるなら一度に片付けるため、俺は席組みのやつらにそういった。

 さて、能力は使おうか・・・やっぱいいや。のども渇いたし、水は飲んじまおう。

 

 

 

      ===========

 

 

 

「では、皆さんは同意していただけた、ということでいいですか?」

 

 あの後、俺は刀と体術だけで七人全員をのした。開始数分の出来事だ。

 はっきり言うと、白澤を殺したせいか、あの人たちを脅威だとは思わない。

 冷静でさえいれば、大した手間もなく圧倒できる。

 

「・・・いや、だが、」

「見苦しいですわよ、豊。現に私達は七人がかりで負けたのです。認めるしかないでしょう」

「・・・・・・」

 

 無言になった。なんとなくだが、あの二人の力関係が分かる気がするな。

 

「では、寺西さんははれて席組み入り、となります。登録コードはどうしますか?」

「そういえば、そんなのもありましたね・・・家関係で作れないですし・・・」

「まあ、そこまで焦らなくてもいいですよ。ただ・・・できる限り早い段階で補充したことを発表したいので・・・」

「出来る限り急ぎますよ」

 

 まあ、適当に何か決めるか。

 

「では、これで寺西さんの話は終わりです。次に、三峰で大量の鬼が出現したそうなので、誰か二人ほどで退治に行って欲しいのですが」

 

 鬼って・・・それくらいただの陰陽師に任せちゃダメなのか・・・

 数が数なのかもしれんが、だとしてもわざわざ席組みにやらせなくても・・・ランク持ちにやらせればいいだろうに。

 

 ちなみに、ランク持ちというのは日本国内での五十位から十一位までを指し、前に述べた同じような特権が与えられる立場、のことだ。

 

「あ、コウコウ!それ私が行ってもいいかな?」

「土御門さん、ですか。行っていただけるのなら大歓迎ですけど、どうして今日に限ってそんなにやる気なんです?」

「ふんふ~。もちろん、条件はあるよ~」

「なんでしょう?」

 

 そうたずねられて、こちらに何かたくらんでいる笑みを向けると、

 

「そこの新入り君をペアに連れて行きたい!親睦を深めるためにも!」

「そうですか・・・では、よろしいですか、寺西さん?」

 

 絶対何かたくらんでるんだけど・・・どうせ、拒否しても後が面倒なだけだよな。

 だったら、面倒ごとはさっさと片付けておいた方がいいだろうし・・・

 

「分かりましたよ。鬼退治に行ってきます」

「そうですか、ありがとうございます。では、この件については寺西さんと土御門さんにお任せします。次の案件ですが・・・」

 

 ここからは取材などの話が続き、俺には一切関係ないので正直言ってつまらない以上につまらなかった。

 普段電話やメール、チャットで済ませていることをせっかく集まったからとやっているだけなので、これから先はこんなことはないだろうけど・・・ずっとこれなら、席組みやめようかな・・・

 




こんな感じになりました。

では、感想、意見、誤字脱字待ってます。

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