神典【流星の王】   作:Mr.OTK

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 陽はまた昇る しかし同時に、月もまた輝くのだ


捌 輝き始める星

「我が元に来たれ、勝利のために。不死の太陽よ、我がために輝ける駿馬を遣わし給え。駿足にして霊妙なる馬よ、汝の主たる光輪を疾く運べ!」

 

 東京湾のすぐ傍にある浜離宮恩賜庭園。開園時間が終わり、無人となったこの広い庭園で、護堂とアテナは戦いを繰り広げていた。

 

 原初のアテナの出自を『教授』された護堂は、ウルスラグナの『戦士』の化身を使い、ミカエルと同様のまつろわす権能『智慧の剣の言霊』を用いてアテナの神格に瑕を穿った。

 

 そして今、アテナを討ち倒す前段階として『白馬』の化身を使い、アテナに隙を作らせようとしたのだが……。

 

「おお――やはり来るか。忌々しき駄馬め!」

 

 東の空から曉の曙光が溢れ出すのを見遣り、憎々しげに吠えるアテナ。そんな様子に、護堂はその後の展開を想像しながらアテナに語る。

 

「本当なら、この化身が一番使い辛いんだ。ただ、今回はあなたがやりすぎたおかげで問題なかった。――何しろ『民衆を苦しめる大罪人』にしか使えない化身だからな」

 

 原初の闇夜を創り出し、人々を混乱に陥れたが故に使えるのだと、そう言った。

 

「行くぞアテナ! 闇を蹴散らす太陽の火を、たっぷり味わ――えっ!?」

 

 

――来たれ、太陽を守護する我が許に。同胞よ、白馬へと化身し、古の我が七光を運ぶウルスラグナよ。常勝不敗の貴方の“勝利”を、私の手に齎し給え――

 

 

 フッ、と『白馬』の手応えが消えた。権能の主導権を奪われたような、今まで味わった事のない感覚。

 

 果たして、護堂のその感覚は正しかった。

 

 アテナに向かって振り下ろされるはずだった白焔の罪科の鉄槌は、あろうことかアテナの頭上を通り越して、東京湾へと向かって行った。

 

「な……何でだよ?! アテナはそんな所にいないだろ!?」

 

 自分は確かにアテナを標的にしたはず。不測の事態に混乱する護堂。

 

 少しして、閃光の着水点から天を衝く様に白い光柱が立った。

 

「また……また貴様か……!!」

 

 直後、アテナが怒りの声を出しながら鎌をもう一度構えていた。

 

 マズイ……自分は既にアテナに対抗する手段が全て潰えてしまっている。

 

「護堂っ!!」

 

 頭の中で対抗策を弾き出そうとした時だ。彼の相棒であるエリカ・ブランデッリが、護堂を背に護るように、彼方から華麗に舞い降りた。

 

「エリカ!? 何でここに来たんだよ! 逃げろ!」

 

「馬鹿言わないで、逃げるのはあなたよ! アテナは私がなんとか食い止めるわ。だからその間にあなたは出来るだけ遠くへ、早く!」

 

 エリカが自身の愛用する、刀身の細い長剣、魔剣《クオレ・ディ・レオーネ》を構え、アテナと対峙する。

 

 無茶だ、と護堂は思考した。確かに、エリカであれば幾分かはアテナと相対し、時間を稼げるだろう。

 

 だがそれまでだ。その時間稼ぎをした後に待つのは、他でもないエリカの死。アテナから逃げ切る事は叶わないだろうし、そうするはずもない。

 

 何故なら、逃げの一手を繰り出せば、アテナが標的にするのは路傍の石と同価値のエリカではなく、宿敵たる護堂だろうから。

 

 そしてそれは、エリカの望む所ではない。今のエリカは文字通り命懸けで、愛する男を護ろうとしていた。

 

「エリ、エリ、レマ・サバクタニ! 主よ、何ゆえ我を見捨て給う!?」

 

 

 ――『主よ、何故我を見捨て給う』――

 

 

 人の身であるエリカが唯一、神であるアテナに傷を付ける事の出来る秘儀。古の聖者が死に際し、神への絶望と渇望を篭めて詠んだ禍歌にして賛歌。

 

『孤独』『絶望』『困窮』『呪詛』といった暗き想念の言霊を世界に満たし、術者たるエリカに負の力を与える。

 

「『我が骨は悉く外れ、我が心は――」

 

「待て、草薙護堂とその騎士よ」

 

 更に言霊を紡ぎ、アテナとの戦闘に備えようとしたエリカだったが、なんとアテナの方から待ったが掛かった。

 

 一体何を、と訝しがる護堂だったが、アテナの目を見て一つの事に気付く。

 

『白馬』の攻撃が逸れた時、確かにアテナは怒りを表していた。しかし、その怒りの矛先は自分達に向けられていないように思う。何となくだが、外れている気はしなかった。

 

 護堂はアテナの一挙一動に気を張りながら、耳を傾ける。

 

「草薙護堂。あなたの望みは妾がこの地から立ち去る事であったな?」

 

「それが……どうしたんだよ?」

 

「あなたが妾の願いを聞き入れるのなら、あなたの望みを叶えよう」

 

 一瞬、護堂はアテナが何を言っているのか理解出来なかった。

 

 そして理解した瞬間、諸手を上げて喜びたくなった反面、少しばかり詰まらない気持ちも浮かび上がる。

 

「何だって突然、そんな気になったんだよ」

 

 だからだろうか、少々不貞腐れ気味にアテナに対してそう声を掛けたのは。そして、アテナはそれに答える。

 

「勘違いするな。妾はあなたから逃亡するのではなく、仕切り直しを望んでいるのだ。今、あなたの騎士を見て全て理解した。草薙護堂、あなたは『白馬』を囮にするつもりであったな?」

 

 智慧の女神の彗眼に、ゴクリと唾を呑む護堂。そんな護堂の様子に我が意を得たり、といった様子でアテナは言葉を続ける。

 

「なるほど、妾はこの騎士の事を失念していた。『白馬』の焔から身を守っている間に、絶望の言霊を吹き込ませたその魔剣を突き立てられていれば、妾は確かに敗北していたであろう」

 

 しかし、と逆接を入れた後、アテナは宣言する。

 

「妾は妾の敗北を認めぬ。妾は健在であるが故に。しかし同時に、妾は妾の勝利も認めぬ。あなたが妾を倒し得る策を持っていたが故に。よって草薙護堂よ、妾はあなたに再戦の約定を申し入れたい。これを受け入れるのであれば、妾はあなたの命を見逃し、この地を去るが……どうだ? あなたにとっても悪い話ではなかろう」

 

「ぐっ……」

 

 アテナの物言いに呻く護堂。

 

 確かに悪い提案ではない……というか、受け入れざるを得ない。先程からずっとアテナを倒す算段を立てようとしていたが、どうやっても良い方法が思い浮かばない。

 

 『再戦』という部分が頭に痛いが、アテナの言う通りここは見逃してもらわないと、エリカの命も危うい。

 

「……わかった。あなたとの再戦を約束する」

 

「ふふ、賢明よな。せいぜい妾との再戦までに、神殺しとしての経験を積んでおくがよい。――さて、妾もこの地を去らねばな。だがその前に……」

 

 憤怒の炎を燈した目を細め、空を見上げるアテナの背から翼が生えた。茶色っぽく、無数の斑模様が入った翼。

 

 アテナの化身の一つ、夜空を自在に飛び回る聖鳥であり、智慧の象徴。同時に、冥府より来たる死の使い、アテナが好む、猛禽の化身。梟の翼だ。

 

「さらばだ! 草薙護堂! 壮健であれ、あなたを討つのは、このアテナなのだから!」

 

最後にそう捨て台詞のような言葉を吐くと、アテナは滑らかに飛翔して行く。

 

 そして、アテナの姿が小さくなってようやく、闇夜は未だ広がったままだが、いずれ晴れるだろう。

 

 護堂はほぅっと息を吐いて気を緩め、同様にエリカも構えを解く。

 

「なんとか……切り抜けたみたいね」

 

「ああ。一時凌ぎみたいだけど、まあよかったよ」

 

「それにしても護堂、あんな方向に『白馬』を放つなんて、一体何があったの?」

 

 エリカの質問に護堂は首を振って分からないと答える。それを聞きたいのは護堂だって同じだ。

 

「なんか、ちょっと狂わされた感じがしたんだよ。えーっと、『同胞よ、私の元に来たれ!』みたいな言霊が聞こえたような……」

 

 護堂の証言にエリカは顔を青ざめさせ、恐れ慄くように呟く。

 

「まさか……!?」

 

 その時、海上で今の時間帯では有り得ない光が――太陽の柱が建ち、夜空を一瞬の内に断ち切った。

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 片手で、一瞬で、振り下ろされた。その斬撃は海を割り、闇を切り開く。

 

 超常的な高熱により海水が蒸発し、辺りは蒸気に塗れたが、そんなものとばかりにミカエルが元に戻った大剣を振るうと、一気に晴れた。

 

「……外したか」

 

 ミカエルが巨大な光剣を振るった方向、その反対側に星琉がいた。

 

 彼はムシュフシュの力を限界まで引き出してなんとか回避出来たのだが、その表情は濃い焦りで彩られている。

 

「(どうする……どうすればいい……何か方法は!?)」

 

 自身の持つ権能で最も破壊力のある『縁切り断つ破壊の星運』はもう使えない。ミカエルの来歴の殆どを使ってしまい、概念を宿らせる事が出来ない。

 

 ムシュフシュの能力の『禍祓いの魔風』も使えない。あれは強力だが、それ故一戦につき一度しか使えないからだ。

 

「考え事か?」

 

「なっ!?」

 

 少なくとも五十メートルは離れていたはずの天使が眼前にいた。

 

 星琉が知る由もない事だが、ミカエルが『白馬』の力を吸収した際に『白馬』の持つ駿足の速度を獲得し、先程とは違って移動速度が格段に上昇していたのだ。

 

「“勝利”の光よ……」

 

 ミカエルがおもむろに、掌打の形で左手を突き出す。そこから吹き出したのは、太陽の放つ超高熱のフレア。

 

 星琉は咄嗟に回避を試みるが、至近距離だったこともあって、腕を少し焼かれてしまう

 

「っつ――!!」

 

 額に脂汗を浮かべて呻く星琉。掠めただけなのだが、その熱さと痛みは尋常ではなく、皮膚が焼け爛れている。

 

 しかし、ミカエルがそんなことを気に掛けるはずもなく、追撃の手が下る。

 

 白金の大剣での豪快な一閃。そこから繋がる、六つの剣翼を用いた七刀流の戦法。

 

 例えばミカエルが右に薙ぎ払えば、左翼の三本が追い撃ちを掛け、更にミカエルの身体が回転して剣翼が星琉の身体と直角を成した瞬間、右翼の三本が左翼と入れ代わるように刺突を繰り出す。

 

 例えばミカエルが縦に斬り付ければ、袈裟、逆袈裟、同じ軌跡での斬り上げと、左右の三本の内、上下の二本を使ってⅩを二重に描くよう追撃する。

 

 剣翼に駆動限界は存在しないようで、ミカエルを中心に、時に剣翼自体が回転して、360°、上下、前後、左右と、縦横無尽に軌跡を描き続ける。

 

 星琉に先程までの勢いはなく、しかしそれでも、小さな傷は付けられながらも大きな傷を負う事は防げている。

 

 疲労状態でもその程度は戦えている事に、ミカエルは面倒臭そうに顔をしかめた。

 

「ふん、些か程度にはやるようだな」

 

 そう言って星琉から少し距離を取るが、残念ながら星琉は攻勢に出る事が出来ない。攻勢に出ることが出来るほど程、体力が回復していないからだ。

 

「さて、どこまで明かしたのだったか……ああ、他の偽の神々どもが生まれた所までだな」

 そう思い出すように独り言を呟くと、ミカエルの姿がぶれ、一瞬の輝きと共に消えた。

 

「――ッ!!」

 

 

 ――『心眼』――

 

 

 一条の閃光を置き去りにしていきながら、大剣を肩に担いで星琉へと向かって来るミカエル。

 

 条件反射で発動するように鍛えた眼は、高速で動くミカエルを見逃す事はなく、コマ送りの要領で視覚情報を脳に伝達してくれる。

 

 必要最小限の動きで防御の姿勢を取り、振るわれる大剣を受け止められる場所へと双刀を持って来た。

 

 身体に二トントラックでも衝突したかのような衝撃と負荷によって、星琉は吹き飛ばされる。後ろ手に見えるのは、また大剣を肩に担いだ状態のミカエル。

 

 剣人一体の体当たり、とでも表現すればいいのだろうか。ミカエルはその超常的な飛行速度と膂力にものを言わせた攻撃を繰り出したのだ。

 

「『新しい神々は徐々にティアマトらに反抗的になりだした。ティアマトは気が滅入りながらもそんな息子達に寛大であったが、息子達によって夫のアプスーが殺され、旧き神どもに唆されてからは生来の闘争心を剥き出しにする。これは、海が穏やかである時と、荒れ狂う時がある二面性を示している』」

 

 高速で動きながら説いているからか、ドップラー効果を伴って聞こえてくる始まりの女神の来歴。

 

 一瞬、ミカエルの姿が目に移った。翼剣は剣の形を取っておらず、光の玉になっている。どうやらあれが加速装置の役割を担っているようで、ミカエルは光玉から神力を噴き出して加速しているようだ。

 

 ミカエルが高速で動く度に瞬く輝きは、あれが神力を噴き出した時の様子、ということか。

 

「『さて、後にティアマトはエアとダムキナの息子であるマルドゥクと戦う事になる。マルドゥクはティアマトを討ち倒す役割を担う代わりに、他の神々に自分が神々の上に立つ王であることを認めるよう要求し、これは受け入れられる』」

 

 尚も続くミカエルの猛攻に、星琉は空中を球のようにあちこちへと吹き飛ばされる。そんな状況にあるというのに、それでも星琉は知覚を鋭敏化させ、ミカエルを心眼で視認し、死力を尽くして耐え続けていた。

 

「『そんなマルドゥクに対し、ティアマトは自身の残忍な面の中でも、野蛮な本性を代表する十一の魔獣を生み出し、それらに神の持つ光輝を纏わせて神々の片割れとした。更に、ティアマトを支持する旧き神々の中から、キングという神に神々の上に立つ至上権を与えて夫として迎え入れ、魔獣の軍の総司令官に任命した』」

 

 僥倖なのは、ミカエルの飛行速度は上昇しているようだが、行動速度自体が上昇しているわけではないようで、一度の攻撃に斬撃は一度だけ、ということだろうか。

 

 この事実のお陰で、星琉は衝撃による身体への負荷はあるものの、防御に徹する事で致命傷を負う事だけは避けられている。

 

「『キングとマルドゥクの戦いは、マルドゥクが機転を利かせてキングの至上権を手に入れて勝利する。そしてティアマトが登場し、マルドゥクと戦う事になるが、その戦いでマルドゥクは主に自らの手で作った弓、三叉の矛、そして網を使用する』」

 

 とはいえ、逆転の一手がまだ考えついていない。このままではジリ貧であることに変わりはないのだ。カウンターを喰らわせようにも、片腕の防御では力負けする可能性が高い。

 

 ミカエルは、着実に『まつろわす剣』を研ぎ続ける。白金の大剣に火が纏わり付き、炎へ、業火へと勢いを増して行く。

 

「『これらの内、弓と矛については戦争と狩猟に扱われた物だが、網に関しては狩猟に使われていただけでなく、神々が人間を捕らえる時に使われていた。神と人間――つまり、次元の異なる存在の神話上の対決というのは、狩猟に似ているのだ』」

 

 少しずつ、光玉からの神力の放出量が増大して、ミカエルの動きが速くなっていく。どうやら、来歴を説き明かすことによって研がれるのは、あの大剣に限った話ではないらしい。

 

「『どんな狩猟であれ、それが狩猟であるのならば、狩人の勝利で終わるのが道理。マルドゥクがティアマトに対し網を使用したのは、つまり原初の神ティアマトが野蛮な神と見做され、マルドゥクよりも低次元の神とされた、という事実に外ならない』」

 

「――つあっ!!」

 

 怒涛の攻撃に折れそうな精神を一括する意味で吼え、星琉は耐える、耐え続ける。反撃の糸口は見つかった。後はタイミングを見計らうだけ……!

 

「『他の神々の認可を得て、合法的な至高神とされたマルドゥクに対し、ティアマトは怪物達を神々の世界に引き入れた事や、神の持つ光輝さを分け与えた事、更に神々の同意を得ぬまま独断で息子の一人であるキングに至上権を委ねた事から、ティアマトは非合法を表し、キングはその象徴である』」

 

「うぁっ――!!」

 

 肺から空気が抜ける。防御が上手く合わせられず、身体を逆袈裟に斬られてしまう。

 深くはないが、浅くもない。まつろわす白金の焔剣は十分に研ぎ澄まされており、星琉の内に存在する十一の魔獣の中で、“ムシュフシュ”は勿論、“魚人間(クルール)”と“蠍人間(ギルタブリル)”が斬り裂かれ、存在が感じられなくなった。

 

「『マルドゥクがティアマトに勝利したという事実は、つまり合法が非合法に勝利したという事を意味しており、ティアマトは狩猟の対象にされる獣と見做され、狩猟に使われる武器で殺された。これは、前世代を代表する女神を政治的に無能な地位へと貶める意味が含まれており、それは、マルドゥクが殺したティアマトの死骸を切り裂く事でも表された』」

 

 ミカエルの『剣』が、『まつろわす白金の焔剣』の精錬が、終わりを告げる。

 

「『そう、ティアマトとは、零落し、自らの子の叛逆を押さえ込めず、原初の女神――太母神としての神性を否定され、まつろわされた惰弱な邪神なのだ!』」

 

 ミカエルの白金の大剣が、一際大きく輝きを放つ。

 

 波打っていた業火は鳴りを潜め、代わりに大剣を覆うように恍な光が放射状に溢れていた。

 

 真下から胴体を両断しようとするミカエルの突撃に、星琉は双刀を交差させて堪える。しかし、ミカエルはそんな防御は知った事かとばかりに力任せで強引に大剣を振り切り、星琉を天高く弾き飛ばす。

 

「何故、私があんな一辺倒な攻撃ばかりしていたのか分かるか?」

 

 ミカエルが何か話しているが、星琉は構わず身体を捻り回し、来るべき攻撃に備えようとして――

 

 

「お前を、確実に殺す為だ」

 

 

 目前に、ミカエルがいた。

 

 

「な――!?」

 

 ミカエルが右薙ぎに放った斬撃は、咄嗟に防御に用いようとした黒刀を弾きつつ、星琉の胸を刔る。

 

 続けて、ミカエルはそれまでとは段違いの速さで大上段に構え直し、正中線に沿って大きく振り抜き、星琉の脇を通り過ぎる。

 

 星琉は胸の痛みを無視しつつ、右手を白刀の峰に添え、掲げる形で懸命に斬撃を受け止めようとした。

 

 

 ――『日輪の聖十字斬』――

 

 

 しかし、ミカエルの剣は本来、『神の武器庫』から持ち出された『どんな堅い剣も一刀のもとに切り落とす』事の出来る剣。彼が本気を出した事によってその力が顕著となり、星琉の刀は折られ、胸を深く切り裂かれてしまった。

 

「あ――」

 

 肉の焼け爛れた匂いを漂わせながら、真っ逆様に海へと墜ちていく星琉。ミカエルはそれを、塵芥でも見るかのように見下ろし、蔑みの色で呟いた。

 

「悪足掻きを……」

 

 ミカエルがそう呟いた訳は、先の一瞬の攻防にあった。

 

 十字架を完成させる縦の斬撃が繰り出されようとしたその瞬間、星琉は防御をしながら後ろに下がるように『疾空』を用い、十全な攻撃を喰らうのを回避したのだ。

 

 とはいえ、せいぜい一割、多く見積もって一割五分程度の軽減。星琉には成す術もない。

 

「だが、これで終わりだ」

 

 いつの間にか新たな翼を生やしたミカエルが、右手を広げているのに何故か落ちない大剣の先を、墜落している星琉に向かって突き出す。

 

 背中の六つの光玉が大剣の柄の周りを()()ると回り、標的に照準を合わせる為の光の道を作り出した。

 

 

「滅びよ」

 

 

 無慈悲な宣告と共に打ち出される、太陽の白焔を纏った白金の剣。

 

 朦朧とする意識の中で、星琉が自らの死を覚悟したその時――

 

 

正義を冠するゴルゴンの楯(アイギス)よ! 妾を死守せよ!」

 

 

 高らかな宣言と共に、星琉は誰かに抱き抱えられ、白金の流星は闇の天蓋に妨げられていた。

 

「何をしているのだ! 吉良星琉! あなたに預けた勝負を放棄することを、妾が許した覚えはないぞ!」

 

「ア……テナ……?」

 

 そう、星琉を助けたのは、天地冥界の属性を併せ持つ、三位一体の女神。つい先程は死闘を繰り広げていた、まつろわぬアテナだった。

 

「ぐぅぅぅォォォオオオオッッッ!!!!!!!!」

 

 母なる女神らしからぬ、されど闘争の神として相応しい雄叫びを上げながら、なんとアテナは白金の流星の軌跡を逸らしたではないか!

 

「何っ!?」

 

 驚愕するミカエル。それも当然だ。怨敵に止めを刺したと思っていたら、そこには予想だにしなかった乱入者がいたのだから。

 

 そこに生まれた隙を、アテナは見逃さなかった。

 

「我が現身の一つ、メドゥサよ! 二度も妾の邪魔立てを働いた、煩わしき《鋼》の天使の時を止めよ!」

 

 その言霊が発された瞬間、まるで映像が停止するかのようにピタリとミカエルの動きが止まった。

 

「ちぃっ! 小賢しい真似をっ!」

 

 憎々しげにアテナを睨むミカエル。アテナは肩で息をしながら、悔しげに呟いた。

 

「くっ、今の妾では、動きを止めるので精一杯か……!!」

 

 突如勃発した攻防の中で、星琉は息も絶え絶えになりながらも、意識を完全に覚醒させる。

 

「どうして……貴女が……」

 

 星琉の疑問に、アテナはフン、と憤慨した様子で理由を話す。

 

「言ったであろう。奴は妾のいくさを二度も邪魔立てした。あなたと、草薙護堂とのいくさをな。これは、その意趣返しというわけだ」

 

 その言葉が終わった瞬間、二人の横を六つの閃光と白金が翔けた。それらはミカエルの下へ辿り着くと、守護するように壁を作り出す。

 

「……闇の神力も、蛇の神力も使い切った今の妾では、奴に止めを刺せん。奴を留める事の出来る時間も後僅かだ。吉良星琉よ、あなたに勝算はあるのか?」

 

「あ、る……!!」

 

 それは本当の事だ。先程はミカエルの強化具合を見誤ったが故に今のような状況となってしまったが、それでなければ逆転の手は確かにあった。

 

 未だに諦めず、不撓不屈の精神を見せ付ける星琉に、アテナは獰猛な微笑みを浮かべながら告げる。

 

「よかろう。あなたとは共闘の約定を結んでいたが故、それに則り、あなたの傷を癒し、妾の残りの神力を託そう。それで奴を討て」

 

 今度は星琉が驚く番だった。まさかアテナの方からそんな提案がされるとは思ってもみなかったのだから。

 

「貴女を……後ろから……殺すかも、しれない……よ?」

 

「だとしても、道連れにする位は出来よう。それに、あなたはそのような事はせぬよ。智慧の女神たる妾にその可能性を示唆した事が、その証拠だ。……時間がない、早急に済ませるぞ」

 

「なんンッ!?」

 

 瞬間、アテナが星琉の唇を奪う。当然だが、そこに淫らなものや色っぽいものはなく、ただ淡々とした作業としての様子しか伺えない。

 

 本来であれば、星琉はただただその行為を受け入れ、享受するのみであったはずなのだが……。

 

「ンンッ?!」

 

 苦悶の声を上げたのはアテナだ。

 

 唇を重ね、治癒の魔術を施し、いざ神力を譲渡し始めたその瞬間、先程までアテナの腕の中でぐったりしていたはずの星琉がバネのように身体を跳ね起こし、アテナの頭と腰に腕を回して、アテナを求めるように情熱的な口付けを返して来たのだ。

 

「はっ……ぅん……ん……はんッ……あむ……んぅ!!」

 

 星琉がアテナの内を強く、優しく攫い、時にアテナと絡み、またはアテナを星琉が内に迎え、繋がり、溶け合う。

 

 戦の中にあるまじき淫靡な水音が、二人の間に響き渡る。

 

 五秒程で情交を思わせる口付けは終わりを告げ、銀の懸け橋が二人の間を名残惜しむように繋ぐ。

 

 そして、星琉は自らの内に在る権能『闇夜に眩ゆき月星の唄』をまた一段階掌握した事を感じ取った。

 

 アテナはほんの少し頬を赤く染めつつも、不敵に笑みを浮かべながら、確信した様子で星琉に言葉を掛ける。

 

「妾から『大地の女神』足る概念だけを奪い、同胞の権能を我が物へと一つ馴染ませたか。ふふ、賢しい奴め」

 

 智慧の女神たるアテナは、何故星琉があのような行動を起こしたのかをしっかりと理解していた。

 

 アテナが初めに星琉と戦った時、星琉の使った権能はアテナと起源を同じくする女神の物であった為、すぐにその能力――即ち、三位一体の女神たる己達と全く同じ能力を行使する権能であると見破っていた。しかしそれ故に、ある違和感を覚えていたのだ。

 

 あの時の己は三位一体を成していなかった。そうであるのならば、三位一体を成している権能を持つ神殺しは、己を圧倒出来たはずなのでは、と。

 

 その違和感は、先の行為の中で完全に拭えた。

 

 要するに、星琉の権能もまた、ゴルゴネイオンを求めていた時のアテナのように不完全なものだったのだ。

 

 今現在、三位一体のアテナとなったアテナの神力には『大地』『冥界』『天上』と、それに付随する概念が宿っている。

 

 アテナが星琉に神力を譲渡した際、そこには『大地』の概念が宿っていた。

 

 そしてその後の行為で、星琉は『雌牛』『恐るべき女』『石化の邪眼』『オリーブ』と、『大地』に付随する概念のみをアテナから抽出し、吸収していたのだ。

 

 それにより、星琉の権能は三位一体を成し、権能を一部掌握するに至ったというわけである。とはいえ、完全に掌握するにはまだまだ時間も経験も足りないようだが。

 

「行け、吉良星琉。妾が手を貸したのだ。敗北は許されぬぞ」

 

「……ありがとう」

 

 仇敵に向けるものとは思えない程の柔らかな笑顔でアテナに感謝の意を告げ、星琉は意識を己の内側へと向け、語り掛ける。

 

 ミカエルの『まつろわす白金の焔剣』により、守護神獣は皆、傷付けられてしまった。しかし、そこにいる天使は、自分達の母を死に追いやった張本人なのだ。憎んでも憎み切れない、不倶戴天の怨敵なのだ。

 

 どうして赦す事が出来ようか。何故このまま黙する事が出来ようか。

 

 立たねばならない、立たねばならない、母の為に、母の為に――!!

 

 身体が熱くなり、権能が滾っているのを星琉は感じた。

 

 だが、一度斬り裂かれた権能を無理矢理行使しようとしているのだ。上手くいかないかもしれない。最悪、死に致るかもしれない。

 

 それでも果たさねばならぬのだ。母を殺された怨みを、晴らさねばならぬのだ。何故なら、母も、神獣達も、そして星琉自身も、それを望んでいるのだから!

 

「母なる海より生まれし神獣(モノ)地球(ほし)となりし太母神の子。我が内なる荒ぶり猛る雄牛よ! 天を翔けて嵐を起こし、地を駆けて蹂躙し、母の怒りを知らしめよ!!」

 

 荒ぶり猛る雄牛――クサリクとは、ギルガメシュ叙事詩に登場する天の雄牛と同一とされ、ムシュフシュに匹敵する力を持つ、翼を持った雄牛である。気性は荒く、嵐を起こし、神話では地上に七年間の飢饉をもたらすなど非常に破壊力が強い。

 

 クサリクを身に宿すには七日間の断食を行わなければならないが、それによる恩恵は大きい。

 

 天翔ける事を許されるのは勿論。嵐を巻き起こして場を撹乱し、完全解放時にはあらゆるものを撃ち破る肉体と突撃力を得る。

 

 だが今、嵐は巻き起こらない。最大の特徴である突撃力も十全とは決して言えない。感覚としては、せいぜい一割程度だろうか。

 

 アテナの下から飛び立ち、止まったままのミカエルと相対する。どうやら彼の女神は遥か上空へと飛翔して、高みの見物といくようだ。

 

 ゴルゴンの邪眼による拘束が解けたミカエルは、忌々しげに星琉を睨む。

 

「空恐ろしい奴だ。まさか、あの女神を手篭めにしていたとはな。淫蕩の罪をも重ねるか」

 

「…………」

 

 言葉は、ない。正直な事を言えば、今、星琉はなんとか両腕に力を入れ、意識を保つのでやっとだった。

 

 満身創痍。顔面蒼白。疲労の色がありありと伺えるし、アテナに治癒の魔術を掛けられたとはいえ、それまでのダメージが大き過ぎた。

 

 更に、斬り裂かれたはずの権能を無理に行使しているせいか、心臓が早鐘を打ち、何かに貫かれているような痛みを感じる。

 

 それでも、星琉は戦いを放棄しない。手に入るはずのなかった機会を、今一度手にしたのだから。

 

「……来い、《墜天》」

 

 それだけで、星琉の右手にいずこへと消えた黒刀が現れた。

 

 更に、半ばから折れている白刀が光の粒子となって黒刀に吸い込まれると、刀身全体が青み掛かり、はばきや鍔、柄まで形状が代わり、非常に美麗な刀へと様変わりする。

 

「《うむ、ここに居る。……済まんかったの、容易く折られてしもうて。次は、やられん》」

 

 本来の姿へと戻った《墜天》は、真銘を『流星刀・墜天之尾羽張(ついてんのおはばり)』と言い、先程の双刀以上の鋭利さを伺わせた。

 

『流星刀・墜天之尾羽張』は意志を持つ権能である。何故権能に意思があるのか、星琉には全くその理由が解っていないのだが。

 

 《墜天》は意思を持つが故に、ミカエルの大剣を受け止められなかった事を悔やみ、己で己を研ぎ澄ましていた。

 

 今度は担い手を護れるように。邪魔立てする輩を斬り捨てられるように。

 

 そんな自分の佩刀の様子に星琉は頼もしさを感じ、小さく頷いた。

 

「貴様の悪運もここまでだ。大人しく……死ね」

 

 大剣を正眼に構え、万全の体勢を整える。先程のように、半ば不意打ちのような攻撃は出来ない。

 

 何故なら、あれは星琉がミカエルの全速力を見誤ったからこそ絶大な効果を発揮したのであって、知られた今となっては見切られると考えていたからだ。そして、それは正しい。

 

 爆発的にミカエルの神力が膨れ上がり、大気が怯える。

 

 そう、ミカエルは自らの原点に立ち返るように、力押しで星琉を殺すつもりなのだ。星琉には随分と、ミカエルの存在が大きく見えた。

 

 ――だが、諦めるつもりはない。

 

「ふぅ――」

 

 息を吐き、落ち着いている心を更に鎮め、明鏡止水の域へ。

 

 墜天を左の腰に、居合斬りを繰り出すかのように構える。この時、右手は刀に対して逆手に、左手は順手に持っていた。

 

 それは、ミカエルから見ても不思議な構えだった。最高の一撃を繰り出すのに、わざわざ左右の手を反対に持つなどおかしい。

 

 何かあるのでは、と考えるが、それすらも叩き斬る、と一切の雑念を捨てた。

 

「…………」

 

「――――」

 

 今度こそ、両者の決着を妨げるものは存在しない。

 

 大いなる二つの存在に風すらも配慮しているのか、辺り一帯は完全な無風状態だ。

 

 

 ――そして、その時は訪れた。

 

 

「ハァァアアッッ!!」

 

 動き出したのはミカエルだ。光条を引きながら、風を置き去りにして翔ける。

 

 星琉は……動かない。ただ、刀を身体の前に静かに出し始めただけ。

 

 そんな仇敵の様子にミカエルは勝利を確信した。

 

 あの速度では防御が間に合うとは思えない。そして、あの刀の長さでは自分の攻撃の方が先に届く。

 

「ゼアッ!」

 

 星琉の胴体を狙って右に薙ぐ。大剣は星琉の脇腹から斬り込み、真っ二つにしようとして――

 

 

 半ばで、鋼の感触がした。

 

 

「ぐっ――!!」

 

 吐血する星琉。彼は、刀を自分の腹に突き立てて、大剣の斬撃を阻んだのだ!

 

「馬鹿なっ?!」

 

 ミカエルは急いで大剣を引き抜こうとするが、それよりも速く星琉が前屈みになり、右腕全体で引き抜かれぬよう大剣を抱え込んだ。超高熱に焼かれる事も厭わずに!

 

「があっ!!」

 

 続けて吐き出されたミカエルの苦悶の声。それは、彼の首元を星琉の手刀が穿った故。

 

 しかし、ミカエルは焦る事はなかった。何故なら、自分は『不死』であるのだから。

 

「ああ、()っているさ……」

 

 ミカエルの内心を見抜いたかのような物言い。それは、偶然ではなかった。

 

「ウルスラグナの化身を奪い取るだなんて……ただ『太陽』の属性を持つだけでは……無理だ。そうだろう――『ミスラ』」

 

「ッッ!?」

 

 驚愕に目を見開く。何故、自分の古き名を知っている!?

 

「気付いたのは……ウルスラグナの『白馬』を強奪したこと……それと、お前の聖句だ」

 

 途切れ途切れにではあるが、星琉はもう一度、ミカエルの来歴を説き明かす。

 

「ゾロアスター教で……ミスラは『契約の守護者』と言われ……語義として……『契約』の意味が込められている……」

 

「くっ!? 離せぇっ!!」

 

 大剣は固定されているので、星琉を足蹴にして拘束を抜け出そうとする。しかし、幽鬼のような表情の星琉はびくともしない。

 

「そしてお前は……『契約を司る大天使ミカエル』とも……言われ……同神であるのが……お前の『古き我が七光』という部分で……解った」

 

「がっ――!!」

 

 唐突に、ミカエルの抵抗が止まった。彼の天使は極寒の寒さに曝されたかのように打ち震えている。

 

 星琉の繰り出した手刀は、何の変哲もないものではなく、掌握が進んだ『闇夜に眩き月星の唄』を使って生み出した暗き禁忌の力――『死』の神力を纏わせていた。

 

 来歴を説き明かす事によって『縁切り断つ破壊の星運』が再び効力を発揮し、ミカエルの太陽神としての『不死』を徐々に『絶縁』、『破壊』していき、『死』の言霊がじわじわとミカエルを苦しめだしたのだ。

 

「ミスラは……司法神ともされ……死後の審判における……重要な判官だ……。善悪の天秤を以て……人の罪業を量るお前と……同様なんだ……そうだろう? だから――」

 

 

 星琉は、穏やかな微笑を浮かべ――

 

 

還れ(死ね)。『サバティエル』」

 

 

 死を、宣告する。

 

 

「き、貴様ァァアアア!!!!!!!!!!」

 

 

『サバティエル』。それは、ミカエルの神秘的な名前。

 

 最後に最も重要な来歴を説き明かし、それが引き金となって、『不死』が壊れた感覚がした。

 

 手刀が跳ね上がり、ミカエルの首から頭頂までを両断する。

 

 顔を真っ二つにされたミカエルは、激しい憎悪と憤怒の表情のまま墜ちて行き、海に入る前に砂塵となって消滅した。

 

「勝っ……た……」

 

 勝利を実感した瞬間、視界が反転する。

 

 頭から風が流れていて、ああ、墜ちてるんだな、と、星琉は他人事のように考えていた。

 

 このまま死ぬかもしれない、と考えながら、不思議と恐怖はなかった。

 

 身体が、冷たい水に包まれる。海に入ったようだ。

 

 かなりの高さから墜ちたはずなのに、一切の衝撃がなかった事に疑問を抱くも、すぐにどうでもよくなった。

 

 ふと、海の中にあるはずのない、銀色の何かが目に映る。

 

 ――髪だ。銀色の髪が、海の流れに靡いている。

 

「(アテナ……?)」

 

 星琉はその髪の持ち主を、自分に手を貸してくれた戦女神だと思った。しかし、それは間違いである。

 

 その証拠に、それの眼の色は真夜中の空のような黒ではなく、深く、青い――

 

「(海色の……瞳……)」

 

 ふわりと、優しいぬくもりを感じ、抱きしめられた感触がして――

 

 そこで、星琉の意識は途切れた。

 




 大海は、その腕を大きく広げる 太陽を沈め、星を抱く

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