序章
Einstellungen des Übertragungsziels......Überprüfen Sie das Buch der Finsternis.
Einstellung abgeschlossen.....Start der Datenübertragung......
Starten Sie das Herunterladen der Daten......20%.......40%......60%......80%......Der Download ist beendet.
Installation.........Abschluss.
Fehlerprufung.........Abschluss.
Programmausführung von "Stern die Destructor".
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マテリアル-S……躯体復帰
ルシフェリオン機能回復
戦闘用全モード使用可能
出力限界、71%……戦闘可能
「闇の書の起動を確認しました」
「我ら、闇の書の
「夜天の主に集いし雲」
「ヴォルケンリッター。なんなりと命令を」
ここは……。
プログラムが再起動されたのはわかります。そうでなければ、私が目覚めることはないでしょう。しかし、なぜでしょうか?
私はU-Dにより大きなダメージを受け、ディアーチェに力を託して消えたはずです。なのに私は復活したというのに、他の二人の存在を感知することが出来ない。二人が完全に消滅したとでも言うのですか?
そんな事は、ありえない。
これはどういう事態なのでしょうか? もし復活をするとするならば、それには3人が揃っていると予想したのですが。
王が私だけを復活させるという事は絶対に無いと言えるでしょう。それならば王が居ないことが説明できません。
そもそも、王が敗北など、ないのですから。なのに、なぜ。なぜ二人の存在を感知することが出来ないのか? 私にはわかりません。
これは状況が不審です。狭く暗い部屋。足元には魔法陣が浮かび、横には見覚えのある夜天の書の騎士達が
仮装大会か何かかと疑いたくなりますが……王がそのような事をするはずもないでしょう。
彼女達が跪くその先を見れば、ベッドの上で目を回している……王と良く似た姿の少女。私の記憶が正しければ、それは王が参照したオリジナル、ヤガミ・ハヤテのはずです。
なぜここに? 何をしているのでしょうか?
『こいつ、誰だよ?』
『ヴィータ今は止せ。主の前での無礼は許されん』
『無礼って、つうか、主は気絶しているみたいに見えるんだけど』
『え!?』
何故か騎士達の
これではまるで私も夜天の書の守護騎士プログラムとなっているみたいにみえますね。それとも、私達マテリアルは闇の書の一部ですから、夜天の書のプログラムに私達が知らない間に組み込まれたと見るべきでしょうか? 状況が読めません。判断がつかない所です。そもそも、この思念通話は伝える対象をどう設定しているのでしょうか? 疑問がつきません。
『それよりも、こいつの方が問題じゃねか?』
『でも主が倒れているのよ? 主を助けないわけにはいかないわ』
「だが、今は動けないだろう。シグナム」
「ああ。先にこちらの問題を片付けよう。その格好、我らと同じだが我ら守護騎士は4名で構成されていたはず。見れば魔導師のように見えるが、今まで出てきたという記憶が無い。一体、お前は何者だ?」
思念通話から声を出しての会話に切り替わる。しかし、記憶に無いとは一体……。私は何度も言葉を交わしているはず。互いに死力を尽くし、戦ったと思っていたのですが。にも関わらず、まるで私を知らないような口ぶり。本当に初めて会ったかのように私を見ている。記憶領域に何か欠陥でも? 忘れ去られたのでしょうか? それはそれでおかしく感じます。
「忘れたのですか? 仕方がないですね」
妙なことになったものです。再び挨拶をしなければならないとは。私はスカートの端を少し摘んで持ち上げると、軽く顔を伏せて挨拶をします。
「私の名はシュテル。シュテル・ザ・デストラクターと申します。マテリアルの理を司る者。以後、どうぞお見知りおきください」
「大仰な名前だな。
「よせ、ヴィータ。とりあえずシュテルと呼ばせてもらって構わないか?」
「はい、どうぞ。敬称も不要です。それと、申し訳ありませんが私にも状況はわかりません。ですので私に何故かと聞かれましてもお答え致しかねます」
本当に私の事を覚えていないのでしょうか? どういう事でしょうか。忘れ去られるはずもありませんが……。
「だいたい、会った事があるみたいに言ってるけど、あたしの記憶にお前なんて居ねえし」
「私の記憶にも無いが……しかし、妙だな」
「敵意は感じないが。どうする、シグナム?」
「みんな待って。どちらにしても敵対意志は感じられないわ。この子の事はとりあえず誰かが見張って、先に主を助けた方がいいわよ」
このままでは話が全く進みません。シャマルは私よりも主が目を回しているのを心配しているようでした。主の生存を優先する守護騎士ならば当然の反応です。しかし、私は会話の継続を望みます。話をここで止められるのは時間の無駄でしょう。仕方ないですね……。
「慌てずとも問題はありません。私達に驚いて気絶をしているだけでは? ならば、しばらくすれば目を覚ますはずです」
「で、でも。もし変な所を打っていたりしたら……」
「何処かで頭を打っているようには見えましたか? もし怪我をしているとしても、あなたの力で回復すれば良いではないですか」
「……どうして私が癒やしの力を持っている事をあなたが知っているの?」
なぜ今ので不審に思われるのでしょうか? やはりおかしいです。知られているはずが無いと思っていたと? そもそも、彼女達の姿はいったい……これではまるで……まさか。
「ひとつ聞きたい事があるのですが?」
私は少し緊張します。
「話せることならば。と言っても、私もこの件でわかることは無いが」
「いえ、そちらではありません。私が聞きたいのは、ひとつだけ。目の前の少女の名前を知っていますか?」
「何を言っている? 我々は今呼び出されたばかりだ。知っているはずが無いだろう」
私が思いついた可能性の一つ。それが今、証明されました。そう。彼女達は私と会ったことが無い。そもそも、彼女達はハヤテとも今の今まで会ったことが無い。私の推測は確信に変わりました。
つまり……。
「なるほど。彼女は初めて闇の書を起動させたのですか」
「お前、何いってるんだよ? そんなの当たり前だろうが」
「待てヴィータ。それはどういう意味だ? まるで主の事を知っているような口ぶりに聞こえるのだが?」
「いえ。ただの確認作業です。特に深い意味はありません」
「しかし……」
疑わしそうに私を見るピンクの髪をした背の高い女性。守護騎士達の将。彼女の名はシグナム。
さて、嘘を付くつもりはありませんが……本当の事を言う義理もないです。さて、どうしたものか。
『なあ、シグナム。こいつ、絶対おかしいだろ? さっきから変なことばっか言ってるし、あたしはこいつが信用できねえ』
『私にもシュテルと名乗る魔導師の事はよくわからない。が、ヴィータ。我らの思念通話はシュテルにも聞こえるようだ』
気づかれていましたか。やはり、守護騎士の将は侮れませんね。
『はい。良く聞こえています』
『はあ!?』
『うそ!』
『妙な事になったようだ。我ら守護騎士の間だけで通しているはずの思念通話が聞こえるという事は、シュテルという魔術師も守護騎士という事になるのか?』
『んなわけねーだろ!』
話が妙な方向に進んでいるような気がします。私は守護騎士では無いですし、一緒にされたいとは思えませんね。ハヤテを主と崇めるのは、私には出来そうにありませんから。
「はい。違います。私はマテリアルの1人ですから、守護騎士ではありません」
「あたしには状況がさっぱりわかんねえ」
「どうするのだ?」
「どうするって言われても、こんな事に前例なんて無いし……まして想定された事もないわよ」
私も想定などしたことがありません。闇の書に呼び出されるなど、まして時間が
「そうだな……シュテルに心当たりは本当に無いのか?」
「私もあなた達と一緒に呼び出されたのです。知っているはずが無いではないですか」
「それはそうかもしれないが……」
私への不信感が
どうせ私が知っている話をしても、証明することが出来ません。無駄に時間を費やすだけです。
「その子の事はともかく、主はどうするの?」
「気になるなら布団の中で寝かせておけばいいのではないのですか?」
「なんでお前が指示を出してんだよ! あたし達のリーダーはシグナムだぞ!」
的確なアドバイスのつもりでした。余計でしたか?
「いや、それでいい。主は布団の中に運んで差し上げよう。シャマルは周囲に結界を頼む。終わったら主の元に戻ってくれ。ザフィーラはこの建物周囲の監視を。ヴィータは部屋の入り口を見張ってくれ」
「わかったわ」
「了解した」
「わかったけど、こいつはどうすんだ?」
赤い髪の騎士は鉄槌の騎士ヴィータと言いましたか。盾の守護獣ザフィーラと比べると面倒な相手ですね。最初っから私の事を胡散臭そうに見ており、発言も攻撃的です。容姿とは異なり疑い深い性格なのかもしれません。しかし彼女の信用が欲しいわけではありませんが、不信に思われたままでは今後の障害になる可能性もあります。なるべく注意を払う事にしましょう。
「シュテルは私と別の部屋に来てもらう」
「私も信用がありませんね。いいでしょう。私が従うのは我が王のみですが、今回は状況が状況です。あなたの指示に従いましょう」
「ああ、頼む。ちなみに、お前の王というのは?」
私の言葉に疑問を覚えたのだろう。闇の書に王は居ないのだから当然の事。これだけでも不審感を募らせる事になるでしょうが、私はこの件に関してだけは隠す気は
「
「我らというのは?」
「我らとは、私とレヴィです」
「知らない名だな。聞いた記憶もないが。つまり、お前は本当に守護騎士では無いのだな?」
「はい。私は守護騎士ではありません。ただし、闇の書と関係がないわけでもありません。私達もまた、闇の書の一部なのですから」
「闇の書の一部……か」
腑に落ちないといった感じでしょうか。今の彼女達の記憶には無いのは当たり前です。なぜなら、私達は闇の書の最深部に封印されてから、一度もその存在を表に出した事など無いのですから。
そう。私達は表に出たことが無いのです。防衛プログラムである"闇の書の闇"が破壊されるまでは。
私達は彼女達とは違います。彼女達は闇の書の騎士です。
闇の書の本来の名は夜天の書ですが、今の段階では彼女達は知りません。その夜天の書の本来の目的は主と共に各地を旅し、魔術師の技術を
もっとも、歴代の主が夜天の書を改変した結果、リンカーコアを蒐集し蓄積後、防御プログラムである闇の書の闇が暴走して破壊をまき散らした後に転生する、そんな危険物に変わり果てたのが今の闇の書というわけです。
その闇の書の最深部といえる場所に封印されているのが私達、無限連環"エターナルリング"のマテリアル、"システム構築体"であり、砕け得ぬ闇と私達はよんでいる永遠結晶"エグザミア"の核であるU-D、ユーリ・エーベルヴァインというわけです。
私達は闇の書を乗っ取る為のプログラムとして作られた存在ですので、はっきりいえば騎士達とは敵対関係なのですが……まあ、その事には興味がありません。
私達の目的はあくまでも、砕け得ぬ闇であるユーリ・エーベルヴァインを手に入れて紫天の書を完成させ、自由になる事なのですから。
私達マテリアルはユーリを制御するプログラム。そして、ユーリはエグザミアを核とした動力炉。全てが揃って初めて主を必要としない独立した存在になれるのです。闇の書の主を守るヴォルケンリッターとは存在の根本から異なります。
シグナムに連れられて別の部屋に移動する間、私は今後の当面取るべき行動について考えました。
私の目的はある程度は定まってはいます。簡単に言えば闇の書の防御プログラムが破壊されるその時を待つ。ただそれだけで良いのです。
それまでの間は行く当てもありませんので、ここでご厄介になるのが一番効率がいいと思われます。あのヤガミ・ハヤテの事ですから、私を追い出したりはしないでしょう。
騎士達が少々厄介ですが、今は考えても仕方ない事です。その都度対処すべきでしょう。
問題があるとすれば、闇の書の防御プログラムが破壊されるまでの間、私が問題なく存在できるかどうかでしょうか。
こればかりは、なんの保証もありません。現在のところ私が消える気配はありませんが、闇の書の
それにしても、なぜ過去に戻っているのでしょうか? 考えたからといって、どうにかなるような性質のものでは無いでしょうが、何かしら理由があるはずです。ですが今の所、思い当たる理由などありません。特に変えたい過去などありませんから。
過去に戻る方法については心当たりがあるので驚いていません。フローリアン姉妹の例があるので可能なのでしょう。
しかし、私にはそのような力は私にはありません。闇の書の転生機能にもありませんから、過去を遡る方法がわかりません。
それはつまり、元の時間軸に戻る方法もわからないという事です。もしかしたら外部の何者かによる干渉によって引き起こされた現象であるとも考えられます。
そもそも、ここは本当に私達の過去の世界なのでしょうか? どうも今ひとつ、納得がいきません。もし私の過去であるならば、私が元々先に存在していたことになるのですが……。
「考えすぎでしょうか」
「ん、どうかしたのか?」
「いえ、何も」
私としたことが疑問が口を出てしまいシグナムに聞こえてしまいました。下手な事は言わないように気をつけなければなりませんね。私を警戒していますから、常に聞かれていると用心しておくべきです。
さて、とりあえずといったところですが、今は静観するのが吉でしょう。まずは問題を起こさないためにも、シグナムと話をしておく必要はありそうです。少なくとも、敵ではないと言う事だけは理解してもらわなければなりません。今後の関係を円滑に進める為にも、なるべく不審感を削いでおく方が良いでしょう。
翌日、闇の書の主は目を覚ましました。シャマルによって呼び出された私達は再びハヤテの元に集合します。そこで、ハヤテにシグナムが闇の書と守護騎士について説明をしました。当然ながら、私についても話します。すると驚いた事に彼女は目の前の突然の出来事にも動じることもなく言いました。
「わかった事が1つある。闇の書の主として、守護騎士みんなの衣食住、きっちり面倒見なあかん言う事や」
どうやら、これで食事や根城を心配する必要は無さそうです。守護騎士の中に私も入っていればですが。
「あ。でも、シュテルは違うんやったな。うーん、でも闇の書から出てきたんは同じやし。4人が5人になっても私は困らんから、ええやろ」
「よろしいのですか、主? 今のところ敵意は無いようですが」
「ええよええよ。まあ、今は疑ってもしょうが無いし」
なんだかあっさりですね。言い訳を考えていたのですが、無駄になりそうです。
「主はやてがそうお決めになるのでしたら、我らも従いましょう。もし仮に主に仇なす時は、私のこの手で必ず止めてみせます」
シグナムが私を見ながらはっきりと言いました。ここで争う事は得策ではありません。
「ご納得いただけて幸いです。滅ぼされないよう、私も身を慎みましょう」
「なーんかウソっぽいよな。本当にそう思ってんのかよ?」
「ヴィータちゃん!」
「みんな仲良くせなあかんよ。さて、それよりもや」
ハヤテが手を叩いて注目を集める。
「みんなのお洋服買うてくるからサイズ測らしてな」
ハヤテの言葉に私を除く全員が驚きました。
こうして、私のヤガミ家での生活が幕を上げました。思えば、二人と離れての生活はこれが初めてです。いつも私が2人の面倒を見ていましたが、今は面倒を見てもらう側です。良くは知らないうえに敵であった者達との生活に対して、まったく不安が無いといえば嘘になりますが、それでも1人で彷徨うよりはマシでしょう。これから2人が復活するその時まで、私はゆっくりと待つ事とします。
それに、これは
私は王の道を
全ては我らの王の為に。
3人で自由を手に入れる為に、時が来るまでに私は更なる高みを目指しましょう。
あらためて、宜しくお願い致します。